クマタカ
くまたか (日本野鳥の会筑豊支部)
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modify:2020-11-22

独断と偏見の識別講座Ⅱ

波多野邦彦

総目次

第78回 Goldcrest <キクイタダキ>

2000年12月 キクイタダキ成鳥♂、♀(右上)
全長9〜10cm日本産鳥類最小の部類に入る。寸詰まりのコロンとした印象の体形。国内では九州以北から北海道まで生息し、留鳥または漂鳥。本州中部以北の亜高山帯の針葉樹林に繁殖し、冬季は平地の公園や海岸部の防風林などでも観察される。基本的に雌雄同色だが、雄の頭頂部は黄色で中央から後ろにかけて赤くなる。雌は黄色。幼鳥の頭部にはこの模様は無い。翼上面の雨覆いおよび次列風切り基部が黒く、雨覆い先端の白線と相まって独特な模様に見える。針葉樹の高い枝先に潜り込んだりホバリングをしたりしながら小さな昆虫類を獲る。地鳴きは「チン、チン」「ツリリリリ」など高音質のか細い声。声がよく通るため、たくさんいるように感じても、実は2,3羽で鳴いているといったことがよくある。

Field Noteから 北九州市戸畑区・夜宮公園

英名のGoldcrestも和名のキクイタダキも頭頂が黄色いところから命名されている。越冬時期には市街地の公園などでもふつうに見られる。
北九州市戸畑区に住んでいた頃、近くの夜宮公園によく通った。春のクロツグミ、コマドリ、コルリ、オオルリ、キビタキ、冬のツグミ、ジョウビタキ、ルリビタキ、ビンズイ、ミヤマホオジロ、クロジなど。一年を通して野鳥を楽しむことができた。
キクイタダキも数多く越冬していたが、ある時そばにいた個体を何気なく観察していると追いかけ合って興奮したのか突然頭頂をイラストのようにバッと広げた。本当に菊の花びらのようで、あの名前は「色」だけでなく、「形」からも来ているのかと妙に納得した経験がある。皆さんもぜひ根気強く観察してみて下さい。
本州中部以北の山地、亜高山帯の針葉樹林で繁殖し、冬期は九州まで南下し低山、平地の林、市街地、海岸沿いの防風林等でも観察することができる。小群で行動する場合が多い。日本海側離島などでは渡りの時期に大群に出遭うことがある。
雌雄はほぼ同色だが、頭頂の色彩が違い、雄の頭頂は黄色の中央に赤い部分がある。体色は灰緑褐色で黒い大雨覆や次列風切り基部が翼上面に独特な模様を作る。小さく寸詰まりの体形と翼上面の模様は特徴的だが、体型や大きさが似ているカラフトムシクイやキマユムシクイなどがキクイタダキの群れに混じることがあり、高い樹上に居て動きもすばしこいため注意が必要である。

■終わりに

  1. 日本海側の離島に通っていると、秋期もの凄い数のキクイタダキの渡りに遭遇することがある。そんな時は島中いたるところ、高い樹木の上から道端の雑草、地面の草叢までキクイタダキに埋め尽くされる。本当に手の届きそうなところにたくさん居る。全長9cmほどの小さな野鳥が危険を冒して広大な海を越えて渡りを行うなんて、とても健気で思わず「頑張れ!」と応援せずにはいられない。
  2. 写真を撮影される方は、キクイタダキのようにいつも高い樹の上に居て葉陰を動き回る小さな小鳥はあまりお好きではないでしょうね。ただ、ある特定の種類の小型ムシクイ類については、「いつも高い樹の上に居て、ほとんど下に降りてくることが無い」「常時動き回って、一時もじっとしていることが無い」といったことが重要な識別ポイントになることを覚えておいてください。離島好きな方はご存知のキタヤナギムシクイ、ヤナギムシクイやモリムシクイなどがこれに当てはまります。野鳥の「行動」も野外識別では大切なひとつの要素になっています。
  3. 以前にも書いたことがあると思いますが、市街地にある樹木の多い公園は穴場の探鳥スポットです。ポイントは年間を通しての早朝探鳥。日中は人出が多いため探鳥には向きませんが、早朝の時間帯は多くの種類を観察するチャンスです。特に春秋の渡りの時期と越冬期。巻頭にも数種類あげましたが、もっとたくさんの種類を見ることができます。アオバト、ヤブサメ、ミソサザイ、ムギマキ、コサメビタキ、エゾビタキ、サンコウチョウ、センダイムシクイ、エゾムシクイ、キマユムシクイ、サンショウクイ、トラツグミ、マミチャジナイ、マミジロ、シマゴマ、ヒレンジャクなど。ぜひチャレンジしてください。

■参考文献

  • BIRDS OF EAST ASIA: PRINCETON UNIVERSITY PRESS PRINCETON AND OXFORD
  • Collins BIRD GUIDE The Most Complete Field Guide To The Birds of Britain and Europe: Harper Collins Publishers Ltd
  • フィールドガイド 日本の野鳥 高野伸二著 2015年6月1日 増補改訂初版第1刷発行 公財)日本野鳥の会
  • 決定版日本の野鳥650 真木広造 大西敏一 五百澤日丸 (株)平凡社

注)本識別講座において過去の記録を検証して意見を述べる場合がありますが、あくまで個人的見解であり、当該記録を否定するものではありません。誤解のないようにお願いいたします。

(2019-09-15掲載)

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