クマタカ
くまたか (日本野鳥の会筑豊支部)
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modify:2020-11-29

独断と偏見の識別講座Ⅱ

波多野邦彦

総目次

第79回 Siberian Accentor <ヤマヒバリ>

2005年10月 ヤマヒバリ第1回冬羽
雌雄同色。数少ない旅鳥または冬鳥。北部九州では海岸線の低灌木林や日本海側離島。虹彩は暗赤色。眉斑・喉・胸にかけて渋く濃い黄色、頭頂および太い過眼線は黒褐色、襟は灰色で非常に美しい。体長は14〜15cmちょうどビンズイと同サイズ。低灌木、ブッシュ、草地、荒地などで草木の種子や小さな昆虫などを啄む。

Field Noteから 新宮市

私の学生時代、もう40年余り前になりますが、当時既に石川県舳倉島では秋の渡りの遅い時期10月下旬から11月上旬にかけてヤマヒバリが定期的に通過することが知られていました。ただ、晩秋は海が荒れ欠航することが多いため、渡島を躊躇しました。卒業後、東京から地元福岡に戻り日本海側離島に通い始めました。以来、長い間未見の種類でしたが、「必ず居る!絶対に通過しているはずだ!」と強く信じていました。
2005年秋。その日、海上は定期船が時々空中に浮きそうな程の大時化に近く、北西の暴風が吹き荒れていました。今考えるとよく船が出港したものだと思えるほど大荒れの天候で、島内の小鳥は強風で壊滅的な状況だろうとほとんど諦めていました。強風の崖上、膝丈程の草地から突然低木の枝にヤマヒバリが飛び上がりました。強風のため大きく揺れる枝に必死でしがみついています。かえってそれが功を奏し、目前にもかかわらず飛び去ることなく、しばらくの間至近距離で観察することができました。美しい!永年の思いが報われた瞬間でした。
ヤマヒバリはイワヒバリ科カヤクグリ属の野鳥。シベリア東部から極東の高山帯および寒帯で繁殖し、冬季はモンゴル、中国北東部、朝鮮半島などで越冬する。日本では数少ない冬鳥、または旅鳥として飛来し、全国で記録があるが局地的で、特に晩秋日本海側の離島で多く観察されている。平地から低山の明るい林、低灌木、ブッシュ、日本海側沿岸の防風林・灌木林などに飛来する。
雌雄同色。眉斑、喉、胸、脇腹が濃い黄色で、胸から脇腹にかけて暗褐色の小斑が点在する。暗赤色の虹彩。目の周囲下部や耳羽の部分は黄色。襟は青灰色。枯草のある乾燥した地面で採餌しているような場合、体色の黄色は保護色になって目立たない。地鳴きは「チリリリリリ」とカヤクグリに似た特徴的な声で鳴く。他に似た種類はいないが、野外で見る実物は思いの外小さく、地味な色彩に感じる。

■終わりに

  1. 掲題の地元離島では数年後、春先にもヤマヒバリが記録された。このときは2週間余り滞在し、多くのウォッチャーの目を楽しませてくれた。体色は濃い黄色だが、派手に動き回ることはないので乾燥した土の上で採餌していると保護色になり意外と見つけるのが難しくなる。
  2. 今や情報化時代、探鳥界もご多聞に漏れず、珍鳥に遭遇した現地から画像データ付メールが発信される時代になりました。独自の情報網を作り上げ、他人からの情報を待って突撃するカメラマンはたくさんいます。でも、やはりどこか味気ない!その種類の生息環境や渡りの時季・コース、習性などを調べて、予想し、粘り強く、丹念に探してようやく発見にこぎつけることができたとき、探鳥の醍醐味を実感できます!勿論、手間と時間はかかりますが、超アナログ的なこちらの方が遥かに満足感・達成感は大きいのではないかと思います。皆さんはいかがでしょうか?!

■参考文献

  • BIRDS OF EAST ASIA: PRINCETON UNIVERSITY PRESS PRINCETON AND OXFORD
  • Collins BIRD GUIDE The Most Complete Field Guide To The Birds of Britain and Europe: Harper Collins Publishers Ltd
  • A Guide to the Birds of Southeast Asia CRAIG ROBSON: PRINCETON UNIVERSITY PRESS PRINCETON, New Jersey
  • フィールドガイド 日本の野鳥 高野伸二著 2015年6月1日 増補改訂初版第1刷発行 公財)日本野鳥の会
  • 決定版日本の野鳥650 真木広造 大西敏一 五百澤日丸 (株)平凡社

注)本識別講座において過去の記録を検証して意見を述べる場合がありますが、あくまで個人的見解であり、当該記録を否定するものではありません。誤解のないようにお願いいたします。

(2019-12-15掲載)

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