野村芳宏
5.カメラ・アラカルト(最終章)
(1)ブレ対策
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最終章のカメラ・アラカルトは、デジタル一眼レフを使うにあたって日頃実践していることや考えていることを取り上げてみたい。
今月は、ブレ対策について書いてみたい。
フィルムを使用していた時代は、写真で最も難しいのは露出だと言われていた。ところが、デジタル一眼レフを使うようになりRAW撮影の場合、露出は難しいことではなくなった。むしろデジタル一眼レフで最も重要なことは、ブレ対策ではないかと思うようになった。
2012年3月22日ニコンからD800と言うカメラが発売された。画素数3630万画素と言う驚きの画素数である。超高画素化の時代に突入した。カメラ雑誌には、このカメラの能力を引き出すにはミラーアップが必要であると書かれていることが多い。ミラーアップとは、シャッターを切った時レンズから通ってきた光が、イメージセンサーに届くようにミラーがアップされることである。
ミラーアップされたときに微妙にカメラ内に振動が起こる。この振動が、3630万画素のカメラではブレになり画質に大きな影響を与えてしまう。そこで、その振動を抑えるために、シャッターを切る前に予めミラーを上げておくという方法である。それをミラーアップと呼んでいる。ほんのわずかなブレでも大きな問題になる。
デジタル一眼レフでは、いかにブレを防ぐかということが、画質向上のために重要である。超高画素のカメラでもなくても、ブレ対策は重要なことではないだろうか。これからは、益々ブレ対策は重要になってくる。
ブレ対策を挙げてみたい。
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(1)丈夫な三脚を使用する
- 野鳥撮影の場合、超望遠レンズを使用することが多い。ブレを防ぐには、カメラとレンズを乗せる三脚がとても重要である。三脚は上に乗せる物より下の部分の三脚が重い方が安定する。これはごく当然のことである。つまりカメラ+レンズの重さより、三脚の方が重い方が良い。近年、カーボンの三脚が多くなったが、原則は変わらない。
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(2)速いシャッタースピードを切る
- APS-Cサイズのカメラに500ミリを付けると750ミリになる。ブレを防ぐには、最低でも1/750秒は必要になってくる。私は、1/1500秒以上でシャッターを切るように心がけている。
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(3)レリーズを使う
- 野鳥撮影では、レリーズは使いにくい。それでも置きピンをする場合は、レリーズを使用できるので、ブレを防ぐ上でも、レリーズを使用した方が良い。
- 私は、飛翔している野鳥をレリーズを使って撮影する方法を色々と試している。超望遠レンズは、シャッターボタンを押し込むだけで、ブレが生じてしまう。それを防ぐには、レリーズを使うのが良い。
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(4)手振れ防止機能付きのレンズを使う
- 私は、超望遠レンズの手振れ防止付きのレンズは、持っていないので詳しくは言えないが、三脚使用時の手振れ補正機能が付いているのなら、使用する価値はあると思う。いくら三脚を使用していてもシャッターボタンを押し込むだけで超望遠レンズはブレが生じてしまうからである。
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(5)カメラの構え方を工夫する
- 400ミリレンズクラスの手振れ補正機能付きで、手持ちで野鳥を撮影する場合は、ブレを防ぐためのカメラの構え方を工夫する必要がある。片膝を地面に付け、もう一方の膝は立て、安定した姿勢で撮る。立って撮る場合でも、動かない大きな岩や木に体を固定してカメラを構える方法もある。体を固定するものがない場合は、立ち方にも工夫がいる。上半身がより安定するように、足を左右に、そしてやや前後に開くようにする。また、カメラを構えた時レンズの持ち方や脇の締め方、あるいはファインダーの顔の当て方など、ブレを防ぐための工夫が必要である。私は、300ミリクラスのズームレンズを使用する時は、ストラップを右の肘に掛け、肘を張ってストラップの紐をピンとはり、ファインダーを顔に押し付けるようにし、ブレを防ぐようにしている。
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(6)ミラーアップをする
- 野鳥撮影では、ミラーアップは使用しにくい。ミラーアップが使えるのは風景写真である。最近、私は風景を撮る時はミラーアップをしている。私が使用しているカメラは、1200万画素なのでさほど効果があると思えないのだが、微妙なブレがないのにこしたことはない。それに、これから先の超高画素化時代に備えた撮影方法を身に付けたいと思っている。
最初に述べたように、デジタル一眼レフの高画素化に伴い、ブレ対策は益々重要になってきた。撮影する場合は、何らかのブレ対策は必ずするようにして欲しい。
次回は、野鳥撮影におけるデジタル一眼レフの使い方(22) 5.カメラ・アラカルト (2)データのバックアップについて書く予定である。
(「野鳥だより・筑豊」2013年6月号通巻424号より転載)
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