自宅に猫を飼っていましたので、主人の仕事場で世話をしました。なので、世話はもっぱら主人の役目で、毎日起こさないと目覚めなかった人が、鳥の鳴き声とともに自分で起きだし、畑に割りばしを持って出て、フレッシュな青虫を調達し、不足分を練り餌とワームで補う、それを２時間ごと、夜明けから日没まで、という毎日でした。主人の足音がするとピーピーと鳴いて餌をねだるようになり、青虫もだんだん大きいのが食べられるようになり、日ごとに産毛が抜けシジュウカラらしい羽根に代わってきました。飛び立つふぜいが見えだしたので大丈夫と判断し、巣立ちさせることにしました。保護してちょうど１週間目でした。

段ボール箱を外に持って出て、かけていた布を外すとパッと飛び立ち近くの木の枝にとまりました。しばらく左右を見ていましたが気づくといなくなっていました。あっけないものでしたがこんなものだろうと思います。

私が小学生の頃、産毛もまだ生えていないような雛をひろっては悲しい思いをしてきましたので、巣立ち前の小鳥を育てるのは無理だと承知していました。今回は雛が少し大きかったのと、いろんな方がいろいろ情報を下さったのが良い結果につながったと思います。ただ、やっぱり基本は、「近くに親鳥がいるはずなのでむやみに雛は保護しない」ですよね。

今日もカワラヒワやシジュウカラの鳴き声が聞こえます。あの子もあの中にいるのかしらと思うとちょっと嬉しいです。ちなみに主人ですが、今は起こさないと起きません。

（飯塚市）

実は、この探鳥会が開かれる前に柴田氏と下見を行った。その時、中庭の奥の森からキビタキのさえずり声が盛んにしていた。夏鳥を代表するキビタキを子どもたちに見せて上げたいと思った。黒い体に鮮やかな黄色がある美しいキビタキを見せてあげれば、いっぺんで野鳥が好きになってくれるのではないだろうか。

それで、当日野鳥の会の担当者の自己紹介を終えた後、ＩＣレコーダーに録音したキビタキの声を子どもたちに聞かせた。そして、本年度の野鳥の会のカレンダーの５月は、キビタキの写真が載っているので、それを見せた。

私自身、この時期がくるのをわくわくした気持ちで待っている。それは、夏鳥のキビタキ・オオルリ・サンコウチョウ・アカショウビン等との出会いが楽しみだからである。野鳥の会に入って２０年近くになるが、その気持ちは今も変わらない。そんなわくわくした気持ちを子どもたちに伝えたくて、挨拶の中で話してみた。

探鳥会では、キビタキのさえずりは聞くことができたが、残念ながら姿を見ることはできなかった。それで、キビタキを見つけるコツを子どもたちに話した。後で、見たという報告を期待したいものである。

探鳥会が終わり、校長室でしばらく鳥談義をし、帰ることになった。帰りがけに玄関のところで、今日一緒に回った先生から、５年生の子どもが記録したメモを見せられた。「先生（野村）の話を聞いて子どもが書いたメモです。見てやって下さい。」と言われた。私は、メモを取るようには言ってなかったので、その子が自主的に書いたメモである。担当の先生は、その子が一生懸命に話を聞いてメモを取った熱心さに感激されたようであった。そのメモには、“シジュウカラはピツピツ　のどからおなかにかけて黒くなっている。”“カワセミは魚を食べる。彼女にも上げる。プロポーズ”などと書かれていた。私の話したことをつぶさにメモをしていたので嬉しくおもった。子どもの探鳥会では、鳥を識別することだけではなく、どんなところにいるのか、どんなものを食べているのか、どんな行動をするのか等、野鳥観察の面白さを伝えるようにしている。

子どもの前で話をするのは、身の引き締まる思いがする。それは、私の話を全身で受け止め、自分のものにしようと一生懸命に聞いているからである。そして、一言ひとことが子どもに大きな影響を与えるからである。だから野鳥に対する見識をもっと深め、子どもたちに楽しい話ができるようにしたいと思っている。