どこであれ、それぞれのマイフィールドこそサンクチュアリ。マメに回れば、自然はいろんな姿を見せてくれる。
渋田 朗 2018-12-30,31,2019-01-03
皆様、あけましておめでとうございます。2019年もよろしくお願いいたします。
今年最初のお題はハイイロチュウヒ。昨年11月10日に確認した幼鳥個体(『疲労困憊』)は、11月17日を最後に姿が見えなくなっていましたが、同一地点で12月24日に再び幼鳥個体が確認されました。その後12月30・31日、1月3日と年を越しても確認できています。かなり広い範囲を行動しており、11月の記録と同一個体かは不明ですが、例えば近隣の農耕地帯に一時的に移っていて、再び舞い戻ったという可能性もあります(余談ですが、以前珍しくコチョウゲンボウ雄個体が越冬した冬も、神出鬼没で忘れた頃に姿を表したりしていました)。
当地でのハイイロチュウヒの記録は、晩秋の通過個体が殆どで、冬季に長逗留してくれたことがないので、願わくばこのまま冬を越してほしいものです。
[撮影日:2018年12月30日・31日・2019年1月3日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 2018-11-22,12-15
以前『オシドリ記録更新578羽』で、オシドリ大群の報告をした11月22日は、小雨交じりの強風が吹く、荒れた天候でした。この悪天候に煽られたのはオシドリだけでなく、別のポイントには多数のカモ類に混じって、福岡ではあまり見られないカワアイサがペアでやってきていました。その他にも、スズガモやミコアイサ、トモエガモなど、明らかに各水鳥ポイントの顔ぶれがいつもと違ってましたが、この日のうちに天候がおさまると、あっという間に姿を消してしまいました。
ところでカワアイサは、12月15日にも雄1羽が観察されました。またまたこの日のみの確認ですが、どこか近隣地域で越冬していて、時々この街の水辺に来ているのかもしれませんね。
[撮影日:2018年11月22日&12月15日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 2018-12-24
12月24日クリスマスイブの朝、福津市の久末ダムを覗いてみると、大型の白い水鳥が浮いています。思わず二度見してしまったその鳥は、ツクシガモでした。和白干潟などではおなじみですが、海水域を好む鳥で、久末ダムのようなダム湖で見かける機会はあまりありません。順光で頭部の緑色光沢がとても綺麗だったのですが、写真に取ると白飛びしまくりで難しいです。しばらく観察した後、数十分ほどその場を離れて、戻ったときにはすでに飛び去った後でした。本人(?)も「ここはなんか違う・・・」と思ったのでしょうね。
ちょっとうれしいクリスマスプレゼントでしたが、ところでこの前日23日は福岡支部の久末ダム探鳥会。飛来があと一日早ければ、みんなでその姿を楽しめたのに・・・と思うと、少々残念ではあります。まぁ、思い通りに動いてくれないのも、野鳥の魅力ですね。近年の久末ダムは、冬季の水鳥がだんだん減ってきて淋しいのですが、振り返ってみれば山のアカショウビン(「真夏の久末ダムにアカショウビン&サンコウチョウ!」から海のツクシガモまで、いろいろ出現した一年になりました。
[撮影日:2018年12月24日 撮影場所:福津市久末ダム 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 2018-11-18
11月18日朝の探鳥で、農道のすぐ横の農耕地で、マミジロタヒバリが久々に至近距離で見られました。今回もですが、飛び立つときのビュッビュッという強めの声で発見することが多いです。農道沿いにいて一度飛び立ったのですが、幸いすぐ近くにまた降りてくれて、しばらく車の窓から好条件で観察することができました。忙しく歩きまわりながら、02の写真のような胸を張った直立姿勢をよく見せるのも特徴です。
ちなみに、地元福津市の農耕地帯で見られるタヒバリ類について、レア度は低い順にこんな感じになります。
タヒバリ:冬季に普通に見られるが、近年個体数の減少が気になる。
ムネアカタヒバリ:レア度低。個体数は多くないが、冬季は大体見られる。
マミジロタヒバリ:レア度中。見られるとかなり嬉しい。夏以外はチャンスあり。
セジロタヒバリ:レア度高。秋の一時期に通過するが、観察は非常に手強い。
それ以外:レア度最高。中でもウスベニタヒバリは、日本国内では福津市のみの記録です。
[撮影日:2018年11月18日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 2018-12-08
12月8日の朝、地元の農道を車でゆっくり走っていると、農地にハヤブサ雄が降りていることに、かなり接近してから気が付きました。近距離でこちらに気づいていないはずはないのに、じっと佇んでいます。どうしたんだろう...と不思議に思いながらも、車の窓からそっと写真を撮らせてもらっていると...いきなり、すぐそばから雌のハヤブサが飛び出し、雄も慌てて後を追うように飛び立ちました。
ちょうど私の位置からは死角の場所で、雌がお食事中だったようです。どうやら雄がプレゼントして、側でその様子を見守っていたようで...知らぬこととはいえ、お邪魔しましたっ!
いそいでその場を離れ、しばらく探鳥した後に遠くから見てみると、雌がその場所に戻ってくれていたので安心しました。雄はと言えば、ちゃっかりテイクアウトして、定位置のカントリーエレベータ屋根でお食事中してました。
ちなみに後でこっそり見に行くと、ご馳走はマガモのようでした。
[撮影日:2018年12月8日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 記録日2018-11,12
前回はオシドリの群れが記録更新という投稿をしましたが、この冬はホシムクドリも好調のようです。地元で毎冬は見られず、単独か少数がムクドリに交じるケースが多い鳥です。過去には2015年1月に10羽の群れを確認していますが、この冬はこの数を超えて記録更新中です(下記以外の日も少数を確認しています)。
2018年11月4日:ミヤマガラスの群れに混じってホシムクドリ1羽を今季初認。
2018年11月10日:ムクドリ類約50羽の群れの中に、4羽のホシムクドリを確認。
2018年11月11日:ムクドリ類約60羽の群れの中に、11羽のホシムクドリを確認。この時点で記録更新。
2018年11月24日:ムクドリ類約70羽の群れの中に、16羽のホシムクドリを確認。
2018年12月01日:ムクドリ類約100羽の群れの中に、26羽のホシムクドリを確認。
数が増えるのは嬉しいですが、忙しく飛び回ることも多いですし、そろそろカウントが大変になってきました(笑)。
なお、道路沿いの電線や民家の木に居ることも多いので、観察の際は周囲のご迷惑にならないよう、十分な注意が必要です。
[撮影日:2018年11月4日&24日&25日&12月1日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 2018-11-22,23
昨年「オシドリ御一行様」として報告したように、地元で秋の一時期だけ限定で、オシドリの群れが見られます。昨年11月11日に、過去最多の366羽を記録した旨を報告しましたが、今年は11月22日に578羽ものオシドリをカウントし、一年で記録更新となりました。前回も書いたように死角の多い池なので、実際にはこれ以上の数のオシドリが居たと思われます。密集隊形になることが多いオシドリですが、この数になるとそれがかなりの広範囲となり壮観です。 翌23日に見たときは、大群でひたすら飛び回っていたのでカウントは断念しましたが、この日も400羽強はいたようです。ただし、一週間後の12月1日にはわずか2羽のみ...。毎年のことですが、ホントに一過性の群れです。どこで冬を過ごしているのでしょうか?
[撮影日:2018年11月22日、23日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 2018-11-17
前回、「疲労困憊」で11月10日のハイイロチュウヒの報告をしましたが、一週間後の11月17日の探鳥でも、同じ個体と思われるハイイロチュウヒを目にしました。
実はこの時ひとめ見ただけで、その後は再会できなかったのですが、そのハイイロチュウヒを追って農地を歩いていると、今度は上空高くコミミズクが飛んでいるのを発見。今回もまたおじゃま虫のミヤマガラスが、コミミズクを見つけるなり執拗に追い回し、ついに低空に降りてくることなく、彼方へ飛び去ってしまいました。私のカメラでは証拠写真にしかなりませんでした...。
ところで、昨年「猛禽な冬?」として報告したように、ハイイロチュウヒやコミミズクは当地ではなかなか見られないのですが、同じ日にこの両種が見られたのは初めてのことです。おなじみの猛禽もひと通り揃っていましたので、期せずして「猛禽デー」となりました。
#11月17日・福津市津屋崎での猛禽類記録:ミサゴ・トビ・ハイイロチュウヒ・ハイタカ・オオタカ・ノスリ・フクロウ(未明に声)・コミミズク・チョウゲンボウ・ハヤブサ
[撮影日:2018年11月17日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 2018-11-10
11月10日に地元農地を歩いていると、至近距離からハイイロチュウヒの幼鳥が飛び立ちました。地元では毎年は見れない鳥ですが、昨年秋に続く飛来です。
ところが、目ざとく見つけたミヤマガラスが、執拗にモビングを仕掛けます。そこにさらに、何故かチョウゲンボウまでもが参戦。ハイイロチュウヒはこれらに追われるように少し飛びますが、疲労困憊な様子ですぐ農地に降りる。また追われて飛び立つ...の繰り返しです。
仕方なく、農地の横の池に逃げ込むと、何故かここまでは追ってこなかったようです。池の淵のコンクリート上、ハイイロチュウヒにしては珍しく丸見えの場所でひと休みする姿が、じっくり観察できました。
しばらく休んだ後に飛び立つと、少し元気が出たようで、カラスやチョウゲンボウに逆襲する姿も見られました。
[撮影日:2018年11月10日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 記録日2018-11-03
激レアな鳥ではないが、なぜか地元で巡り合えなかったシベリアジュリン。11月3日に地元農地を歩いていると、かなり近距離の草の上にとまっている姿を発見。パッと見てオオジュリンよりやや小柄で、赤みの少ない灰黄褐色のイメージです。しばらくじっとしてくれたので、直線的な形状の嘴や上嘴・下嘴の色の違いなど、特徴がよく観察できました。
動き始めてからも、しばらくはその一帯で飛び回っていましたが、一度見失うとそれっきり...はいつものパターンです(笑)。今回は秋の通過個体だったのだと思われますが、越冬期にも見られる鳥なので、引き続き注意しておこうと思います。
[撮影日:2018年11月03日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 2018-10-20
10月20日の朝、海岸からオオミズナギドリを観察していたところ、沖の方から大声で鳴きながら近づいてくる鳥の姿。目の前まで飛んできて、砂浜に降り立ったのは・・・まだ背中が真っ黒になっていない、若いミヤコドリでした。私のことは『眼中になし!』な様子。十数メートルくらいの位置で、夢中で餌を探し始めました。
和白干潟ではおなじみの鳥ですが、地元では秋の渡りで数年に一度見かける感じで、何度か越冬してくれたこともあります。翌日には姿が見えず。前回は2015年末〜16年春先にかけて4羽でやってきて、地元周辺の砂浜をかなり広い範囲で飛び回っていましたが、さて今回は周辺海岸に居ついてくれるでしょうか?
[撮影日:2018年10月20日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 2018-09-23
9月23日、地元のベテランO氏からのご連絡で、地元福津市で初めてベニバトを見ることができました。県内でもまだ数えるほどの記録しかない鳥です。
この前日に最初に発見された時は、電線にとまっていたそうですが、この時は苅田の中に降りていました。一般のハトのイメージとは程遠い感じで、刈跡にすっぽり隠れてしまう小さなハトです。大きさは大型ツグミ類程度なので、例えば今の時期の苅田で言えば、セキレイ類でも探すつもりでないと、姿を見つけるのは難しいです。歩きまわって採餌する姿は、頭部だけが見えたりで殆ど写真にならず。運良く見えるところでひと休みしてくれましたが、距離もあってかなりトリミングしています。そうこうしているうちに不意に飛び立ち、林の中に飛び込んでしまいました。その後は確認されていません。
仲間内の福津市野鳥リストで、293種目の確認となります。300種までもう一息なのですが、ここまで来るとそう簡単には増えませんね。
[撮影日:2018年9月23日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 2018-09-23
何故かこのところ、変異個体を見かけたり、目撃情報を聞いたりする機会が多いです。
この個体は9月23日に地元の農地で見かけた、ヒバリのバフ変(色素過少)個体です。かなり遠くにいる写真を大きくトリミングしています。全体にかなり白っぽい感じですが、模様もそこそこ見えます。
二日間ほど見かけましたが、その後は姿を見ていません。まあヒバリですので、広範囲を飛んで回っているとは思いますが、飛んだら一段と白っぽいので(写真がありませんが)、天敵の標的にならなければいいのですが。
[撮影日:2018年9月23日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 2018-09-15
9月の前半は、地元農耕地のシギチがまずまず好調。地元ではあまり見る機会が多くないエリマキシギ幼鳥が、9月15日には合計5羽確認できました。といっても、水田の稲の中にも潜り込むような性質の鳥で、知らずに近くを通って飛び立ってしまうパターンが多く、やっと休耕田に入ってくれたところを撮影しました。
エリマキシギといえば、大きさの雄雌差・個体差が大きい種です。図鑑(参考文献)によれば雌が全長20-25cm、雄が全長26-32cmとされています。雌の小型個体はタカブシギくらい、雄の大型個体はアオアシシギ位ですね。
そんなエリマキシギですが、運良く大中小の3個体が揃った姿見られました。近くにアカアシシギ・タカブシギも写っているので、大きさの参考になります。『大』『中』の二羽が雄個体、『小』の一羽が雌個体と思われますが、とても同一種とは思えないほど大きさに差がありますね。
そのシギチも、9月後半は寂しくなってきました。冬鳥が順次飛来するのを見ながら、秋が深まっていると実感しています。
参考文献:シギ・チドリ類ハンドブック 氏原巨雄・氏原道昭著 2004年 文一総合出版
[撮影日:2018年9月15日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 2018-09-09
8月末〜9月上旬は、コルリの通過個体が見られる時期です。ただし、春のような囀りを聞くことはできず、なかなかブッシュから出てこない、出てきても暗いところを好む性質と、観察や撮影には手強い相手です。
昨年は多くの個体で楽しむことができましたが(秋のコルリウィーク)、今季は9月9日に1羽が見られたのみでした。例によって撮影条件は悪く、遠目からの証拠写真のみですが、背中が青くなりかけた若い雄個体でした。
今季もコルリが見られたのは嬉しかったですが、どうにもヒタキ科・ムシクイ科など林の小鳥類がパッとしません。中でも、秋の序盤戦の常連であるはずのオオルリの姿が未だ見られず...まぁ、努力不足とめぐり合わせの問題だとは思いますが、仲間うちでは「コルリが出たのにオオルリが出ないとは」と嘆き節です(笑)
[撮影日:2018年9月9日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 2018-09-02
秋シーズン序盤のヒットとして、9月2日にヨーロッパトウネン幼鳥が確認できました。
東与賀干潟などではしばしば観察されますが、地元農地となると自身では二度目の確認です。今回は4羽のトウネンと一緒に行動しており、今まで大群の中から探し出すイメージが強かったのですが、認識を改める必要がありそうです。
夕方、暗くなりかけの時間ではありますが、比較的近距離だったのが幸いして、写真でもある程度特徴を確認できます。トウネンと比べて足の長さ、体型、副眉斑などの特徴を総合的に判断する必要がありますが、波多野邦彦氏の「独断と偏見の識別講座II 第60回 Waders V <ヨーロッパトウネン、トウネン>」に詳しく説明されていますので、ぜひ合わせてご参照ください。
[撮影日:2018年9月2日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 2018-09-08
9月に入ると、カモ類もぼちぼち飛来し始めて、少しずつ水辺が賑やかになり始めます。中でもシマアジは越冬しない旅鳥で、見られるのは渡りシーズンのみというカモなので、秋に見ておきたい鳥です。今年は9月8日に、上空を飛ぶカルガモの中にシマアジ1羽が混じっていました。カルガモの群れの中では、大きさはコガモ並みと小さく目立ちます。曇天の空の飛翔で、写真はパッとしませんが、翼上面は淡色部が多く(雄個体)、翼下面前縁の明瞭な暗色帯などが特徴。
もう少し秋の遅い時期のイメージを持っていましたが、今年は早々と飛来したようです。ところが、酷暑・少雨が続いた影響で、農業用の溜池は水を落として水位が下がってしまっているので、カモにとって居心地が良さそうな溜池がないようです。降りている姿は見ることができませんでした。
[撮影日:2018年9月8日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 2018-08-25
8月25日土曜日の朝、おなじみの探鳥コースを歩いていると、H氏の車が近づいてきて「この少し先に亜種アカモズ幼鳥がいる!」とのお知らせ。すぐに現場に急行すると、枯れ枝にとまる姿がかろうじて見られましたが、あっという間に林の中に隠れてしまいました。しばらく粘ってみたものの、例によって再確認できないままに終わりました。
とりあえずフレーミングも定まらないままにシャッターを切っておいたのですが、そのうちの一枚にかろうじて姿が引っかかりました。運悪く枝被りで顔が見えませんが、同種の特徴が確認できる写真になっています。
地元で亜種アカモズといえば渡りの時期になりますが、実はまだ二回目の記録という意外と珍しい鳥で、H氏にひたすら感謝です。そういえば前回の記録も8月末、このときもH氏のお知らせで一瞬だけ姿が見えたものでした。なかなか手ごわい鳥です。
[撮影日:2018年8月25日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
渋田 朗 2018-09-02
9月に入り、出足の悪かった秋の渡りシーズンも、ようやく本格化してきました。
シギチとともに、農耕地帯でシーズン序盤の主役となるべきツメナガセキレイが、今季は8月中に確認できずにヤキモキさせられましたが、9月2日に待ちわびたジーッという地鳴きですぐに気が付きました。
亜種不明の幼鳥が4羽と、黄色くなりかけた亜成鳥が1羽。この亜成鳥は、下面とともに眉斑もうっすらと黄色くなりかけており(写真ではわかりにくいですが)、亜種ツメナガセキレイの亜成鳥と思われます。
なおこの日は、ハクセキレイ・セグロセキレイ・キセキレイの3種も同じ農地にいて賑やかでしたが、これらの種よりもひと回り小さく、尾羽も短いので、混群になっていても識別は難しくありません。
渋田 朗 2010,2013,2018
前回のセンダイムシクイに続き、秋シーズンを見据えたムシクイの地鳴き情報ですが、今回はさらに難問です。
エゾムシクイは、秋は8月後半からぼちぼち通過個体が通り始めますが、見た目の特徴がよく似たアムールムシクイ(旧ウスリームシクイ)との識別に注意が必要です。
アムールムシクイは珍鳥の部類で、地元では春はシーズンに1回くらいのペースで確認できますが、秋は過去に1度しか記録がありません。
※「エゾムシクイ、アムールムシクイ地鳴き」「声紋分析」の画像は、Raven Pro for Mac OS X(TheCornellLab of Ornithology)からキャプチャのうえ使用しました。
(2018-08-20掲載)
渋田 朗 2018-04, 05
センダイムシクイ変な地鳴き (mp3)
秋のシーズンを控えて、センダイムシクイの地鳴きについて続報です。
2016年春の記録で、「センダイムシクイ意外な地鳴き」の記事を投稿しました。「フィッ」と聞こえる一般的な地鳴きに加えて、メボソムシクイによく似た「ジッ」という声をだす事があるという内容で、もし囀りがない秋にこの声だけを出されたら、少々厄介であるという報告をしました。
(2018-08-13掲載)
渋田 朗 2018-07-28
梅雨が開ければ野鳥の世界は秋…と言いまして、7月も後半に入ると、地元農地でもシギ・チドリの姿が見られることがあります。例年はパラパラとやってくるのですが、今年は7/28は第一波と呼べそうな感じの群れがやってきました。一帯の農地の合計ですが、コチドリ24羽・イカルチドリ2羽・トウネン14羽・ヒバリシギ2羽・タカブシギ3羽・アオアシシギ1羽と、7月としては賑やかな顔ぶれです。特にイカルチドリは、地元農地にはなかなか来てくれないので、見られるとちょっとうれしい一種です。
ところが一週間後に回ったときには、すでにこの酷暑ですっかり農地の水が枯れて、シギチの気配がありませんでした。農地の水加減と、渡り鳥が通過するタイミングがうまくあわないと見られないので、なかなか難しいですね
[撮影日:2018年7月28日 撮影場所:福津市津屋崎 撮影者:渋田 朗]
(2018-08-05掲載)
渋田 朗
2018-07-22
7月22日の朝、福岡支部の久末ダム探鳥会にて。ヒヨドリやガビチョウなどの声に混じって、遠くから「キロロロ…キロロロ…」の小さな声が。紛れもないアカショウビンの声に、参加者一同より驚きの声があがりました。はっきりした囀りの声ではなく、弱く短いぐぜリのような声が、遠慮がちにひと声かふた声ずつ、たま〜に聞こえてきます。平地の住宅街にある久末ダムでは、過去にアカショウビンの記録は無く、それも真夏の時期であった事に大変驚きました。
さらにこの時、参加者の声を避けるために、数十メートル離れた場所にボイスレコーダを仕掛けて録音していたのですが、後でチェックしてみると、なんと「フィフィー・ホイホイホイホイ」とサンコウチョウの声まで録音されていました。現場でも聴こえたはずなのに、全く気が付かなかったのは要反省...。サンコウチョウも、久末ダムでは渡り時期に記録があるものの、真夏の記録は過去にはありません。
その後もマークしているのですが、両種とも確認できていません。考えてみれば「梅雨が明ければ野鳥の世界は秋」とも言われます。7月下旬なら気の早いセンダイムシクイやコサメビタキなどの夏鳥が、平地の林にふらりと出現することがあります。今回のアカショウビン&サンコウチョウも、そのような行動なのでしょうか?
考えてみればアオバズクといい、夏鳥が繁殖を終えた後、どのような行動をしているのか、意外と知られていませんね。面白い研究課題かもしれません。
音声ファイルは約20分程度の現場録音から、アカショウビンの声を2回とサンコウチョウの声を切り出しました。
[アカショウビン&サンコウチョウ声 録音日:2018年7月22日 録音場所:福津市久末ダム 録音者:渋田 朗]
(2018-07-30掲載)
渋田 朗 2018-07-21
7/21は快晴に恵まれましたが、特に海上の視界が非常に良好でした。
地元福津市には、世界遺産登録が決まった宗像市沖ノ島(約60キロ沖合)や、壱岐に近いロケーションになる福岡市西区小呂島(約40キロ沖合)が展望できるスポットがありますが、これらの島が肉眼でもクリアに見えています。
パノラマ写真でも、水平線上で写真の両端近くに、これらの島が小さいながらはっきり見えます。空気が澄んでいる冬場でもなかなかないコンディションです。
さらに、沖合のアマツバメ繁殖地になっている岩礁をスコープで覗いてみると、アマツバメが多数飛んでいるのが見えます(もちろん正確に識別できるわけではありませんが)。調子に乗ってビデスコで撮影してみましたが、やはり多数のアマツバメ(らしき)鳥影が飛び交っているのが確認できました!
動画投稿しますが、大きめのディスプレイでないとわかりにくいかもしれません。岩礁の両端をぐるぐる飛び交っているのがアマツバメで、時々前を横切る大きめのは、岸の近くを飛ぶトンボです。
ここから約7キロ沖合にある、アマツバメ繁殖地の超ロング・ショットでした(笑)
アマツバメ繁殖地(糟屋郡新宮町沖)1分
(2018-07-26掲載)
渋田 朗 2018-06-24
春の渡りが終わった6月後半からは、海沿いの平地である福津市では、バードウォッチングとしてはやや淋しい時期になります。しかし、こんな時期が狙い目という鳥も、数少ないながら存在します。
そのひとつがカラシラサギ。朝鮮半島あたりで繁殖し、越冬地の東南アジアに渡る途中で立ち寄る主に旅鳥とされていますが、なぜかこの時期から夏の記録が多くなっています。
6月24日に福津市の水田で、他のサギ類に混じって採餌している姿を見つけ、ゆっくり観察できました。チャームポイントの冠羽と首の飾り羽が、今ひとつ伸び切ってない感じで、婚姻色もあまり出てないので、若鳥ではないかと思われます。ちなみに当地での前回の記録は、2012年6月17日でした。
(2018-06-24掲載)
渋田 朗 2018-04,05,06
英彦山と並行して、地元福津市で実施してきた無人録音調査や、探鳥時の録音から、この春のトピックス音声をご紹介します。
このポイントは海岸沿いのごく小さな山で、フクロウなど一部の種以外の繁殖環境は乏しく、主に渡り鳥の通過個体を楽しむスポットになります。5月末〜6月頭にかけては、まるで英彦山の録音調査のような顔ぶれが、通過個体として通り過ぎて行ったようです。
(2018-06-24掲載)
渋田 朗 2013,2016,2018
今回は、地元フィールドの渡り鳥ポイントで、過去何度か聞いたことのある「謎の声」のお話です。
(2018-06-22掲載)
渋田 朗 記録日2018-05-06
季節柄まだまだ続きそうな声のお話は、この辺でひと休みして(笑)
先日は亜種ホオジロハクセキレイの群れを投稿しましたが、今度は亜種タイワンハクセキレイの話です。
5月6日の朝、地元の農耕地帯を歩いていると、耕したばかりの畑に亜種タイワンハクセキレイが5羽群れていました。この亜種も数少ない旅鳥で、春シーズンに一度くらい地元でも見られますが、単独行動のイメージが強く、なかなかまとまっては見られません。もっとも、同じ畑の中でもかなりの距離を保って行動している感じで、複数羽を一枚の写真に収めるのはなかなか大変でした。
(2018-06-10掲載)
渋田 朗 2018-05-20
以前は春シーズン終盤の主役だったオオムシクイ(以前は亜種コメボソムシクイとされていた)の囀りですが、ここ数年めっきり通過する個体数が減って心配していました。
ところが今年の春は、数年ぶりにその賑わいが復活。特にピークの5/20は、私が過去に経験した中では最多の個体数が大飛来しました。地元の小さな山を歩く、だいたい1時間半くらいの探鳥コースで、この日はオオムシクイの囀り約120羽とカウント。このコースでほとんど途切れなく、どこを歩いても何羽ものオオムシクイが「ジジロジジロ」と競うように囀っており、まるで山全体が歌っているかのような迫力でした。
やや風が強かったこともあり、録音ではなかなかその迫力が出せませんが、オオムシクイ単独の囀りと、大合唱「ジジロシャワー」の録音をご紹介します。
(2018-06-05掲載)
渋田 朗 記録日2018-05-26/27
先日のヨルヒコに都合で参加できず、非常に残念に思っていたところに、波多野氏からお誘いいただき、5/26夕方と5/27未明の薬師林道探鳥にご一緒させて頂きました。
晴天・微風のベストコンディションでしたが、意外なほどに夜の鳥が鳴きません。ヨタカ・ジュウイチ・アオバズクなどの声はすれど、主役のコノハズクの声はまったく無し。まだ進むか、このまま引き返すかと、立ち止まって思案していた21時前、かすかに『ワッハッハッ』と笑うような声。オオコノハズクの『笑い鳴き』です。初めて聞いた『生ワッハッハッ』に、思わずガッツポーズ(笑)。この声は10分足らずの間に4回聞こえ、うち2回を録音に残せました。
少し仮眠してから、未明の林道に再び挑んだものの、夜と同様に顔ぶれが淋しく、オオコノハズクとの再会(?)もなりませんでした。相当に遠くの音でも聞こえそうなコンディションなのに、コノハズクがまったく聞こえなかったのが気がかりです。
それにしてもオオコノハズク、声が小さいです(音声ファイルはものすごく持ち上げています)。幸運にも立ち止まっているときに鳴いてくれたので気がつきましたが、歩きながらでは難しかったでしょう。本当に手ごわい相手です。
(2018-05-28掲載)
渋田 朗 2018-05-10
5/8の朝7時半頃、勤務先に到着して庭を歩いていると、植え込みから聞き覚えのある声。コマドリより少しおとなしめで、尻下がりのその声は…シマゴマの囀りです。
勤務先は福岡市博多区の都市部ですし、先日はここでキビタキ雄とも遭遇したとは言え、今季はまだ地元の福津市フィールドでも記録していなかったシマゴマの声に、ちょっと耳を疑いました。渡りの時期はこういう事が起きるので、常に気が抜けません。
なお、この二日後の5/10には、無事に地元福津市でも囀りを記録しました。勤務先ではさすがに録音できなかったので、この福津市で録音した音声を投稿しておきます。
録音日・場所:シマゴマ囀り 2018年5月10日 福津市津屋崎
(2018-05-20掲載)
渋田 朗 2018-04-28
4/28に地元の農耕地を歩いていると、チュウシャクシギの群れの中に、1羽のコシャクシギが混じっているのを見つけました。地元ではまだ三回目という滅多に見られない鳥で、時期がこの様に4月末〜5月頭に集中しています。
コシャクシギは単独でいるイメージが強くて、他の種の群れに混じっているのは初めてみました。コシャクシギは乾いた農地を好み、水陸両用のチュウシャクシギとは好みの環境も少し違っていて、有りそうでなかなか見られない組み合わせです。ツーショットもサービスしてくれました(笑)。似ていると言われる事がある両種ですが、こうして並ぶとぜんぜん違うのがよくわかりますね。
撮影日・場所:コシャクシギ&チュウシャクシギ 2018年4月28日 福津市津屋崎
(2018-05-14掲載)
渋田 朗 2018-04-30
昨年多くの成果が得られた、英彦山での無人録音調査が、今年もスタートしています。フィールドにセットしたレコーダで、タイマー録音機能を使って音声記録を残すこの手法は、人間が行うのは現実的でないスケジュールでの調査も可能な、大変便利な手法です。ただし、声を追って場所を移動することはできないので、遠くで鳴く声が録音されている場合が多く、クリアな音が録れる幸運はそれほど多くありません。
個人的には、英彦山以外でもこの手法でちょこちょこと調査をしています。先日、山口県萩市見島での探鳥でも、やはりこの手法での調査を実施しました。4/30の19時に録音開始したファイルを、声紋を分析するソフトで開いてみると、開始からわずか4分ぐらいのところで、低めの周波数で繰り返す強い声があります。カラスかな…くらいに思って再生してみると、なんと『カッカッカッコウ』というセグロカッコウの鳴き声が、非常にクリアに録音されていて驚きました。レコーダから10メートルぐらいでしょうか。もし現場にいれば、もしかして姿も…という思いはありますが、まずは素直にこの幸運に感謝です。
ちなみに2時間の録音の中で、セグロカッコウの声はこの約1分間と、もう一回ごく短い声が入っていただけでした。レコーダ設置場所はギャンブルですが、時間軸に対してこのように少ないチャンスをモノにできるのも、この手法の強みだと思います。事後に膨大な音声ファイルの分析が待っているのは、言うまでもありませんが。
※ヒストグラム画像はいずれもRaven Pro(Mac OS X、TheCornellLab of Ornithology)からキャプチャーし掲載しました。
(2018-05-13掲載)
渋田 朗 2018-03-31
ちょっと古い話になりますが...。
毎年春の早い時期に姿が見られ、渡りのシーズン開幕を実感させてくれる亜種ホオジロハクセキレイですが、今期はめぐり合わせが悪かったのか、地元ではまったく姿を見かけませんでした。
セキレイ類は好きなので、見られないとなんとなくモヤモヤしていたのですが、3/31に宗像市の離島で探鳥した際に、ようやく7羽の群れを見かけました。地元では単独か、亜種ハクセキレイに1〜数羽が混じる程度ですが、7羽の群れはさすが離島!という感じで、気分もすっきり♪
なお、この島は毎年亜種ホオジロハクセキレイがたくさん通るのですが、また別の島では亜種タイワンハクセキレイだらけだったり、通過個体も島によって特徴が異なるのは興味深いです。
撮影日・場所:亜種ホオジロハクセキレイ 2018年3月31日 宗像市(離島部)
(2018-05-10掲載)
渋田 朗 2018-04-29
鳥が他の種の囀りを真似るのは、しばしば耳にしますが、これはちょっと驚いた事例です。
4月29日の早朝、いつもの探鳥コースを歩いていると、やや遠い場所からキビタキに似た囀りが聴こえてきました。ただその声はどこか不自然で、違うフレーズも混じったり、別の種がキビタキの真似をしているのかな?と感じました。鳴き真似が上手なオオルリあたりかな?などと考えながら、少しずつ近づいてみると...ある程度近づいたところで、時々さえずりの前に小さく「チン・チン・チン♪」という前奏が入るのに気がつきました。
そのまま声がする林の中をしばらく見ていると、やはりコルリ成鳥雄の姿を確認。囀りの正体はコルリだったのです。普段はなかなか姿は見られないのですが、この日は運が良い事に、雌も近くに居るのをみることができました。
春のコルリは、ゴールデンウィーク時期を中心に毎年このあたりを通過し、コマドリに似た美しい囀りを楽しませてくれますが、それほど鳴き声のバリエーションがあると思ってなかったので、この鳴き真似はちょっと新鮮な驚きでした。
(2018-05-07掲載)
渋田 朗 2018-03-30
3/30の早朝、出勤前のお散歩途中で、イカル70羽くらいとヒレンジャク20羽くらいが群れているのに出くわしました。群れていると言うより、たまたま同じ木にとまった…ということだとは思いますが、ちょっと変わった組み合わせではあります(笑)
早朝で逆光ということで、写真はほぼ絶望的…。せめて賑やかな声を録音することにしました。
最初の録音では、イカルの賑やかな声の合間に、ヒューンというヒレンジャクの声が聴かれますが(その他にもアトリ、シロハラ、ヒヨドリなどいろいろ)、二回目の録音はイカルが一斉に大合唱で押しまくり、何がなんだか分からない録音になってしまいました。イカルってこんなに賑やかな鳥なんですね。
撮影&録音日時・場所:イカル&ヒレンジャク 2018年3月30日 福津市福間
(2018-04-23掲載)
渋田 朗 2018-04-15
過去にも何度か投稿した、近距離でも全く気にする様子がない「眼中になし!」の野鳥たち。今回はアオゲラの巻です。
春シーズンが進んでも、なかなか調子が上がってこない4/15のこと。相変わらず渡り鳥が少なく、ちょっと寂しいマイフィールドで、ドドド♪というドラミングの音に気が付きました。居そうな場所にアタリをつけて、そっと覗き込むと…驚くほど近くにアオゲラの姿です。こちらの姿にも気がついてるはずですが、気にもせずにドドド♪と叩き続け、ヒューヒューと口笛のような鳴き声も。まばたきする姿もなかなか可愛いです。身近な鳥ですが、じっくり観察できる機会はあまりありませんので、動画を撮ってみました。最後のスローはご愛嬌ということで(笑)
撮影日時・場所:アオゲラ 2018年4月15日 福津市津屋崎
(2018-04-20掲載)
渋田 朗 2018-03-24
3月24日は、渡り鳥を目当てに宗像市の離島へ行き、自転車を借りて島内をのんびりと探鳥していました。
残念ながら、渡り鳥の姿はほとんど見られず…。ところが、敗色濃厚となってきた帰り際の時間帯になって、いきなり上空にカラフトワシが出現!北東方向に一直線に飛んでおり、あわてて自転車を降りてカメラを構えたときには、すでに遥か遠方の空…。幸い、遠方ながら数回旋回してくれたので、一応シャッターは切りました。私のカメラではちょっと証拠写真にも厳しいですが(笑)、記念写真ということで投稿します。
撮影している間に見失い、自転車で追跡してみましたが再発見はできず。この時以降は記録がなく、そのまま北東の海上へ抜けたのではないかと思います。
カラフトワシは、福岡県内では渡り時期の風師山で二回ほど記録があるようですが、いずれにしても驚きました。この日は渡り鳥の成果ほぼゼロの覚悟を決めていたのですが、9回裏の逆転サヨナラホームランの気分でした。
撮影日時・場所:カラフトワシ 2018年3月24日 宗像市(離島部)
(2018-04-15掲載)
渋田 朗 2018-03-25
3月24〜25日に、地元の溜池にマガンが飛来しました。通常マガンはカモ類に混じっていても、圧倒的な存在感ですぐにわかるのですが、この個体はカルガモよりひとまわり大きい程度で、下尾頭の白が見えないとちょっと探すのに苦労します。また同種としては嘴や頸が短く、頭が丸っこい感じ。ちょっとカリガネっぽい体型の、妙に可愛らしい個体です。写真にはありませんが、腹部の黒班が見られないのも特徴です。
図鑑を紐解くと、マガンの最も小さい個体は体長66cm程度とのことで(カリガネの大きいサイズと重複します)、カルガモの大きさと比較して、今回の個体は最も小型の部類と感じます。
ところで、海外文献を中心にマガンの亜種について調べていると、面白いことに気がつきました。
European White-fronted Geese (Anser albifrons albifrons) 基亜種ヒメマガン:ロシア北部で繁殖し、冬季になるとイギリス南部、オランダ、ドイツ、黒海、地中海などへ南下し、越冬する。
Pacific White-fronted Geese (A. a. frontalis) 亜種マガン:カナダ、アラスカ州、シベリア東部で繁殖し、冬季になるとアメリカ合衆国、大韓民国、中華人民共和国、日本(主に石川県、新潟県、宮城県)、メキシコなどへ南下し、越冬する。A. a. albifronsに対してやや大きく、頸や嘴が長く、頭部や下面(上面とする文献もあり)が暗色であるのが特徴。
ということで、欧州中心に生息するA. a. albifronsの特徴は、今回の個体にちょっと似てますね。ただし、両亜種の繁殖域がシベリアで重複しており、亜種間の交配もあるとのことで、野外観察だけでそう簡単に判断するのは難しいでしょう。
わくわくして調べていたのですが、ところが日本鳥類目録改訂第七版では、A. a. albifronsが亜種マガンとされていることに気がつきました(第六版までは上記の通りA. a. frontalisが亜種マガン)。どうやら近年、A. a. frontalisが基亜種であるA. a. albifronsに併合されてしまったようなのですが、この詳細については調べ切れていません。どなたかご存知の方、御教示いただけると幸いです。
意外と身近なところで、こういった動きはあるものですね。やはり野鳥研究は発展途上、わからないことがたくさんあります。
撮影日時・場所:マガン 2018年3月25日 福津市津屋崎
参考文献:
(2018-04-13掲載)
渋田 朗 2018-03-11
3月上旬〜中旬頃の時期、地元福津市の海岸近くの林で、オシドリの塒立ち?が観察されました。
波多野さんの情報を元に、3月11日の早朝まだ真っ暗な時間から待機していると、空がうっすらと明るくなりかけた頃、約100羽のオシドリが一斉に現れました。
暗くてディテールは見えませんが、普段あまり鳴かないオシドリが、「ピュイッ」とか「クワッ」と賑やかに鳴きながら、低空を羽音激しく旋回する姿は迫力満点です。
しばらく旋回したり、林の中に降りたりした後、あっという間に姿が見えなくなりました。その間、数分くらいでしょうか。
この時期に連日、この行動が見られたようですが、3月下旬以降は見られなくなりました。それにしても、ちょっと謎の行動です。この林の中か、あるいは近くの海岸周辺で塒をとっていたのか。なぜすぐに飛び去らずに、この林の上で旋回したり、ひと休みしたりするのか。またこの後の時間はどこに行っているのか? 近隣の溜池など思いつく場所を見て回っても、こんな群れの姿は見らませんでした。
まだ暗い時間で、映像は残せませんでしたので、音声で御紹介いたします。近くの海を通る漁船の音が気になりますが、「ピュイッ」「クワッ」の声や、「ザザザザッ」という迫力ある羽音を聞くことができます(途中、オシドリの声や羽音が聴こえない部分はカットして編集しています)。
2018-04-08掲載
渋田 朗 2018-03-04,10
3月上旬に、この冬地元ではまだ見てなかったホシムクドリが5羽も見られたり、数年ぶりのヒレンジャク当たり年で、さらに地元ではずっと縁がなかったキレンジャクも混じるなど、ちょっと嬉しい出来事が続きました。
ところで、このようなムクドリ科とレンジャク科の鳥、観察する上ではちょっと困った鳥でもあります。それは、どちらも人里が好きな鳥であること。山奥や広大な農耕地よりも、どちらかと言えば民家の植木や、綺麗に整備された道路の街路樹などで、木の実を食べている姿をよく目にします。また電線や、民家の屋根のテレビアンテナにとまっていることもしばしば。これは、双眼鏡で観察したり、カメラを向ける上では、とっても困った特徴です(笑)。またこれらの鳥は、広範囲をよく飛び回るのも特徴で、機材抱えて住宅地を徘徊するわけにもいかず、泣く泣く断念するケースも…。
今回は幸い民家からは離れてましたが、自動車も歩行者も多めの道路沿いでした。車は少し離れた駐車場に停め、比較的まだ静かな早朝のうちに、周囲を気にしながら手早く撮影し、早々に撤退しました。住民や通行者にご迷惑をかけないよう、また不審者扱いされないように、くれぐれも気をつけたいものです。
2018-04-01掲載
渋田 朗 2018-02-04
前回の投稿で、数年ぶりに地元海岸で越冬してくれたシノリガモ雌2羽が、1月中旬に早々といなくなってしまったお話を書きました。ところが2/3には地元の別の海岸で、今度はシノリガモ成鳥雄の綺麗な個体を発見。この時はすぐに見失ってしまいまい、残念に思っていると、運良く翌2/5にも同じ場所に来てくれました。今度は一応カメラに収めましたが、もともと荒波が立つ場所が大好きな鳥な上に、ひっきりなしに潜水して餌をとっており、砂浜の近くにいる割には苦戦しました。
この個体も、2/12にこの付近で見かけたのを最後に、姿が見られなくなりました。来年の冬も来てくれますように。
撮影日時・場所:シノリガモ成鳥雄 2018年2月4日 福津市津屋崎
2018-03-26掲載
渋田 朗 2018-01-13
地元海岸では、年によってはシノリガモが越冬することがあります。
この冬も雌二羽が越冬し、日によっては間近で姿を楽しませてくれました。
陸に居るシーンはなかなか見られないのですが、1/13には今季初めて、テトラポッドに上陸してお昼寝する姿が観察できました。ちょっと背景にピントを取られてますが、ご愛嬌ということで(笑)
しかしこの二羽、その後は姿が見えません。過去の例からフラッと帰ってくるかもしれませんが、1月中旬が早々と終認になるかもしれません。
撮影日時・場所:シノリガモ雌 2018年1月13日 福津市津屋崎
(2018-02-12掲載)
渋田 朗 2018-01-13
お年玉の次は『誕プレ』の話題を…。はい、『誕生日プレゼント』の若者言葉ですね(笑)
私事で恐縮ですが、私は1並びの1月11日が誕生日というおめでたいやつなのですが、毎年この前後には、何かしら嬉しい鳥が見られることが多く、勝手に誕プレと呼んでます。
今年は1月13日の地元探鳥で、全般に低調だなぁと残念に思っていた矢先、少し足を伸ばした隣の宗像市の海で、シロカモメ第一回冬羽が見られました。この時期の第一回冬羽は褐色味が抜けてきて、だんだん全身が真っ白な印象になってくる傾向がありますが、この個体も遠目にもすぐに分かる、綺麗な個体でした。
シロカモメは昨シーズンも地元に飛来したものの、あっという間に飛び去ってしまったのですが、今回はかなり近くに浮いたり、頭上を飛びまわったりとサービス精神旺盛でした。思わぬ隣町からの誕プレに感謝♪
しかし、今回もまたこの日限りでした…。海鳥はやっぱり大変ですねぇ。
撮影日時・場所:シロカモメ第一回冬羽 2018年1月13日 宗像市
(2018-01-30掲載)
渋田 朗 2018-01-02
2018年が明けたばかりの、1月2日朝のこと。日頃の探鳥では車で素通りする車道脇に、ぽつんと鳥の姿が…。少し手前で車を停め、双眼鏡で覗いてみると…意外にもタシギでした。そこそこ交通量のある車道脇の、アスファルトの歩道にじっと佇む姿は、なんとも微笑ましい感じ。
幸い前後に車はいなかったので、車でゆっくりと近づいて真横に停めて窓を開け、目があっても…微動だにせず(笑)とりあえず「あけましておめでとう♪」と声をかけて、その場を立ち去りました。地元フィールドがくれた、粋なお年玉に感謝。
撮影日時・場所:タシギ 2018年1月2日 福津市津屋崎
(2018-01-24掲載)
渋田 朗 2017-12-23
12月23日の朝、いつもの地元海岸で、浜辺に集まったウミネコの群れを見ていると、中に一羽だけ妙に小さい鳥が…よくよく見ると、意外な事にミツユビカモメ成鳥でした。
北部九州(特に本土沿岸)では個体数が少ない鳥で、また運良く見られた場合も、はるか沖を飛ぶ姿が何とか識別できる…というケースが殆ど。ウミネコに混じって浜辺に佇む姿は、なんとも場違いな感じです。
しばらくはのんびりしていましたが、他の鳥に気を取られているスキに飛び立ってしまい、その後も沖を飛んでいないか注意してみていますが、この姿は見つかっていません。はるか沖合に帰っていったのでしょうか。
ところで、昨年も12月25日にこの浜辺に珍しいシロカモメが飛来し、それを皮切りに海鳥絶好調な冬になりました。今回のミツユビカモメが、同じように海鳥たちを連れてきてくれるか注目です。
撮影日時・場所:ミツユビカモメ成鳥 2017年12月23日 福津市津屋崎
(2017-12-31掲載)
渋田 朗 2017-10-01,11-18,12-09
農地の規模が大きくなく、葦原も殆ど無い福津市は、冬の猛禽はそれほど多くはありません。常連としてはチョウゲンボウ・ハイタカ・ノスリあたりまでで、コチョウゲンボウ・ハイイロチュウヒ・コミミズクとなると滅多にお目にかかれません。
しかしこの秋〜冬にかけては、10/1という早い時期にコチョウゲンボウが姿を見せたのを皮切りに、この3種がいずれも見られました。1シーズン中にまとめて見られたのは、地元では過去に記憶がありません。この勢いで『猛禽な冬』の到来となるか?!
ただし、いずれも見られたのは一日のみで、翌日にはもう発見できず。ハイイロチュウヒは地元の方が、数週間前に目撃されてますが、同一個体かどうか不明です。
撮影場所:福津市津屋崎
撮影日:
渋田 朗 2017-11-11
地元福津市内には、越冬期にオシドリが安定して見られる場所があまりないのですが、秋の一時期にだけ、毎年のように群れで飛来します。
今年も10月後半ぐらいから、徐々に個体数が増えていましたが、11月11日一気に増えて366羽をカウントしました。どうしても観察できない死角の多い池なので、実際にはもう少し個体数が多かったかもしれません。いずれにしても、地元では過去に見た記憶がない規模の群れです。このような群れは、水面上でも密集隊形をとることが多いですし、一斉に飛び立った姿は迫力満点でした。
ただその後は一気に減り、次の週末にはもう数えるほどの個体数になってしまいました。また来年秋に期待したいと思います。
撮影場所:2017年11月11日 福津市津屋崎
渋田 朗 2017-09-03
これまた少々古いネタになりますが、今年の9月上旬はコルリウィークの様相でした。
コルリは秋の早い時期に通過していると思われますが、潜行性の強さからなかなか観察できず、地元は数年に一度発見される程度でした。
ところがこの秋は9月第一週〜第二週にかけて、何度も決まった場所で観察されました。個体数も多かったのか、二羽の若雄が並んでいる姿や、それとは別に成鳥雄も確認され、最低でもこの3個体が確認できました。
観察できるとは言え、暗い林道でかなりの距離でしたので、撮影チャンスはほぼ皆無でしたが、唯一9月3日に観察できた成鳥雄個体だけは、比較的明るくて近めの距離で観察でき、なんとか写真に収めました。
なんとなく、発見のコツを掴んだような気もするので、来年以降も注意してみます。
渋田 朗 2017-08-19
これも繁殖情報なので、一応繁殖期が終わるまで投稿を待っていましたが地元フィールドで珍しくアオゲラが繁殖したようで、8月中旬〜下旬に幼鳥と親鳥が木々を飛び回る姿が観察できました。アオゲラは意外なほど身近の、ちょっとした木にもやって来ることがありますが、繁殖はなかなかチャンスがありません。
写真は8月19日に、良いところにとまってくれた幼鳥の姿です。もう一人前の姿になっていますが、この日は親鳥が給餌する姿も見られました。ちょうど強烈な逆光で写真にならずに残念…。
(福津市津屋崎)
渋田 朗 2017-06-11
2017年6月11日、英彦山の片隅で
十数メートル先には、あまりにも無警戒に
巣材を口に咥えた、ヤイロチョウの姿
・・・もしや、近くで営巣?・・・
とりあえず、シャッターを切ってはみるものの
思うように、姿を捉えることができない
暗い林の中だから?
理由は多分、それだけじゃない
高揚感は
不思議なほど・・・無い
あるのはただ・・・恐れ
鳥見を始めて間もない頃、こんな話を聞いた
営巣中のヤイロチョウは、極度に警戒心が強く
ちょっと人が近づいただけで、すぐに巣を放棄してしまい
二度とその場所には営巣しない
真偽を確かめる術はないけれど
自然の摂理を壊すかもしれない
その罪深さに、ひとり震撼する
気がつけば、すべては一瞬の出来事で
巣材を口に、林の奥に飛び去る後ろ姿を
惜しむよりむしろ、安堵して見送る
この先は、野鳥のテリトリーですよ
そう言われた気がして
そっとその場を立ち去った
素人カメラマンより、ただのNature Lover
これで、いいと、おもう
渋田 朗 2017-10-01
10月1日の夕方、自宅でくつろいでいるところに、鳥見友達から「電柱にコウノトリがとまってる!」の一報が。消防さながらの緊急出動で、現場へ直行。
なんともはや。。。そこそこ交通量がある道路沿いの電柱に、悠然ととまってます。車はビュンビュンと走り、電柱の真下を歩行者が歩いたり、犬の散歩が通り過ぎても全く意に介さず。(笑)
暗くなりかけて、足環の色がやや見にくいながら「右足:黒青、左足:青緑」ということで、J0094(PDF)という2014年4月21日生まれのオス個体とのこと。
ちなみにこの個体の最新情報では、2017年9月12日には兵庫県出石町桐野の田んぼにいたそうです。
この日は暗くなるまで、この電柱でくつろいでいて、どうやらそのまま塒をとった模様です。聞くところによれば、10月3日までは付近で姿が見られたとのこと。
実はこのコウノトリが滞在した期間は、世界遺産への登録が決まった宗像大社で、ちょうど秋季大祭が営まれた時期にあたります。しかも出現場所は世界遺産の構成要素のひとつ、奴山古墳群にあたる場所です。
これは宗像大社の女神降臨!? いえいえ、オス個体です(笑)
撮影場所:福津市津屋崎 @xy7vt
(2017-10-04掲載)
渋田 朗 2017-09-18
ワシタカの渡りが賑やかな時期ですが、あまりワシタカ観察には向かない、地元フィールドでのお話です。
9月18日の祝日に、いつもの鳥見散歩コースを歩いていると、上空高く小さなタカが1羽。ハイタカ…と思いきや、意外にもアカハラダカの幼鳥でした。
アカハラダカは、この時期に対馬や佐世保などで渡りの大群が観察されることで有名ですが、渡りコースがはっきりしており、コースから外れた福岡ではなかなか姿を見かけません。地元でもピーク時期を中心に気をつけていたのですが、今回が初めての観察となりました。
地元の鳥見仲間で作っている福津野鳥リストも、数が増えてくると新顔がなかなか登場しませんが、今季初の新顔アカハラダカで、リストは291種になりました。地元で300種を当面の目標に頑張ります。
渋田 朗 2017-06-17
ページコンセプトには合わない遠征モノですが、またまた面白いムシクイの研究課題ができました。
6月中旬に「波多野さんと行く、海鳥に出会う旅」に参加し、その途中で一泊した北海道根室市(@q2djk1)での早朝探鳥にて、オオムシクイの囀りを記録しましたが、その後の詳細調査で疑問が生じています。
6月17日の早朝3時半(すでに明るい!)から、風露荘に宿泊したメンバーで周辺を散策した際、やや遠いながら「ジジロ ジジロ」と三拍子で囀るムシクイの声を確認。その場ではオオムシクイと記録したものの、なにかモヤモヤした気分が残りました。
ツアー後に録音した囀りを分析したところ、下記のようにモヤモヤの原因がわかりました。ムシクイの声に詳しい方々数名にも相談しましたが、今のところ結論が出ていません。単にオオムシクイの個体差や地域差かもしれませんが、他にもメボソムシクイやコムシクイを含めた亜種や交雑などいろんな可能性も考えられます。
以下、囀り分析を含めた考察です。
関係種の囀り:三拍子の囀りはオオムシクイの他、メボソムシクイが繁殖地によって三拍子で囀ることがわかっているが、図(04)の様に両者は声紋分析でかなりの差異がある。聴感上も十分識別可能。
今回の囀り:「ジジロ ジジロ(AAB AAB)」パターンであったことから、第一印象としてはオオムシクイに聴こえるが、周波数帯域はむしろメボソムシクイに近く、テンポは両種の中間。さらに、三音節目(AABのB部分)の帯域が広いのは、オオムシクイやメボソムシクイの囀りに見られない特徴で、この囀りから両種のいずれかとは断定できない。
地鳴き:今回は地鳴きが全く録音できなかったのが残念。これらの種はいずれも、囀りの間に地鳴きを挟むことが多く、囀り計6回分の長さの録音に地鳴きが全く無いのもやや珍しい。遠いため囀りしか聴こえなかった可能性もあるが、オオムシクイだとすれば地鳴きは力強く、むしろ囀りよりもよく通る傾向がある。
分布:現在の知見では、メボソムシクイは北海道以北での繁殖は確認されておらず(本州以南での繁殖)、知床半島からサハリン・千島列島・カムチャツカで繁殖しているオオムシクイの方が、分布の視点では可能性が高そう。その場合、北海道の繁殖地は羅臼など山岳地帯であるのに対し、今回は根室市の海岸近くでの記録であり、さらにカムチャツカ方面へ渡る通過個体かもしれない(オオムシクイは北部九州でも6月中旬まで通過が確認でき、根室市ならさらに遅いかも)。
メボソムシクイ上種(メボソムシクイ・オオムシクイ・コムシクイ)は、近年になって分類上の混乱が整理されたところで、まだ研究途上といえるのかもしれません。研究課題としては非常に面白いですが、個人的には「ジジロ鳴き」でオオムシクイと言い切れない例があったことに、少々ショックを受けています(笑)。
野鳥の世界はまだまだ奥深いです。
渋田 朗 2017-07-16
7月16日の朝、地元の低山を歩いていると、賑やかに飛び回るサンコウチョウ一家に出逢いました。成鳥の雄雌ペアに、まだ尾羽も短い巣立ち雛が3羽くっついて、昆虫などの餌をもらっていました。暗い杉林の中、高いところを目まぐるしく飛び回るので、シャッターチャンスはほとんど無し(泣)。繁殖期のサンコウチョウは、真上の高いところを飛び回る姿を追うことが多くて、首が疲れます。唯一、雌個体が割と低い場所に止まった時に、証拠写真だけ撮れました。
今回面白かったのは鳴き声です。主に写真を撮った雌個体が鳴いているようですが、ギッという地鳴きをリズミカルに繰り返していました。途中、まるでツバメの雛が餌をねだるような声も出してますが、これも成鳥雌のようでした。どちらも繁殖期特有でしょうか。録音ではバックで小さく聴こえるのが、巣立ち雛の声のようです(私の足音なども入ってますがご容赦を)。
今回の場所は、地元でも探鳥場所としてはほとんど知られていない場所です。このようにサンコウチョウは、意外と身近な低山で繁殖しています。杉林のような場所を好むので、ぜひご近所で「穴場」を探してみて下さい。
渋田 朗 2017-03-09/11
やや古い話になりますが、今年の3月に地元でちょっと変わったハヤブサが見られました。
3月上旬〜中旬の間、大体決まった一帯の電柱を塒にして、夜明け前に飛び立って行く姿が見られました。一方で日が高い時間帯にはなかなか見られず、たまに目にしてもすべて飛んでいる姿でした。
この個体は一年目の幼鳥個体で、胸から腹にかけては、通常の亜種ハヤブサ幼鳥のような明瞭な縦班ではなく、遠目に見るとベッタリと暗色に見えます。近くから見ると、非常に太い縦班というか、細かく斜めに交差するような感じの班です。また頬の白い部分にまで班があるのも特徴です。
デジスコで狙う距離で観察できるのですが、観察できる方向が固定されているのと、いかんせん夜が明ける前に飛び立つので(しかも日に日に早くなる傾向)、十分な写真が残せませんでした。
3/20を最後に、夜明け前にも姿が見られなくなりました。
この鳥の正体をしばらく調べていたのですが、カナダ西部〜アリューシャン・千島列島に生息する亜種オオハヤブサ幼鳥の可能性があります。その場合は雄個体ではないかと思われます(大型の亜種とされているが、特段大きい感じがしない)。
亜種オオハヤブサについては、国内でも冬季に時々飛来情報があるものの、幼鳥の特徴まではなかなか国内の図鑑に明記されていません。調べた限りでは以下のような状況です。
できれば、亜種オオハヤブサの詳細検討文献か、北米のハヤブサ専門図鑑で調べてみたいものですが、今のところ入手できていません。気長に調べてみようと思っています。 新潟県の個体のように、何年か続けて飛来してくれると良いですね。
参考文献
渋田 朗 2017-07-01,30,08-05
前回投稿で「眼中になし!」と書いて思い出しましたが…
地元の小さな川では、堰になっているところが絶好の採餌ポイントらしく、サギ類を中心によく待ち構えているんですが、今年の夏はササゴイ成鳥をよく見かけました。近年は減少が著しいと思っていたササゴイ、こんなに頻繁に見たのは久しぶりです。
この川は道路のすぐ傍を流れており、堰の部分で待ち構えていると、歩道からすぐ見下ろせる場所になります。10m以下の距離で見下ろしていても、まさしく「眼中になし!」な感じで、ひたすら餌を待っています。
8月5日にはこの場所で2羽を見かけました。近隣で繁殖しているのかもしれませんが、この2羽は突っかかったり牽制したりで、ペアかどうかは微妙な感じでした(笑)
あと、尾羽をパタパタしながら獲物を待つ姿が可愛かったので、ちょっと動画にも撮ってみました(朝日で露出が厳しいです)。サギ類の尾羽パタパタは、ちょっと珍しいような気が。
(2017-08-08掲載)
渋田 朗 2017-07-22
秋の気配が感じられる一方で、7月の下旬になっても、お相手が見つからなかった?ホオジロが、雌に猛アピール姿がみられます。
精一杯胸を張って、アピールポイントである喉の白い部分を見せながら囀りますが、雌の方はイマイチ興味が無いようで無視、つれなく雄の背後に(笑)
生存競争は厳しいですねぇ。。。
(2017-08-06掲載)
渋田 朗 2017-07-08,15
「梅雨が明けると、野鳥の世界は秋」と言いますが、今年の秋は随分早く訪れたかもしれません。
2017年7月8日 福津市津屋崎の溜池(@xy7vt)
2017年7月15日 福津市津屋崎の農地(@wy7vt)
これから山野の鳥ではコサメビタキ、農地ではタカブシギやコチドリ、それにオオジシギなどが見られるシーズンになってきますので、目が離せません。
(2017-07-18掲載)
渋田 朗 2017-04-16
福津市・宗像市の海岸で、絶好調だった冬の海鳥シーズンもそろそろ終盤。海鳥たちの数が減っている中で、オオハムやシロエリオオハムはかなりの数がまだ沿岸に居て、数十〜数百の群れが見られることもしばしばです。
遅くまで多くの個体が残ってくれたおかげで、4/15にはなかなか見られないオオハムの綺麗な夏羽が、近距離で見られました(動画、写真)。冬羽は地味な本種も、繁殖羽では結構華やかになります。あいにくの曇天で、前頸の緑色光沢まではよく見えず残念でした。
渋田 朗 2017-04-01
先日の亜種ホオジロハクセキレイに続いて、4/1には地元・福津市で亜種タイワンハクセキレイが確認できました。この亜種は地元では4月中旬〜GW辺りで見かけることが多いので、4/1はかなり早い飛来になります。
渋田 朗 2016-05-12
久しぶりに鳴き声のお話。一年前の録音ですが、その後の分析で気がついた事を報告します。まだ文献などで、この件は見たことがありません。
センダイムシクイの地鳴きは、「フィッ」と聞こえる声が一般的なのですが、2016年春のシーズン中に二回だけ、「チヨチヨビー」の囀りのインターバル部分に「ジッ」と聞こえる地鳴きを発する個体に遭遇しました。5/12に録音した音声と、サウンドスペクトログラム(左上図、クリックで拡大・縮小、ドラッグで移動可)をご紹介します。
センダイムシクイ / (32秒:mp3 2016-05-12 福津市津屋崎 @0y7vt)
その地鳴きをじっくり調べてみると、メボソムシクイの囀り「ゼニトリゼニトリ」のインターバルに入る地鳴きに、とても良く似ています。比較用データは、たまたま前日5/11に録音できたメボソムシクイの声です。センダイムシクイよりやや力強く、周波数帯が若干高いものの、フィールドで単体で聴いて識別するのはかなり難しそう …
メボソムシクイ(比較用) / (45秒:mp3 2016-05-11 福津市津屋崎 @0y7vt)
そう、春は囀りが中心であまり心配ないのですが、問題は秋です。
以前の記事(秋のメボソムシクイ近縁種の渡り)でも触れましたが、メボソムシクイは実は北部九州ではかなりレアな種で、特に秋はまだ一度も確認できたことがないので、メボソムシクイの地鳴きが聞こえないかは常に気にかけています。
ですが、もしセンダイムシクイが、秋にもこの地鳴きだけを発することがあるとしたら、これは要注意ですね。
引き続き調べたいと思いますが、これから春のシーズン中、センダイムシクイの声を聴く機会は多くなりますので、気にかけていただけると幸いです。
※ヒストグラム画像はいずれもRaven Pro(Mac OS X、TheCornellLab of Ornithology)からキャプチャーし掲載しました。
渋田 朗 2017-02-25,26,03-18
今回ばかりは、そのシーンを動画に収められなかったことが悔やまれます(笑)
2/25に地元福津市の農耕地を車でゆっくり廻っている時、舗装された農道の端にチョウゲンボウが立っているのが見えました。
距離をとって車を停め、しばらく様子を見ていると、なんといきなり幅3m位の農道をダダダッと走って横切りました(笑)。地上でホッピングしている姿は見たことがありますが、今回は二足歩行と言うか、まさに駆け足でダダダッと横切っていった姿に、失礼ながら吹き出してしまいました。写真は横切った後、農道の右端にたどり着いた姿です。チョウゲンボウはあまり地面に降りて行動しない鳥ですが、こんなこともあるんですね。
ところで、この舗装道路に佇む姿も、どこかユーモラスに見えるのはなぜでしょう?(笑)
渋田 朗 2017-03-25
ジョウビタキといえばご存知のように、越冬期には非常に縄張り意識が強い鳥ですが、渡りの時期になるとちょっとした群れが見られることがあります。
3月25日には地元・福津市の小さな林の周囲で、雄3羽・雌3羽の群れを見かけました。といっても、普段から群れをなす小鳥のように、仲睦まじい姿を見せてくれるわけではなく、微妙な距離感を保っています。写真に収めようにも、2羽がやっと画面の両端に小さく写る感じの距離感。まるで普段は激しい縄張り争いをしているので、そばに寄り添うのが気恥ずかしいかのようです(笑)
渋田 朗 2017-03-20
3/20の午後、地元福津市の小さな農耕地で、8羽のムネアカタヒバリを見かけました。越冬期は1羽〜数羽でいることが多いので、8羽の群れは渡りで飛来したか、渡り準備で集まり始めたのかもしれません。
同じ農耕地にはハクセキレイやタヒバリもいましたが、ムネアカタヒバリの個体数が一番多い状況でした。冬羽から夏羽への換羽時期なので、いろんな姿の個体がいましたが、群れになると一羽が飛んだらみんな釣られて飛ぶので、結果的に警戒心が強くなります。小雨も降るコンディションで、撮影はなかなか大変でした。
なお本種は、越冬期にも農耕地帯を注意深く歩いていれば、かなりの頻度で遭遇します。飛び立つときなどに頻繁にチィーというメジロのような地鳴きを発するので、これを覚えていれば探しやすいです。
渋田 朗 2017-03-19
この冬は地元福津市でコチドリ4羽が越冬していましたが、春の渡りシーズンの到来で、この場所のコチドリが一気に23羽に増えました。
前回投稿の亜種ホオジロハクセキレイ同様、コチドリもシーズン序盤戦で渡ってくる『春の使者』なのですが、こちらはすでに繁殖モード全開で賑やかです。
なにかと忙しい春の様子を、動画でお届けします。
渋田 朗 2017-03-12
3/12のお昼頃、福津市の農耕地の一帯に、30羽くらいのハクセキレイが集まっていた中に、亜種ホオジロハクセキレイ雄夏羽が3羽混じっているのを見かけました。過眼線が無い真っ白な顔で、胸や上面の黒とのコントラストがとても綺麗な、春の渡りシーズンの序盤戦に現れる『春の使者』です。
亜種ホオジロハクセキレイは九州では繁殖しているとされていますが、少なくとも近年の当地では、このような典型的な個体は渡りの時期(特に3月)に集中しており、繁殖期には見たことがありません。ただし亜種ハクセキレイの変異個体、または亜種ホオジロハクセキレイとの交雑ではないかとされる、過眼線が殆ど見えないような個体も少なくなく、繁殖期や真冬でも見かける事があり注意が必要です。
ハクセキレイの亜種については、BIRDER誌の2012年10月号や2016年4月号に詳しい解説がありますので、興味のある方は参照して下さい。
渋田 朗 2017-03-04
冬季の探鳥でちょっとマンネリを感じたときなどに、おすすめの楽しみ方です。
北部九州では、冬季に農耕地周辺でミヤマガラスの大群が見られますが、少数のコクマルガラスが混じっていることがあります。特にキャンキャンという甲高い声が聞こえたら要注意。
白黒ツートンカラーの成鳥だと見つけやすいですが、全身黒っぽい幼鳥だと、こんなに大きさが違っても、群れの中から探すのは結構大変です。
一番のチャンスは群れが電線にずらりと並んでいる時で、大きさの違いが一目瞭然で見つけやすいです。それに慣れてきたら、地面に降りている群れの中から探してみましょう。これはなかなか骨が折れますが、良いトレーニングになります。変化が少ない時期にこそ、自主トレに励んで腕を磨きましょう(笑)
地元では毎年数羽が越冬するのですが、この冬はなかなか見かける機会が少なく、3月4日に約1200羽のミヤマガラスの中に、久しぶりに3羽のコクマルガラス幼鳥を見かけました。
#注:図鑑によって白黒の個体を淡色型、全身黒っぽい個体を暗色型としている場合もありますが、ここでは前者を成鳥、後者を幼鳥とする説で書いています。
渋田 朗 2017-01-28,02-04,05
地元海岸では1月28日と2月4〜5日に、2週続けてミツユビカモメが観察できましたが、それぞれの場所は何キロも離れています。どうやら魚群を追い回して、広範囲を動き回ってるようで、どこに出現するかわかりません。
デジスコでも写真にならないほどの沖合。まして飛びモノですので、証拠写真を残すのももう地獄です(笑)
幸いミツユビカモメの飛翔は、識別点が遠距離でも分かりやすいので、割り切って動画モードで姿を追いかけてみました。全体に淡色で白っぽいのですが、成鳥は翼先端だけが小さな三角状に、第一回冬羽は広げた翼上面がM字模様に黒く、コントラストがとっても綺麗に見えます。動画モードは解像度は悪いですが、スローで動きも残したりもできますし、場合によっては『証拠動画』も有効ですね。
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