日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリレンジャー
中村 聡
総目次
18: 夜のお楽しみ
前回「苫小牧では汗をかかずに快適」なんて書いたらこの暑さ。とはいえ、東京に比べ部屋の窓を開ければ涼しい風が入るので、今のところ何とかしのげている。さすがにあのムシは出現していないが、このまま温暖化が進めば、いずれ北海道でも普通に見られるようになるかも知れない。ああ、恐ろしい。
さて、そんな暑い夏。僕の勤務する野生鳥獣保護センターでは、昼と異なる自然を楽しむナイトハイクを行った。年に4回の小学生対象行事、探検クラブの1回を夏休みスペシャルとして夜に開催したのだ。こどもたちの喜ぶ顔が見たくて、いろいろと秘策を練った。
成功への道は10日ほど前の下見に始まる。職場の若い同僚と日没前からウトナイ湖岸を歩いた。浅瀬でエゾシカの親子がくつろいでいる。暮れゆく空にはおそらく数百羽はいるだろうショウドウツバメ。これだけの数は久しぶりに見た。ねぐらに入る前なのかも知れない。舞う群れはうねり、まるで竜のようだ。
湖を望む階段状のデッキに座り、だんだんと暗くなっていく様子を感じる。歩を進めた先の森では、樹液を舐めるノコギリクワガタにも出合えた。こどもたちに大人気の虫だ。そして、本日最大の発見。それは足元の草陰で小さくぼんやりと光っていた。ヘイケボタルだった。わずか1頭だが、同僚は「初めて見たっす。」といたく感動していたようだ。
翌週に迎えた本番。残念ながらホタルは現れなかったものの、秘策の一つ、バナナを使った仕掛けにはミヤマクワガタが、落とし穴式のワナには腐肉を食べるオサムシの仲間が集まっていた。ほかに暗闇で川を照らし魚を探すなどして楽しんだが、こどもたちの笑顔が印象的で、僕もホッとしたのだった。
(原文は苫小牧民報「2007年08月06日」掲載)
30℃を超える毎日をお過ごしの、筑豊の皆さんには申し訳ないのですが、こちらはこのところ、最高気温が23℃前後と、爽やかな日が続いています。天候も春から安定しており、夏の草花の開花は例年より若干早めです。前にここで紹介した湿原の女王と称されるホザキシモツケも見頃を迎えました。当センターの屋根の梁では、ただいまニュウナイスズメが子育て中。そろそろ巣立ちする頃です。
参考「ウトナイ日記」
※(公財)日本野鳥の会直営のバードサンクチュアリである北海道苫小牧市ウトナイ湖サンクチュアリの“今”をご紹介しています。
(2015-07-17)
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