波多野邦彦
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第50回 Eurasian Hoopoe <ヤツガシラ>
2006年3月 ヤツガシラ
ヤツガシラというと奇抜なスタイルと色彩が美しいとお感じの方は多いでしょう。一見派手そうですが、意外にもこの色彩には高い保護色効果があります。丁寧に見ると鮮やかなオレンジ色なのは折り畳んだ冠羽の内側だけで見える所はくすんだ色合いをしています。このややくすんだオレンジ色は、荒地や特に乾燥した赤土の上に居ると目立たなくなります。種類は違いますが、ちょうどアカツクシガモの色彩も同様です。また、背・翼・尾の太い白黒のゼブラ模様は細かく茂った枝の中に入り複雑な枝ぶりとその影が重なると、輪郭を消してしまいます。実際に遠距離から観察中、地上から細い枝が茂った枯れ木に飛び上がった途端、姿を見失いこのことに気づきました。試しに上のイラストを少し離れた所から目を細めて見てください・・・。いかがです?面白いでしょう!!
筑前相島 Field Noteから転記
2004年3月 ヤツガシラ
やや短く肉色味の強い嘴を持った個体だった。警戒心は個体差が大きく、遠く離れていてもこちらの姿をみてすぐに逃げる神経質なものもいれば、「きれいな私を見て」と目の前で羽繕いや伸びを披露してくれるおおらかなものもいる。興奮時などに冠羽を扇状に広げる
筑前相島 Field Noteから
ヤツガシラは一属一種、ユーラシア大陸に広く分布しアフリカやインド、東南アジアなどで越冬します。国内では春3〜4月頃が渡りのピークになります。秋は渡りのコースが異なるのでしょう、特に少なくなります。日本海側の離島や南西諸島などを通過する個体が多いようですが、本土側でもしばしば観察されます。
地上を歩いて採餌しているところに出くわすことが通常です。主に蛾や甲虫の幼虫など土中にいるイモムシ等を掘り出して食べます。驚いた時、羽繕い時や伸びをした時等に瞬間的に冠羽を開くことがあります。腰は白色。下背から次列風切りと一部雨覆いにかけて数本の白黒の縞模様があります。翼は幅広く、先端には丸みがあり、初列風切りと尾には幅広の一本の白帯があります。脇腹に疎らに褐色斑。嘴は先端が暗色、基部は灰肉色で下方へ少し曲がっています。脚は灰褐色。軽やかなリズミカルな羽ばたきで、ふわっ、ふわっと飛びます。
■終わりに
■参考文献
注)本識別講座において過去の記録を検証して意見を述べる場合がありますが、あくまで個人的見解であり、当該記録を否定するものではありません。誤解のないようにお願いいたします。
2017-04-15掲載
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