(公財)日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリレンジャー
中村 聡
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57: 秋のふわふわ
我がふるさと筑豊は、ジョウビタキの寂しげな声が聞かれる頃でしょうか。こちら北海道は水鳥の渡りシーズンを迎え、ウトナイ湖もコハクチョウやマガンなどの群れで賑わっています。
さて、今回は夏(初夏のふわふわ)に続く「ふわふわ」のお話。10月の、雨が降っていないある日。以前に紹介したドロノキの綿毛よりもずっと小さく、白いモノが突然、時におびただしい数となり、林の周辺や草はらを舞います。これが「雪虫」。出現して間もなく、初雪を迎えることから、北海道ではこう呼ばれるそうです。つまり、雪虫を見たので、もうすぐ雪が降る、と。
雪虫の正体は「トドノネオオワタムシ(椴根大綿虫)」。アブラムシの仲間で、体に白い綿毛を付け、それがまるで雪のようにも見えます。生態は非常に興味深く、北海道に多く見られるトドマツとヤチダモという2種の樹木が関わっているのですが、生活史の詳細を説明すると長くなるので、ここでは割愛します。
昨日の北海道は、前線が通過して寒気が入ったということで、山間部では初冠雪となりました。僕はここ数日、立て続けに雪虫と遭遇し、云われどおりであれば、じきに平地でも初雪となることでしょう。近づく長い冬の足音が聞こえます。
2018-10-18掲載
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