日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリレンジャー
中村 聡(本会会員)
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09: 色とりどりの
桜とモミジに何故か浮かれてしまうのは僕も同じ。四季がはっきりとしたこの国に生まれたせいだろうか。お花見の後にしばらく眠っていた感覚が秋になると急に芽ばえ、何だかそわそわしてくる。北海道の紅葉は特に鮮やかだと聞き、とりわけ楽しみにしていた。
生まれ育った九州は温暖ゆえに常緑の木々が多く、平地ではぽつぽつとヤマハゼなどが色づくだけだ。濃緑と赤のコントラストもなかなかだが、全山紅葉を見たければ標高のあるところに行かねばならない。それがどうだろう。こちらでは高い山に登らなくとも美しい風景に出合える。何と贅沢なことか。
例えばウトナイ湖周辺にも多いコナラやミズナラ。ちょっと地味だが黄金色に輝くのが僕は好きだ。全山とまではいかずとも公園ひとつぐらいは見事に染まり、ちょうどいま見頃を迎えている。同じドングリの木でありながら、九州では1年中緑の葉をつけたシイやカシの仲間の方が多いため、こうはいかない。
車を少し走らせると、どこも紅葉の名所と呼んでよさそうなところばかりだ。これは近くでも楽しめるぞと思っていたが、モミジ便りがテレビで流れるたびに気もそぞろとなり、やはり遠出をせねばと大雪高原温泉やニセコ、支笏湖へと足を運んだ。いやぁ、びっくり。各所ともまさに錦秋という言葉どおりだった。
特にイワオヌプリでの眼下に広がる景色は、おそらく僕が今までに見た中でも最高の作品。ナナカマドの赤、イタヤカエデの黄、ハイマツの緑。そして岩肌の白が見事な調和をなし、錦絵を鑑賞しているようで素晴らしかった。
葉が色を変えるのは、じきに落ちますよという合図。長く厳しい冬への準備だ。僕も早く支度をしなければ。寒い季節がやって来る。
(原文は「苫小牧民報」2007年10月29日掲載)
「今年の紅葉は10年に一度の鮮やかさ」とのニュースに、心躍らせ、待ちに待った休日でしたが、そんな日に限って曇り空。せっかく遠出したものの、今イチな感じです。日が差せばもう少しキレイなのになぁ。ただ、職場のウトナイ湖周辺でもこのところ一気に色づき、それはそれで十分楽しんでいます。
参考「ウトナイ日記」
※(公財)日本野鳥の会直営のバードサンクチュアリである北海道苫小牧市ウトナイ湖サンクチュアリの“今”をご紹介しています。
(2014-10-14)
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