クマタカ
くまたか (日本野鳥の会筑豊支部)
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独断と偏見の識別講座Ⅱ

波多野邦彦

総目次

第80回 White-eyes <メジロ、チョウセンメジロ>

2011年9月 チョウセンメジロ
メジロよりも僅かに小さく感じる。頭・顔に黄色味があり、特に喉には強く出る。嘴基部は淡肉色。白いアイリングはメジロよりも僅かに太く明瞭。最も大きな特徴は脇腹に明瞭な赤褐色斑があること。この褐色斑には個体差があるようで非常にはっきりしたものからほとんど見えないもの(メジロ?)まで様々だった。胸・腹は銀白色で黄色い喉との境界線が明瞭。一方、メジロの胸・腹は通常灰褐色、灰ブドウ色で黄緑色の喉との境目はぼんやりとしている。地鳴きは、メジロとほとんど変わらないように感じた。

福岡市 Field Noteから

突然、幸運が巡ってきました。周囲の低灌木の枝伝いに気忙しく鳴きながら群れが通過していきます。70〜80羽ほぼ全てチョウセンメジロ単独の群れ。胸・腹は銀白色、下尾筒はレモン色、何と言っても脇腹の赤褐色斑が目印。これにはバリエーションがある様で、はっきりしたもの、色が薄いもの、中には全く見えない個体(メジロ?)もいます。これまで珍鳥を求めて渡りの時期に様々な離島に行きましたが、このチョウセンメジロにだけはなぜか出遭えませんでした。
初めて遭遇できたのが、何と地元福岡県内の離島。灯台下暗し!15分ほどで群れが通過し終わり、静けさが戻ってきました。あっという間の出来事でした!
メジロ属は大西洋のアフリカ西部沿岸の島嶼、アフリカ南部、インド、インド洋の島嶼からインドシナ、インドネシア、中国、日本、韓国、台湾、フィリピン、太平洋南西部の島嶼、オーストラリア、ニュージーランドに分布し、特に小さな島だけに分布する固有種や固有亜種が多い。
メジロは日本国内に6亜種(亜種メジロ、亜種シチトウメジロ、亜種イオウトウメジロ、亜種シマメジロ、亜種リュウキュウメジロ、亜種ダイトウメジロ)、国外に3亜種(亜種ヒメメジロ、亜種ハイナンメジロ、亜種キクチメジロ)の合計9亜種に分けられる。
チョウセンメジロは、ウスリーから中国北東部、朝鮮半島北部にかけて繁殖し、冬季は、中国南西部、韓国南部、台湾、インドシナ半島、フィリピン北部、タイ等に渡り越冬する。日本国内では、稀な旅鳥として各地で記録があるが、春秋の渡りの時期、特に日本海側島嶼での記録が多い。(メジロ(Zosterops japonicus)識別マニュアルより)

■終わりに

  1. メジロと言えば子供の頃、飼っていた家も多いと思う。近くの山に行って鳥もちで捕まえてくる(ご存知の通り、現在は出来ません)。世話は各家庭の子供の役目。水、菜っ葉などの餌やり、糞の始末の新聞紙替えなど、飽きずに毎日頑張っていた。ある朝起きてみると突然死んでいて、いたく悲しかった思い出がある。メジロ、文鳥、セキセイインコ、カナリアなどの小鳥はいつも身近な生活の中にいて、こんなところから自然にいきものへの命を大切にする気持ちが育まれていった気がする。
  2. メジロには亜種リュウキュウメジロのように小型で胸腹の褐色味が少なく銀白色、見た目で明らかに判別できる亜種もいるが、通常野外での亜種の識別は困難なものが多い。嘴の長さ、頭や顔の黄色味、胸・脇腹の灰褐色味などに注目し、亜種別、地域別に画像を集めてチャレンジしてみるのも面白いかもしれない。

■参考文献

  • BIRDS OF EAST ASIA: PRINCETON UNIVERSITY PRESS PRINCETON AND OXFORD
  • Collins BIRD GUIDE The Most Complete Field Guide To The Birds of Britain and Europe: Harper Collins Publishers Ltd
  • A Guide to the Birds of Southeast Asia CRAIG ROBSON: PRINCETON UNIVERSITY PRESS PRINCETON, New Jersey
  • フィールドガイド 日本の野鳥 高野伸二著 2015年6月1日 増補改訂初版第1刷発行 公財)日本野鳥の会
  • 決定版日本の野鳥650 真木広造 大西敏一 五百澤日丸 (株)平凡社
  • メジロ(Zosterops japonicus)識別マニュアル 平成25年10月 環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護業務室編

注)本識別講座において過去の記録を検証して意見を述べる場合がありますが、あくまで個人的見解であり、当該記録を否定するものではありません。誤解のないようにお願いいたします。

(2020-01-15掲載)

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