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くまたか (日本野鳥の会筑豊支部)
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中村 聡

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24: 春の音

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着陸直前の機内から見た冬のウトナイ湖

(2016-01-08撮影)

以前にこのコラムで、秋の訪れを音で感じると書いた。それはもちろんほかの季節にも当てはまり、夏には夏の、秋には秋の音がある。きょうは皆さんに、僕が聞いて「ああ、春だなぁ」と感じる音を紹介したいと思う。
全面結氷していたウトナイ湖に水面が見え始めると、ガンたちの大群が南からやって来て羽を休める。大半を占めるマガンは飛びながら「キャハハン、キャハハン」と甲高く鳴く。ガンの古名「雁(かり)」はこの鳴き声に由来するという。これこそ春の音。氷のとけた湖岸で耳にすると、長かった冬の終わりと待ち遠しかった春の兆しを感じるのだ。

先日も岸辺の林を歩いていたら、遠くからいつものようにマガンの声が流れてきた。何度聞いてもいい声だよな。と、だんだん歩を進めるにつれ、それが上空からではなく目線より下から聞こえてくることに気がついた。ん?おかしい。疑問は音源に近づくとさらに深まった。確かに地面で鳴いている。しかもかなりの数。これは当然、マガンじゃない。

道沿いに小さな池があり、騒がしい声はそこから発せられていた。正体は・・・カエルだった。こげ茶色をした体長5センチほどのエゾアカガエル。水中に重なった落ち葉の間で何匹ものオスがメスを求めて歌っていた。そばには卵が塊となって産みつけられている。まさか鳥と蛙の鳴き声を混同するなんて。そう思われるかも知れないが、どちらも声色とリズムがそっくりなのだ。皆さん!ホントに。(参考:春の声〜エゾアカガエル (YouTube))

何はともあれ、マガンと同じくこのアカガエルの声も、春を感じさせる音に間違いない。そのほか、じきに渡ってくるオオジシギのジェット機にも似たにぎやかな声が、新しい季節の訪れを知らせてくれるだろう。楽しみだ。

(原文は苫小牧民報「2008年4月14日」掲載)

ウトナイなう: 17

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湖の氷上で休むオオハクチョウ

(2016-01-17撮影)

今季は暖冬傾向で、もともと雪の少ない苫小牧も12月まで地面がむき出しの状態でしたが、新しい年になってから急に冷え込み、1月21日現在の積雪は約15センチ。湖は、ほぼ全面が結氷してしまいました。越冬するかと思われたマガンは姿を消し、少し前まで2000羽近くが滞在していたマガモも30羽前後と急に少なくなり、越冬地に向けて移動したようです。

参考「ウトナイ日記外部リンク

※(公財)日本野鳥の会直営のバードサンクチュアリである北海道苫小牧市ウトナイ湖サンクチュアリの“今”をご紹介しています。

(2016-01-21)

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