野鳥撮影を趣味とする方が増え、たくさんの野鳥写真が雑誌に掲載されたり、写真のコンテストで賞をとったりすることで、世間の方々の目に触れる機会も増えたように感じます。野鳥の美しさなどに感動し、興味を持つ野鳥のファン層が広がってきています。
野鳥は古くから、日本画に描かれたり、短歌や俳句に詠まれたりと、日本文化に根づいています。日本人が野鳥を愛でる気持ちは今も変わらず、現代では写真がその連綿たる文化に加わる過程にあるのではないでしょうか。
しかし、撮影上の問題行為が目立つようになると、素晴らしい文化としての認識が得にくくなります。皆さまに撮影マナーを守っていただくことで、野鳥写真を文化として高めていくことができれば ―キヤノンはそんな思いを込め、マナーの普及に努めています。
野鳥は動きが俊敏で、体も小さく、撮影するには高い技術や高価な機材が必要でした。しかし近年、カメラやレンズの性能が向上したことで、野鳥撮影を趣味とする方が増えています。その一方で、私有地に立ち入ったり、公道を占有することで住民の方々の迷惑になったり、一定の距離をとらずに野鳥の生態圏に踏み込んだりといった撮影者のマナーの悪さも問題になっています。ここでは、野鳥撮影をする上で守ってほしいマナーを7つ紹介します。
野鳥の巣には近づかない
春から夏にかけては、鳥たちの繁殖時期です。子育ての季節、親鳥は特に神経質になるものが多く、周囲の危険を感じたり、巣の周りの様子が変化したりすると、巣を見捨ててしまうことがあります。親鳥が首を伸ばしてこちらを見ていたり、羽毛を逆立てたり、鳴き声を出しているときは、警戒しているサインです。野鳥の巣には、決して近づかないようにしましょう。野鳥を追い回さない
日本国内への渡来が少ない、珍しい種類の野鳥たちは、主な生息地や渡りのルートから外れて渡来した場合が多く、体が弱ってしまっているケースがあります。その鳥が十分に休んで採食ができるように、接近しすぎたり、わざと飛ばすような撮影は避けましょう。珍鳥や人気の鳥の情報を公開しない
珍鳥や人気の鳥が現れたという情報が出ると、インターネットなどであっという間に拡散し、翌日には数百人が集まって地元の方々に迷惑をかける事態が増えています。出現場所の私有地への無断立ち入りや、道路で歩行者や車の通行を妨げたりしてしまうと、地元の人や利用者にストレスを与え、トラブルに発展する可能性があります。「知り合いに特別に教えてあげるだけ」と思っても、輪になって広がっていくものです。情報公開は控えましょう。周囲の人や撮影場所選びには十分な配慮をする
撮影者同士の場所の取り合いや、私有地への無断立ち入りといったトラブルが増えており、時には警察が出動する騒ぎにまで発展することもあります。立ち入り禁止場所への侵入はもちろん、撮影場所確保のために歩行者が通る通路に三脚をセッティングしたり、長時間占有することも避けてください。譲り合いの気持ちを持って、撮影を楽しみましょう。また、住宅地にカメラを向けて撮影することも、あらぬ誤解の元となるので、注意してください。餌付けや、環境改変は行わない
野鳥は飼い鳥と違って、人の手を借りずに自然の中で生きていくべき鳥です。人間が撮影を目的として餌付けを行ってしまうと、本来は日本を離れるべき渡りの時期を逃してしまう可能性もあります。そうすると、野鳥本来の生活を変えてしまい、ひずみが生じます(秋に渡らず、冬の寒さに耐え切れず死んでしまうなど)。また、近年多く行われるのが、鳥が目立つように木や枝を伐採するという、環境改変の問題です。自然環境や野生動物の生活環境を変える行為は慎みましょう。自然にやさしいマナーを心がけよう
撮影に関するマナーはもちろん、山や川といった自然環境において、ゴミや吸い殻をポイ捨てしないというのは、最低限のマナーです。特に森での喫煙は、森林火災を引き起こす可能性もあります。絶対にやめましょう。鳥や自然を相手に、フィールドでの迷惑行為をしないということはもちろんですが、周囲の人や近隣の方から理解を得られるよう、撮影者同士で声を掛け合うなど、マナー向上に努めましょう。ストロボは使用しない
ストロボなどの人工照明は、野鳥たちにとって非常に強烈なものです。夜間の野鳥撮影では、ストロボの使用は絶対に避けてください。警戒心の強い野鳥たちを驚かせ、思わぬ事故につながる恐れがあります。暗い場所では、ISO感度を上げて撮影しましょう。提供:(c)キヤノンマーケティングジャパン株式会社、(c)公益財団法人 日本野鳥の会
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日本野鳥の会筑豊支部(本会)は、「野鳥撮影のマナー7か条」に賛同し、原則としてこれらのマナーに反した写真やその他の記録は掲載いたしません。
(2015-05-16)
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