波多野邦彦
総目次
第1回 Accipiter <アクシピター>
北九州市門司区風師山(かざしやま)。筑豊、北九州在住のバードウォッチャーなら一度は登ったことがあると思います。そう、ワシタカの渡り観察の一級ポイントです。秋は主に9月から11月頃にかけて、上空を多くのタカが渡ってゆきます。風景も素晴らしく、北の山口県側に火の山、関門橋をバックに眼下には関門海峡、巌流島がのぞめ、東は瀬戸内方面、西に彦島、南から南西に向かって企救半島に連なる矢筈山、戸ノ上山、足立山、帆柱山などの山並みを一望できます。
ワシタカ類、ハヤブサ類については、精悍な顔つきや威風堂々とした容姿などにファンも多いことと思います。しかし、識別の分野においては同定(種の特定)が難しいまたは誤認の多い範疇に入るようです。この風師山でも渡りのピーク時には狭い頂上に居場所を確保できないくらい大勢のウォッチャーがやってきます。ただ、残念なことにワシタカ類、ハヤブサ類を100%正確に識別なさっている方は、ごく一部の方に限られるようです。
今回はワシタカ類の中でも、姿・形の良く似たハイタカ属Accipiterのタカについて私見を述べてみたいと思います。最初にお断りしておきますが、表題にもある通り、「独断と偏見の識別講座」です。私の解説をお読みいただいた際、多々ご意見はあるかと思いますが、あくまでも私個人の意見なのでご質問ご意見等はご容赦くださいますようお願いいたします。また、オーソライズされたものではないので、それをそのまま第三者にお話しされても通用しません。あくまでもご自分の識別の参考としてご利用ください。
ここでは基本的な識別について、わかりやすくできるだけ正確に、図鑑などには載っていない自分の経験から得たこと等も盛り込んで述べてみたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。
さて、日本のハイタカ属Accipiterにはオオタカ、ハイタカ、ツミ、アカハラダカがいます。通常、アクシピターと言えばこれら4種のことを指します。「Accipiter sp.(アクシピター、エス、ピー)」などと言った場合は、「はっきりとは判らないがハイタカ属の一種」といった意味に使われたりします。
これらハイタカ属のタカに共通する識別上の特徴は、@短く幅の広い翼、A長い尾、B鷹斑が散らばる翼下面などです。また、飛び方では、スピードはそれほど速くないのですが旋回能力が非常に高く、林の中も自在に飛び回り餌となる小鳥類等を狩る能力に長けているということができます。
ハイタカ属の中で識別の難しい組合せとしては、Tオオタカとハイタカ、Uハイタカとツミがあげられます。それではこのT、Uの組合せに絞ってそれぞれを対比しながら識別ポイントを説明したいと思います。ここで識別ポイントを覚えるコツとしては、漠然と識別ポイントを勉強するのではなく、最も似た種類とどこが違うのか?どのように見分ければよいのか?という点に絞ってポイントを比較しながら覚えることが大切です。
また、図鑑で学習したことを実際に自分の目で確認する作業がとても重要です。なぜなら、ほとんどの場合、図鑑のイラストと実際の姿はかなり印象が違うからです。「図鑑にはこう描いてあるけれど、本当はこうなんですよ!」と言えるようになれば一歩前進です。これらのことを繰り返し実践してゆくことで、識別能力アップに繋がっていきます。
■ハイタカ属の計測値一覧表
種 類 | 全 長 cm | 翼 開 長 cm | 尾の形、長さ | 胴体の太さ |
オオタカ | 46〜63 | 89〜122 | 先が丸い、普通 | 非常に太い |
ハイタカ | 28〜40 | 56〜78 | 角尾、長め | 細くスマート |
ツミ | 23〜30 | 46〜58 | 角尾、やや短め | 寸胴で太く感じる |
アカハラダカ | 25〜30 | 52〜62 | 角尾、やや短め | 普通 |
それでは前述のTUの話に戻りたいと思います。前置きが長くなりましたがここからが本題です。
基本的に飛んでいる状態を観察するときの識別について説明します。
まとめ
終わりに
今回は、先日の英彦山ヨルヒコ探鳥会で中途半端で終わってしまったワシタカ類、特にハイタカ属の識別についてお話しました。説明用の画像も無く、感覚的な説明も多いため、理解しづらいところも多かったことと思います。後先になりましたが、お持ちの図鑑と見比べながら読んでいただくと少しは判りやすいかもしれません。
「第1回」などと勝手に銘打っていますが、今後続いていくかどうかも全く不透明です。
もしできることならば、バードウォッチングに対して日頃感じているいろいろなことをお話していきたいと考えていますが、どうなることやら。運よく続いた場合は、どうぞよろしくお願いいたします。
以上
■オオタカ、ハイタカ、ツミの下面から見たスタイルのイメージ図<大きさ除外>
■参考文献:
(2013-06-15掲載)
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