波多野邦彦
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第46回 Locustella Warblers Ⅰ <オオセッカ>
2008年5月 オオセッカ 成鳥
頭はやや丸みがあり、頭頂は少し濃い褐色。嘴は太く短め。不明瞭な淡色眉斑がある。過眼線はほとんどない。目がくりくりとして可愛い顔つきに見える。背は赤味の強い褐色の地色に黒色斑が並ぶ。喉・胸・腹など体下面は汚白色。尾は楔形で長い。囀り飛翔の際は広げていることが多い。関東では利根川沿いの広大なアシ原が繁殖地となっている。コジュリンと同じアシ原で繁殖しているのですが、それぞれが好む場所は地面の状況によって微妙に異なり、オオセッカはジクジクと湿った場所、コジュリンは地面がやや乾燥した場所ときれいに住み分けています。
千葉県小見川 Field Noteから
2008年5月 オオセッカ 成鳥
千葉県小見川 Field Noteから
オオセッカについて皆さんはどれくらいご存知でしょうか?セッカとは全く違いますので、誤解の無いように。中国のごく一部と日本だけで局地的に繁殖する世界的希少種。日本国内での推定羽数は1,000羽程度と言われています。青森県、秋田県、茨城県、千葉県他の湖沼、河原のアシ原に生息しています。越冬地域は不明な点が多く、東北から瀬戸内海にかけての太平洋側の地域で越冬することが知られていますが、分布や生態については断片的な情報があるだけで、はっきりとしたことはわかっていません。
学生時代、厳冬期の1月に千葉県一宮の海岸近くの湿地のアシ原で観察したことがあります。地鳴きは記憶にないのですが、アシの根元近くをちょろちょろと動き回るため、必死に追跡しようやく確認したのを覚えています。目先が淡色で可愛い顔に見えることと背の特徴的な茶褐色の地色と黒色縦斑、長く楔形の尾などを確認できました。
特徴的な囀り飛翔。遠くからでもオオセッカであることが判ります。早口で「ジュクジュクジュクジュク・・・」と鳴きながら一本調子で上昇していき、後半は尾を広げ翼を振るわせながら半円を描くようにゆっくりと下降します。セッカの囀り飛翔と比べてみてください。体の大きさに似合わず結構大きな声で、遠くからでもよく聞こえてきます。繁殖地では広大なアシ原のあちらこちらでモグラ叩きのように昇り降りするこの囀り飛翔がひっきりなしに繰り返されます。それ程警戒心は強くないので、上手にアプローチすればアシにとまり囀る姿を至近距離で観察できます。
終わりに
参考文献
注)本識別講座において過去の記録を検証して意見を述べる場合がありますが、あくまで個人的見解であり、当該記録を否定するものではありません。誤解のないようにお願いいたします。
2016-12-15掲載
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