波多野邦彦
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第75回 Owls Ⅲ <アオバズク>
1995年5月 アオバズク雄成鳥
数年後、台風により営巣木であるセンダンの幹が折れ営巣不能になった。
豊津節丸小学校 Field Noteから(当時イラストに加筆)
アオバズクは、日本、中国、北朝鮮、韓国、ウスリーなどに夏季渡来し繁殖、冬季は東南アジア諸国に南下し越冬する。日本では亜種アオバズクが繁殖のため九州以北に飛来する。また、亜種リュウキュウアオバズクは奄美大島以南に周年生息する。両亜種間の見かけ上の差はほとんどない。雌雄同色だが雄の腹の褐色縦斑は雌よりも密でやや太い傾向がある。
神社や学校などにある巨木の洞に営巣し、通常2〜5個程度の卵を産む。抱卵は雌だけが行ない、雄は常時巣の近辺で見張りを行う。狩りも専ら雄の役目である。北部九州では5月中旬頃飛来し、7月下旬から8月上旬にヒナが巣立つ。巣内のヒナが大きくなると雌親も外に出てくるので、巣立ちが近いのがわかる。雌親は抱卵の為、下腹の羽毛が擦り切れている。夜行性で大型のガ、カブトムシ、カミキリムシ等の甲虫類ほか、小鳥、爬虫類、両生類、小型哺乳類等も獲物にする。巣の下の地面には食べ残しがよく落ちているので、それらを調べることで、その地域のアオバズクの食性を把握することができる。高い音質で「ホホッ、ホホッ」と二声ずつ鳴く。
アオバズクはフクロウ類の中でも最も身近でポピュラーな種類です。ハトよりやや小さな体型、愛嬌のある顔つきや仕草は見ていて飽きません。からだは小さくてもとても気が強く、テリトリー内に侵入したものは徹底的に追い払います。翼が細長く、体型もスマートで、軽々と飛び回ります。夜明け前や夕暮れ直後の薄暗い時間帯に見に行くと、よく鳴いたり餌を求めて活発に飛び回ったりする姿を観察することができます。7月下旬から8月上旬頃巣穴から出てきますが、巣立った直後の雛は樹の最上部、樹冠部付近に数羽でじっとかたまっていることが多いようです。その後、数日で親鳥と共に移動し姿が見えなくなります。
通常は夏期営巣しているところを観察することが多いアオバズクですが、春秋の渡りの時期に離島などで思いがけず遭遇することがあります。林縁などを歩いていると頭上すぐ近くから突然飛び立ち驚かされます。瞬間的にツミ?ハイタカ?と思いますが、翼が細長く、羽ばたきの音が聞こえず、舞い上がることも無く再び繁った木の中に吸い込まれるように消えますので、それと判ります。アオバズクは他に似た種類はありませんが、このように通常と違った観察条件下では注意が必要です。
■終わりに
■参考文献
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(2019-06-15掲載)
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