野鳥と植物を求めて英彦山の四季を歩き尽くす、広塚忠夫の英彦山・縦横無尽。
自然観察の写真と短文に山歩きの醍醐味をしのばせ、英彦山の旬をお届けします。
13ページ:274(2017年10月) 〜 253(2017年 1月)
広塚忠夫 2017-10-08
連休で登山者と混雑を避けたいので、四王寺滝から一般コースを離れ沢沿いを登ったが、山頂の登山者は予想より少なく約30人超であった。
本日も冬鳥との出逢いを求めて訪れたが、冬鳥にあらずシマヘビ(縞蛇)と四回もの出会いがあった。シマヘビ(縞蛇)は逃げ足が速くで記録写真が撮れなかったが、四回目の出会いは舗装道でトグロを巻いている態勢であったので撮影できた。過去、何度か道でトグロを巻いている姿を観たことがあるが、車に踏み殺される危険が大きいと思われるが気持ちが良いのか、命知らずだ。
本日も渡り鳥の端境期で観察種は少なかったが、鳥の生息調査も兼ねているのでこの時期の観察も必要である。年間を通して観察を続けていくつもりだ。
広塚忠夫 2017-10-04
経読林道入口は気温16℃だった。少しひんやりとした観察日和であったが気分は全開して出発した。いつものことだが、今日の出逢いを想像しながら歩きだす。今日的な期待は冬鳥であるが、結果は残念ながら「0」だった。毎年10月初旬には冬鳥帰還があるのだが、少し先の楽しみに取って置こう。
それでも、カケス・アオゲラ・ゴジュウカラ・シジュウカラの啼き声が順々に聴こえてきて、愉しみながら歩を進めていると、人気のブロガー「九ちゃんの山歩絵日記」に出会う。“目的のトリカブトは今が一番で、上手く撮れました。しかし、アケボノソウ(曙草)がシカに喰われて2株しかないので、喰われない様に一株右側の高台に移植しました。”と、言われたが、確かアケボノソウ(曙草)はシカの忌避植物と認識していたので、これにも手を出してきたのかと心配になった。
林道のほぼ中間点のトリカブト観察地点に到着すると二株しかなく、以前より減っている。だが、林道を進んで行くと道端には従来と同様に少群落が観られ、峠(求菩提山・一ノ岳分岐)の斜面では雑草より頭を一つ抜けてアケボノソウ群落があちこちで確認できた。トリカブト観察地付近(中間点)のアケボノソウ減少の原因は、シカ・人的・天候・その他考えられるが、現在時点では確信的なことは判らない。今後、意識しながら観察の必要がある。
さて、今年の冬鳥の帰還はどうなるか楽しみである。また、英彦山に逢いに行こう。
広塚忠夫 2017-09-30
秋の風は気持ちが良い。しかし、動いている時は快適であるが、じーと止まって観察していると寒い。成程、気温が12℃を指していた。冬鳥の渡来を期待していたが、出逢いはなく冬鳥も夏鳥もいない寂しい端境期のそのものだった。留鳥も撮影サービスに一種も応えて呉れなかった。それに、夏場は英彦山を席巻する騒がしいソウシチョウさえ下界に移動を始めた様で残留組も僅かだった。
一本杉から少し下った溶岩の壁にダイモンジソウ(大文字草)の小さな群落の花が、白く輝いて楽しませてくれた。クマイザサ(九枚笹)の追跡調査について、この笹は40年〜50年に一度、花を咲かすと全域で枯れてしまうとの説を、確かめるために継続して記録をしている。英彦山は1978年に全域で枯れてから、今年で40年経過して花が咲いたので枯れて倒れてしまう筈だ。それでしっかり観察して40年〜50年周期の盛衰を記録しなければならない重要な節目の年である。
本日の状況は、花が咲いた大半のクマイザサは枯れかかっていた。が、一部は葉を付けて生きているものもあり、また、一部は種子を付けているのが観られ、これから繁殖を始めるのだろうか、興味津々である。
“1977年に花が咲き1978年に全域で枯れた。そのクマイザサは開花したが殆ど結実しなかった。その代わり枯れない稈が点々とありこれが元になって、早くも1982年頃にはクマイザサが回復した。”(「英彦山・犬ヶ岳山地の自然と植物」熊谷信孝 2010年)
現状は、この記述の状況とほぼ合っているので、記述通りに推移するのか調査継続がお楽しみだ。
広塚忠夫 2017-08-29
深倉峡へ、九州北部豪雨の被害から復旧工事の進捗を確認するために車を走らせた。
前回調査(7月17日、(267) 深倉峡ルートの豪雨被害は甚大)より大部整備が進み、添田町森林組合の看板がある地点まで車を走らせることが可能となっていた。帰宅後に添田町に全面開通計画について電話で尋ねたところ“民家被害を優先するため深倉林道の復旧予定は、現在、全く予定は判らない”現時地までの深倉林道の復旧作業は、添田町森林組合が木材搬出の必要から独自に行ったとお聞きしている。それでも、看板がある地点で車から降りて深倉園地まで歩くと、時間的には前回調査日より半分の約15分で到着した。
深倉園地から草木ヶ垰に向かい出発すると直ぐに、沢山の栗が落ちていたが誰からも拾ってもらえない様だ。道中の森林浴を独り占めしながらの贅沢な調査となり、時々吹き抜ける優しい風は秋の気配をしていて寂しさを誘う。
鳥調査は閑古鳥が鳴く程貧相な記録であったが、ヤマドリ♂との出逢いが二度あった。初回は突然岩場から道を横断して林に移動したので、そのピンポイントを探すが全く観えない。二度目はドドドとほろを打つ林の斜面に近づくと、気付かれ真横に低空飛行で逃げられた。逃げ込んだ一点を中心に付近を探すが、あの大きい目立つ鳥を観つけることが出来なかった。一体全体どこに隠れたのか不思議だ。
いつの間にか草木ヶ垰に現着して昼食をとりならが豪雨被害について考えていると、障子ケ岳も調査しなければと思い立った。早速、人工林の急登を抜けて上り下りの稜線上のルートを観察しながら進むと、難なく山頂にたどり着いた。このルートの豪雨被害は全くと言って良いほど観られなく安心した。しかし、登山ルートだけの調査であり両斜面の広い範囲の確認は体力が許さなかった。
植物はサイコクイワギボウシ(西国岩擬宝珠)やキハギ(木萩)の花々、それにウリカエデ(瓜楓)やサルナシ(猿梨)、マタタビ(木天蓼)、イイギリ(飯桐)などのたわわに実った果実の撮影をしながら楽しい一日を過ごさせて頂いた。
広塚忠夫 2017-08-12
お盆休みに帰ったら、英彦山登ろうね!と、6人の孫たちに呼び掛けていたところ、期待に反して付き合ってくれたのは一人だけだった。ほんま寂しいよ。折角だから初チャレンジで望雲台に登った。あの絶壁からガスが流れる隙間から下界を覗いていると怖いと呟いていた。また来ようね誘ったが、次回は何人かな。
今日の見ものはイワタバコ(岩煙草)である。こちらは期待通り高住神社から望雲台ルートの岩場には、沢山なイワタバコの花々が連続して楽しませてくれた。その他はサイコクイワギボウシ(西国岩擬宝珠)とシコクママコナ(四国飯子菜)が見頃を迎えて居た。
鳥は、年間で一番淋しい時期で予想通りの記録であった。いつものように飛びぬけて元気の良いソウシチョウが全山を席巻していた。
本日は蝶との出逢いが多く、ツマグロヒョウモンが頻繁に出現した。北西尾根の帰路では四匹が群れて何かの糞に群がり一心に採餌していて近くから撮影しても逃げなかったが、糞は好物なのだろうか。
(2017-08-14掲載)
広塚忠夫 2017-07-21
往路は、19日設置した4個のICレコーダーを回収しながら自然観察を行い、帰路は大南神社経由して玉屋神社ルートを下った。
鬼杉登山口から鬼杉に向かう道で、奇妙な尖った木の枝擬きが、羽ばたいて地面に降りた。良く観ると生き物で蛾のようだ。暗い所を飛んでいる時は地色が見えなく白い枝が飛んでいるように見えた。図鑑やサイトで調べると、ビロードナミシャク(シャクガ科ナミシャク亜科)に行き着いた。宮本虫博士にもお墨付きを頂いた。
今年はマムシとの出合いがまだないが、今日は全身漆黒のカラスヘビがクネクネと狭い道を横ぎり逃げるように隠れた。シマヘビの変色個体であり、見方にもよるが恐ろしく綺麗な蛇だ。英彦山の自然界は奥が深い。
豪雨の被害は、2ケ所の土砂崩れを確認した。
無人録音調査については24日現在の中間集計では、コノハズク・アオバズク・トラツグミの鳴き声解析の報告を頂いた。こんなに遅い7月下旬にもコノハズクの鳴き声記録が確認されるとは嬉しい驚きだ。
広塚忠夫 2017-07-19
九州北部豪雨被害調査と無人録音調査のICレコーダー設置を主な目的として本ルートを歩いた。
本日のメンバーに、バリバリの現役で休日に機会があれば英彦山調査にご同行の希望を言われていた宮本秀美氏とご一緒した。昆虫など小さい生き物に興味がおありだ。ICレコーダー設置時や小休憩の時にも、次々に珍しい?虫を観つけては○○・△△ですと、説明してくれる。いや、間違っていたら拙いので帰宅後に調べてメールしますとも言われた。聴力も頼り甲斐ありヤブサメが記録されたが、こちらは全く声なしだ。その上、遠くからアカショウビンが、と言われても我が耳は無反応と情けない。ほんま、良き助っ人で調査充実の一日だった。
それに、啼き声調査として時期的に遅いICレコーダー4台を設置したのは、まだまだコノハズク・オオコノハズクを期待してのことだ。
道中の岩々に観られるイワタバコ(岩煙草)は蕾ばかりだったが、2輪の開花を観つけ喜んだ。珍しいもので、クマヤナギ(熊柳)を観つけたが鳥に食べられたのか、実はぽつぽつ残っていただけだった。
広塚忠夫 2017-07-17
九州北部豪雨による彦山川流域の被害は、車窓から痛々しく飛び込んでくる。黄色いユニホームのボランティア支援活動が、彦山駅から深倉川沿いに走っていくと被害の民家の後片付けやボランティアの復旧作業が目立ち、被害者支援の貢献に敬意を表しました。
深倉園地へ向かい、最後の民家を過ぎて八十泣岩の看板の所に来ると、土砂と流木で交通が遮断されていた。大分ナンバーの車の先に、ショベルカーが稼働して復旧が急がれていた。その工事の横を通して頂き、荒れた道を苦労して進み約20分超で深倉園地に到着した。ここは全く平常だった。しかし、すぐ傍の姥ケ懐の二つの橋の上流側の橋は、流木で手摺が半分壊れていた。
深倉峡の探鳥会ルートに戻り、草木ヶ垰まで被害調査と自然探索を行うため歩いた。結果は、2ケ所で土砂や岩、流木、倒木で被害が見られたが、深倉園地に到る被害と比べると園地から草木ヶ垰までのルートは、思ったほど被害は少なかった。
その一ケ所の岩と流木被害現場をふらふらしながら越えていると、カワガラスが流木の上でシッポを上げ下げしながらダンスを披露し歓迎してくれたので、写真と動画の撮影をさせて頂いた。これ、歓迎でなく、生息に邪魔で早く去りなさいとの抗議のダンスとも思われたが、いかに。
帰路で、八十泣岩の被害現場にかかると、早々と片付けが終わって通行可能となっていた。暑い中の作業に感謝いたしました。
ヒグラシの鳴き声 (2017-07-17 24秒:mp3)
広塚忠夫 2017-07-15
7月5日からの九州北部の記録的豪雨の被害と鳥や花の生息調査を兼ねて英彦山を歩いた。豪雨被害は、本日のルート上は幸いにして特段の被害ヶ所はなく安堵した。
他サイトの花情報のバイカツツジ(梅花躑躅)を期待したが、既に実の形成過程に入っていて可憐な花との出逢いはなかったが、ウチョウラン(羽蝶蘭)はなんとか、弱々しい姿ではあったが、私を待っていてくれた。その姿は岩壁から今にも飛び出しそうなで怪しげな紫色の花に観えたが、どうでしょうか。溶岩の壁のオオヤマレンゲ(大山蓮華)は、変色しつつも一輪が最後の輝きを放していた。タマガワホトトギス(玉川杜鵑草)は、まだ蕾が主役で、花は今からが見頃を迎えるようだ。興味あるクマイザサ(九枚笹)の開花後の追跡調査の現在時は、枯れかかっているようだが、全体が枯れるのか否かは、調査継続の結果で証明したい。樹木の花はほぼ終わっていたが、若い果実が沢山あって観察し甲斐があった。
鳥相は、癒しのカッコウの歌声に迎えられ、オオルリの番がフライングキャッチの餌取りが観られたが、何故か啼き声は発しなかった。すぐ傍で♀が餌を咥えて周りを窺っていたので、営巣しているようだ。全体を通して、相変わらずソウシチョウの鳴き声と姿が英彦山を席巻していた。
天候は、夏本番に突入していたが、稜線上で風が通り抜けると、気持ち良い涼しさをもたらしてくれた。しかし、上り下りの歩きは、じっくりと下着に汗が滲んで疲れが増した。早く下山してビールが待っていると言い聞かせて頑張った。
広塚忠夫 2017-06-24
早朝から「たがわ21世紀女性会議」のサツマイモ植え付け作業に加わり、いや、命じられて約束していたので、その作業の後に英彦山に向かったことから出発が遅れた。昨日に続き英彦山へ。連チャンの理由は、予想はしていたが、雨の続く天気予報のため無人録音調査ICレコーダーを、早めに回収の必要に迫られた為だ。
野営場の出発地にシカ10+頭がバンガロウの付近や床下で群れていた。近くの樹木にカケスがジャージャーと鳴いているのを見つけ、撮影を試みたが用心深いカケスに逃げられた。それより先に、ここ常連のカッコウが楽しい歌声をずーと聴かせてくれていた。キビタキ・オオルリ・ウグイス・ゴジュウカラの鳴き声の道中を北西谷入口に進んだ。
ここでICレコーダー回収を行っていると、2人の登山者が通りかかりに質問があり応えていると、若い女性が、野鳥の会の方ですか、“英彦山は恋人だ!サイト「英彦山の四季」”を楽しく拝見していますとの言葉が飛んできて嬉しくなり、本日も連続でサイト投稿せねばと気分を良くした。
北西尾根の林を抜けて、ススキ平原に入ると、やや強い風が吹く付けてきてとても気持ちが良くなった。風は強いが、ガスが濃ゆくて視界は5m程度で風景はガスに覆われた幻想の世界だ。山頂からブナ林の稜線上に降りると、本格的な雨に見舞われ、北岳に着く頃には強風と雨で調査は困難を極めたが、なんとか継続した。この雨の英彦山山頂ルートで出会った登山者は2人だけで、どちらもオオヤマレンゲ(大山蓮華)の撮影・観賞のため来山したと言われた。
強風と雨の悪い状況での野鳥生息調査とICレコーダー回収作業の敢行に、ご褒美のお宝記録が残されていることを期待して家路を急いだ。
広塚忠夫 2017-06-23
野鳥生息調査と無人録音調査のICレコーダー設置のため、急遽天候と相談して出かけた。気温20℃前後と風が涼しく登山調査日和だった。天気も良く登山者との出逢いは約20人はいた。
ここはいつもスタートからカッコウの歓迎演奏が流れてきて嬉しくなる。ただ、この6月下旬になると夏鳥の囀りは俄然少なくなり、繁殖を終えた鳥たちは恋もテリトリー宣言も必要がなくなるのであろうか。いつも喧しいく鳴くソウシチョウ達も、小さな体で力一杯アピールするミソサザイ君もすっかり姿も鳴き声も寂しい季節に入ったようである。
人気があり芳香を放つ真っ白な花、オオヤマレンゲ(大山蓮華)を観るために登って来られる登山者も多いが終盤を迎えていた。でも、蕾も残り美しく花開いて魅せてくれる天女花も少しは残っていた。
豊前坊高住神社では、看板娘と情報交換や馬鹿話で元気を頂き、英彦山を後にした。
広塚忠夫 2017-06-02
5月30日にICレコーダー(Panasonic PR-XS455)3個をセットしていた。その夜の鳴き声調査(無人録音)の回収を兼ねて英彦山を探索した。
天気予報と違いスタート時14℃は、夏服では少し寒い体感であったが、動き出すと登山に最適の気温となる。バードラインから北西谷コースの岩場を登りながら進み、突き当りから北西尾根コースに入る。このコースは平坦な道が多く歩きやすいイヌシデ(犬四手)の林に入る。
ケ・ケ・ケとアオゲラの鳴き声の方角を探すと、あちこちにボロボロに穴が空いている枯木の大木にアオゲラを発見した。上手い具合に新緑の生い茂る葉っぱの一穴から、ブラインド風にカメラを構える位置取りが出来て、連続してアオゲラの採餌行動が撮影できた。動画に切替ようとしたが狭い一穴のアングルから外れてしまい断念した。
山頂に近づくとカワラヒワの群れに出逢った。北岳に向かう稜線上のブナ林でも、また、カワラヒワの群れに出逢う。これは山の環境の変化に、適応した鳥が生息するようになったと考えられる。クマイザサが背丈の高さで生い茂っていた時は、確かカワラヒワは観られずコマドリが高い確率で観察されていたが、現在、クマイザサが残っている稜線上では背丈低く、10cm前後が殆どでクマイザサに替わってオクノカンスゲ(奥の寒菅)やヒメワラビが繁茂している。
北岳を過ぎて、二人の年老いた男性に会う。片手のビニール袋にコケを入れているのが現認されたので、ここ特別保護区(盗採は6ケ月懲役と50万の罰金)は一木一草一石持ち帰り厳禁を説明して、元の現状に戻してもらった。ここ一週間内に2件の盗採を確認した。英彦山の荒廃はシカの食害だけでなく人間の盗採被害も相当影響している様だ。ほんま、困ったものだ。
広塚忠夫 2017-05-30.
九州沖縄ブロック大会in英彦山(5月20日~21日)が終わり、ほっとしているところであるが、まだ、後処理が続く日々を過ごしている。でも、間隙を縫って三浦夫妻をお誘いして英彦山に向かう。この間も英彦山周辺の経読林道・薬師林には夕暮れ時と早朝の鳥の鳴き声調査のICレコーダーセットのため来山していたが、山頂まで歩いたのは、ひと月振りだった。
登り口からカッコウ・カッコウとの啼き声で迎えられウキウキ気分になり、ほぼ同じ様な姿で、啼き声は全く違うジュウイチとツツドリの声にルンルン気分となり“丘を越えて行こうよ”の歌声リズム歩行になる。
山頂から岩場を下っていると、キーキーとハヤブサの鋭い威嚇の声が聴こえるが姿は見えず。北岳への登りにかかり、博嗣さんが小さい声で呼ばれるのでカメラの方角を見ると、ハヤブサがブナ枯木の天辺に、最高のアングルでお撮り下さいとの姿勢で止まり、三人とも最高の記録写真を残せて気分が高揚した。アカショウビンの声はやや遠くから、オオルリのオールールージジは頻繁に楽しませてくれて、キビタキとクロツグミの啼き声はときおり聴こえた。
お宝の絶滅危惧種のランにも出逢えた。シロドウダンやベニドウダン(紅満天星)も盛りを迎える準備をしていたが、オオヤマレンゲ(大山蓮華)は、まだ小さい蕾に閉じこもっていた。目立つ白い花々では、ウラジロノキ(裏白の木)・カマツカ(鎌柄)・ゴマギ(胡麻木)・オトコヨウゾメが、地上ではツクシタニギキョウ(筑紫谷桔梗)が賑やかに輝いていた。
いつも、英彦山は自然の宝庫で訪れる多くの登山者を楽しませ癒してくれてる。この貴重な財産は、子々孫々に引き継がねばならぬ我々世代の責任である。ところが、本日終着の豊前坊で情けない実態を直視した。美代子さんからお聞きすると、21日に来たときは「チゴユリ(稚児百合)とコケイラン(小尢磨j」が観られたそうだ。その咲いていた地点が、無惨にも土ごと掘られて盗採に遭っていた。
英彦山は、一木一草一石であれ持ち去ることが禁止されている特別保護区に指定されている。盗採は犯罪であり持ち去った者に、現状復帰をお願いする。
【注】植物採取禁止:英彦山は特別保護区が設定されており、すべての植物は、採取すると自然公園法により6ヶ月の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。(同法第83条)
広塚忠夫 2017-05-04
5月1日に設置した夜の鳴き声調査のICレコーダーを回収する都合に合わせて経読林道を散策した。
経読林道入口のスタートからオオルリ・キビタキの囀りやアオバトのおもろい鳴き声の歓迎を受けウキウキ気分で心が弾んだ。散策しながら登っていると、早朝7時頃から観察されていた野村芳宏氏と出会い、ご一緒してICレコーダーを回収し別れた。その後には、今年初認のジュウイチやツツドリ、クロツグミの鳴き声を始め囀りのシャワーを浴びながらの贅沢な歩き満喫した。
花は気になるスミレであるが、ナガバタチツボスミレ(長葉立坪菫)が去ってタチツボスミレ(立坪菫)が見頃を迎え、標高があがるにつれてシハイスミレ(紫背菫)が観察された。なお、標高が低い場所のシハイスミレは、花は終わっていて、葉っぱだけの姿が点々と観られ、これらのスミレの花期の変遷に初めて気が付いた。
観察した野鳥 @5030-1797
キジバト2・アオバト3・ジュウイチ2・ツツドリ2・アカショウビン1・オオアカゲラ1・アオゲラ4・亜種:リュウキュウサンショウクイ2・カケス4・ハシブトガラス3・ヒガラ10・シジュウカラ5・ヒヨドリ4・ウグイス1・エナガ2・センダイムシクイ1・ゴジュウカラ3・ミソサザイ12・クロツグミ2・キビタキ4・オオルリ3・カワラヒワ2・ソウシチョウ9
広塚忠夫 2017-04-04
快晴の中、生温い風が時折顔を撫でる春本番が到来したかのようだ。その証拠にゲンカイツツジ(玄海躑躅)が開花宣言をしていた。
四王寺滝を越えて、山頂の近くのシキミ(樒)の木陰にウソを発見した。腰を屈めて良く観える態勢に移ったら、即、ウソ三羽が谷間に向かい飛び立った。仕方なく、正規ルートを変更してその方向に進んだ。すると、低木にツルが巻き付いたところからミヤマホオジロ10+が、次々に山頂方向に移動して行った。この山の暖かさにも、まだ、冬鳥が残っていたのだ。12時を過ぎていたので、食事をしながら待機したが、収穫なしのつれない対応だった。
山頂到達でバイオトイレ点検に掛かろうとするが、既に筑豊山の会の加藤会長が点検を済まされていた。
帰路は、産霊神社を経由して名無しの滝(仮称)を下るコースをとった。地図上では産霊の滝と四王寺滝の中間点の位置に構える大岩壁の滝(仮称)である。源流から流れる川沿って進むと、滝が現れる。しかし、滑りそうで怖くて近づけない。右折して岩場の階段状を登りブッシュを抜けると、大岩壁の側面にでた。戻るか下るか決断を迫られるが、笹や石楠花、低木を掴みながら三点確保で下ることにした。現実は想像以上で2ヶ所で悲鳴をあげ苦闘のあげく、なんとか滝の下まで無事に到達した。振り返り見上げると、反対側のより安全なルートが観え、わざわざ危険な方を選択していたようだ。ほんま、性懲りもなく無謀な行動だったと後悔しきり。お歳を考えましょうね。
広塚忠夫 2017-03-26
陽が当たる道中は暖かくて気持ちの良い観察路であるが、日影はまだ寒い深倉峡だった。
野鳥の渡りの端境期であろうか、冬鳥はルリビタキ2羽との出逢いだけだった。このルリビタキはサービス満点で、撮影をじっくり愉しましてくれた。道端には、タチツボスミレ(立坪菫)の大群落が春を告げていた。今から花達が美しく咲き誇るワクワク季節が、直ぐそこまで来ている様で楽しみだ。
夏鳥もそろそろご帰還してくれる季節も、すぐそこだ。
観察した野鳥 @5030-1742
キジバト2・コゲラ1・カケス3・ハシブトガラス9・ヤマガラ4・ヒガラ1・シジュウカラ5・ヒヨドリ10・エナガ2・ゴジュウカラ2・ミソサザイ4・ルリビタキ2・キセキレイ1・ホオジロ1
広塚忠夫 2017-03-16
想像していたより英彦山は、気温が低く北側斜面は雪が残っていた。樹氷も部分的に観られたが、太陽に照らされて次々と落下してきて、ほんま、頭上にも命中した。
ミソサザイが下界から殆どがご帰還していて、盛んに啼いてテリトリー宣言をしていた。ゴジュウカラも競争しているような啼き声を、谷間に谺させて愉しませてくれた。
北岳近くでは、ブナ大木にハヤブサが腰を据えて左右にゆっくりと首を動かして獲物を探している姿を発見した。瞬間、胸の鼓動がドキドキとなりアドレナリンどくどくとシャッターを押した。
北西尾根で食事中に、表参道との境の谷間をハギマシコ30±の群れが、山頂方向へ飛んでいった。まだ、英彦山に残留して群れで採餌や移動を繰り返しているようだ。2月末の生息調査の時は100+の群れが籠水峠で観察された。残りの群れはどこにいるのだろうか。
期待していた花のイワネコノメソウやスミレ類は、まだ早くもう少し先の様だった。
本日も、至福の世界の英彦山に感謝した。
広塚忠夫 2017-02-28
籠水峠に到着。休憩を兼ねて定点調査を開始しましょうかとイスパックに腰を下ろす。
静寂の谷間を眺めながら、ミヨチャンから頂いた蜜柑皮を剥こうとした時だ、「でたぁー!」と大声を発して指さしてしまった。籠水峠の大岩壁の裏側から大群の小鳥が、太陽の光に照らされて下面が白くキラキラ輝く、まるで、海辺を群飛するハマシギの様だ。なんだろう?また、急に現れ谷間を飛翔する。今度は、こちらに来る大サービスの一瞬だが、上手く撮れない。一眼レフでないので、と、カメラの所為にした。
群れが岩壁の藪に飛び込み、一群は氷柱の下がっている壁や穴でも餌取りを始めた。その直ぐ上の藪の中でも餌探しであろう動きがよく観察される。本日は快晴で強烈に明るく、撮影のベストコンディションだが、ここからは残念ながら距離がありズーム最高にしてワクワクドキドキでシャッターを押し続けた。(続く)
広塚忠夫 2017-02-12
今日こそはと、こだわる英彦山でのハギマシコとの出逢いを期待したが、残念賞で終わる。
歓迎は、白銀の世界の英彦山だ。次々に現れる太陽に輝く雪の芸術品の自然陳列。これでもかと大きく成長した眩しい樹氷とエビノシッポに見惚れ吸い込まれて“わー凄い凄い”が谺する。
今年一番の積雪に快晴の好条件が重なり大勢の登山者が押し寄せていた。積雪は膝上までの高さであるが、先行組が踏み固めてくれているので随分歩きやすい。ただ、一ヶ所、一本杉から直ぐの岩場だけ吹き溜まりの腰の高さの雪を、手で掻き分けラッセルで登りきったここだけは手こずった。
一方、野鳥達はこの大雪は厳しいのか、山頂付近では啼き声すら聴かれない、極寂しい鳥相だった。
追伸、
毎年、英彦山300回超の登頂達成の渡辺氏が、昨年末に天寿を全うされたそうです。
ご冥福を祈ります。
広塚忠夫 2017-02-02
肩や肘の痛みも徐々に和らぎ、自宅のリビングから望む英彦山の手招きに誘われて向かう。
国道の雪はすっかり消えて平常の道に戻っていた。だが、登山ルートの日影の道は、さすがに凍っていて危険だ。しかし、アイゼンを装着するまでもなく、いわゆる中途半端な状況である。北岳までは鳥も少なく静かで、気象条件は、北西の冷たい風がやや強いが、快晴の天気で気持ちも爽快だ。
山頂への最後の登りで、孤独なツグミがタンナサワフタギ(耽羅沢蓋木)の実を夢中に啄んでいたので、じっくりと撮影をさせて頂いた。帰りの北西尾根経由のコースでアトリとエナガの小さい群れが観察されたが、ウソはどこかに去っていた。
広塚忠夫 2017-01-21
英彦山に向けて走る雪道はアイスバーンであった。案の定、赤い車が溝に突っ込み救助を待っていた。
正月明けから左の肩甲骨・肘・手首が痛く、動かすとビリビリと電気が走り痛みが続いている。接骨院や病院それに温泉治療などでも良くならないので、気休めに英彦山に向かった。
野営場出発からビリビリで注意散漫で進む。すぐにウソの声と動きが観察されたが、またしても嘯かれた。近くに飛来したので撮影するとルリビタキだった。痛みに耐えて北西尾根に入ると小鳥の混群が迎えてくれた。その中にコガラ3+群れが採餌中で記録できた。コガラの小群は初めての観察だった。
それなりに満足しながら山頂へ。天気も良く風も極弱く絶好の山日和で約30人の登山客のようだ。ここから北岳のブナ林に向かい下り、ビリビリ痛い手で握り飯を食べていると、ブナの大木の雪影に群れが。カメラズームで照準を合わせようとしたが、南岳の方向に飛び立ち30+だったが識別できなかった。多分、ハギマシコと思われるが、期待が強いのでその様に見てしまうのであろうか。痛みでポカーンと集中力がないのでどうしようもない。待っていれば戻ってくるかもしれないが、とにかく、キリキリと虐められるので下る事にした。
本日は、樹氷の風景とコガラの撮影の間は痛みを忘れ、それ以外はずーと苦しい道中であった。帰りに、ひこさんホテル和温泉で体を温めご褒美をあげた。でも、その爽快感は、すぐに痛みがぶり返し消えてしまった。いつまで続くのやら。静養が重要なのに、本日は愚かな登山で酷くなった。
広塚忠夫 2017-01-07
14人家族で正月を迎えた。その正月の疲れを、英彦山の探索で疲労回復を願って歩いた。
野営場からシカの塒に向かうが、時間的に遅く餌取に出た後で1頭しか残っていなかった。
傾斜のある落葉の林にホオジロ類らしい小鳥が枝被りで、遠くにいたが判らない。反対側の谷間の赤松にアオゲラ2羽が、ドラミングしながら採餌中だった。
北西谷コースの岩場からブナ林に入ると、ウソの啼き声がするので樹幹や樹上を探すが見つからない。ウソは見つけやすいのだが、どうしてか、本日もウソに翻弄された。
山頂では、筑豊山の会会長の加藤氏と添田町観光ガイドボランティアガイドの早田さんと新年の挨拶を交わし、休憩所の前で記念写真を撮らせて頂いた。それから両氏はバイオトイレの点検とソーラー発電機の修理に掛かられていた。感謝感謝。
帰路も北西谷から紅葉谷経由で野営場に帰還したが、ウソやツグミはどこかに去っていた。
英彦山探索は爽快感一杯で平常の体調を取り戻した。英彦山に感謝。
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