クマタカ
くまたか (日本野鳥の会筑豊支部)
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modify:2017-11-21

野鳥撮影における
デジタル一眼レフの使い方(№10)

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野村芳宏

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3.カメラの初期基本設定

(4)露出モードの設定

Highslide JSオオソリハシシギ (クリックで拡大/縮小)

露出モードには、プログラムオート・シャッター優先オート・絞り優先オート・マニュアルの4種類がある。その中のどれを選択すれば良いだろうか。

4種類のモードについて説明をする。

まず一番目のプログラムオートとは、カメラが自動的に絞り値とシャッタースピードを決定する設定のことである。露出は明るさのことで、ISO感度が一定の場合、絞りとシャッタースピードによって決定される。

絞りとシャッタースピードの関係は、水道の蛇口に例えられることが多い。水道の蛇口を開けバケツ一杯に水を入れることを考えてみよう。

蛇口を大きく開けると、水がバケツ一杯になる時間は短くなる。蛇口を絞ると、バケツ一杯になる時間は当然長くなる。蛇口の開け閉めは、カメラの絞りのことである。バケツ一杯になる時間は、カメラのシャッタースピードのことである。バケツ一杯の水の量は明るさのことである。明るさが変わらない場合、絞りを開ければシャッタースピードは速くなるし、絞りを絞ればシャッタースピードは遅くなる。これが、カメラにおける絞りとシャッタースピードとの関係である。したがって、どちらか一方を決めればもう一方が決まる関係にある。

そして、水をバケツ一杯にするための蛇口の開け方と時間の組み合わせは無数にある。蛇口の開け具合を決めれば、バケツ一杯になる時間は決められる。つまりカメラの絞り具合を決めれば、シャッタースピードは決められる。

絞り具合を数値化したものが絞り値である。絞り値は、F4 F5.6 F8 F11 F16等である。シャッタースピードを数値化したものが、1/30秒 1/60秒 1/125秒 1/250秒 1/500秒等である。カメラで明るさを測定するとF8と1/125秒の値を示した。明るさが一定の場合、絞り値とシャッタースピードの組み合わせは他にもある。F5.6と1/250秒・F4と1/500秒・F11と1/60秒・F16と1/30秒である。これ以外にも理屈では無数の組み合わせがある。そこでプログラムオートというのは、無数にある組み合わせの中から、カメラの中に仕組まれたプログラムによって、適切な組み合わせを選んで決定するというものである。つまり、絞り値とシャッタースピードは全てカメラ任せである。

次に2番目のシャッター優先オートというのは、シャッタースピードは撮影者が選択し、絞り値はカメラに任せるというものである。上の例でいうと、シャッタースピード1/30秒 1/60秒 1/125秒 1/250秒の中から撮影者が選択する。1/30秒を選ぶと、カメラが明るさを測定し、F16という絞り値をはじき出す。これがシャッター優先オートというものである。

次に三番目の絞り優先オートというのは、絞り値は撮影者が選択をし、シャッタースピードはカメラに任せるというものである。上の例でいうと、絞り値F4 F5.6 F8 F11の中から撮影者が選択する。F5.6を選ぶと、カメラが明るさを測定し、シャッタースピード1/250秒をはじき出す。これが絞り優先オートというものである。

最後の4番目のマニュアルというのは、撮影者が絞り値とシャッタースピード両方とも選択するというものである。

この4つのモードの中からどれを選択すれば良いだろうか。野鳥撮影では、ずばり3番目の絞り優先オートである。どうして絞り優先オートがよいかと言うと、絞り値によって背景のボケ方が決まってしまうからである。野鳥を撮影する場合、野鳥が主役で目立つように撮りたい。そのために背景をぼかした方が良い。背景をぼかすためには、絞りをできるだけ開けることである。絞り値がF4とF5.6では背景のボケ方に違いがでる。F4の方がボケは大きい。だから、絞り値を撮影者が選択できる絞り優先オートが良い。

2番目のシャッター優先オートは、先に述べたようにシャッタースピードを撮影者が選択をする。野鳥撮影では速いシャッタースピードを切りたい。だから、一見シャッター優先オートが良さそうだが、実は違っている。実際の撮影場面を想定しながら考えてみよう。森の中にキビタキの撮影に出かけた。シャッター優先オートでシャッタースピード1/1000を選択した。露出を測定すると絞り値F4をカメラが自動的にはじき出してきた。そして、シャッターを切り、キビタキを撮った。ここまでは、何らさしつかえはない。時間がたって太陽が高くなり、森の中が明るくなってきた。そして、再びキビタキが木の枝に止まった。すかさずシャッターを切った。シャッター優先オートだから1/1000秒は固定されたままである。森の中が明るくなってきたので、絞り値F5.6で、シャッターを切ることになる。その結果、F4の時に比べ背景がよりはっきりと映り込む。背景に枝があればその枝がはっきりと見えてき、主役であるキビタキが浮き上がってこないことになる。つまり、シャッター優先オートでは、背景のボケ方をコントロールできない。このようなことから、絞り優先オートを奨めるものである。

しかし、風景写真家の中にシャッター優先オートを推奨される方もおられる。これは、風景写真においてシャッタースピードが絵作りのため重要だと考えるからである。例えば、滝の撮影で1/250秒で撮るのと、1/15秒で撮るのでは水の描写が全く違ってくる。1/250秒では、水の流れは止まるし、1/15秒では水の流れが白い糸のようになる。撮影者が意図した絵作りをするためには、シャッタースピードが重要な要素と考えるから、シャッター優先オートが良いとする。したがって、絞りを重視するのかシャッタースピードを重視するのかで露出モードが決定される。

1番目のプログラムオートというは、撮影者の意図が入らず、カメラ任せである。したがって、デジタル一眼レフに慣れていない方にお奨めするモードである。ややこしい絞り値とシャッタースピードを考える必要がないからである。ただ、カメラの扱いに慣れてきたなら、野鳥撮影では絞り優先オートが良い。

最後4番目のマニュアルは、絞り値とシャッタースピードの両方とも固定したいときに設定する。

青空にコサギが飛んでいる姿を撮影するシーンを想像してみよう。露出モードは絞り優先オードで、絞り値をF5.6に設定にし、シャッタースピードが1/500秒を示したとする。このとき光線は順光である。この設定で、青空を背景に飛んでいるコサギが適正露出でばっちり撮れたとする。ここまでは絞り優先オートで良い。コサギがさらに先に飛び、太陽方向に行ったとする。その時、露出は絞りF5.6・シャッタースピード1/3000秒を示し、ここでシャッターを切る。撮れた写真は、コサギがシルエットになった写真である。コサギがシルエットになるのを防ぐには、絞りをF5.6・シャッタースピード1/500秒の組み合わせを変えないことである。コサギに対し適正露出を保ったままシャッターを切ることである。青空はやや白くなってしまうが。つまり、絞り値とシャッタースピードを固定しなければならない。このような時に、マニュアルが有効である。

最後に、私は写真の妙は無数にある絞りとシャッタースピードの組み合わせの中から、どの組み合わせを選ぶかにあると思っている。絞りを開けるのか絞るのか、速いシャッタースピードでシャッターを切るのか、遅いシャッタースピードで切るのか、それによって、写真の絵作りが決定されるからである。

露出モードを十分に理解し、絞りとシャッタースピードを自由にあやつれるようになれば、自分がイメージする写真が撮れるようになる。

次回は、「3.カメラの初期基本設定」\「(5)ホワイトバランスの設定」について書く。

(「野鳥だより・筑豊」2012年7月号通巻413号より転載)


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