野村芳宏
4.作品作りのためのカメラ設定
(6)野鳥撮影における露出設定
野鳥撮影の最終目的がなんであるかによって、最適な露出は違ってくる。
まず、最終目的が高画質なプリントの場合の露出設定について述べたい。
高画質なプリントをするためには、RAWでの撮影が良い。その理由については、前月号に書いたので詳しくは書かないが、一言でいうならば画像のデータ量が多いからである。
RAWで撮る場合は、後でパソコン処理をすることを前提にしている。露出もそのことを考えて設定した方が良い。
露出モード(撮影モード)は絞り優先オート、測光モードは中央部重点測光が良い。そして、露出補正量は-0.5〜-1.0を薦める。
露出補正量を-0.5〜-1.0にする理由を述べたい。RAWで撮影する場合、後でパソコン処理をするため、露出を厳密にする必要はない。最も大切なことは、白とびを避けることである。白とびをしてしまうと、データが無い状態になるので、後でパソコンで補正しようとしてもできない。そのため、露出は絞り優先オートで得られた測定値よりもアンダー側(マイナス)に振っておく手段を用いる。こうしておけば、野鳥の白い羽も白とびをせずに済む。厳密な露出調整は、RAW現像の時に行えば良い。蛇足になるが、ヒストグラムで露出を確認する場合、データが0〜255の中に納まっておけば良い。
次に、野鳥撮影の目的が種の識別で、JPEGで撮影する場合の露出について述べたい。
種を識別するためには、デジタル一眼レフの液晶画面に再生することが大切になってくる。その場合、露出補正をアンダー側に振っていると、再生した時に画面が暗くなり、特に屋外では確認できない。種をその場で識別するためには、露出を明るめに設定していた方が良い。したがって露出モード(撮影モード)は、プログラムオート、測光モードは、マルチパターン測光が良い。露出補正量は、難しいところだが+0.5前後が良いと思う。青空を背景に飛翔するタカの種を確認する場合、羽の裏側がアンダー気味になるので、+0.5補正した方が羽の模様が確認しやすい。
最後に、野鳥撮影の目的が野鳥の記録であり、高画質なプリントが必要ではなく、JPEGで撮影する場合の露出について述べたい。
露出モード(撮影モード)はプログラムオート、測光モードはマルチパターン測光、露出補正量は-0.3(もしくは±0)がお薦めである。その理由は、やはり白とびを避けるため、少しだけアンダー側(マイナス)に振る。もし、暗ければプリントするときにパソコンでやや明るくすれば良い。
露出設定については、以上のように目的によって三つのパターンを書いたが、これはあくまで、平均的な撮影条件によるものである。ファインダーに太陽が入ってしまう場合や夜間での撮影等の極端な条件の場合はあてはまらないので了解していただきたい。
次回は、「野鳥撮影におけるデジタル一眼レフの使い方(21)」\「最終章5.カメラアラカルト」\「(1)ブレ対策」について書く予定である。
(「野鳥だより・筑豊」2013年5月号通巻423号より転載)
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