クマタカ
くまたか (日本野鳥の会筑豊支部)
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modify:2020-11-22

独断と偏見の識別講座Ⅱ

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波多野邦彦

総目次

第76回 Emberiza Ⅴ <キアオジ、シラガホオジロ>

2004年2月 キアオジ♂冬羽⇒夏羽(左)、シラガホオジロ♂成鳥夏羽(右)
2月にしては異常な暖かさ。大分県日田市では観測史上最高の25.3℃夏日を記録。久住高原の一角にある刈田。この年、シラガホオジロ雄6羽、雌4羽を観察。キアオジは雄第1回冬羽⇒夏羽と思われる黄色味の強く出る個体が観察された。初列・次列風切の羽縁が黄色味を帯びるのはキアオジの識別ポイント。(右側のシラガホオジロは同羽縁が淡褐色)。九重では数年間続けて観察されていたが、個人的には1998年11月と今回の2004年2月シラガホオジロの群れと一緒に飛来しているところを見に行った。イラストはシラガホオジロの群れと一緒に地面に降りて雑草の種子を啄んでいるところ。

大分県九重町 Field noteから

キアオジ、シラガホオジロは日本ではどちらも旅鳥または冬鳥の部類に属します。全長16〜17cm、ホオジロ科でも最大の部類に入ります。両種は互いにたいへん近い種類(近縁種)で自然交雑も起きるため、ハイブリッドの個体も意識する必要があります。前述した初列・次列風切羽縁の色彩など注意が必要です。腰が赤褐色の地にベージュ色の鱗模様があるのは両種の識別ポイント。地鳴きもよく似ていて、海外の録音されたものを聴くとやや濁った「ビュ」というものが多いが、九重で聴いた声は特徴的な「プティッ、プティッ」と聞こえる声でした。

■キアオジ

キアオジについて、以前は1935年長野県の古い記録一例があるだけでしたが、近年は日本海側の島嶼で旅鳥や冬鳥として記録されるようになりました。シラガホオジロの群れに混じるケースが多いようです。雄成鳥夏羽は頭から胸・腹にかけて黄色で脇腹は赤褐色味があり、褐色の斑状。雌成鳥は黄色味・赤褐色味が弱くなり、全体的にやや暗色傾向。第1回冬羽は雌に似るが、胸・腹に僅かに黄色味がある程度。後頸中央に日本の縦斑に挟まれた淡いパッチが出る。いずれの段階でも赤褐色味のある腰・上尾筒と黄色味のある初列・次列風切り羽縁は共通の識別ポイント。<巻頭イラストおよび解説参照>

■シラガホオジロ

キアオジとは近縁種で自然交雑も起きるようです。派手な色彩以外は非常によく似ていることがわかります。雄夏羽は巻頭イラストのように赤褐色の頭に純白の頭央線・頬線がありとても美しい色彩です。雌は雄に比べ全体的に地味な色彩です。大柄な体型と腰から上尾筒にかけて赤褐色の地にベージュの細いうろこ模様が見られるところが識別ポイントになります。国内では冬季の北海道や日本海側離島秋の渡りなどで比較的よく観察されます。数羽の小群で観察されることが多く、広島県や大分県では数年続けて越冬個体群が観察されています。<巻頭イラストおよび解説参照>

■最後に

  1. シラガホオジロは北部九州でも秋の渡りの時期などに十分観察される可能性があります。特に日本海側の離島など、晩秋の渡り時期は要注意です。若い個体のケースが多いと思われますので、第1回冬羽の羽衣の特徴をしっかりと覚えておく必要があります。
  2. キアオジは日本では希少種ですが、ヨーロッパでは主に留鳥として広大な地域に分布していて、人々の生活にたいへん身近な野鳥です。金属的で高音、速いテンポの前半と最後の音程が外れたような伸ばし「シシシシシシシシ、シーッ」という囀りは一般によく知られていて「little bit of bread and NO cheese! (リトル ビット オブ ブレッド アンド ノー チーズ」と聞きなしされています。日本で言えばホオジロやヒバリのような感じでしょうか?! 人々に愛されてきたキアオジですが、近年農業の近代化に伴う化学肥料、農薬の投入、作物の変化、圃場の乾燥化など生息環境が変化し、個体数が減少しているそうです。(「農業と環境」No.117 国立研究開発法人 農業環境技術研究所)

■参考文献

注)本識別講座において過去の記録を検証して意見を述べる場合がありますが、あくまで個人的見解であり、当該記録を否定するものではありません。誤解のないようにお願いいたします。

(2019-07-15掲載)

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