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野村芳宏の野鳥撮影術

カメラと野鳥の撮影にしっかりとフォーカスを合わせ、デジタル一眼レフの勘どころを余すところなく公開中です。別ページ「野鳥撮影におけるデジタル一眼レフの使い方」および筆者のブログ「野村芳宏の撮影日記」でご覧ください。本連載とあわせて読むと、さらにワンランク上の撮影が可能となります。デジタル・カメラへの理解と野鳥撮影の奥義をわが手の中に。

第6回 逆光で撮ろう

野村芳宏 2020-05-24掲載

恐ろしいほどの真っ赤な朝焼けになってきた。赤い空に黒い雲、美しい朝焼けと言うよりも不気味。朝焼けの中を飛んで来るマガンを待っているのだ。

早朝5時に、斐伊川河口(島根県)の西岸に車を止めた。まだ外は真っ暗である。日の出は、6時54分。まだ2時間ほどある。朝食はすでに道の駅湯の川で済ませている。斐伊川河口の撮影に入って3日がたった。マグカップに熱いコーヒーを注ぎ、気持ちを落ち着かせるために一杯飲む。厚手の防寒具を着込み準備に取りかかった。超望遠レンズ・望遠ズームレンズ・標準ズームレンズを付けたカメラ3台を用意した。朝焼けは、日の出30分前になることが多い。しかし、その時間になっても朝焼けにならない。マガンもまだやって来ない。
6時40分ごろ、ようやく宍道湖方面から第一陣がやって来た。マガンが飛んで来たかどうかは、姿を見つけることよりも鳴き声で分かる。独特のガガガという声が遠くから聞こえてくるからだ。冷え切った空気に包まれ、一人静かに湖畔に立ちじっと日の出を待つ。この時間がたまらなくいい。しかし、期待していた光景にはならない。
マガンの群れは、斐伊川河口に降りだした。6時54分の日の出の時刻を迎え、東の空は明るくなってきた。今日もダメかと少し諦めかけたころ、何と東の空が赤く染まりだしてきたのだ。赤い空とマガンが重なるのを待った。たくさん飛んできているマガンの内、一塊の群れが斐伊川河口を旋回し良い方向と高さで、朝焼けが最も鮮やかになったところに来た。もう無我夢中でシャッターを切り続けた。

1枚目の写真を見て頂きたい。その時に撮影した写真である。このように逆光で撮ると、主役であるマガンは色を失いシルエットになる。しかし、鳥の羽の色が出なくてもその存在を十分に描写できる。一番大切なことは、背景に露出を合わせ、朝焼けの色を出すことである。
このような撮影の時には、撮影モードマニュアルが威力を発揮する。太陽が入っている時は、オート系の露出モードでは暗くなりすぎる。撮影モードマニュアルでは、自分でISO感度、絞り、シャッタースピードを決定するため、一定の明るさで撮影できる。できれば事前にテスト撮影をし、露出を合わせておくと良い。後は、野鳥にピントをしっかり合わせることである。いくらシルエットになっていてもピントはきっちりと合わせたい。
撮影日は、2019年11月29日。撮影データは、ISO感度400 絞りF5.6 シャッタースピード1/2000秒。

2枚目の写真を見て頂きたい。水浴びをしているホシハジロである。こんなに水しぶきが飛ぶのかと驚いてしまう。逆光がスポットライトのように当たり、水の飛沫が良く見える。〈雨の日に撮ろう〉でも書いたが、背景が暗いと雨はよく見えるように水しぶきもおなじである。露出は、背景が暗くなるように設定する。ホシハジロは、シルエットになっても構わないと思うぐらいで良い。オートでは、背景が暗くならず明るくなってしまいがちである。よく水浴びをするホシハジロであった。出会いに感謝したい。
撮影日は、2016年1月16日。撮影データは、ISO感度400 絞りF5.6 シャッタースピード1/3000秒。

3枚目の写真を見て頂きたい。川霧が発生した彦山川に佇むアオサギを撮った。これも逆光で撮影したもの。川霧は、水温よりも周りの空気の温度が低くなった時に発生しやすい。放射冷却現象で、朝方ぐっと気温が下がった日である。秋や冬の良く晴れた日にこのような現象が起こりやすい。そのような現象になる日を選んで撮影現場に出かけた。朝方、逆光で撮影するには、日の出の時刻や方角等を調べ、撮影場所を選定しなければならない。だから、必ず下見を何度かしておくことである。川霧も背景が暗い場所の方が良く見える。
逆光が、アオサギの胸の羽に当たり美しく輝いている。川岸の枯れ枝や泥がやや気になるが、シルエットになれば汚れているところは隠してしまうことができる。
撮影日は、2019年11月15日。撮影データは、ISO感度200 絞りF5.6 シャッタースピード1/2000秒。

このように、逆光で野鳥を撮影するとドラマチックな写真を撮ることができる。普通野鳥写真は、順光で撮ることが好まれる。それも分かる。順光で撮影した方が野鳥の羽の色が鮮やかに出るからである。また、野鳥を識別するための図鑑的な写真を撮るためには、羽の細部まではっきりと描写しなくてはいけない。このような場合は順光に限る。しかし、順光は欠点もある。それは、立体感が出ないことである。光が被写体に満遍なく当たっているため陰影がつかず立体感がでない。だから、撮る写真の目的に応じて、光線状態を選ぶ必要がある。もし、ドラマチックな野鳥写真を撮りたいならば逆光をお薦めしたい。写真は光である。

第7回は、〈野鳥の目線で撮ろう〉、5月30日(日)。では、次回をお楽しみに。

第5回 雨の日に撮ろう

野村芳宏 2020-05-17掲載

車の後部の窓を開け、ビニルを巻きつけたレンズをそうと出し、オオヨシキリが止まってくれそうな葦に向けた。車の天井に雨音がする。少し、雨の降り方が弱いようである。「もっと強く降ってくれ」と心の中で願う。普段ならば雨が降ればやんで欲しいと思うが、自分の都合で雨が降ってくれと思ってしまう。なんて人間は勝手なものだろう。
車を止めたところは、池の淵。池には葦が生えている。この葦原に、毎年5月上旬になるとオオヨシキリがやって来る。撮影場所に到着した時には、すでに大きな声で「ギョギョシー ギョギョシー」とさえずっていた。この声を聞くといかにも夏がやって来たと思うし、暑苦しささえ感じる。

しばらくすると、狙っている葦にオオヨシキリが止まった。でも、直ぐにはシャッターを切らない。左手にはレリーズボタンをもち、何時でもシャッターが切れる態勢をとる。ファインダーを覗きながら、さえずるのを待っているのだ。オオヨシキリがさえずると喉の奥が赤い。背景の緑が重なり美しいシーンが撮れる。
オオヨシキリは、わずかに上を向き、大きな声でさえずり始めた。今だ。左手の親指でレリーズボタンを押し込む。「雨よ写ってくれ」。1枚目の写真はその時撮影したものである。

雨の日の撮影は、色々と写真に良い効果をもたらす。一つは、植物の葉が水分を吸い込み緑色が鮮やかになる。晴天の日は、葉が乾燥するため緑の濃さが失われてしまう。もう一つは、雨が降ると厳しい自然の中で野鳥が生きているというメッセージを伝えることが出来る。

さて、雨を撮るにはどうしたら良いだろうか。それには、雨が見えなくてはならない。当たり前のように思えるかもしれないが、それが大切なことである。雨が降っていても見えないことがある。それは、背景が明るいところ。だから、背景が明るい空になるのは避ける。雨が見えるのは背景が暗くなっているところである。オオヨシキリが止まるであろう葦を予想し、その背景が暗らくなるように、撮影位置を決めることである。

後は、シャッタースピードの設定である。シャッタースピードが速いと雨は点になり、遅いと線になる。線のほうが降っているという感じになるが、野鳥がブレてしまう可能性がある。シャッタースピードは、速すぎず遅すぎず、このバランスが悩ましいところである。
1枚目の写真のデータは、ISO400 絞りF5.6 シャッタースピード1/1500秒。もう少し、感度を下げ、シャッタースピードを遅くしても良かったかもしれない。撮影日は、2018年5月28日。

2枚目の写真は、北海道紋別町のコムケ湖で撮ったベニマシコである。筑豊地方でも冬ベニマシコを見ることができる。でも、北海道のベニマシコは、色が鮮やかでこんなに赤いのかと驚いてしまう。それは、繁殖期に入るためオスは特に色が鮮やかになる。緑を背景にベニマシコの赤がより鮮やかに見える。赤と緑は補色関係にあり色をお互いにひきたてあう。この日は、風が強く吹いていた。雨が斜めに写っていることからもわかる。さらに、止まっている枯れ枝がわずかに左側に孤を描いている。それが、風の強さを語っている。自然の厳しさや、その時の臨場感が伝わってくる。もちろん、この時も前述したように車の中からの撮影。
撮影データは、ISO400 絞りF5.6 シャッタースピード1/750秒。撮影日は、2017年7月2日。

3枚目の写真は、これも北海道で撮影したもの。場所は、浜頓別町ベニヤ原生花園。この時のことは、今でもよく覚えている。雨が強く降っていた。北海道まで来ているので、雨が降ったからといって、撮影を諦めてしまうわけにはいかなかった。車の中から撮ることはできない。ベニヤ原生花園は、木道から観察するようになっているからである。意を決し準備にとりかかった。上下のレインウエアーを着、雨靴を履く。レンズとカメラは、雨から守らなくてはいけないので、自作の透明なレインカバ―をかぶせた。車は駐車場に止め、三脚に取り付けたカメラとレンズを担いで木道を歩いた。ノビタキは、北海道の草原で繁殖していることが多く、見つけやすい野鳥である。背が少し高い、葉や花、茎に止まり目立つ。降りしきる雨の中、チシマアザミに止まったノビタキを撮った。雨は、写っていないが、葉に着いた雨粒が見える。なんの変哲もない葦の葉が、雨粒によって生き生きと見えるではないか。

雨の日の撮影は、後が大変である。濡れたものを乾かさなければいけないからだ。車中泊のため、車の中で広げ乾かした。レインウエアー、レンズカバー、長靴、タオル、カメラ、レンズ、三脚など。
撮影データは、ISO400 絞りF4 シャッタースピード1/1000秒。撮影日は、2015年6月22日。

御覧のように雨の日は絵にしやすい。雨の日は、野鳥撮影を諦めてはいないだろうか。外にでること自体がおっくうになりやすいが、是非挑戦して頂きたい。カメラとレンズを雨から守る必要があるので、車の中からの撮影をお薦めする。レンズにビニルを巻いておけば大丈夫。外に出て撮影するよりもはるかに撮影しやすい。日ごろから車の中から撮影できる場所を見つけておくとすぐに対応できる。

5月14日に福岡県は非常事態宣言が解除された。しかし、新型コロナウイルスの感染が終息したわけではない。まだまだ、感染予防は必要である。筑豊支部は、今のところ6月までは探鳥会や観察会は中止になっている。だから当分の間は、観察や撮影は控えようと思っている。

第6回は〈逆光で撮ろう〉、5月24日(日)お楽しみに。

第4回 曇りの日に撮ろう

野村芳宏 2020-05-10掲載

目の前のカワヅザクラにチィーチィーと盛んに鳴きながらメジロが集まって来た。その数、約30羽。メジロは、カワヅザクラの蜜を吸いに来たのである。1週間ほど前からカワヅザクラの満開と曇りの日が重なる日を待っていた。薄曇りの絶好の条件だ。だが、なかなかシャッターを切れずにいた。メジロが枝の中に入り込み、なかなか良い場所に来てくれない。はやる気持ちを抑えながらファインダーを覗き続ける。桜の木の上方に来たのはレンズを向けず、なるべく目の高さに来たメジロだけを狙う。そのうち枝先の良い場所に来てくれたメジロがいた。すかさず、連写に連写をし、シャッターチャンスを逃がさないぞという意気込みで撮った。

なぜ、わざわざ曇りの日を選んで撮影に出かけたのか。それは、曇りの日は光線が柔らかく、春のふんわりとした雰囲気が撮れるからである。光線が弱いので影が出にくく、光が全体によく回っているので、明るく淡い色が描写しやすい。反対に、晴れている日は光線が強くなり、花びらのピンク色が白く飛んでしまい色や質感がでない。春の雰囲気が台無しになってしまう。

これは、野草を撮る時も同じことが言える。白い花、淡いピンク色の花を撮る時は、曇りの日が良い。曇りでも色々あり、薄曇りとか高曇りと言われる日がベスト。暗い曇天では、花の色が出にくい。

曇りの日は、シャッタースピードが上がらず、ブレてしまうのではないかと言う疑問がある。晴天に比べ光線が弱くなるため、シャッタースピードは遅くなる。だが、対処法はある。ISO感度を上げ、シャッタースピードを上げる方法である。

曇りの日の撮影で、気を付けて頂きたいことが2つある。1つ目は、空を入れないことである。曇りの日の空は、写真に撮ると白くなってしまう。空に表情がなく力のない写真になってしまうからである。

2つ目は、ホワイトバランスである。私は、ホワイトバランスを〈晴天〉にしている。これで、曇りの日に撮ると、やや青く写ってしまう。それで、RAW現像の時にホワイトバランスの微調整を行い、青被りをとりのぞき、自分のイメージする色に近づけるようにしている。もし、ホワイトバランスを〈オート〉にしていれば、晴天よりも青被りは軽減されるが完璧ではない。やはり自分のイメージに近づけるため現像時に微調整はした方が良い。

1枚目の写真を見て頂きたい。ピンクの明るい色が、春の雰囲気を出していると思うが、どうだろうか。前ボケと後ボケの桜で、柔らかな感じも出ている。撮影日は、2020年2月25日。撮影データは、ISO1600 絞りF4 シャッタースピード1/1000秒。シャッタースピードを上げるために、感度を1600まで上げた。そして、絞りも最も明るいF4を選んだ。自宅に帰ってこの画像をパソコンで確認すると、やや明るくなりすぎていた。感度が800でも良かった。しかし、RAWで撮影しているので、明るさはパソコン上で微調整できるので問題ない。

2枚目の写真を見て頂きたい。撮影日は、2020年2月26日。二日続けての撮影。前日は、感度を高く設定していたので、もう少し低くして撮影をしたかった。感度を上げるとノイズが出てしまうからである。二日目も曇りであった。撮影データは、ISO感度200 絞りF5.6 シャッタースピード1/1250秒。自宅に帰ってパソコンでこの画像を確認すると、今度はやや暗い画像になっていた。しかし、前述したようにRAWで撮影しているので、現像時に明るさを微調整すれば問題ない。動きのある写真が撮れた。

このように、曇りの日が撮影に適している場合がある。曇りの日は、良い写真が撮れないと決めつけてはないだろうか。もちろん、晴天の方が良い場合もある。どんな写真に仕上げたいのか、出来上がりのイメージに合わせて、光線状態つまり天候を選ぶ必要がある。今回は、淡く明るい春の雰囲気を出したかった。メジロとカワヅザクラがよくマッチしている。曇りの日を選んで野鳥撮影をしてみてはどうだろうか。

5月4日に、緊急事態宣言が31日まで延長された。外出をまだ自粛している。体力が衰えるのを防ぐために、昨日、自宅から久保白ダムまで往復で約9キロを歩いた。まだまだ感染予防が必要なようである。お互いに健康を維持しながら頑張ろう。

第5回は〈雨の日に撮ろう〉、5月17日(日)。お楽しみに。

第3回 野鳥のチャームポイントを撮ろう

野村芳宏
2020-05-03掲載

彦山川の河川敷に日の出前からブラインドを張りコチドリの登場を待った。水際から15メートルの所だ。折り畳み式の椅子をブラインドの後ろに置き、その上に座った。ブラインドの中に入ると視野が狭くなり、鳥の動きが分からないからだ。この周辺には誰一人いない。静かな朝である。頭には毛糸の帽子、上着は防寒具、ズボンの上からレインウエアー、足には長靴、そして首には愛用の双眼鏡をかけ動かないようにじっと待つ。
4月といえ早朝はやはり寒い。暦の上では日の出は5時57分。現地での日の出は、この時間よりも40分ほど遅れる。朝日が、彦山川の岸辺を照らしだす。ISO感度・絞り・シャッタースピードを設定。いつでも撮影できるようにテスト撮影を繰り返し準備する。絶好の条件である。「コチドリよ来てくれ」と心の中で叫ぶ。だが来ない。徐々に太陽の高度が高くなり、明るさも増してきた。最高の光線状態は過ぎてしまった。それでも、周りをうかがいながらじっと待つ。
8時30分ごろ、1羽のコチドリが右側の川岸を歩いている姿が見えた。待ちに待ったコチドリの登場である。椅子を静かにブラインドの中に入れその上に座った。レンズをコチドリに向けファインダーを覗くと、こちらへ向かって来ているではないか。「いい具合だ」、胸が高鳴る。しかし、シャッターはまだ切らないでいた。十分に近づくのを待ちきれずにシャッターを切り逃げられたことがあったからだ。今度こそは、二の舞を踏まないようにと自分自身に言い聞かせる。あらかじめこのポイントに来たらシャッターを切ろうと決めている。
その場所にコチドリがやって来た。集中力がマックスに達し無我夢中でシャッターを切り続けた。ブラインドのおかけでコチドリに警戒されることなく、目の前までやって来た。
左手にはレリーズを持ちボタンを押し続ける。右手は、カメラのグリップを持ちコチドリの動きに合わせレンズを動かし、右手の親指でボタンを押しピントを合わせる。ブラインドの前を通り過ぎたコチドリは、なぜかくるりと方向を変え、また来た方向へ歩き出した。またもやチャンスが訪れた。
1と2枚目の写真は、2020年4月6日撮影。データも同じ、ISO感度200、絞りF5.6、シャッタースピード1/1250秒。

なぜこんなに朝早くから撮影しているかというと、コチドリのチャームポイントであるアイリングを際立たせるためである。コチドリのかわいらしさは、目の周りにある黄金色のアイリングにある。このアイリングを目立たせるためには、そこに光が当たらなくてはならない。そのため高度の低い光朝日、そして順光が必要である。

私は、コチドリがとてもかわいらしい野鳥であると思っている。前述したように、それはアイリングにある。写真を見た人にこの気持ちを伝えたい。そのために、このように光線状態を選んで撮影している。だれが見てもこの写真はかわいらしいと思っていただけるのではないだろうか。

3枚目のコチドリの写真を見て頂きたい。2018年4月16日に同じ場所で撮影したもの。どうだろうか。かわいらしく見えるだろうか。けっしてかわいらしいとは思えない。アイリングが輝いていないからだ。地面に出ている影をみて頂きたい。鳥のすぐ下に濃い影が出ている。真上から光が来ているからだ。午後2時ごろに撮影した。コチドリの頭の上に光が当たり、顔から胸にかけて影が出て、アイリングに光があたっていない。トップライトと言われるものである。

このように、野鳥写真を撮る時は光線状態を選ぶ必要がある。コチドリを撮影した時のことを例に挙げてみたが、他の野鳥を撮影するときも同じである。もし、野鳥の羽の色が美しいと感じ、それを出したいのなら晴天の順光が良い。野鳥のチャームポイントをいかすためにどのような光線が良いか見極めて撮影に臨む必要がある。写真は光である。

4月7日に、福岡県に緊急事態宣言が出された。それ以降は、コチドリの撮影は中断し外出は自粛している。5月7日以降も非常事態宣言は延長されそうだ。今年は、もうコチドリの撮影はしないが、また来年がある。この環境が守られていれば、コチドリは必ずやって来る。その時に、撮影を再開すれば良い。気長に待とう。

第4回は、「曇りの日に撮ろう」。では次回をお楽しみに。

第2回 野鳥撮影のためのカメラ設定

野村芳宏 2020-04-26掲載

  1. 撮影モードはマニュアル

    写真を撮影する上で、どうしてもカメラの設定は避けて通れない。しかし、デジタルカメラ一眼レフの機能は多岐にわたり、詳しく設定をここで書くには紙面が足りない。2011年10月から会報誌〈野鳥だより・筑豊〉に2年間にわたり連載〈野鳥撮影におけるデジタル一眼レフの使い方〉に詳しく書いている。基本的なカメラの仕組みは、以前とほとんど変わらない。この原稿は、筑豊支部のホームページ〈くまたか〉にも収容されているのでいつでも見ることができる。収容場所は、くまたかTP>風切羽>初列>野鳥撮影におけるデジタル一眼レフの使い方。もしよかったらアクセスをお願いしたい。

    前回の〈野鳥撮影におけるデジタル一眼レフの使い方〉では、撮影モードは絞り優先モードを薦めていたが、マニュアルモードに設定することをお薦めする。そこが大きく変わったところ。私は、ここ4、5年前から野鳥をはじめ風景や野草など全ての撮影においてマニュアルモードを使っている。設定方法は、掲載しているカメラの写真を見て欲しい。左肩にある撮影モードダイヤルを回しMに合わせる。

    マニュアルモードを使う理由は、大きく分けて2つある。1つ目は、露出(明るさ)を決める3要素、ISO感度・絞り・シャッタースピードの設定値の組み合わせが自由に選ぶことができるから。撮影モードをAUTO、緑色の文字にすればカメラが自動で露出を合わせてくれる。でもこれでは、自分の思うような写真が撮れない。背景をぼかすためには、絞りは開けなくてはならないし、野鳥がぶれないようにするためには速いシャッタースピードを設定しなくてはならない。2つ目は、露出が一定になるから。AUTO・Pプログラムオート・A絞り優先モード・Sシャッタースピード優先モードでは、光の明るさに応じて絞りとシャッタースピードの組み合わせが変わる。その結果、写真が明るくなったり暗くなったりばらつきがでる。

    皆さんも経験があると思うが、逆光で野鳥を撮った時、背景が明るいのでカメラは、絞りを絞ったり、シャッタースピードを上げたりする。その結果、野鳥は暗くシルエットになる。また、ズームレンズを使った場合も、焦点距離を変更すれば絞りとシャッタースピードが変わる。マニュアルモードを使えば、以上のようなことはなくなる。マニュアルモードは、自分で絞り値やシャッタースピードを決めるので、光の状態が変わっても設定したままの明るさで撮影することができる。

    では、どうやって自分でISO感度・絞り・シャッタースピードを決めるのか。なんだか難しく感じるかもしれないが決してそんなことはない。簡単な方法を書くと、まず任意でISO感度・絞り・シャッタースピードを設定する。そして、レンズを青空に向ける。ファインダーを覗くと目盛り(インジゲーター)が表示されるので、シャッタースピードを変更するダイヤルを回し、目盛りが±0のところにくるようにする。これでOK。念のためテスト撮影を行い、再生を押し液晶画面で明るさを確認する。もし、明るければシャッタースピードを速く、もし暗ければシャッタースピードを遅くすれば良いだけ。ISO感度・絞り・シャッタースピードを野鳥撮影に適した値を設置したい方は、後で書くので参考にして欲しい。

  2. 野村芳宏のカメラ設定

    • 画像記録 RAW
    • 測光モード 中央重点測光
    • 撮影モード マニュアル
    • ホワイトバランス 晴天(太陽光)
    • AFモード シングル もしくは コンティニュアス
    • AFエリア シングルポイント もしくはダイナミックAF21点
    • 親指AF
  3. 目指す露出値

    • ISO感度 200
    • 絞り値 F5.6
    • シャッタースピード 1/2000秒
    • 露出を設定する時の順番
    • @ISO感度
    • A絞り値
    • Bシャッタースピード

    この設定値は、あくまで晴天の時である。暗いときは、ISO感度を上げることやシャッタースピードを遅くなどする。そして必ずテスト撮影をし、明るさの確認をする。後は、前述したようにして、シャッタースピードを変更し明るさを微調整する。

    1. 今回は、カメラの設定ということでマニアックになった。次回からは、どなたが読んでも楽しく読めるように工夫したい。

      第3回は〈野鳥のチャームポイントを撮ろう〉、5月3日(日)。

第1回 始めに

野村芳宏 2020-04-19掲載

皆さんこんにちは、野鳥展実行委員長の野村です。7月30日(木)から開催する筑豊支部の野鳥展は、今のところ開催する予定で準備を進めていきたいと思っています。しかし、展示場所のみやこ町中央図書館は5月6日まで閉館です。野鳥展が開催できるかどうかは不透明です。野鳥展開催要項にも書きましたが、もし〈野鳥だより〉7月号(紙版)が、6月下旬に発行できない場合は、会員への周知ができませんので、その時は1年延期も考えています。

さて、原稿を投稿したのは野鳥展の状況をお知らせするためではなく、〈野村芳宏の野鳥撮影術〉を筑豊支部のホームページ〈くまたか〉に連載で投稿しようかと思っているからです。野鳥の会筑豊支部は、4月・5月・6月全ての行事を中止にしました。探鳥会も植物観察会もできず退屈しているのではないでしょうか。事務局の一員として何かできないかと思い、少しでも退屈をしのぎ、楽しんでいただけるために原稿を書くことにしました。タイトルは〈野村芳宏の野鳥撮影術〉です。少しマニアックなタイトルでが、野鳥写真を掲載するなど、カメラや撮影に興味がない方でも読んでいただけるようにします。毎週日曜日に投稿しますので、もし良かったら読んで下さい。6月28日(日)まで続けるつもりです。

4月7日に安倍総理から緊急事態宣言が出され、国民に外出の自粛が呼びかけられました。それ以後私は、探鳥や野鳥撮影には行かず自宅で過ごしています。食料の買い出しに近くのスーパーに行くことはあります。時には、おやつにホットケーキを焼いて家族で食べています。皆さんは、いかがお過ごしでしょうか。野鳥撮影ができなくても、家の中で撮影をしています。近所の花屋さんでバラやガーベラを買っていましたので、それを撮影しています。その一部をここに記載しますので楽しんで下さい。バラは、真上からストロボ2灯で撮りました。ガーベラはスプレーで水を吹きかけ水滴を付けて撮りました。野鳥撮影は機材が重く、いつまで撮影ができるか不安があります。体力が衰え野外での野鳥撮影に行けなくなった時のために、室内で撮影できるように、ここ2、3年かけて少しずつ照明機材や小物をそろえています。料理やお菓子やお花、そして身の回りの小物を撮りたいと思っています。テーブルフォトと言われるものです。

〈野村芳宏の野鳥撮影術〉は、野鳥撮影するときにどのような所に気をつけているかという撮影方法を中心に書いていきます。写真を始めてすでに39年、野鳥写真を始めて27年、デジタルカメラを使い始めて16年が経ちました。年数だけが経ってしまいましたが、最高の1枚を撮るために今も奮闘しています。私の経験が少しでも皆さんのお役に立てばと思います。野鳥写真を楽しんだり、撮影の参考にしたりして頂ければ嬉しいです。

次回第2回は4月26日(日)、「野鳥撮影のためのカメラ設定」。第3回は「野鳥のチャームポイントを撮ろう」。第4回は「曇りの日に撮ろう」。第5回は「雨の日に撮ろう」。第6回は「逆光で撮ろう」。第7回は「野鳥の目線の高さで撮ろう」。第8回は「野鳥の動きを予想して撮ろう」などです。

では、皆さん新型コロナウイルスの感染拡大防止に努めながら、元気に過ごしましょう。

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