野鳥と植物を求めて英彦山の四季を歩き尽くす、広塚忠夫の英彦山・縦横無尽。
自然観察の写真と短文に山歩きの醍醐味をしのばせ、英彦山の旬をお届けします。
10ページ:210回(2015年 9月)〜 190回(2015年 1月)
広塚忠夫
2015-09-30
ひんやりとした風が吹き抜ける晩秋の経読林道の様相だった。キョキョと啼きながら林を移動するアオゲラが何度も観察され、道端からヤマドリ♀が急に飛び上がりびっくりした。
林道は先の台風でやや荒れていたが、ダイモンジソウ(大文字草)やサンインヤマトリカブト(山陰山鳥兜)を愛でながら緑の林道を歩いた。一人旅の至福の世界だった。ただ、毎年魅せてくれるサインヤマトリカブトの群落地の斜面は、枯れ野原と化し、ほんの一部が弱弱しく何輪か咲いている憐れな姿になっていた。この原因はなんだろう。継続調査が必要だろう。
広塚忠夫 2015-09-08
8月25日に筑豊直撃の台風15号の英彦山被害の調査を兼ねて登ったが、幸いにも本日のコース上では特段の被害はなかった。被害と言えば、豊前坊のトチノキ(栃の木)の実が全て落下した程度ですよ。と、高住神社F看板嬢から大きな実のプレゼントを頂いた。しかし、栃餅にするには量が足りなかった。
観察状況は、標高があがる程ガスが濃ゆくて見通しが悪く、北岳ブナ林で飛び交う鳥の識別に戸惑ったが、何とかエゾビタキの小さな群れを確認し安堵した。
花の時期が長いシコクママコナ((四国飯子菜)が全盛期だった。果実はオトコヨウゾメに始まりツリバナ(吊花)のたわわに実ったオレンジ色の魅力、昼食時の岩盤上では、残っていたウスノキ(臼の木)一個の実と会話しながら美味しく頂いた。
広塚忠夫 2015-07-30
蒸し暑く汗がたらたらの山行だった。英彦山青年の家の研修生だろうか、学生の団体が多くて通常の登山コースを避けて岩壁の下のガレバの難路を進んだ。案の定、ガレバでは何度も足を取られ、毒虫には顔を刺され、マムシには脅かされてて難路そのものだった。マムシはにょろにょろと私と並行して大木の根影に進み、獲物を狙う体制でじっと動かなかった。
花はイワタバコが全盛で、難路ではシモツケソウの群生が癒してくれた。
鳥は、ソウシチョウが相変わらずコース上を席巻していた。
広塚忠夫 2015-07-20.
くもりの中で出発し時折陽が射してきてラッキーだったが、帰路のバードライン分岐の所からとうとう雨になり傘をさして歩いた。
道中は、イワタバコ(岩煙草)やサイコクイワギボウシ(西国岩擬宝珠)、シコクママコナ(四国飯子菜)が咲き始め、今後も楽しみです。
今が真っ盛りのタマガワホトトギス(玉川杜鵑草)やタカネマンネングサ(高嶺万年草)、ウチョウラン(羽蝶蘭)が満喫させてくれます。是非、英彦山に足を運んで愉しんでください。
特別閲覧:希少種で盗採の恐れがある種は、撮影の記録は残すが、公開は控えています。なお、記録を重視して歩き周っていますが、種名の間違い画像などあればご指摘をお待ちしています。
【注】植物採取禁止:英彦山は特別保護区が設定されており、すべての植物は、採取すると自然公園法により6ヶ月の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。(同法第83条)
広塚忠夫 2015-07-03
天候が白南風の予報となり、なんと、前日の夜中の10時過ぎに英彦山行が決まった。登りには、平常の倍の約4時間をかけて、ゆっくり鳥を観察し花を観賞しながらの山行だった。
登山靴を履いていると亜種リュウキュウサンショウクイが、飛びながらの鳴き声サービスを繰り返してくれた。帰路、疲れきってスキー場に近づくと、カッコウのゆっくりテンポの啼き声が連続して聴こえて爽やかな気分になる。
野草は、ツルアリドオシ(蔓蟻通し)の白やピンクの可愛い花々が見頃だった。この超小さな花が、岩場の隙間などにお花畑を創っていたのを初めて観察した。
記録を重視して歩き周っていますが、種名の間違い画像などあればご指摘をお待ちしています。
【注】植物採取禁止:英彦山は特別保護区が設定されており、すべての植物は、採取すると自然公園法により6ヶ月の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。(同法第83条)
広塚忠夫 2015-06-29.
待ってましたと、白(しら)南風(はえ)の英彦山に。新聞記事では、梅雨の一時的な晴れ間も白南風と記載されていたが、心も晴れ晴れの一日だった。
往路の登りではオオルリが切れ目なく囀っていて、帰路の裏彦はキビタキの囀りが間近で愉しませてくれた。北岳のブナ林の上空では、ハヤブサ2羽がキィーキィーと鳴きながら飛びまわっていた。じゃれ合っているようで、これもディスプレイ(求愛)の飛翔だろう。
溶岩の壁では、オオヤマレンゲ(大山蓮華)の2輪が輝いていたが、今年はこれが最後の光華だ。
特別閲覧:希少種で盗採の恐れがある種は、撮影の記録は残すが、公開は控えています。
なお、記録を重視して歩き周っていますが、種名の間違い画像などあればご指摘をお待ちしています。
【注】植物採取禁止:英彦山は特別保護区が設定されており、すべての植物は、採取すると自然公園法により6ヶ月の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。(同法第83条)
広塚忠夫 2015-06-23
いつも、野鳥観察で期待できる鬼杉から籠水峠までのルートは、カッコウ・ツツドリやオオルリ・キビタキ・クロツグミ・トラツグミの鳴き声が愉しませてくれて、ちらっと姿も見せてくれました。オオルリは枯れ木の天辺で囀っていましたが、なにせ距離があり記録写真となりました。大事なことは、野鳥の観察記録を継続することだと心しています。記録は後々、いろんなことにお役に立つものと確信しているからです。
花は、シロバナニシキゴロモ(白花錦衣)の一株が歓迎してくれただけの寂しい成果でした。
広塚忠夫 2015-06-13
広塚忠夫 2015-06-02
広塚忠夫 2015-05-26
ヨルヒコの事前調査で出かけました。
コノハズクの鳴き声を期待しましたが、啼いてくれませんでした。しかし、囀りのシャワーの経読林道を愉しめました。それに、カッコウ類の4種とも啼いてくれました。
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広塚忠夫 2015-05-20.
英彦山の四季:200回登頂記念日であるので、「コノハズクの鳴き声」のサービスを期待したが振られた。代わってヨタカが遠くから鳴いてくれた。
花は、ツクシシャクナゲ(筑紫石楠花)は裏年のようで寂しく、一方ドウダンツツジ(満天星躑躅)やコツクバネウツギ(小衝羽根空木)が見頃を迎えていた。帰路で、小さな可愛いウスノキ(臼の木)の花々が、200回記念を祝ってくれた。
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広塚忠夫 2015-05-02
広塚忠夫 2015-04-22
夏鳥の本格的な季節だ。“ぽぽぽぽ”とツツドリの鳴き声が迎えてくれた。この声を聴くと嬉しくてワクワクする。続いて“焼酎一杯グイー”とセンダイムシクイがおおいに飲みなさいと励ましてくれる。オオルリは全ルートで恋人探しの囀りが聴こえ、ブナ林ではキビタキの囀っている姿が遠くに観察できた。
花は、ヒカゲツツジ(日陰躑躅)が見頃で、小さな花のワチガイソウ(輪違草)が全盛だった。スミレも多く観られ、特に、シハイスミレ(紫背菫)の北岳ブナ林の稜線上の大きな群落は、圧巻だった。
樹木は、オオカメノキ(大亀の木)の白が浮き上って目立っていた。
山頂では、嘉穂高校の初々しい1年生(318人)が、「歴史は遠し三千年。。。。」と校歌を声を張り上げて歌っていた。ほんま、生き物すべてが躍動する「春」を実感した。
広塚忠夫
2015-03-31
広塚忠夫
2015-03-22
昨年に続いて、英彦山のオオキツネノカミソリの大群落地が、重箱の隅を楊枝でほじくるような甚大な被害を受けていた。シカにとっては、忌避植物と言われていたが、バランスが崩れた大繁殖で冬場の餌不足から忌避していた植物にも手を出し続けていた。無惨の一言だ。福岡県のシカ保護管理計画の徹底を望む。
救いは、今年初認のタチネコノメソウ(立猫の目草)やヤマネコノメソウ(山猫の目草)、それにホソバナコバイモ(細花小貝母)と出逢ったことだ。
野鳥は、囀りの季節となり、目立ったのはゴジュウカラとミソサザイ、ヒガラの3種の囀りが賑やかだった。一回だけソウシチョウの地鳴きと囀りも聴こえてきたが、この方の帰還は望まないのだがどうしようもない。
【注】植物採取禁止:英彦山は特別保護区が設定されており、すべての植物は、採取すると自然公園法により6ヶ月の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。(同法第83条)
広塚忠夫 2015-03-11
登山コースは、積雪は浅いが凍結していたので、アイゼンを装着して登った。
鳥は,登りのバードラインと帰路の豊前坊で何種か撮影できた。シオジの森では、早くもゴジュウカラのフィフィフィフィと高い声の囀りが、森中に響き渡っていた。
花は、英彦山では一番に春を告げる小さなセリバオウレンの花が見頃だ。
鳥も花も今からの英彦山は愉しみが一杯だ。
【注】植物採取禁止:英彦山は特別保護区が設定されており、すべての植物は、採取すると自然公園法により6ヶ月の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。(同法第83条)
広塚忠夫 2015-02-27
広塚忠夫 2015-02-24
二週間ぶりの英彦山だったので、体がなまっていて足取りが重く、古稀をじっくり足腰に感じてしまった。ルート状況は、アイゼンは必要なく積雪や氷結の影響もなかった。
バイオトイレは、一機だけ完全に問題なく稼働していた。
野鳥は出発して直ぐに、16羽のイカルがケヤキに止まり何となく周りを見つめているのが観察された。スキー場では、ホオジロ30+が刈られたススキと樹木間を餌取しながら動いていた。期待の山頂のハギマシコは既に移動したのか観察できなかった。
帰路のシオジの森でオオアカゲラが、3羽同時に観察され、少し離れた大木と崖の杉の間を飛び回っていた。2羽はキョツキョツからキーキーと啼きながら1羽が攻撃的で飛びつく行動を繰り返していた。これは、ディスプレイなんだろうか。
これより少しキーの高いキーキーが空から聴こえてきたらハヤブサの飛翔だった。
広塚忠夫 2015-02-07
広塚忠夫 2015-01-24
北西尾根の最短コースを登った。風のゴー・ヒューの音とハシブトガラスの犬の遠吠の様な鳴き声だけで、その他の鳥の気配はなかった。でも、このコースは樹氷が成長して見応えのある雪景色が迎えてくれた。山頂でバイオトイレの清掃点検を済まして直ぐに北岳に向かった。
雪道の小さな笹林でハギマシコが採餌していた。撮影しながらゆっくり歩いていると、対向の登山者が近づき一斉に飛び上がったことで、100+羽をカウントできた。過去の英彦山の観察記憶では、せいぜい30羽程度だったが、100+羽の群れは初めての出逢いだった。北岳を少し下ると、またハギマシコ20±が現れ、本日は、樹氷とハギマシコに感動の一日だった。
もし、英彦山山頂を目指されるならば、アイゼンは必須です。ご安全に!
広塚忠夫 2015-01-08
モニタリングサイト1000陸生鳥類調査(環境省主催)の定点調査地である英彦山越冬調査を実施した。
5ケ所の調査地点を結ぶ登山コースは、積雪は浅いが、雪の下がアイスバーンでカチカチに凍っていてアイゼンなしでは登れない危険なコンディションだった。
目的の鳥類調査の出現状況は、寂しい限りであった。それでも、出発地点と最終ポイントにオオアカゲラが観察され、北岳ではキーキー・ギャーギャーと異常な鳴き声のハヤブサが樹氷を蹴散らして間近から飛び出していった。一本杉付近では、フィツフィツフイーと鳴きながら近づいて来るウソに、今日こそはとカメラを構えていたが残念賞だった。今年のウソは何故かサービスが大変悪いようだ。
満足させてくれたのは、ガス状のブナ林に創造された樹氷のエビのシッポであり、一時の青空バックの光輝く自然造形だった。
観察種(8種)
オオアカゲラ、ハヤブサ、ハシブトガラス、ヤマガラ、ヒガラ、ゴジュウカラ、ミソサザイ、ウソ
(注)当調査の羽数記録は、通常のカウント方法と違うので観察種だけ記載した。
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