波多野邦彦
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第42回 Jungle Nightjar <ヨタカ>
2010年10月 ヨタカ雄成鳥
ホバリング時は無音、至近距離でも全く羽音が聞こえなかった。ライトの光を瞳孔が反射してピンク色に見える。
山口県萩市見島 Field Noteから転記
ヨタカをご覧になった方は多いと思います。木の枝に平行に蹲(うずくま)ってとまり、一日中じっと動かない。たまに欠伸をしたり、からだを僅かにもじもじさせたり、とにかく動き回らないのがヨタカだと思っていませんか!?でも、これは睡眠や休息時の仮の姿です。日が暮れ始める薄暮の時間帯からが活動の本番です。ご存じのように「キョキョキョキョキョ・・・」と鳴き始めます。細長い翼を上手に使って羽音も立てず軽快に飛び回ります。飛びながら大きな口をあけて虫を吸い込みます。ヒタキ類のように餌を捕まえては元の止まり木に戻る、フライングキャッチも頻繁に行います。ホバリング(停空飛翔)も上手で、すぐそばで羽ばたかれても全く羽音が聞こえません。非常に活発に飛び回ります。「チリリリリ・・」といった可愛い声も発します。渡りの時期、多い時は数羽がかたまって電線や木の枝にとまっていることがあります。地面に直接うずくまっていることも多いようです。種類ごとの習性に合わせた探鳥をやってみるとたいへん面白いと思います。
ヨタカの仲間は現在世界で17属92種類に分類されています。日本国内で観察されるのは残念ながら1種類だけです。4月後半頃になるとインド、インドネシア、フィリピン、インドシナ半島など東南アジア方面から飛来し九州以北の平地から山地で繁殖します。初夏の英彦山では深倉林道や経読林道などで早朝暗いうちから日が暮れ始めたころに「キョキョキョキョキョ・・・」と鳴く声を聞くことができます。春秋の渡りの時期には日本海側の離島などでもよく観察されます。ヨタカの仲間にはフキナガシヨタカ、ラケットヨタカ、カマバネヨタカ、タテゴトヨタカ、ツバメヨタカ、ハサミオヨタカなど特徴的な美しい翼や尾を持つ種類が多くいます。色彩の派手さこそありませんが、大小様々、変わり種が多くとくに羽根の形が非常に変化に富んでいるのでかなり感動できます。ご自分で調べてみるのも面白いかもしれません。余談ですが私に財力があれば、きっと世界中のヨタカ、ヤマシギ、ヤイロチョウの仲間を見て回ると思います。
2003年5月 ヨタカ雌成鳥
背中側からだと余計にわからない!
山口県萩市見島 Field Noteから転記
いつもは木の横枝に平行に止まっている姿を見ることが多いのですが、この時は途中から折れたアカメガシワの幹に接ぎ木のように直立して止まっていました。こんな止まり方もするのですね!中南米に棲むタチヨタカのようです。発見当初は林縁の薄暗い中、地上から約60〜70cmほどの高さで、こちらに背中を向けていて、本当に一本の幹にしか見えませんでした。水平(横)になった普段の姿勢とは全く違うために目の前にいるにもかかわらず、姿を認識できるまでに時間を要しました。保護色、擬態、先入観、どれもバーダーにとって試練です。今回の状況とは少し違いますが、対象までの距離感が合っていない場合、目の前に居るにもかかわらず、全く認識できないことがあります。周りのみんなは気づいて喜んでいるのに自分だけ全然わかりません。「どっきり」をかけられている気分です。このような時は落ち着いて双眼鏡やスコープからいったん視線を外し深呼吸した後に再度チャレンジしてください。通常驚くほど手前にいます!!
終わりに
参考文献
(注)本識別講座において過去の記録を検証して意見を述べる場合がありますが、あくまで個人的見解であり、当該記録を否定するものではありません。誤解のないようにお願いいたします。
2016-09-12掲載
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