クマタカ
くまたか (日本野鳥の会筑豊支部)
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独断と偏見の識別講座Ⅱ

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波多野邦彦

総目次

第73回 Egrets <サギ類>

2017年7月8日 左からアオサギ、亜種ダイサギ、亜種チュウダイサギ、チュウサギ

大型から中型の種類を比較し易くするために便宜的に並べてみました。大きさ、嘴・頸の長さ、脚の色彩・長さ・太さなどを比べてください。
亜種ダイサギは大型のアオサギよりもさらに大きく、一方亜種チュウダイサギは亜種ダイサギと比較すると小型でどちらかというとチュウサギ寄りの大きさです。一般的に、アオサギは留鳥、亜種ダイサギは中国で繁殖し日本には冬季に渡ってくる冬鳥、亜種チュウダイサギは国内で繁殖し冬季は暖かい地域に移動する留鳥(漂鳥)、チュウサギは夏季に日本に渡ってきて繁殖する夏鳥として理解されています。
ただ、地元津屋崎(福岡県福津市)で見ている限りでは冬鳥と呼ばれている亜種ダイサギを夏期にしばしば観察することがあります。この日は小さな溜め池にこれら全て(亜種チュウダイサギの巣立った個体多数含む)とゴイサギ、コサギまで含め、総数にすると200羽以上が群れていました。

津屋崎 Field Noteから

2019年2月9日 亜種チュウダイサギ Ardea alba modesta(左)、亜種ダイサギ A. a. alba(右)全長、嘴の長さ、翼長(翼角から最長初列風切先端までの長さ)、脚の色彩・長さ・太さなどを比較すると判り易い。背の高さや大きさが全く違うことがわかると思います。

津屋崎(筆者撮影)

■終わりに

  1. 夏7月から8月上旬にかけて観察できる野鳥の種類は激減し、フィールドではサギ類ばかりが目立つようになります。目の前にサギがたくさんいるのに、勉強しないのはもったいない。今年の夏シーズンはサギ類にぜひ注目してください。
  2. 一般的には亜種ダイサギは冬日本に渡ってくる冬鳥とされています。ただ、前述しましたが、地元では夏期に明らかに大型の亜種ダイサギを観察することがあります。皆さんも夏場の探鳥会やそれぞれのフィールドで探してみてください。もし発見した時は、嘴(黒 or 黄色)、目先(黄緑色 or 青緑色)、脚(全部肉色 or 根元半分 or 全部黒)などの色彩に注目してください。
  3. チュウサギ画像で検索してみると、たくさんの亜種チュウダイサギが出てきます。おそらく、チュウサギと混同しているケースが多いのではないでしょうか?特に、巣立ったばかりの亜種チュウダイサギは嘴が短めで先端が黒いために錯綜しているものと思われます。ダイサギは口角の端が目の位置よりも後ろに来る、チュウサギは目の位置までとよく言われますが、それが判別できるのは至近距離の場合だけですし、不完全な場合も結構あります。もっと頸の長さや嘴・目先の色彩など全体的に判断することが大切かもしれません。

■参考文献

注)本識別講座において過去の記録を検証して意見を述べる場合がありますが、あくまで個人的見解であり、当該記録を否定するものではありません。誤解のないようにお願いいたします。

(2019-03-15掲載)

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