野鳥と植物を求めて英彦山の四季を歩き尽くす、広塚忠夫の英彦山・縦横無尽。
自然観察の写真と短文に山歩きの醍醐味をしのばせ、英彦山の旬をお届けします。
12ページ:252(2016年12月)〜 233(2016年 5月)
広塚忠夫 2016-12-30
今年は英彦山への道が、通行止めになる程の積雪がないまま新年を迎えそうだ。今年最後のハギマシコとの出逢いを求めて登ったが、結果、思いを満たしてくれなかった。
豊前坊から直ぐの大杉の林からオオアカゲラ(大赤啄木鳥)の啼き声が届くが、ちらっと動きが観えただけだ。ミソサザイ(三十三歳)2羽が目の前で警戒音を発しながら岩場に隠れる。ともに幼鳥と識別した。本日は、ゴジュウカラの啼き声が元気よく響き、山頂まで一番のサービス鳥だった。
山頂には、年末にも拘らず晴天の英彦山に約30人の登山者があり、バイオトイレはソーラーに積雪が原因なのか、2機とも稼働していなかった。
帰路の北西尾根を三分の一位下ったイヌシデ(犬四手)林から、アオゲラの啼き声がするので谷間に向かうと、突然、大きな群れがボッーと羽音を発して地面から飛び立つ。アトリの70+の群れだ。残留の地面のアトリを撮影していると樹上にエナガの群れ現れ、それに連なってヤマガラ・コゲラ・シジュウカラの混群が餌取りしながら樹幹を移動して行った。バードライン分岐で一息いれていると、赤い屋根の保養所の方面からウソのフィフィの声が聴こえるので下って近ずくと、啼き止んでしまう。諦めて進むと、背後から聴こえるのでまた戻ると、ピタッと啼き止んでしまう。離れるとまた聴こえるので、探すがダメだった。スキー場では1匹の黒味の濃いシカが居た、小さな角も見えるので幼いシカ♂のようだ。
今年最後の英彦山も、愉しい一日でした。
広塚忠夫 2016-12-17
冬鳥のハギマシコやツグミ類との出逢いを求め英彦山へ。豊前坊は−1℃が掲示され積雪も浅く登山日和だ。それに天気も良く風も弱く冬鳥どころか人人の顔だらけだった。山頂で多くの顔見知りの登山者に会釈しながら昼食していると、宮本嬢、続いて有吉嬢に、帰路のバードラインでは山田嬢との出逢いとなり、本日はじょじょ日に甘んじて冬鳥との再会は先に延ばした。
ハギマシコ どこにいるやら じょじょびなり (日子川柳)
広塚忠夫 2016-12-06
鳥類生息調査を兼ねて三浦博嗣氏と歩いた。
気温は低いが、登山には別段問題ない気象条件だ。いや、むしろこの程度の気温が登山には適温だ。しかし、稜線上は風が吹き付け寒かった。
鳥は、最近貧相な記録が続く。今回こそハギマシコを期待したが、またまた振られた。
広塚忠夫 2016-11-26
出発時は気温2℃を示していた。それでも、風が当たらない登山道は登山日和で快適だった。一方、何か所か歩く稜線上は、強風が吹くつけ厳しい進行となり、鼻水ダラーのお構いない顔面だった。
本日は鳥類生息調査を兼ねての山行であった。県委託の調査とは言え工事中のミキサー車とダンプカーを移動して頂き大南林道を通れたこと、工事関係者の皆さまに心から御礼申し上げます。
そんなこともあり、早速、登山口ではルリビタキが樹幹の中の移動が観られ幸先良いスタートだ。しかし、結果は二週続けて貧相な出現記録に終った。一度だけ20+の小鳥の群れの飛翔が観られ、飛び込んだ樹木を時間をかけて探したが、やや距離があったこともあり確認できなかった。ところで、期待のハギマシコはいつ来てくれるのか。
先週までは、紅葉が愉しめたが、早くも葉っぱを落とした冬の装いの英彦山樹形だった。下山途中の溶岩の壁にツララとの初出逢いがあり、本格的な冬到来を予感させた。
シカ情報だが、豊前坊から鬼杉登山口に車移動時の道上や両側には、幼い鹿が10頭ほど観察された。
広塚忠夫 2016-11-17
昨日(16日)の宮本秀美さんのページ「英彦山、紅葉終盤」に触発されて、英彦山に向かった。結果は、無惨にも最低の記録となった。県鳥類生息調査を兼ねて、鬼杉からの籠水峠ルートを歩いたのでルートは違っていたが宮本秀美さん情報のツグミには出逢えなかった。
それに、歩き始めてから終着まで、英彦山低空を2機のヘリコプターが飛び交う騒音には参った。野鳥もその騒音に息を潜めていたのであろうか。南岳山頂での登山者情報で遭難者の捜索飛行という事が判り仕方ないかと諦めた。
シャクナゲ荘上の駐車場に帰着した時は、消防署や警察関係者の救急車などで満杯だった。こちらの市民・登山者の立場から「遭難者の性別?場所?など」を関係者のお二人さんにお尋ねしたが、横柄な態度で、無視された。気分を害して車に乗り、ラジオの情報から直ぐに遭難者は、男女夫婦(67歳)で自力で帰還しているところを救助されたとの報道があった。
上層部からの箝口令なのか、なにも隠す必要もないのにと思われたが。日頃は市民の情報提供を呼び掛ける官庁関係者であるのに、一市民の質問にはいちいち答える義務など、持ち合わせていないとの態度は如何なものか。山の遭難情報は、現場で無線交信などで救助隊全員で共有して市民に迅速に知らせ協力を求めるのが正道だ。情報隠しは、碌なことがないこと、お役人様は自覚して頂きたい。
本日の救いは、標高が下がるにつれ、まだまだ紅葉黄葉が喜ばせてくれた。私の恋人英彦山に感謝した。
広塚忠夫 2016-11-10
例年より10日以上遅れている英彦山の紅葉は、山頂から次第に麓の豊前坊に下ってきていた。豊前坊駐車場の紅葉は見事で、遠方からの紅葉狩りの人で賑わっていた。冬鳥のハギマシコとの出逢いを期待したが実らず、留鳥のゴジュウカラ・エナガが何度も楽しませてくれた。
広塚忠夫 2016-11-05
裏彦紅葉狩り登山の案内を頼まれて、8人の山仲間達と豊前坊に集合した。現着8時30分前だが、既に、駐車場は満タンだった。今年の紅葉の出来に心配したが、杞憂に終り皆さんの満足な笑顔が声を弾ませてくれた。
急登の黄葉コースの楓に止まる冬鳥のアトリ50+との出逢いもあり、その内の5羽が留まり、採餌ポーズ続けてくれたので全員で観察と撮影を愉しめた。
山頂は多くの登山者で賑わっていた。帰路、北岳に向かう途中で、天狗滝の悪戦苦闘ルートの話題になり、酔狂な山狂いの3人が、そのルートに行こうと意気投合して直ぐに下りだす。あとの5人は正規のルートを進んでいると、北岳を過ぎた地点で電話が入った。天狗滝の入り口が判らないと、それでは、出しゃばり私が急いで救援?に向かい合流する。早速、細い道なき道をトラバースして対面のスタート地点に到着。そこから浮石ばかりの急傾斜を、各人が安全な間隔を保ち、先行の下位の者は、石が落ちてくるのを当然と覚悟して、落石を避けつつ滑る急傾斜に足をとられ自らも浮石を落とす。その石が大石の場合はゴーゴーと轟音を発し一瞬の恐怖が一帯を包み込む。この恐怖を歓びとする山狂いと、真面な登山家ではこの急傾斜を過ごす気持ちは180度違ってくる。やっと、やや安定の沢に安着して、天狗滝を望むと、流れる水も見えなく、木々の葉っぱに邪魔されて枝越の涸れ滝を拝むしかなかった。しかし、怪我がなく生還できたことが一番の成果だった。
山狂い 恐怖な急谷 狂喜す(川柳)
広塚忠夫 2016-11-01
手袋が必用な気温、6℃の寒いスタートだった。山頂付近の稜線上は最低気温は3℃まで下り、北風が吹く抜ける所は厳冬期のような寒さだった。
高住神社の藤本加代子さんの情報によると、ササ湯の材料集めに登った時、一本杉付近(望雲の頭)で茶色系の野鳥300羽が一斉にゴーと飛び立ったとの情報と、あれは何と言う鳥ですか、との宿題を背負って近づくとジュツ・ジュツと啼きながら餌取りをしている凄い集団が、騒がしく移動を繰り返していた。手前の枯木ではオオアカゲラがドラミングの大きな音を発しながら餌取りのシルエットが見えたので、カメラを構えるが、移動してしまった。気を持ち直して本命の笹薮の道を低い体勢を保ちゆっくり近づくと、アトリの群れと識別出来た。濃いガスの中だが、エイヤーで150+とカウントした。
山頂で、貧相なバナナの昼食をしながら登山者とこの休憩所についての意見交換になった。現入口にシャッター設置で防寒しないと南側の戸締りだけでは寒さは凌げないとのご意見を承った。同感だ。
本日は予定コースを変更しアトリ再会を期待して、山頂からピストンでブナ林に戻った。稜線上は風も相変わらず厳しく、ウインドブレーカーを着こみ風を避け南側に陣取って、イスパック(リュック)に座り込んで観察を続けた。予想どおり、大群のアトリがスピード上げて、裏彦から北谷の広い谷間を飛翔を繰り返す。何か変で右往左往しながらの動きだ。原因は、ハヤブサのキーキーと啼く声のようだ。近くから聴こえるが、残念ながら姿は確認できなかった。午前中の一本杉付近の群れと重複の可能性は大きいが、この稜線の三つの大きい群れは300+とカウントした。
広塚忠夫 2016-10-24
自宅の窓から東空の朝焼けを眺めていると、誘われいるようで、用事をほったらかして英彦山へ向かう。車から降りるとひんやりとした寒さで山日和だ。豊前坊から一本杉まで、早田氏と花の情報交換や野鳥観察しながら一本杉までご一緒し別れた。
北岳のブナ(山毛欅、橅、椈、桕)は、残念ながら葉っぱがほとんど落葉していて黄葉は望むべきなしの状態だ。
山頂で食事をしていると、同じテーブルに笑顔が素敵な山ガールが同席したので、お願いして撮影した。ほんま、笑顔は最高だ!
帰路は裏彦を下った。本日もアトリ大の小鳥の群れ100+が谷間を飛翔したが、悔しいけど識別出来なかった。
広塚忠夫 2016-10-18
本日、豊前坊の看板女と私は、年間300回以上も英彦山を登られる渡辺氏との再会を喜んだ。と言うのは、渡辺氏は退院後初めてお会いした。そして早速、英彦山に登るとは流石山男の迫力を感じた。いつもは、私のスローペースは嫌がられるが、本日は彼の要望でご一緒して観察しながら登った。
シオジの森でオオアカゲラの餌取りが観察され撮影したが、ガスが濃ゆくていまいちの画像だ。一本杉では、ガスの森からハヤブサが現れそのままガスの中にすーと消えた。その他の観察種は、ゴジュウカラやヤマガラ、ヒガラの混群が観察された。北岳のブナ林で100+群れが曇り空を飛翔し、折り返してきたのでシャッターを切ったが、カメラモニターを見ても識別はできなかった。誰か、この画像で識別できる方が居られたら教えて頂きたい。
ブナの紅葉は始まっていたが、強風で落葉が多く余り良くない今年の紅葉のようだ。コミネカエデ(小峰楓)やシロモジ(白文字)の紅葉・黄葉は魅せてくれた。
広塚忠夫 2016-10-06
今年は台風が多く家に籠もりがちになっていたが、やっと台風が抜け晴れ予報になり英彦山に向かう。
本日は気になる花に逢いたくて経読林道を選択した。歩き始めは曇りで霧も濃く視界は良くないが、気温は少し寒い感じの16℃を示していた。
カケス・ヒヨドリ・トラツグミの啼き声が聴こえてきた。その声を圧すがごとき、シカ♂の濁ったどら声風のフィー・フィーフィーと三発ほど聞こえてきた。その後は思い出したように何度か聴こえたが、求愛の時期にしての迫力は今一つの様だった。
林道の斜面にはヤマシロギク(山白菊)の白い舌状花が、点々と道中連続して見られた。薄暗い壁には白いジンジソウ(人字草)の群落見られた。爽やかな風に小さく揺れる優雅な姿に引き込まれた。撮影したいが、霧も濃くて暗くシャッター速度もあがらず、帰りの楽しみに取って置いた。道を進み、標高があがるとコミネカエデ(小峰楓)とシラキ(白木)の紅葉が始まっていた。
昼食も済ませて、荒れた林道の帰路で、早々とこの台風に抗して帰還したシロハラの10+の啼き声と動きに出逢えて心が躍る。ゆっくり近づくと、騒がしくキョッ・キョッ・クワッ・クワッと啼き声を発して隣の林に移動した。また、その地点に慎重に進んだが、大半は隣の谷に飛び去った。幸運にも数羽が残っているようで、少し離れてイスパック(椅子付リュック)に腰かけてじっくり観察態勢をとった。枝越しで葉っぱも多くて撮影は難しいので、双眼鏡を覗くと、なんと、クロツグミ♂ではないか。背中の黒、白い腹に三角形の黒い班がはっきり確認できた。直ぐにカメラに持ち替え撮影を試みて数枚の画像を残した。モニターでは白い胸に暗褐色を帯びたクロツグミ♀が現れた。経読林道で冬鳥(シロハラ)と夏鳥(クロツグミ)の混群の初めての観察に興奮醒めやらぬだ。因みに、私の記録のシロハラの一番早い英彦山渡来記録は、2013-10-04(深倉狭)が残っている。
広塚忠夫 2016-09-01
もう早々と9月突入だ。豊前坊駐車場で登山準備をしていると小雨になるが、構わず出発する。気温16℃で涼しい。しかし、山頂で昼食をとっている間は動かないので寒くなりウンドブレカーを着て寒さを凌ぐほど気温が下りた。13℃だった。
野鳥はアオゲラ・オオアカゲラの啼き声やドラミングは聴こえるが撮影チャンスは回ってこなかった。一本杉から山頂のコースでヒタキ類の小さな群れを見つけたが暗くて識別が厳しかった。が、ブナ林の枯れ木に止まってくれてエゾビタキとはっきり確認できた。
帰路の北西尾根コースでヤマガラ・シジュウカラ・コゲラ・ソウシチョウなどの混群に出逢った。混群の中に、外来種のソウシチョウがたびたび観察されるようになった。
花は、あーやこーやと言いながら識別しあいながら進んだ。ヤマホトトギス(山杜鵑草)については、ミクロ部分の花柱模様や花柄の紫斑など学者ばりに意見を戦わせて居られたので、傍観者として聴き入っていた。
広塚忠夫 2016-08-21
極暑が続く下界を逃れて英彦山に向かう。ミンミンゼミの“ミーンミンミンミン”とエゾゼミの“ギーギーギー“の混声合唱の豊前坊に到着した。豊前坊の看板F嬢から”この間は全く雨が降らなくてここでも水不足で困っているのよ!“と言われた。隣の田川市は先週恵みの雨をもたらしてくれたが、英彦山にはその時も雨の神は恵みの雨の要望に応えて呉れなかったようだ。それに続く逆鉾岩の崩落の話しだ。
ご存知のように危なかしい姿の逆鉾岩の頭頂部が、とうとう大崩落していた。2005-03-20(H17年)福岡県西方沖地震マグニチュード7.0最大震度6弱の地震の時でも平然としていた。
その当日の第540回英彦山定例探鳥会(2005年3月20日:梶原剛二、要アカウント)の報告「… 逆鉾岩はよく壊れないな〜と話しながらの探鳥会でした。… 英彦山最大級の急斜面の岩場を登り、岩棚で休憩して、下界をながめて出発して崩落地帯に近づくころ地震が始まったのでした。個人的には地震とは気づかず、誰かが地震と言ってたそうだと思い、その揺れのすさまじさに驚きました。岩が落ちてくるのではと、その場に伏せ、岩にしがみ付きました。暫らくは脳も揺れていていた感じでした。眼下の山々を見ると杉の花粉がいっせいに舞い上がっていました。」
この報告の様に、地震の大揺れにも悠然と細い岩で繋がっていた部分が崩れてしまった。人的な被害はなかったが、英彦山の名勝の逆鉾岩が「逆鉾なし岩」になり果ててしまった。
北岳に向かう急登をゆっくり進むと、汗が滲んできた。下界ではじっとりとした汗は不快であるが、英彦山で流す汗は健康的な快汗に感じることの方が多い。
山頂付近では”ツクツクイース・ツクツクイース“とツクツクボウシが秋を漂わせていた。ブナの枯れ木には逆光であるがオオルリ♀幼鳥がポーズをとってくれた。
広塚忠夫
2016-07-31
蒸し蒸しの天候は、気温以上に暑く汗たらたらの山行だった。本日の第一の目的はオオキツネノカミソリ(大狐の剃刀)の生存調査である。
籠水峠下の大群落地を訪れて、隅から隅まで花茎や花芽を探しまくるが、一輪たりとも探せず、咲く兆候も全くない。昨年と一昨年と続いた葉っぱの食害に留まらず球根まで掘り返され食い荒らていたので、予想はしていた。案の定、一輪たりとも花を咲かす兆候が見られない絶滅の状態だった。
何物の仕業か。当初はシカの食害と言われていたが、根こそぎ土を掘って球根(鱗茎)を食する形態はイノシシであるので、イノシシ犯人説に傾いている。しかし、目撃情報など確証がないので、有力な情報を待っているところだ。
あのオレンジ色の素晴らしい群落地が観られないのは、寂しく悲しい気持だ。将来、復活はありえるのだろうか、山の神に聴いてみたい。
その他の観察情報は、のっけからマムシの危険な歓迎があり、鳥はスタートからソウシチョウの独壇場が続き、たまにヒヨドリの啼き声とクロツグミの楽し気な2回の歌声だけだった。
広塚忠夫 2016-07-19
カッコウの啼き声に迎えられ爽やかな気分で出発だ。だが、直ぐに蝉しぐれとソウシチョウの鳴き声に席巻された。それでもオオルリの啼き声は良く聴えた。北岳の稜線上ではホオジロが大木の天辺から盛んに囀っていた。帰路の北西尾根の枯れ木にゴジュウカラが餌取りのポーズをとってくれた。が、画像はピンが甘く作品にはならないが投稿した。
山頂の休憩所前の木道風の建造物は完成していた。筑豊山の会の皆さんに感謝。
望雲台ではイワタバコ(岩煙草)が咲き始め、溶岩の壁のタマガワホトトギス(玉川杜鵑草)は見頃を過ぎようとしていた。本日は、下界の暑さから逃れて快適な英彦山だった。
【注】植物採取禁止:英彦山は特別保護区が設定されており、すべての植物は、採取すると自然公園法により6ヶ月の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。(同法第83条)
広塚忠夫 2016-07-03
早朝4時20分頃に野峠に着くと中嶋睦夫氏が待っていた。“全然鳴きませんね”と挨拶の言葉を受け、直ぐに経読林道入口に移動して調査開始だ。暗くてヘッドライトを照らして歩き出す。
セミのジージーの合唱団は賑やかだが、夜の鳥の鳴き声はさっぱりだ。うっすらと明るくなってきた。すると、ヒヨドリの鳴き声の一声が届く。ヒヨドリが一番とはなー。6月まで常連のヨタカなどはどこに去ったのか。それともここに留まっているが鳴かないだけなのだろうか、全く判らない。
7月に入った超早朝の夜明け前の鳴き声調査の結果は、「なにも鳴かなかった。」7月の1回だけの調査で限界はあるが、鳴かなかった調査実績を記録しておこう。
落石で荒れた林道を進み、コンクリート道のガードレール設置の観察ポイントを過ぎた地点で、枝越に大型の猛禽が谷間を下降しているのが観えた。立っている道の地点は無風であるが、山の上や谷間はゴーゴーザーとざわめく風が樹木の枝を揺らし波打っている。この早朝の6時過ぎにこの谷間の低空を大型の猛禽が翼を広げて強い風に乗って悠然と下っていった。顔付と幅広の翼からクマタカと直感した。この時間帯の出逢いは初めてで驚いた。夜の鳥には振られたが、クマタカの特別賞だ!
初めて参加の中嶋睦夫氏は上機嫌で、展望の利く場所に戻ろうとしたときに、波多野邦彦氏がプロミナーを担いで登って来られた。“今日は出遅れました。猛禽の鳴き声がしましたが、クマタカでしたか?”彼は、自身で観察しないと、多分、記録しないだろうが、猛禽の鳴き声の情報に勝手乍ら、クマタカ記録の裏付けとした。彼は、上の方に進み観察継続しますと、ここで別れた。
今年の夜の鳴き声調査は、「7月3日なにも鳴かなかった。」の記録を最後に打ち止めと心した。また、来年だ。
広塚忠夫 2016-06-26
蒸し暑い登山口を出発して、登りにかかると汗が滲んできた。汗かきかき籠水峠に着くと、風が強くなり気温も13℃まで下がり、一転して初秋到来の様相になる。ここから続く稜線上も肌寒い歩きとなった。でも、登りのコンデションとしては、この気温は最適である。風が強く足を止める珍鳥の出逢いもなく、予定より早く山頂着だった。
直ぐ帰路につくと、久しぶりに筑豊山の会の加藤会長らと出会った。会長の話によると、山頂休憩所の前広場は、雨が降るとドロドロ・ベタベタの沼地状なり、その上を多くの登山者が踏みつけて凹凸ができて水溜りの拡大の恐れがあった。そこで、ここに木道風の通路を設置して登山者の安全と広場荒廃防止にも役たてるそうだ。
なお、山頂は特別保護区であり福岡県から設置許可と材料提供を受け創作にとりかかられた。
山を愛し登山者に気を遣う優しい岳人魂が窺える。英彦山に登るだけでも大変なのに、器具や材料などもろもろ担ぎ上げ、それから作業に掛かる体力、それに、貢献心に頭がさがる。来週には、ボランティア精神で創り上げた安全通路がみられるだろう。わたしは、鳥類調査継続で失礼したが、なんとなく後ろ髪が引かれた。
本日は梅雨時期の一時的な山日和となり登山者も多く、すれ違う皆さんと交わす「こんにちは」にも山の会の尊敬の念を込めた。
広塚忠夫 2016-06-12
オオコノハズクとの出逢いを求めて夜の英彦山に向かった。小雨が続く、仕方なく鷹ノ巣山二ノ岳の麓に駐車して車中から啼き声調査を行った。その後。薬師林道を徒歩にてピストンし野峠に移動した。
残念だが、全ポイントでオオコノハズクのそれらしい鳴き声は確認できなかった。また、出直しだ。なお、記録方法は、超早朝の時系列の鳴き声の記録も重要と思っていることから、通常の日本鳥類改訂第7版リスト順でなくて啼き声の確認順に記載した。
広塚忠夫 2016-06-07
広塚忠夫 2016-05-31
新緑の清々しい英彦山を野郎3人で探索した。オオルリ・センダイムシク・ツツドリ・ジュウイチの啼き声に耳を傾けながら長い登山道を進んだ。中間地点に近づくとオオアカゲラが、我々に向かって警戒音を激しく発する。2羽いるようで番だろうと思われた。新緑が生い茂り付近を移動するシルエットが見えただけだった。
少し登って、籠水峠で休憩しながら定点調査を行っていると、突然、暗い青色で黒の頬かむりのヒヨドリ大の鳥が横切った。嘴が赤ッポければブッポウソウだが、羽ばたきが観れず低空で瞬間に飛び去ったので識別ができなかった。何だろうと意見を交わすが、大きさや色などそれぞれ違って一致せず、種名不明のまぼろしの記録となった。
帰宅後、図鑑をめくりながらブッポウソウ幼鳥の可能性も捨てきれず悶々とした気分が続くが、瞬間の識別能力の不足だから仕方ないと容認した。それにしても羽ばたきが観られていれば識別可能だったかもしれないと、まだ泣き言をいっている。また、出直すしかない。
花はドウダンツツジ(満天星躑躅)・ヒコサンヒメシャラ(英彦山姫沙羅)・コツクバネウツギ(小衝羽根空木)が全盛だった。
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