野村芳宏
4.作品作りのためのカメラ設定
(5)露出補正量について
なぜ露出補正が必要なのかということについては、理解していただけたと思う。では、どのくらい補正をするのかという疑問が出てくる。今回は、この疑問に答えてみたい。
前回と同じようにテスト撮影をするので、以下の準備と設定をお願いしたい。
青色の画用紙の露出補正量を測定する
方法は上と全く同じである。結果は以下のようになる。その他の色の露出補正量
上と同じ方法で、私が測定した結果を挙げておくので参考にして欲しい。◎まとめ
実際の撮影の場合は、グレーカードは使わないことが多い。そこで、色による露出補正量を記憶しておき、その補正量で撮影すれば良い。
例えば、青色の空を写す場合は露出補正量は±0、黄色い花を写す場合は露出補正量は+1.5、赤い花を写す場合は-0.5、白い花や白い雪を写す場合は+2.0、という具合である。この場合あくまで被写体をスポット測光したときの測定値である(露出モード マニュアル)。
もし、グレーカードを持参しておけば、被写体の横にグレーカードを置き、マニュアル(露出モード) スポット測光 露出補正量±0にし、そのまま被写体を撮影すれば、正確な露出で撮影できる。
このように、色によって露出補正量は決まっている。色には色固有の明るさ(輝度)がり、それによって露出補正量が決まってくる。グレーカードと色の明るさ(輝度)を比較し明るければ+補正、暗ければ-補正、同じであれば±0の補正なしということになる。
人物撮影においても、スポット測光+インジケーターによる露出補正の方法は適用できる。人物を撮影する場合、人物の肌をスポット測光をする。インジケーターを使って+1.5の露出補正をし、撮影する。そうすれば適正な露出で人物撮影ができる。
自然界には黄色でも様々な黄色がある。色画用紙の黄色よりも明るければ+2.0の露出補正をすれば良い。色画用紙の黄色よりも暗ければ+1.0の露出補正をすれば良い。
以上のように、露出補正量の基準になっているものは、反射率18%のグレーカードである。だからグレーカードと比較して、どのくらい明るいかで露出補正量が決まってくる。経験を積めばすぐに把握できる。露出補正の原理さえ理解すれば、露出補正は難しいものではない。
スポット測光+インジケーターによる露出の決定方法は、花の接写・風景・人物の撮影においては大変有効な方法であるが、野鳥撮影では不向きな方法である。それは、被写体が激しく動くため、スポット測光すること自体ができないからである。
次回は、「野鳥撮影におけるデジタル一眼レフの使い方(20)」\「4.作品作りのためのカメラ設定」\「(6)野鳥撮影における露出」について書く予定である。
(「野鳥だより・筑豊」2013年4月号通巻422号より転載)
Copyright (C) 日本野鳥の会筑豊支部 All Rights Reserved. (著作権者でない者による無断転載禁止)
本ウェブサイトは無断で自由にリンクまたはディープ・リンクができます(画像、動画、録音への直リンクは禁止)。
本ウェブサイトに記載の会社名、システム名、ブランド名、サービス名、製品名は各社の登録商標または商標です。
本文および図表、画像中では必ずしも®、™を表記しておりません。