クマタカ
くまたか (日本野鳥の会筑豊支部)
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modify:2017-09-20

鳥さん、こんにちは

村田希巳子

総目次

ボストン近郊の鳥たち(その3)

著名な文学者たち(オールコットやソローなど)が眠る、スリーピーフォローの墓地に、水色のアオカケス(Blue Jay)がたくさんいたことは、先月号でも触れた。そしてさらに、お墓の森を行き交う、ルリビタキを大型にしたような、明るい青色の鳥も現れた。ルリツグミ(Eastern Bluebird)というのだそうだ。体長18-20センチの大きさで、胸はオレンジ色、ヒタキのようなまん丸い目をしている。ルリビタキ(14センチ)よりは、4,5センチ大きい。この鳥もうっとりするほど、青色が美しい。

『森の生活』を書いた、ソローの日記がコンコード博物館に置かれていた。その中に「青い鳥が渡って来たので、春を実感する」とあった。私はすかさず、「青い鳥って何という鳥ですか?」と博物館員に聞いてみたが、誰も答えてくれなかった。でもおそらく夏鳥である、このルリツグミのことだろう。思えば、200年前の偉大な文学者も、今の私と同じようにこの鳥を見ていたのだ。そして春の到来とともにこの鳥を待ち望んでいたのだ。とても感慨深い。

そういえば、1934年に日本野鳥の会を創設した中西悟堂も、このソローからの文学的影響を受けていると聞いた。悟堂は当時の文学者たちに、「野鳥の会」創設を呼び掛けている。柳田国男や井伏鱒二も彼を支持したという。やはり文学と野鳥は、切っても切れない深い縁があるのだ。そう考えるとうれしくなった、なあんて、まるで私が偉大な文学者でもあるかのようではないか。ちょっと調子に乗り過ぎている。

このお墓が、多くの(幸せを運ぶ?)青い鳥たちに護られていることに、深い安堵の気持ちをいだいた。

それから私は、一路セイラムに向かった。

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七破風の屋敷2011-03-23

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途中、シジュウカラにそっくりな鳥に出会った。よく見ると、胸にネクタイはないし、ほおの白い部分が、丸くなくて横長い。調べてみると、アメリカコガラ(Black-capped Chickadee)という。そういえば、アメリカの小説には、「チカディーが、チカディー、ディー、ディーと鳴いた」と頻繁に出てくる。これが、まさにその鳥だったのだ。しかも私の家の玄関には、アメリカ人からもらった、この鳥の絵を飾っている。何の鳥だろう、といつも不思議に思っていた。人から尋ねられると、「アメリカ版シジュウカラじゃない?」といい加減に答えていたが、これこそ、チカディー、アメリカコガラだったのである。今回これを書くことになって、初めてわかった。野鳥の会の会員として、恥ずかしいこと極まりない。

さてセイラムという町は、18世紀、「魔女狩り」という名のもとに、残酷なリンチが行われた場所である。変わり者は、魔女というレッテルを張られて殺された。私のような変わり者は、当時だったら、一番に血祭りにあげられたことだろう。つくづく21世紀の現在に生まれて良かったと思う。

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セグロカモメ2011-03-26

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まず、セイラムのカモメの種類のチェックだ。川べりに50羽くらいのカモメが、羽を休めていた。その中で大半を占めるのは、脚がピンクのセグロカモメ(Herring Gull)だ。このカモメは、どこにでもいる。ボストンやセイラムは港町なので、カラスよりカモメの方が多い。体長は56-66センチで、日本にいるのとほぼ同じ大きさだ。それから、オオセグロカモメもいると思った。羽が黒くて大きいし、足は薄いピンクだ。でも違った。オオセグロカモメは、北アメリカには生息していなかった。これはオオカモメ(Great Black-backed Gull)といい、北アメリカで1番に大きなカモメの種類で、体長は71-8センチ。オオセグロカモメ(64センチ)よりも一回り大きいカモメである。東アメリカの大西洋岸に生息している。セグロカモメもオオカモメも、ボストンでは1年中見られるカモメだ。嘴がセグロとそっくりなので、オオセグロカモメだと自信を持っていただけにショックだった。私は、いつになったらカモメをマスターできるのだろう?

もう一種、面白いカモメの種類に出会った。これは日本では見られない種類で、クロワカモメ(Ring-billed Gull)という。最初ウミネコかと思ったが、名前の通りに、黄色い嘴の先っちょに黒い輪がかかっていた。嘴の先端はやはり黄色なので、ウミネコの先端が赤くなっているのとは違う。体長は44-6センチとオオカモメの約半分の大きさだ。顔をよく見ると愛嬌があって、黒い輪っかが嘴にぶら下がっている感じだ。一羽ずつ丁寧に観察をした。さあ、探鳥がすんだら、気持ちもさわやかに仕事をするぞ、という気になった。まったく探鳥あっての仕事である。

(つづく)

(「北九州野鳥」2011年7月号より転載) ※「北九州野鳥」は日本野鳥の会北九州の会報)

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