クマタカ
くまたか (日本野鳥の会筑豊支部)
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modify:2017-09-20

鳥さん、こんにちは

村田希巳子

総目次

イギリスの鳥たち(その5)

前号では、イギリスで出会った小鳥のなかの、カラ類のことをお話しした。今月号は、アトリ科の鳥のお話をしよう。

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バードフィーダー
(給餌台と給餌器) 03-15

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シェフィールドの友人宅は、バードフィーダーも置いている。朝早く散歩して鳥を見た後は、朝食まで、ガラス張りの食堂から、庭のバードフィーダーをうっとりと眺めるのが日課だった。

イギリスではあちこちの庭で、バードフィーダーを見た。皆さん、「鳥がかわいくて・・・」と餌代を惜しまず、ヒマワリの種やその他の種子をフィーダーに入れたり、庭に蒔いたりしている。「ガラス張りの食堂も、鳥を意識して改築した」と友人は言っていた。まるで、豊前市三毛門の清水さん(北九州会員)宅のようだ。食事をしながら鳥を眺められるなんて、楽園そのものだ。

そこに、黄色い小鳥が頻繁に来るので、図鑑で調べてみると、Siskin という名前の鳥だった。イギリス中、比較的にあちこちで見られた鳥で、自分では「シスキンを見た」と思っていたが、あとで調べてギャッと驚いた。なんと普通のマヒワではないか。イギリスの鳥は、日本で見る鳥とは違うという先入観があるので、こんなに普通の鳥だと分かるのに、ずいぶん遠回りをしてしまう。

フィーダーに来る鳥には、アカウソ(Bullfinch ウソ亜種)もいた。イギリスでウソにお目にかかるだけでもうれしいが、それがアカウソだと感激もひとしおだ。もしかすると、胸から腹まで鮮やかに赤いので、ベニバラウソかもしれない。でもイギリスの図鑑は、まったく区別がなく、Bullfinchとひとまとめにくくられていた。うそ〜! 大ざっぱすぎる・・・!

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ズアオアトリ 03-16

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また、ロンドンからずっと気になっていた小鳥がいて、とうとうこれをじっくり観察する機会を得た。これが Chaffinch で、この鳥も「チャフフィンチを見た」と思っていたが、日本名で、ズアオアトリと言うのだそうだ。頭がジョウビタキのように灰白色で、頬と顔は茶色なので、アトリ科とはとても思えなかった。このズアオアトリは一年中見られ、ヨーロッパでは最も普通に見られる鳥なんだそうだ。

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友人と庭 03-15

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正真正銘のアトリ(Brambling)にも出会えた。こちらは冬鳥で、日本と同じ渡り鳥だ。友人に、「ジョウビタキみたいな鳥を見たよ」と言うと、「ジョウビタキはあこがれの鳥よ。会ってみたいわ」と言っていた。ヨーロッパではシロジョウビタキという種類が普通に繁殖しているようだ。冬になると、日本ではあんなによく見られるジョウビタキ(Daurian Redstart)だが、こちらの種類は、アジアの一部とシベリアでしか見られない鳥なのだそうだ。それで、美しいジョウビタキを見せてあげるから、冬に日本に来るように勧めておいた。

友人宅で、和やかに朝食をいただいていたら、ぎょっと度肝を抜かすような鳥が現れた。顔の中心は真っ赤で、額、頬、喉にかけて白く、後ろ頭は黒、つまり、顔が、赤、白、黒の順番で色が区切られている、まるで歌舞伎役者のような鳥だった。羽を広げると、背中は茶色だが、羽の黒の真ん中に黄色い帯状の模様が入っているど派手な鳥で、友人も初めて見たという。皆、興奮した。

調べてみると、ゴシキヒワ(Goldfinch)で、これまたアトリ科の鳥だった。ゴシキというのは、5色、つまり、赤、白、黒、黄、茶のことだ。西洋では、羽の黄色が目立つので、この鳥の名前を付けたのは分かる。けれども和名のつけ方も見事だ。鮮やかな5色。一度見たら絶対に忘れられない、強烈な鳥だった。その後も何度かこの鳥にお目にかかれた。

以上のように、アトリ科は、マヒワ、アカウソ、ズアオアトリ、アトリ、ゴシキヒワの5種類も見られた。イギリスで見られるアトリ科の鳥の大半は見られたと思う。これはかなりの収穫だった。

それから忘れてはいけない鳥が、コマドリ(Robin、ヨーロッパコマドリ)とクロウタドリ(Blackbird)だ。

コマドリは、友達の庭にもしょっちゅう現れた。日本では、コマドリ(Japanese Robin)は、3鳴鳥の一種で、ヒンガラガラガラと鳴くので有名だ。イギリスのコマドリは、14センチと日本と同じ大きさだが、種類が違う。ガラガラガラと鳴き、やや日本のコマドリと似ているが、品が違う。名鳥とはとても言えない。しかもイギリス全土で普通に見られる鳥である。でもまあ、アメリカのコマドリ(American Robin)よりは品がある。アメリカのコマドリは、バカでかく、33センチはある。人の食べ物を狙ってついて来る。品の良さから言えば、日本、イギリス、アメリカと続くのは間違いない。

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クロウタドリ 03-26

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次にクロウタドリだが、ヨーロッパ中でお目にかかる鳥だ。ローマに行った時もしょっちゅう会えたし、イギリスでもほぼ全土で見られる。エジンバラでは、カササギとこのクロウタドリが特に多かった。

クロウタドリは、ビートルズのポール・マッカートニーも歌にしているし、小説のタイトルでも何度かお目にかかったくらいなので、日常のなかで愛されている鳥なのだ。

体は全部真っ黒で嘴だけが黄色、大きさは、24センチのツグミ科の鳥である。コマドリよりも美声で鳴き、聞きほれてしまう鳥である。

(つづく)

(注:写真説明右の数字は撮影月日・現地時間、2013年)

(「野鳥だより・筑豊」2013年10月号通巻428号より転載)

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