日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリレンジャー
中村 聡
総目次
12: 苫小牧から船の旅
帰省や東京への出張なら、所要時間を考えると利用するのはやはり飛行機、近場だと費用の面から車、少し遠い道内の場合は主に電車となる。いずれにしても苫小牧という街は、どこに出かけるのも非常にアクセスがよい。交通の要衝になっているんだなと感じる。
そんな中で、赴任してからこれまで全く使っていない乗り物があった。船だ。調べたら、秋田、仙台、茨城県大洗といくつもの航路が出ている。船上からは海鳥ウォッチングも楽しめるぞ。ということで先日、青森県八戸までのフェリーに同行者3人とともに乗ってみた。片道8時間半ほどの短い船旅だ。
旅の目的は、まず航路上に出現する生きものたちを見ること。運がよければアホウドリの仲間に出合えるはずだ。次に街歩きと旨いもの探し。さらに後で加わったのが、ウトナイ湖と同じラムサール条約湿地への訪問。八戸からそう遠くない三沢に「仏沼」という広大な湿原があり、冬は猛禽類が期待できる。
午前5時に港を出航した船は、波が穏やかなせいかほとんど揺れない。星もきれいだ。しばらくすると空が白み始め、雲間に美しい日の出を拝むことができた。岸にあまり近づくことのないミツユビカモメが時おり行き過ぎるが、残念ながらそれ以外の鳥影は少ない。下北半島の尻屋崎からは陸地を右手に見ながら進み、ほぼ定刻の午後1時過ぎに入港した。
雪の少ない街を抜け、仏沼では枯れたヨシ原でハト大のフクロウ、コミミズクとも遭遇。冷えた体を温泉でほぐし、名物のせんべい汁を堪能した。帰路はオットセイが海面に頭だけ出し見送ってくれた。そして旅の終わりに海から眺めた樽前山の、何と素晴らしかったことか。海鳥の多い時期に、また乗船したい。
(原文は苫小牧民報「2008年1月21日」掲載)
湖の結氷はさらに進み、全体の9割ほど。川の流入部など、凍っていないところでは、オオハクチョウとカモ類が越冬中です。
湖に張った氷の上では、時おり、引き揚げられたコイと思われる大きな魚を巡って、オジロワシやオオワシ、ハシボソガラス、そしてキタキツネの生きるための闘いが繰り広げられています。
参考「ウトナイ日記」
※(公財)日本野鳥の会直営のバードサンクチュアリである北海道苫小牧市ウトナイ湖サンクチュアリの“今”をご紹介しています。
(2015-01-14)
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