日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリレンジャー
中村 聡
総目次
01: 寒さ厳しい冬に暮らす
雪上に残るエゾユキウサギの足跡
(2009-01-28撮影)
先日、札幌から来た友人が苫小牧の雪の少なさに驚いていた。同じ北海道でも日本海側と太平洋側とでは、ずいぶん違う。聞けばあちらはかなり積もっているという。運転しやすくていいね。確かに。そう返事をした数日後に大荒れの天気となり、街は白銀の世界へ変わってしまった。
深夜1時までは日中と全く変わらない風景だったのに、ひと晩でこれほど積もるとは。朝に窓から外を見てびっくりした。30センチ近くはあるか。後のニュースで知ったが、苫小牧でも約十年ぶりとなる積雪だったらしい。
こうなると九州生まれの人(つまり僕)は、慣れぬ雪に悪戦苦闘してしまう。車の運転は必要以上に冷や冷やビクビクになるし、雪かきは少し手伝っただけでも筋肉痛を招く。だが北国の人はそれらをものともせず、何事もないように(そう見える!)やっている。さすが。
そういえば、この季節を過ごす中で、初めて経験したもの、見聞きしたものがいくつかある。冬タイヤへの交換や水落とし作業[注]は、やり方を教わって何とかクリア。身近な除雪道具も目新しく、特に「ママさんダンプ」という名には妙に納得。また、動く除雪車にも、これが昔読んだ絵本にあった「働く車」かと感激した。
青空なら洗濯物は外で干す、というのが今までのジョーシキだったが、そんなことは通用しない。凍ってしまう現実に驚き、晴天なのに室内でぶら下がる靴下を鬱陶しいと思う。
北国の冬を暮らすのは大変だ。雪や寒さ対策にパワーと時間が要るし、部屋に閉じこもりがちになるし。正直なところ、かなり憂鬱。早く春にならないかな。つい待ち望んでしまう。いや待てよ。せっかく北海道にいるのだ。もっと前向きに考えねば。折りしもスキーに行きませんかとのお誘いがあった。厳しい冬を楽しく過ごす術をもう少し探してみよう。
原文は「苫小牧民報」2008年2月4日掲載
注)水落とし作業とは、水道管が凍結、破裂する恐れがあるような冷え込む夜、事前に水道管内の水を抜くこと。
(2014-02-02掲載)
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