クマタカ
くまたか (日本野鳥の会筑豊支部)
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modify:2020-11-22

独断と偏見の識別講座Ⅱ

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波多野邦彦

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第74回 Black-naped Oriole <コウライウグイス>

2006年5月 コウライウグイス♂成鳥
昼間15〜20分間隔で鳴く。夕方が近づくにつれ次第に間隔が短くなってきて、漸く美しい姿を確認することができた。雌雄ほぼ同色だが、雄は黄色味が強く、雌は僅かに黄緑色がかる

Field Noteから 筑前相島

島内を歩き始めた時から、笛を吹くような奇妙な声が聞こえていた。次第に大きくなってくる。「ポピーヨ、ポピーヨ」ときどき「ミャーオ、ミャーオ」と猫のような声や「ピチュル、ピュルリ、ピュルピュル」などグゼるような複雑な鳴き方もする。コウライウグイスだ!
背丈ほどのブッシュ地帯、そこから十数本の松が4,5mの高さでまとまって突き出ている。姿を見せず声だけが上下、左右に移動していく。松の中からブッシュの中から。正体は判っているが、姿が全く見えないのは幽霊が漂いながら鳴いているようで薄気味悪い。
5月中旬となると気温は30℃近い。さらに日差しも強く蒸し暑い。何とかその美しい姿を見たいと思い、鳴き始めると日向に出て姿を探し、黙ると木陰に逃げ込んで涼む。この繰り返し。
帰りの船便を二本遅らせ粘ったがどうにもならず、もう諦めようとしたとき、黒い影がするすると降りてきて繁った松の枝中から逆さになったまま顔を覗かせた。鮮やかな色彩の雄成鳥だ!ショッキング・ピンクの嘴、ブラック&イエローの派手な容姿。9回裏ツーアウト・フルカウント。粘った末の逆転ホームランだった!

コウライウグイスには数種類の亜種があるが、日本で記録のある亜種 Oriolus chinensis diffusus は中国華北から朝鮮半島、中国東部・南部で繁殖し、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、タイ、インドなどへ渡る。
日本全国で記録があり、1996年6月埼玉県では繁殖記録がある。平地から山地の林や森林に生息し、特に暗い林内を好む傾向がある。
「ポイピー」「ピョロン」「フギャー」「ミャーオ」など様々な声で鳴く。春の渡り、日本海側離島などで聞きなれない笛の様な奇妙な声が聞こえてきたらコウライウグイスである場合が多い。樹木の繁みから声が聞こえてくるが、警戒心が強くなかなか姿を現さない。ごくたまに電柱の上や樹木の頂上など、よく目立つ場所で長時間鳴き続けることもある。
ゆっくりとしたスピードでふわふわと飛ぶ。雌雄はほぼ同色だが、雄の体色は黄色味が強く、雌はやや黄緑色がかる。若鳥は細い黒斑があり全体的にくすんだ色合いをしている。一見派手な色彩だが、森や林の中にいると深い緑色に溶け込んで意外と目立たない。
5月中旬以降6月初旬頃にかけて、これからの時期が最も観察する機会が増えてくる。日本海側の離島や沿岸部近くの林などでは見るチャンスが増えるので、まずは奇妙な声に注目です。

■終わりに

  1. コウライウグイスは通常よく繁った林の中で囀ることが多い。軽率に追いかけると、羽音も立てずにいつの間にか居なくなっていることもしばしば。まずは声でその存在に気づき、そうだとわかったら注意深く静かにアプローチすることが大切。林内の細い枝先、やや立ち気味の姿勢で囀っている姿に出遭えるだろう。
  2. ある年の春、離島で海上を渡ってくる瞬間に立ち会ったことがある。昼間、晴れ渡った快晴の空、海上非常に高空をゆったりと羽根を羽ばたかせながら飛来して岬の先端で上昇気流に乗り旋回し、その後、徐々に高度を下げ島内の林中に消えていった。あの超目立つ色彩ではタカやハヤブサに真っ先に襲われそうで、危ないだろうにとこちらの方が心配になった。
  3. コウライウグイスはその特徴的な色彩から他の鳥との識別に問題は無いと思われます。先日訪問した山口県萩市見島で録音した声を添付します(mp3)。近くで工事していてやや聞き取りづらいですがご参考まで。

■参考文献

注)本識別講座において過去の記録を検証して意見を述べる場合がありますが、あくまで個人的見解であり、当該記録を否定するものではありません。誤解のないようにお願いいたします。

(2019-05-15掲載)

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