波多野邦彦
総目次
波多野邦彦 2020-01-30掲載
今回は少しだけシビアな内容です。
2019年秋シーズン、筑豊支部ウェブサイト「くまたか」に複数の会員の方々からサルハマシギおよびヨーロッパトウネンについての投稿がありましたが、それらの同定は残念ながらどれも正しくありませんでした。
両種ともに個体数が少なく、観察できる機会も少ないために観察者の経験不足・知識不足や思い込みが原因となっていたようです。
サルハマシギについては独断と偏見の識別講座 第3回 Plovers and Sandpipers<小型シギ・チドリ類> 及び探鳥トラバース第45回 シギ・チドリ秋の渡りがピークです! で、ヨーロッパトウネンについては同識別講座 第60回 Waders V でトウネンとの識別について述べていますので参考になさってください。
今回の探鳥トラバースでは、シギ・チドリ類識別の正確なアプローチ方法や考え方を少しでも深めていただければ幸いです。
【画像の見方】小画像をクリックで拡大・縮小、拡大画像は複数同時重ね表示・ドラッグで移動可能、スペースまたは矢印キーで連続閲覧
キャプション(27)〜(37)サルハマシギ ⇒ 全てハマシギ
<キャプション未修正>
<添付画像参照:周囲のハマシギと比較 筆者撮影>
※追加修正(17)(18)アマサギ ⇒ チュウサギ野外識別(Field Identification)
以前、他支部会員の方から、シギ・チドリについて図鑑で猛勉強し準備万端整えた上で干潟デビューしたにもかかわらず、実際にスコープを通して観察してみると目の前にいる種類でさえ、全く理解できず、冷や汗をかいたという経験談をお聞きしたことがあります。たいへん正直な方だと思いますが、皆さんはいかがでしょうか?個体差
同じ種類の中でも雌雄、年齢の違い、換羽状況等によって様々な色彩の個体がいます。からだの大きさや嘴の長さなども様々です。重要なのはどこまでが同一種類の個体差の範囲内でどこからが別の種類になるのかを見極めることです。シギ・チドリ探鳥会
探鳥会開催日をいつにすればいいか?探鳥会リーダーの方にとって頭の痛い問題でしょう?ただ、シギ・チドリ類観察に限って言えば、現在全国各地の干潟の干満時刻や潮高を数か月〜数年先までネット上にある潮見表で正確に調べることが可能です。識別にチャレンジ
添付した画像(No.3116、No.3117)は2019年10月27日、佐賀県東与賀干潟で撮影したものです。どちらも特徴のある嘴は見えませんが十分識別可能です。ぜひチャレンジしてみてください!!最後に
今回、敢えて支部ウェブサイト「くまたか」に掲載された画像についてキャプション毎に解説しました。どれもシギ・チドリ類の識別において正確なアプローチを行うことが目的です。(2020-01-30掲載 第64回)
波多野邦彦 2020-01-22掲載
問題:(クリックで拡大・縮小)
今シーズンは本格的な寒波がまだ来ておらず、暖かい冬になっています。それでもカモ類は順調に増え続け、年が明けかなり安定してきました。ガンカモ調査も始まっているので、目を慣れさせるための軽い準備運動です。ぜひチャレンジしてください!では...
※サイト注:事情により掲載が遅れまして、著者・波多野邦彦様にお詫びいたします。
こども工作教室よりキッチンタイマーを使用しました。(感謝)
(2020-01-22掲載 第63回)
波多野邦彦 2019-12-15
小学校低学年の頃に知り合ったS木君とA村君、二人とも立派な青年バーダーに成長しました!彼らとの前々からの約束で今日は長崎県諫早干拓を探鳥。
筑豊支部の皆様お気づきでしょうか?右側の彼は過去2回お父さんと一緒に筑豊支部英彦山探鳥会に参加し、クマタカを見つけたあの少年です!左の彼はA村君とは同級生。同様に福岡支部に在籍し、現在大学・生研で1年生ながらもリーダー格で活躍中!!二人とも将来を嘱望される素晴らしいバーダーです!!よろしくお願いします。
天候晴れ、気温5℃。北東の暴風がほぼ一日吹き荒れました。晴れてはいるものの冷たい強風が吹きつけます。海上は波高く、潜水ガモやカモメ類はほとんど見られませんでした。また、葦原内の小鳥類観察も同様にかなり厳しい状況でした。
ナベコウはタイミング合わないのか確認できず。
とは言うもののいつもそれなりに楽しめるのが、諫早の魅力です!!
(2019-12-23掲載 第62回)
波多野邦彦 2019-11-30掲載
(2019-11-30掲載 第61回)
波多野邦彦 2019-09-26
今シーズン第3弾!最終回は「シギ・チドリ類の観察のポイントについて」
シギ・チドリ類観察で最も重要なポイントは、「大潮・中潮の潮高の高い日で、潮が満ち始めてから満潮までの時間帯に観察すること」です。
以下に説明します。
(参考)潮汐・潮見表カレンダー(参考:佐賀・住之江)
(2019-09-26掲載 第60回)
波多野邦彦 2019-09-18
前回の探鳥トラバース号外でシギ・チドリ類の観察方法を詳細にお知らせした、<8月中旬から9月いっぱいまでの今の時期は「秋のシギ・チドリの渡りシーズン真っ只中」であることをお忘れなく!!次に潮が良いのは9月13日(金)から19日(木)頃まで、この辺りが今シーズン最大の見どころではないかと思います。>
この週末三連休の間、全国から数多くのバードウォッチャーが佐賀県・東与賀干潟に集まってきました。ここは日本一の干潟です。まだあと3日間は潮の具合が良いのでイケそうですが、筑豊支部の皆さまは現地を訪問されたでしょうか? シギ・チドリ類の経験が浅い方でも現地に居る詳しいウォッチャーに礼儀正しく丁寧に質問しながら一生懸命観察されています。
今週木曜日辺りまでがこの秋最後のチャンスです。くれぐれも観察時間(満潮前の2〜3時間から・もっと早くても良い)をお間違えの無いようにお願いいたします。また、シギ・チドリの観察にはスコープは必需品です。注意事項としては、通常海岸沿いが多いため日影がありません。帽子、長袖シャツ、長靴、日焼け止め、スポーツドリンク等、熱中症対策だけは厳重にお願いいたします。
(2019-09-18掲載 第59回)
波多野邦彦 2019-09-08
猛烈に暑かった夏も終わり、9月中旬から始まるアカハラダカやハチクマの渡りを楽しみにお待ちになっている皆さまも多いことと思います。支部のウェブサイトも最近は野鳥の話題が静かです。
ただ、8月中旬から9月いっぱいまでの今の時期は「秋のシギ・チドリの渡りシーズン真っ只中」であることをお忘れなく!!次に潮が良いのは9月13日(金)から19日(木)頃まで、この辺りが今シーズン最大の見どころではないかと思います。
シギ・チドリの観察方法は、各地の大潮・満潮時刻の2〜3時間くらい前から開始します。そして、狙い目のシギ・チドリに的を絞り、潮が満ちて来るに従って近づいて来るところを集中的に観察する。こういった方法を採ります。
この探鳥で最も大切なのが、満潮時刻と潮高です。勘違いをして干潮時刻に行くと遠浅の干潟のはるか彼方、芥子粒のような鳥影を眺めるだけになってしまいます。また、小潮や長潮の時は潮高が足らず、鳥が近くまで寄って来ない場合があります。潮が満ちて来る時と引いて行く時では干潟に居る鳥の状態が違いますので、満潮時前、満ちてくる時に観察する方がベターです。
この秋はぜひ、お仲間を誘ってシギ・チドリの観察にお出かけください。シギ・チドリの観察にはスコープは必需品です。注意事項としては、通常海岸沿いが多いため日影がありません。帽子、長袖シャツ、長靴、日焼け止め、スポーツドリンク等、熱中症対策だけは厳重にお願いいたします。
(2019-09-08掲載 第58回)
英彦山三昧<ヒコザンマイ>Ⅴ
波多野邦彦 2019-07-06/07
19:51ポイントでオオコノハズクが頭上5mの枝に突然飛来し約1分間とまる。餌を食べた直後か、口をモゴモゴさせていた。その後、背後の林に飛去し、「ワッハッハ」鳴きを一回。英彦山で夏期繁殖個体の姿を確認できたのはこれが初めて。感動だった!
翌早朝、別の場所で03:59オオコノハズクの「キューリー」鳴きを4回確認した。同所では6月9日に「木魚鳴き」も確認している。この夏、英彦山のオオコノハズクにかなり肉迫することができた。残る目標は、営巣木、育雛、ヒナの確認等。
参考資料: 2018-05-26 オオコノハズク「ワッハッハ」@英彦山 (渋田朗氏録音編集)
アオバズクは複数箇所でよく鳴いていた。
以前から観察中のクマタカは昨年ヒナが巣立って以来、この春ごろから出現時間や出現場所が以前と変わってきている。今日はサシバがしつこくモビングを仕掛けてくれたおかげで、しばらくの間クマタカの飛翔を観察することができた。サシバと大きさを比較してください。雄成鳥なのでクマタカとしては小さい方ですがその大きさがおわかりになると思います。(動画を[開|閉]内部に収録)
夜間探鳥は非常に面白く、意外な成果を期待できるが、安全面でリスクを伴うので、十分な準備と装備が必要。
(2019-08-30掲載 第57回)
波多野邦彦 2019-07-14
福岡市志賀島先端にある沖津島はウチヤマセンニュウ繁殖地として知られている。中潮干潮13:59、潮高29cm。条件は良くない。短時間観察を覚悟の上、5名で渡島。
ウチヤマセンニュウは日本、朝鮮半島、中国の一部の離島にだけ生息する世界的希少種。国内では三宅島など伊豆諸島の一部、本州、四国、九州の小島に夏鳥として飛来し局地的に生息する。福岡県では他に宗像市沖ノ島が知られており、島の周囲で多くの個体が繁殖している。
「チュリリrrrrrr、ジュウィ、ジュウィ、ジュウィ」という大きな音量の独特な囀り。
外見はシマセンニュウに似るがやや大きく嘴や脚が太く長くガッシリとした印象。目つきがよりきつく感じる。囀りはシマセンニュウに比べるとやや太い声質でのんびりしたリズム。
過去にはシマセンニュウの亜種ウチヤマシマセンニュウと呼ばれていた。現在は独立種。ここで見るウチヤマは三宅島のものに比べて大きく感じるが、単に至近距離のせいだろうか?
それにしても鳥の居場所の説明がこれほど下手だったとは!当日は反省しきりでした!
※干潮時刻、潮高、潮流、天候、風向・風速、装備、観察時間等全て考慮の上、対応が必要です。
(2019-08-19掲載 第56回)
英彦山三昧<ヒコザンマイ>Ⅳ
波多野邦彦
2019-06-08/09
当日雨降りからの回復が遅れ、天候の状態を見極めながらぎりぎりまで実施・中止を検討しながらの対応だった。結果的に2日間ともに探鳥実施中はくもり・無風(微風)で声を聴く夜間探鳥には絶好のコンディションだった。ヤマガラの会3名の皆さんとチーム編成。各人の探鳥に対する集中力・取組姿勢がとても素晴らしかった。
今回の目標は、コノハズクとオオコノハズクの生声を聴くこと。これまで、個人的にも一晩で両種の声を聴いたことが無かった。別々の場所でそれぞれかなり近距離、クリアな生声を聴くことができた。
コノハズクは英彦山経験上最も近かった。こちらの気配が伝わったのか、5フレーズ繰り返し鳴いただけでその後鳴き止む。オオコノハズクは「ウォッ、ウォッ、ウォッ、・・・」と続けて鳴くいわゆる「木魚鳴き」。約5分間、断続的に4回程度繰り返した。
夜間探鳥は非常に面白く、意外な成果を期待できるが、安全面でリスクを伴うので、十分な準備と装備が必要。
参考資料は2017-06、今回と同じ場所で録音したコノハズク声。
参考資料:コノハズク 2017-06(筆者録音 mp3)
(2019-07-30掲載 第55回)
波多野邦彦 2019-07-08,09
私が住んでいる地域は住宅地ですが、周辺に広大な里山環境が残っており、多くの野鳥が観察されます。今シーズン、幸運にもコチドリの繁殖を観察したのでご報告です。(写真はいずれもクリックで拡大・縮小)
街中の荒地で野鳥が繁殖し、ヒナを育て、無事に巣立って行った。この一連の生命のドラマに気づくことができたのは多分自分一人だけです。他の誰かが立ち止まって観ている場面には一度も遭遇しませんでした。野鳥を趣味にしたおかげで、変化の少ない日常の中で小さな感動を味わうことができました。
(2019-07-25掲載 第54回)
波多野邦彦 2019-05-11/12
渡り鳥を追って離島に通い続けていると、たまに野鳥が渡っていることを実感できる現象に遭遇することがある。
今回は小呂島(おろのしま、福岡市西区)第2弾。
(参照:渡りを肌で実感する探鳥!福岡市西区・小呂島)5月中旬は春の渡り後半。個体数や種類数は望めないものの、珍鳥出現の可能性が高まる。但し、珍鳥が出なければ他種類は非常に少ないギャンブル的な要素が強いシーズンなので要注意。
小呂島に渡りの小鳥を狙って渡島した。海上凪。日差しは強いが空気がひんやりとしている。
キバラムシクイはこの時期の目標種のひとつとしてリストアップしていた。「チュン、チュン」とかなり大きな声。頭の形も僅かに丸味があり、同種の特徴を示していた。顔横1m弱、極至近距離、ブッシュの中にチラリと見えた瞬間、前方の繁みに飛び込まれた。以降、出て来ず、声もしなくなった。最終的な同定にあと僅か一歩届かず!
ムシクイ類はセンダイムシクイ最多、次にエゾムシクイ、最後にメボソムシクイ。キマユムシクイ1、昨春のヒメイソヒヨ?、今回のキバラムシクイ?未だ完全な同定に至っていないが、夢を抱かせてくれる!
ヨタカ個体数多く、5個体を観察、声を録音した(下記再生コントロール)。鳴き交わし、2羽で追いかける、ヒラヒラと舞うような採餌飛翔など様々な行動を確認した。
ヨタカ (2019-05-12 小呂島 MP3)
5月25日渡島時に咲いていたクロバナイヨカズラ(キョウチクトウ科)。福岡県内ではここだけの希少種(品種)らしい。5月下旬から6月上旬が開花時期。野鳥の春の渡り時期終了以降なので注意。
小呂島に観光客が宿泊できる宿は無い。定期船(写真)は曜日で時間が変わるので注意。あくまでも島民の生活のための定期船です。多人数での利用はご遠慮ください。また欠航も多いので海上気象にも注意が必要。
(2019-06-30掲載 第53回)
波多野邦彦 2019-06-17
5月(2019年)の観察サイトにマガモの記載が複数ありますが、画像を見る限りマガモとアヒルを混同されているようです。5/17、/22、/23、/27、/28、6/6掲載のマガモは全てアヒルです。
※画像は観察サイト中のものをトリミングしています。(引用元:マガモ、アヒル)
マガモは通常首に近い背の部分(黄色矢印)が高い位置にあり尾(後方)に向かってなだらかに下がっていきます。尾の下側下尾筒の部分は小さく水面上に僅かに見える程度です。これに対しアヒルは体前部が水中に沈みこみ首に近い背の部分は下がり、マガモの場合とは逆に尾が高く上がってお尻の部分が大きく水面上に突き出て見えます。(赤色矢印)
雄の白い首輪はくっきりとしたリング状(画像ではやや判りづらい)なのに対しアヒルでは不明瞭なものが多く、無いものも多数います。雌の場合、マガモは明るい黄褐色の地に褐色の明瞭なうろこ模様がありますが、アヒルではぼんやりとした不明瞭な色彩のものが多いようです。(ピンク色矢印)また、全般的に頭、嘴やからだの色彩もアヒルはマガモに比べて変異が多く鈍い色をしています(紫色矢印)。
稲作の方法でアイガモ農法というのがありますね。アイガモを水田に放し飼いにして雑草などを駆除する方法です。このアイガモは野生種のマガモと家禽のアヒルを掛け合わせたもので、飛べませんが、一見してマガモとの区別が難しいケースもあるようです。
(2019-06-17掲載 第52回)
波多野邦彦 2019-05-19
本日の目標は夏羽のヘラシギ1種だけなので、いつものシギ・チドリ単独自主目標設定は無し。探鳥時間を全てヘラシギ探索と観察に費やした。5月6日は2羽観察したが今日は換羽が進んだ1羽のみ。
ヘラシギは2000年代に入って減少が急加速し、2010年代には推定繁殖つがい数は、35〜140つがいほどに激減したと言われています。近年、東与賀干拓(佐賀県)の記録も断続的で、昨年秋は2年ぶり、この春は3年ぶりの出現だった模様です。
秋の幼鳥は頭頂と背が黒っぽく、パンダ顔も見えるので見つけやすいが、春の夏羽は周囲にいるトウネン夏羽との差異が僅かなため探し出すのに苦労しました。今日観察に来ているバーダー全員で探します。
頭、顔、頸にかけてすっぽりと頭巾を被ったように赤黒く、暗色小斑が下胸、左右の脇腹まで広がっている。嘴基部に僅かに淡色部分がある。背のV字線は黄色で明瞭。大きさはトウネンよりもやや大きく感じる。嘴を干潟の表面から離さずに常時素早く小刻みに頭を前後させる採餌特徴はトウネンとの差別化に有効。ほとんど休まずにせわしなく動き回る。
探鳥トラバース前号・号外でもお知らせしたとおり、シギ・チドリ探鳥は観察に行くタイミングが重要。5月23日現在、主力の群れはほぼ渡去してしまった。ヘラシギも既にいなくなったと思われる。
今回は「ヘラシギ成鳥夏羽!」です。前回・号外に続き、シギ・チドリ類についての話題。
佐賀・東与賀干潟は現在日本一のシギ・チドリ類観察場所として全国からバーダーが集まって来ています。
地元九州にこんな素晴らしい干潟があるのに筑豊支部の皆さんがほとんど見に行かないのは本当にもったいないと思います。
シギ・チドリ類の識別に自信が無くても、現場には若くて優秀なバーダーが大勢います。事前の勉強は勿論必要ですが、初めての方や経験の浅い方にも親切に説明してくれます。
たまには仲間内だけの集まりから少し離れて、ご自分の見識を広めるのも良い経験になると思います。
春の渡りシーズンは既に終わりました。次は秋のシギ・チドリシーズンです。秋と言っても8月中旬過ぎ頃から始まりますのでご注意!
(2019-05-30掲載 第51回)
波多野邦彦
2019-05-06
シギ・チドリのシーズンがピークです!ということで探鳥トラバース号外です!
東与賀(佐賀県)探鳥の場合は毎回自主目標をシギチドリ類だけで30種に設定しています。この日の最終結果24種。とにかく今回の目標は夏羽のヘラシギ1種のみ。どうしてもあの赤黒い夏羽個体を見たい!と言うことで他のシギをあまり真剣に探していません。他の人に聞くと30種類はいたようです。
大授春のヘラシギは3年ぶり、昨年秋は2年ぶりの出現です。近年は断続的に観察されています。本日観察したのは夏羽への換羽が進行中の赤味のある個体と僅かに赤い斑が出た個体の2羽。夏羽ではトウネンとの差が僅かで発見するのにひと苦労、しかも今日は干潟の群れ全体が何度も飛び立ち頻繁にリセット状態を繰り返したため、九州の猛者たちも苦戦していました。
春のシギ・チドリ類の魅力はやはり美しい夏羽に換羽していること!
トピックスとしては夏羽に移行中のエリマキシギが見られたこと。国内では換羽が進まないまま通過することが多いのでなかなか見られません。他にも胸がオレンジ色、背が黄色と黒のまだら模様のコオバシギ、真っ黒なツルシギなどを楽しみました。
※注意
(2019-05-08掲載 第50回・号外)
波多野邦彦 2018-12-24
「100種超/1地域/1日」を目指す一人バードソン。2018年12月報告。
一人バードソンを意識してスタートするも、好天・祝日は人出が多く、思うように種数が伸びない典型的な一日。今シーズンはまだ強い寒波が一度も来ておらず、海鳥が本格化していない。リストも90種前後で推移中。
タイミルセグロカモメ(taimyrensis)は、セグロカモメとホイグリンカモメとの交雑個体群と考えられていて、様々なタイプが観察されます。基本的な特徴としては、体型はセグロカモメに近い、背の灰色がやや濃い、下嘴の赤色斑が長大で赤色がしばしば上嘴まで及ぶ。頭・顔の褐色小斑がまばらで後頸に偏る。足に黄色味があるなど。タイプは様々です。
カモメ類の背中の色を比較する場合は同じ方向を向いている個体同士を対象とすることが大前提です。同じ1羽でも見る角度によって、薄い灰色に見えたり、黒っぽく見えたりと背中の色が違って見えるためです。
添付した画像1について、AとB(横向き)、CとD(後ろ向き)はそれぞれ同じ方向を向いているので、比較することができます。(注)
前述の特徴から画像1について見てみると、
A=タイミルセグロカモメ、
B=ウミネコ、
C=ウミネコ、
D=セグロカモメ
となります。AとBは背の灰色の濃さが近い色彩です。一方、CとDは明らかにDの方が薄く明るい灰色です。BとCはからだの小ささからもウミネコです。
画像2はタイミルセグロカモメ成鳥の別個体です。左手前のセグロカモメとの違いがよくわかると思います。
セグロカモメとオオセグロカモメの差異についてはご自分で考えてみてください。
(注)写真画像2コマは、サムネイル(小画像)クリックで拡大表示ができます。再度クリックで元の小画像に戻ります。2コマの画像は同時に拡大表示ができ、ドラッグで任意に移動し、重ね合わせて両者を比較することもできます。
(2018-12-30掲載 第49回)
波多野邦彦 2018-09-23
今回、小呂島(福岡県福岡市西区)でモウコアカモズ Lanius isabellinus ♂第1回夏羽と考えられる個体を観察しました。
アカモズ類の識別対象は、アカモズ、別亜種としてシマアカモズ、カラアカモズ、ウスアカモズ、別種としてモウコアカモズ、セアカモズ、チゴモズ等があります。また地域的な差異、異種間の交雑も見られ、識別では非常に悩むことが多い種類です。
モウコアカモズには4つのタイプがあり、isabellinus、phoenicuroides、arenarius、tsaidamensis に分けられます。それぞれ色彩には違いがあり、本件個体はisabellinus(tsaidamensis?)と考えられます。
今回、観察した個体の特徴
以上の各項目について、本件個体はほぼモウコアカモズの特徴に合致していると考えられます。
参考資料:Identification of red-backed, isabelline and brown shrikes (Tim Worfolk)
注意事項:「ニューおろしま」は島民のための定期船です。観光団体客(特に高齢者)は大きな揺れが予想される場合乗れない可能性も。また、船が小型で欠航も多いので海上気象にも注意が必要。曜日で便数変化。島内に宿泊施設はありません。
(2018-11-30掲載 第48回)
波多野邦彦 2016-02-13
「100種超/1地域/1日」を目指す一人バードソン。2016年2月報告。福津市津屋崎。
早朝の天候は荒れ模様だったが、徐々に回復傾向。午前中、途中から100種を目指した。春の渡り、アトリ科やホオジロ科が動き始める時期。このシーズン最終バードソン。
1月23日からミヤコドリ4羽が滞在していたが、この週末が最終確認日となった。背が褐色の若い個体もいて、嘴の色彩もくすんだオレンジ色で先端上部が暗褐色。腮に白い部分が残っていた。砂浜で何を食べているのか気になり、採餌跡を見てみるとサクラ貝などの2枚貝を上手に割っていた。
(2018-10-30掲載 第47回)
識別シリーズ
波多野邦彦
2018-09-30掲載
毎年9月にはカッコウ、ツツドリ、ホトトギス等の秋の渡りを見に行く方も多いと思います。
皆さんご存知の通り、これら3種は梅や桜の木に増える大きな毛虫を好んで食べるようです。
また、成鳥、幼鳥共に姿がよく似ていて、特に秋は鳴かないので最大の識別ポイントの声による同定ができないために識別が難しく敬遠されがちです。
画像は小呂島(2018-09-23 福岡市西区)で観察した渡り途中のツツドリ幼鳥。かなり黒っぽく見えます。
(2018-09-30掲載 第46回)
波多野邦彦 2018-08-27
シギ・チドリのシーズンがピークです!ということで探鳥トラバース号外です!
東与賀探鳥(佐賀県佐賀市)の場合は毎回自主目標をシギチドリ類だけで30種に設定しています。この日の最終結果26種。
8月中旬過ぎからシベリアオオハシシギ幼羽が散発的に見られており、8月末にはカラフトアオアシシギも観察されたようです。あとはヘラシギを待つだけといった状況。
広大な干潟に散らばるシギチドリを遠距離から識別する訓練にはうってつけの場所です。
今回は識別クイズ。右の写真(画像クリックで拡大、再度クリックで縮小)中に何種類のシギ・チドリがいるかおわかりになりますか?考えてみてください。
ヒント 出題者はへそ曲がりな性格です。解答は後日・・・。
シギ・チドリクイズ解答
(2018-09-04掲載 第45回)
波多野邦彦 2018-04-15
オオトラツグミ(mp3)
奄美大島 2018-04-15
オオトラツグミは奄美大島固有のトラツグミの仲間です。絶滅危惧Ⅱ類(環境省第4次レッドリスト)。日本産鳥類目録第7版において、オオトラツグミ Zoothera dauma major は、トラツグミの別亜種とされていますが、近年の研究では遺伝子レベルで全くの別種と言ってよいほどの大きな差があることがわかってきました。英名では既にAmami Thrushと呼ばれています。
トラツグミとの形態的な違いのひとつは尾羽の枚数で、オオトラツグミは12枚、トラツグミは14枚です。また最長上尾筒の羽軸斑がオオトラツグミは黒く、羽縁の輪郭線と併せて逆T字模様に見えることが挙げられます。さらに囀りについて、トラツグミが「ヒョーッ」「ヒーッ」と鳴くのに対し、このオオトラツグミは他の大型ツグミ類と同じく「キョロン、チィー」です。添付音声データの中で「ギョロ」「ギョリロ」などと聞こえるのがこの声です。
トラツグミの仲間は海外にも数種類が確認されており、どれも外見はよく似ていますが、「ヒーッ」「ヒョーッ」と囀るのは、日本の亜種トラツグミだけです。この点については世界的に見ても、亜種トラツグミだけが突出してかなり特異な存在だと言うことができます。
(2018-08-30掲載 第44回)
波多野邦彦 2008-09-20/22
今回は現在国内で最もメジャーな探鳥航路である大洗−苫小牧航路第3弾。
識別講座でも以前ご紹介したとおり茨城県大洗(おおあらい)と北海道苫小牧(とまこまい)間の海上を探鳥します。今回はいつもの往復便と違い苫小牧に一泊。翌朝の出港です。
今回はハジロミズナギドリ1種だけに特化した計画のため、往復路共に観察の可能性が最も高い青森県尻屋崎沖を日中通過するように日程が組んであります。往路はいつもの大洗発深夜便ではなく夕方18:30発便。復路も苫小牧発朝09:15便で青森八戸港着。八戸からは東北新幹線でひたすら帰京します。
ハジロミズナギドリはオーストラリア東部600kmの沖合にあるロードハウ島とその周辺島嶼でのみ繁殖する種類。
今回単発で6羽でしたが、一週間前には約300羽前後の群れが見られたようです。全ての個体が尻屋崎沖で出現し、うち1羽は画像からカワリシロハラミズナギドリと確認されたもよう。
目標種に特化した航路探鳥、9月のこの時期は他にも何が出るかわからないといった魅力もあります。海鳥・命の方はぜひ一度経験されてみてはいかがでしょうか?お勧めです!
(2018-07-30掲載 第43回)
英彦山三昧<ヒコザンマイ>Ⅲ
波多野邦彦
2018-06-17
ツミにはこれまで夏季の英彦山
(福岡県・大分県)で何度か遭遇してきましたが、どれも瞬間的なケースが多く、じっくりと観察したことはありませんでした。(2018-06-30掲載 第42回)
波多野邦彦 2016-04-08,09
(画をクリックで拡大・縮小)
アオジ亜種E. s. soldida ♂第1回夏羽沖ノ島
(2016-04-09観察)
(写真をクリックで拡大・縮小)
沖ノ島(小屋島)シロハラホオジロ♂第1回夏羽
(2016-04-09筆者撮影)
(写真をクリックで拡大・縮小)
小屋島から沖ノ島を望む
(2016-04-09筆者撮影)
今回のリストは沖ノ島の南約1kmの海上に浮かぶ巨大な瀬・小屋島(こやしま)
に一泊し、宗像市環境調査を実施した時のもの。(2018-05-30掲載 第41回)
身近な探鳥:Ⅰ
波多野邦彦 2013-01-20
身近な探鳥シリーズ第1弾。北九州市小倉北区の街中探鳥を紹介。場所は北九州一の繁華街。わざわざ山や海に行かなくても様々な鳥を観察できる!!JR小倉駅から旦過付近 までの過去2年間の記録から抜粋。
ヒヨドリはJR小倉駅前上空を数百m〜km(両端が見えなかった)の帯状になって渡って行った。もの凄い数でかなりうるさい状況だったが、空を見上げているのは自分一人だけだった。
今年はレンジャクの当たり年。さすがに嬉しかった。しかも2回。ケヤキの街路樹に実は無い。虫が付いているのだろうか?レンジャクは春先から繁殖期にかけて昆虫食の割合が増加する。
(2018-04-30掲載 第40回)
波多野邦彦 2018-04-15
波多野邦彦 2001-04-15
野鳥、特に渡り鳥には食べ物と同じように「旬」があります。今ちょうど、コマドリが旬です!ということで、探鳥トラバース初の「号外」です。
2018年3月31日(土) 離島でコマドリ5羽の囀りを確認できました。スマホ録音のため聞き取りにくいかもしれません。周囲のウグイスとメジロの声がうるさいですが、上手く聞き分けてください!
コマドリのさえずり(1分2秒 mp3)
コマドリが春通過するのは4月初旬から中旬にかけて。この半月間だけです。うまく行けば市街地の公園などでも囀りを聴くことができます。ただし、チャンスは薄暗い夜明け頃から早朝の時間帯に限ります。残念ながら、林床の繁った下草の中やブッシュの奥深くで囀るので姿を見ることはほとんどできません。
少し早起きをして、ぜひコマドリの囀りに春を感じてみてください!!先日探鳥会があった小倉藍島などの離島でも朝一番の船で行けば聞くことができると思います。
(2018-04-03掲載 第38回)
波多野邦彦 2018-02-24
地元(福津市津屋崎 )の海岸では冬期、単発ではあるものの様々なカモメ類が観察されます。この日、セグロカモメやウミネコが集まる中、画像のような毛(羽)色の変わった1羽のカモメ類を見つけました。
褐色のうろこ模様やピンク色で先端に暗色部分がある嘴、黒褐色の初列風切・尾などから幼羽または第1回冬羽の個体だと考えられました。
私自身もそれほど多くは、この種類のこの年齢の羽衣を見たことがありません。皆さんもぜひ考えてみてください。回答は15日にこのページで!(ヒント:セグロカモメに比べると二回りりほど小さくほっそりとした体型)
この日は他にも普段見られないカラスバトや今シーズン初めて早くもツバメ1羽が見られました。
(2018-03-30掲載 第37回)
サイト注:著者の問題にぜひ解答をお寄せください。メールフォーム先頭に「カモメ類の識別解答」と記してください(残念ながら景品はありません)。メールはそのまま著者に転送します。
英彦山三昧<ヒコザンマイ>Ⅱ
波多野邦彦
2017-06-03,04
夏山は冬と比較して観察種数が少なくなると言われるが、やり方次第でかなり楽しむことができる。バードソン的見地から考えて、英彦山の夏季目標を今後70種に設定しチャレンジする。(但し夜間探鳥を含む2日間以上許容)別表観察リストを見ても、まだ伸び代がある。どの種類が想定できるかは考えてみてください。
2017年6月ヤイロチョウ繁殖可能性高。ディスプレイ、つがい形成、巣材運びまでを確認した。この時は巣材探しに夢中で腰を下ろしている自分にどんどん近づいてくる。最短1.5mほど、手の届く近さ、息遣いが聞こえそうなところまでやって来た!双眼鏡を握りしめたまま全く身動きとれず。呼吸が止まりそう!!この年、最終的に巣を発見できず、育雛、巣立ちは確認できなかった。
夜間探鳥ではヨタカ、コノハズク、アオバズクの声を確認した。無人録音調査ではオオコノハズクの生息が確認されている。
この後、7月に入り九州北部豪雨に見舞われ、周辺の環境が激変しました。来シーズンの状況が心配されます。
(2018-02-28掲載 第36回)
波多野邦彦 2017-12-18
「100種超/1地域/1日」を目指す一人バードソン。2017年12月報告。(
)
*P10の小さなミラー:初列風切(Primary)最外側羽(10)先端近くにある白斑(ミラー)のこと。カモメ類の識別ではよくつかう言葉なので覚えておくと便利。
メッシュコード:全国を約1km四方に区切って8桁のコードを付した場所同定可能なJIS規格。本表では後半4桁のみ表記。前半に5030を前置補完する。
(2018-01-30掲載 第35回)
波多野邦彦 2017-06-18
北九州・筑豊支部合同の北海道ツアー(波多野さんと行く、海鳥に出会う旅)。落石クルーズ2回、大苫航路1回乗船。海鳥に特化した意欲的なスケジュール。特に大苫航路は参加者全員初体験。目的は初夏に見られる代表的な海鳥が対象。
アホウドリには僅かに時期が遅かったのか出現しなかったが、コアホウ・クロアシアホウ共に多数観察した。コシジロウミツバメは多数出現したが距離があった。
今回は日程及び船便の都合上、苫小牧港から大洗港までの復路のみで利用。苫小牧港深夜1時出港のため夜明け頃には北海道を次第に離れて行く途中。往路は苫小牧到着ぎりぎりまで観察可能なので、できれば往復で利用したい。
筆者は通常、苫小牧−大洗間を往復するだけ<北海道探鳥無し>の探鳥スタイル。探鳥トラバース第22回「大洗−苫小牧航路鳥類リスト」参照
十数時間にわたる長時間の甲板探鳥は体力、気力、集中力の全てが求められるかなり過酷なものだが、大苫航路にはそれだけの苦労が報われる魅力がある!
(2017-12-30掲載 第34回)
波多野邦彦
2017-05-21
渡り鳥を追って離島に通い続けていると、たまに野鳥が渡っていることを実感できる現象に遭遇することがある。
小呂島(おろのしま
(2017-11-30掲載 第33回)
英彦山三昧<ヒコザンマイ>
波多野邦彦
2017-06-10
探鳥トラバース第1回以来、久しぶりの英彦山バージョン。今回の目標はクマタカ。
意外にも英彦山山系では最も頻繁に確認されるタカだ。言い換えれば最もポピュラーな種類。この日、二か所で雄成鳥2羽、雌成鳥1羽を確認した。ある地域では今シーズンに限り、雌は見られず雄成鳥のみが観察されるため、営巣している可能性が考えられる。
クマタカは隔年、または数年に一度繁殖することが知られている。当地域では早春雌雄2羽がダイナミックなディスプレイ飛翔を見せてくれたり、高所を巨木が覆う薄暗い林道内で通常では有り得ないほど頭上すぐ近くにとまっていたり、林冠すれすれを帆翔していた個体が杉木立の中に突然ズボッとダイビングしたりと森林性のタカと呼ばれるクマタカが持つ様々な表情や生態を見せてくれる。
先月のジシギ類識別の回答。チュウジシギ幼羽。比較的やさしい問題だったと思います。
(2017-10-30掲載 第32回)
波多野邦彦 2017-08-26
九州北部では8月中旬頃から10月初旬にかけては、ジシギ類が通過していきます。通常ジシギ類というとGallinago属のオオジシギ、チュウジシギ、ハリオシギ、タシギ、アオシギ、コシギを指します。春秋の渡りの時期は、アオシギとコシギを除いた前4種が識別の対象になります。
からだ全体が褐色の細かく複雑な模様でどれも非常に似ているため、識別がたいへん難しい仲間です。大きさ、体型、羽衣、バランス、嘴形状、目位置・大きさ、飛び方、声など常に総合的な判断とさらに経験が必要。最終的には尾羽の枚数と形状を確認しなければなりませんが、各種枚数には幅があり一部重複しています。
タシギと他3種との識別だけならそれ程難しくないので、この辺りからぜひ勉強していただければと思います。
では問題です。添付画像はどの種類でしょうか?ジシギの識別が得意な方はどうぞチャレンジしてください!因みに私の友人に見せたら秒殺でした。今回がトラバース初めてのクイズ形式、正解は次回号で!
(2017-09-30掲載 第31回)
波多野邦彦 2015-09-12
佐賀県東与賀干拓を観察する場合はシギ・チドリ類だけの目標を30種に設定しています。今回の実績29種、あと1種でした!もう少し頑張っていれば30種オーバーはそれほど難しくない探鳥地です。
東与賀のように非常に多くのシギチドリがいる場合の見方・探し方は・・・、まず他人に頼るのではありません。スコープを一定の速さで一定方向に掃くように探していきます。ずーと見ていって最後までいったら、また最初からやり直しです。これを何度も繰り返します。練習すればスピードアップできます。目標種が視界に入ったところでストップ!!人によって様々な見方をしていると思います。いろいろと試して自分に合った見方を探してください。
東与賀のヘラシギはこのシーズン初。2014秋、2015春に続き3シーズン連続記録。これ以前は4年間7シーズンの間記録されず出現が危ぶまれました。もともとの生息数が2,000羽とも3,000羽とも言われていた種類ですが、ここ数年急激に減少し、推定個体数は200羽程度という話もあります。これは自然界で種を保存していくには程遠い個体数です。
ヘラシギとキリアイのjizzはよ似ています。@胸・腹の下面が純白で黒っぽい上面と明瞭なコントラストが出ます。A脚が黒く長め。これら2点で探すとよいです。あとは顔または嘴が見えるのを待つだけ。こんな探し方もあります。
(2017-08-30掲載 第30回)
波多野邦彦 2016-09-24,25
福岡市小呂島(おろのしま)
は離島フリークとしては外すことができない福岡県内の離島のひとつ。福岡市西区、姪浜から北西に約40km、壱岐北端の真東約20km強の洋上に浮かぶ遠景がちょうど「ひょっこりひょうたん島」のような形をしたかわいい島。(2017-07-30掲載 第29回)
波多野邦彦 2010-04-11/13
ヤンバルクイナは2,3年前から個体数が激減しているようだ。野犬の増加が主な原因らしい。以前はふつうに観察できた安田地区や楚洲地域でも姿を見るのが難しくなってきている。
今回のリストは2010年4月に沖縄本島北部(ヤンパル)を初めて探鳥した時のもので影響は未だ出ていない。
ヤンバルクイナは7個体以上を観察し、声は昼夜を通して北部の様々な場所で確認した。また県道沿いでも運転中に道路端で採餌する個体をしばしば見かけた。
ノグチゲラは時期的に難しいのか、運が悪いのか、声3回、姿は♀1個体を観察しただけだった。
アカヒゲは各所で普通に見られ、特に辺野喜ダム周辺での早朝探鳥では相当数を確認した。
(2017-06-30掲載 第28回)
波多野邦彦 2015-06-14/15
(写真をクリックで拡大・縮小)
ヒメクロウミツバメ調査は9年前、2006年に続き自身二度目の調査。
小屋島のヒメクロウミツバメは数年前、クマネズミ1匹が侵入し一旦絶滅している。ネズミ駆除後、今回再度営巣を確認した。個体数も徐々に増えつつある模様。
リュウキュウコノハズクは偶然営巣木を発見し、声及び巣穴から出てくる♀成鳥を確認した。
島の北東端にある枇榔の木まで初めて行ったが、途中の山道は足元が悪く非常に厳しかった。基本的に道路等の修復はしない方針のため荒れ放題。旧陸軍道路もあと何年かで通れなくなる。鉈で枝を取り払うことも禁止事項のため、林道は全コースにわたり厳しい藪漕ぎだった。
2015年12月25日掲載の宗像市沖ノ島鳥類リストⅠと比較してご覧ください。
(2017-05-27掲載 第27回)
波多野邦彦 2013-04-27/29
昨年(初)に続き今年2017年春期も自然条件下で生まれたトキ同士の営巣が確認された。
このリスト当時(2013年4月)の目標は放鳥トキが初めて自然繁殖した子供の確認。リング無しの個体がこれに該当する。3日間で延べ15個体の放鳥トキを観察した。うち個体識別できたのは6個体。翼の着色と足のカラーリングによって個体識別可能。生まれた年と雌雄の別がわかる。(個体識別一覧表参照)
■参考リンク
(2017-04-30掲載 第26回)
波多野邦彦 2017-01-07
「100種超/1地域/1日」を目指す一人バードソン。2017年1月上旬報告。
午前中、途中から100種を目指したが、99種で終了。二日間あれば100種超は容易だが、一日でとなるとかなり困難。地域の冬季生息状況は勿論、その日の天候、海上の状況、人出予想、干満時間など様々なことを考慮しながらリストアップする。
ビロードキンクロ、アカエリカイツブリ、カツオドリ、ウミスズメ、カンムリウミスズメ等、数年ぶりに海鳥好調。遠く沖合広範囲にかなり大きなナブラ(魚群)あり。カイツブリ類、アビ類、カツオドリ、カモメ類が群がっているのが見えた。今シーズン、海鳥は好不調の波がある。現在はナブラも消失、静かな元の海に戻っている。
当地域は大規模な太陽光発電施設開発工事なども行われているが、100種超のポテンシャルは辛うじて保てているようだ。
(2017-03-30掲載 第25回)
波多野邦彦 2006-01-28
複数の識別ポイントを使った総合的な判断
東京上野不忍池
に10年ぶりにコスズガモが飛来。千葉銚子のカモメ類と併せライファー狙いで上京した。この日は蓮池で寝てばかりいて、起きてくれたのは15分間程度だった。発見時も寝姿を見つけ、識別した。(2017-03-03掲載 第24回)
波多野邦彦 2014-01-10/13
冬季初めての八重山諸島。一年を通していつ訪問しても楽しい探鳥を満喫できる。
国内5例目のジャワアカガシラサギに遭遇。アカガシラサギ冬羽に酷似すると書いた図鑑もあるがそこまで似ているという実感はなかった。個体にもよるのだろうか。発見時は牧草から頭だけ出していたが、ワンテンポ置いてジャワ?といった感じだった。
各ポイントを車で移動。撮影を中心とした探鳥。歩きはほとんどなし。繊細な探鳥までは実施していない。
(2017-02-03掲載 第23回)
波多野邦彦 2012-06-09/10
北海道・海鳥ツアー企画記念号。この機会に海鳥をぜひ勉強しましょう!
いつもは「観察リスト」([開|閉]ボタンで開く)のようにフェリーでとんぼ返りをする。北海道上陸は夕食と買い物で夜の2〜3時間程度。目標はアホウドリ。時期的には3月〜6月が観察に適したシーズン。太平洋岸を北上する個体を狙う。
アホウドリは岩手県宮古沖がポイント。出現場所は往路復路ともにほぼこの周辺海域。2日間を通して2,3年目の幼鳥(チョコレートブラウン)を5羽、7,8年目の亜成鳥(ほぼ白色)1羽を観察。淡いピンク色の巨大な嘴はかなり離れた距離でも識別可能と思われる。
ハイイロウミツバメは第1日目夕方北海道沖で船に接近する。第2日目も北海道沖。小群でいることが多い。
気候は寒くはないが、フリースorダウンジャケットの上に上下雨具のスタイル。薄手手袋あるとベター。
※2012.06.08-10大洗−苫小牧航路リスト(PDF)
(2016-12-26掲載 第22回)
波多野邦彦
1981-03-16
手前味噌になりますが、1983年4月「野鳥」誌・フィールドノート特集号に掲載された北海道・霧多布探鳥行。野鳥イラストだけでなく、周辺地図や感想など様々な情報が書き込まれているというのが採用の理由でした。
私のフィールドノートも現在26冊目。37年間の鳥見情報その他がたっぷり詰まった自分だけのお宝です。一度は登山中に落としてしまいましたが、心ある山ガール?に運よく拾われ、手元に戻ってきたこともあります。
皆さんはフィールドノートをつけていらっしゃるでしょうか?きれいに書く必要はありません、メモ書き程度でOKです!私の地元探鳥パートナーは現場でスマホにチョコチョコとメモ入力しています。便利になったものです。
手書きのノートなんていまどき時代遅れだろうと言われそうですが、後々何かと役に立ちます。識別では画像以上にメモ(声や行動など)の方が有効だったりすることもあります。
(2016-11-29掲載 第21回)
波多野邦彦 2001-09-23
秋、タカの渡りを見に行く場合、ワシタカ・ハヤブサ類だけで10種を目標にしています。この10種、オオタカやアカハラダカなど、少し気の利いた種類を確認しないと達成できません。
北九州市門司区・風師山(かざしやま
(2016-09-21掲載 第20回)
波多野邦彦 2008-08-23
今回は様々な識別方法の中からひとつをご紹介します。
この日は珍しくベストな時間に現地到着できませんでした。既に潮が引き始め、潮線上にシギチドリが集まってどんどん沖合に離れていくところでした。残された時間があまり無い中で目標のシベリアオオハシシギ幼鳥を探さなければなりません。しかも逆光気味でどれもやや黒っぽく見え、色彩はあてになりません。
ここでどうやって探し出せばいいのか?・・・・私の友人は「採餌中のからだの角度」で見事に探し当てました。シベリアオオハシシギは長く直線的な嘴と少し長めの足を持っています。この嘴を根元まで泥中に深く差し込んで採餌する習性のため、姿勢が他の種類と比べてかなり急角度、つまり前のめりの姿勢になるのです。勿論これはシベリアオオハシシギだけにしか通用しない識別方法です。でも凄い探鳥技術だと思いませんか!不断の丁寧な観察があって初めて気づく高度な識別技術だと思います。目からウロコの経験でした。
※大授搦(だいじゅがらみ)の搦(からみ)とは有明海沿岸での干拓地の呼び名です。
(2016-08-25掲載 第19回)
波多野邦彦 1980-06-07
霊園・墓地シリーズ。今回は希少種の貴重な繁殖地としての都市公園をご紹介します。都立多磨霊園。東京都府中市の東部にある面積128ヘクタール、最大規模の都立霊園です。海外の森林墓地を参考にして作られたわが国最初の公園墓地で歴史上の著名人も数多く祀られています。過去には国内有数のチゴモズの繁殖地として知られていました。※現在は繁殖していません。
この日は早朝から日差しが強く、蒸し暑く、外にいるだけでたいへんな天候でした。霊園探鳥で気を付けることは日陰が極端に少ないこと。目標のチゴモズは午後になってもなかなか出現しませんでした。諦めかけたまさにその時、頭上から「ギチギチギチ・・・」という声が降り注いできました。汗だくの顔を上げるとペアが見下ろしていました。熱中症という病名がまだない時代、炎天下5時間30分、猛暑との格闘でした!
チゴモズは現在激減し簡単に見ることができない種類になってしまいました。越冬地(タイ、カンボジア、マレーシア、インドネシア等)の大規模な環境破壊が原因ではないかと考えられています。
※都立多磨霊園(
ストリートビュー:右下の黄色い人形を地図上にドラッグ&ドロップで、園内を散策できます)(2016-07-29掲載 第18回)
波多野邦彦 1985-06-11/15
自身二度目の南西諸島遠征。本格的に探鳥を始めて数年、このリストからはまだまだ雑な探鳥をしていることが解ります。
西表島・祖納(そない)の集落で全身が明るい黄緑色、多数の白斑があるヒタキ類の幼鳥(巣立ち雛)を見てかなり驚きました。リュウキュウキビタキがまだほとんど知られていなかった時代です。
後で読んだのですが、岩本久則さんの著書「閑話キューソク」にもUFOではなくてUFB(Unidentified Flying Bird 未確認飛行鳥)として確か白黒写真と記述があったように記憶しています。リュウキュウキビタキ
Ficedura narcissina owstoniは現在キビタキの亜種ですが、今後別種になる可能性もあり、注目種です。
(2016-06-27掲載 第17回)
波多野邦彦 2013-01-20
波多野邦彦 2009-09-11/16
今回の目標はクビワオオシロハラミズナギドリ。他珍ミズナギドリ類およびメグロ、オガサワラノスリ、アカガシラカラスバト等小笠原固有種・固有亜種の確認。
クビワオオシロハラミズナギドリは父島周辺海域で2羽を確認することができた。
オガサワラヒメミズナギドリ Bryan's Shearwater (「第8回 Shearwaters」に詳細記述)に遭遇できたのはおそらく鳥見人生最大の幸運だった。この3年後、2012年2月に新種として発表され、その後2015年2月父島列島の無人島・東島で初めて営巣が確認された。
アカガシラカラスバトはこの時点で確認されていた個体数は母島20羽程度、父島6羽、弟島不明でした。つまり世界中で30羽弱しかいなかったことになります。
第1日目洋上に群れ飛ぶオオミズナギドリが第2日目朝にはオナガミズナギドリにそっくり入れ替わってしまうのがこの航路の面白いところ。オオミズナギドリは二日目には”珍鳥”に変わる。
外洋航路の海鳥観察は以前にも紹介したが、日が昇って沈むまで、日の出前見え始めてから日没後見えなくなるまで甲板上で観察する。個人的には日中トイレ以外はずっと甲板上で観察している。食事もパンやカップめんなど甲板上でとる。風呂は日没後船内コインシャワー。
東京−父島間は世界自然遺産に登録された影響もあり、観光客が非常に多く、寝る場所(毛布一枚分)を確保するのも難しいほど混んでいる。硫黄島三島に向け父島を出港すると乗船客は硫黄島戦没者慰霊の方々と鳥屋だけになり快適に過ごせる。
エリグロアジサシの記録に関して自ら確認することもなく「域外」と言った他グループメンバーがいたが、こと海鳥に関してこの「域外」はほとんど意味をなさない。
(2016-04-28掲載 第15回)
波多野邦彦 1981-06-06
都市公園シリーズ。東京都練馬区・石神井(しゃくじい)公園(地図 現地写真 園内を移動可能)は西武池袋線沿線の閑静な戸建住宅地の中にあり、市民の憩いの場になっている。井の頭公園、善福寺公園とならび武蔵野三大湧水池として知られている。
石神井公園内にある三宝寺池及びその周辺は早稲田大学生物同好会鳥班が1961年から現在まで55年以上にわたり毎月2回の調査を継続中であり、ほぼ5年ごとに「三宝寺池周辺の鳥類」として調査結果をまとめている。
調査方法は基本的にロードサイドセンサス法を採用し、終日カウント時は併せて定点観測を採用している。
都市公園に集まる野鳥の魅力がぎっしりと詰まった一冊(非売品)。自身初めてのサンコウチョウを都内の公園で見るとは予想外だった。珍しく樹木の頂上枝先にとまり、しばらくの間囀っていた。
(2016-03-25掲載 第14回)
波多野邦彦 2001-04-18
市街地の中にオアシスのように点在する都市公園は街中を通過する小鳥たちにとっても休息の場となっていて探鳥に向いています。特に春秋の渡り鳥や越冬する小鳥などは、遠くの山や探鳥地までわざわざ探しに行かなくても街中の「プチ探鳥」で十分に堪能できます。そんな都市公園の魅力を順次ご紹介していきたいと考えています。
夜宮(よみや)公園は北九州市戸畑区のほぼ中央、市街地の真ん中にあります。整備された日本庭園や菖蒲園で有名です。(地図、現地写真)
4月に入ると、一般に夏鳥と呼ばれているヤブサメ、コサメビタキ、キビタキ、オオルリなどが既に渡ってきています。3月下旬から4月上旬頃にかけてのこの時期は、冬鳥、夏鳥両方を観察できるお得な時期でもあります。キマユムシクイには春秋に通過する渡りのものと越冬するものに分けられます。別表(観察リスト)は晩秋からの越冬個体としての記録です。
公園によっては繁みが多く、見通しが効かないところもあるので、防犯上注意が必要。女性は必ず同伴者と一緒に行くこと。
(2016-02-28掲載 第13回)
波多野邦彦 1997-12-14
1997年12月14日(日) 14:30〜17:30 晴れ 南微風 気温12℃
チュウヒ、コミミズクなど猛禽類に狙いを絞って、午後遅くから短時間観察した。ワシタカ・ハヤブサ6種+コミミズクの計7種類の猛禽を観察した。オオタカ、ハイイロチュウヒ等も観察頻度は高かった。
今津干拓は中津市の郊外、東側約6kmの地点にあり、東西約1km、南北約1.5kmのコンパクトな探鳥地だった。畑、水田、アシ原、クリーク、ブッシュ、堤防外は豊前海など多様な環境があり、周辺も里山が広がっていた。残念ながら現在はダイハツ(株)中津工場に変わっている。社宅から車で10分程度だったため、頻繁に通った。ふだんの観察者も知人1〜2名程度でゆっくりと観察できた。魚市場前の山国川でシロカモメ成鳥1羽を観察した。
(2016-01-27掲載 第12回)
波多野邦彦 2006-04-29
2006年4月29日(土) 曇り時々雨後晴れ 微風 14℃⇒21℃ 波高1.5m⇒2.0m
今回の目的はカンムリウミスズメの繁殖調査。
沖ノ島(福岡県宗像市)の沖合1kmにある小屋島に渡る。成鳥2羽と巣穴中の鳴き声数羽、また孵化直後と思われる卵殻数個を確認した。一泊二日の予定だったが、海が荒れたため一日目深夜23時頃に帰港した。海中に首までつかる禊(みそぎ)を行ったが、時期的にまだ非常に寒かった。
渡りの時期だけあって面白い種類が見られた。緯度的には対馬の真東に位置しており絶海の孤島であるため、複数回行くことができれば興味深い結果が得られるはず。下記リスト中、スズメはかなりの珍鳥。島ならではの鳥相。
(2015-12-25掲載 第11回)
波多野邦彦 1981-06-20/26
1981年6月20日(土)〜26日(金)
山シリーズ今回も日本百名山のひとつ山形県朝日連峰。峰々が連なる雄大な山容が魅力。最南端に最高峰大朝日岳(標高1,871m)が聳える。
イラストは連峰最北端に位置する以東岳から望む広大な連峰縦走路、最高峰大朝日岳までの大展望。1981年同好会夏合宿を実施。今回のリストは6月下見で朝日連峰を縦走した時のもの。北側に月山、鳥海山、南側に飯豊(いいで)連峰、遥か彼方西方日本海にに新潟県佐渡も見渡すことができた。
巨大なブナ林、背丈が2mもあるフキ、大きなミズバショウ、70cmもあるタキタロウ(巨大イワナ)など、まさしく豊饒の大地。全ての生き物が巨大で太古の大自然そのまま。山麓を覆う巨大なブナ林で飲んだ湧水が人生でいちばん美味かった。植物では淡いピンク色をした可憐なヒメサユリが記憶に残っている。
(2015-12-01掲載 第10回)
波多野邦彦 2015-05-22
2015年5月22日(金)
宗像四塚(むなかたよつづか)は、宗像市北部を南北に縦走する四つの山塊の総称。南から北へ、城山(じょうやま)、金山(かなやま)、孔大寺(こだいし)山、湯川(ゆがわ)山の四山が連なる。連山といっても稜線で繋がっている訳ではなく、ひとつひとつの独立峰が一直線に並んでいるイメージ。
縦走は4つの単独峰を立て続けに一日で登り下りするので体力的にも非常にキツイ。今回は持久力確認のため試行。タイムトライアルをぜひやってみたい!
今回は地元ネタ。筑豊支部の山男、山ガールの皆様、天高く馬肥ゆる秋!ぜひ宗像四塚(よつづか)縦走にチャレンジしてください!!
(2015-10-26掲載 第9回)
波多野邦彦
1990-11-11
“一人バードソン”の原点となった一日。自分自身の鳥の見方もこの日を境に大きく変わった。リストからは種数や珍鳥を追ったわけではなく、たいへん丁寧な探鳥をした結果であることがわかる。
ニール氏は当時まだ20歳代。英国のバーダーでこの時は来日直後。この日初めて偶然にお会いし一日同行した。豊富な知識、素晴らしい集中力、瞬間的な識別の速さ、且つ非常に丁寧な見方などどれをとっても本場仕込みのバード・ウォッチングは凄かった。その後、数年にわたり福岡に居住した。当時彼はまだ日本語を話せなかった。学生時代に野鳥の英名を覚えておいたのが大層役立った!!
今津は現在、環境が大きく変わっており、「100種超/日/一探鳥地」の種数をカウントするのは困難。
(2015-10-01掲載 第8回)
波多野邦彦
1980-07-11/14
山シリーズ今回も日本百名山のひとつ。岩手県の中央に聳える早池峰山(はやちねさん)標高1,917m。遠景は台形の穏やかな表情を見せますが、実際に登ると溶岩・ガレ場ばかりの険しく荒々しい 山です。「早池峰山および薬師岳の高山帯・森林植物群落」として国の特別天然記念物に指定されています。
高山植物の宝庫として有名で、固有種であるハヤチネウスユキソウが群生しています。国内に数種類あるウスユキソウの中でも最大種でエーデルワイスに最も近縁といわれています。今回の山行はこのハヤチネウスユキソウが大目標。野鳥よりも高山植物優先の旅は後にも先にもこれ一回きりです。リスト以外にもたぶんたくさんの花を見たと思いますが記録に残っていません。
当時早池峰山はノゴマの巣立ち雛が確認されており、繁殖の可能性があるといわれていました。ここから約1ヶ月の間に早池峰山、北アルプス穂高連峰、新潟県谷川連峰を登っています。
植物は素人ですのでもし名前が違っている場合はご指摘ください。
野鳥リストの並びは日本産鳥類目録第7版に準じています。
(2015-08-28掲載 第7回)
波多野邦彦 1980-07-30/08-10
記録が古すぎて今では役に立ちませんが、いろいろな探鳥があることをご紹介したいと思います。
山シリーズ第1回目は日本を代表する百名山のひとつ群馬県と新潟県に跨る谷川連峰。主峰谷川岳は標高1,977m。ご存じのとおり双耳峰(そうじほう)でトマノ耳・オキノ耳と言う二つのピークを持っています。一ノ倉沢(いちのくらさわ)はロッククライミングにおける国内有数の岩場です。大学同好会の自前の山小屋がJR土樽駅近くにあり、年間を通してよく利用していました。
1980年夏合宿が実施され、長期間滞在。今回のリストはその時のものです。確認種数は合計48種と普通ですが、内容はかなり面白いと思います。イヌワシ、クマタカ共に山小屋から最も近い荒沢、蓬峠で観察しました。豊かな自然だったのでしょう。
当時は関越自動車道開通前で、自分の卒業後、山小屋の目の前に巨大な高架が建設されました。通常九州では冬鳥のヤマシギ、ルリビタキ、ウソ、アオジ、クロジもここでは繁殖個体です。
山にもいくらか登っているので、追々ご紹介していくつもりです。
(2015-07-27掲載 第6回)
波多野邦彦 2015-06-05/06
6月5日(金)、6日(土)伊豆諸島・八丈島航路に乗船して来ましたのでご報告いたします。
第1日目深夜22:30に東京・竹芝桟橋にて乗船開始、すぐに就寝。翌早朝04:30過ぎ三宅島入港辺りから探鳥開始。八丈島には朝08:50頃到着します。港へ上陸し短い休憩。09:40東京に向け復路出発します。一日中海上で探鳥を行ないます。日が暮れて東京・竹芝桟橋到着は19:50。片道フル探鳥約10時間の航路オンリー探鳥です。航空最終便でその日のうちに福岡に帰ってくることができます。
今回、海上の状況は低気圧の影響が大きく、時化と大きなうねり(5〜7m程度)に悩まされました。まともに観察可能だったのは復路のさらに後半2/3だけでした。目標だったクロウミツバメ、オーストンウミツバメは観察最適場所が時化で条件悪く発見できず。何とか、クロアシアホウドリ、シロハラミズナギドリ、ハイイロミズナギドリを観察できました。
今回の東京-八丈島航路は、海鳥のメジャーな航路ではありません。やはり小笠原、硫黄島三島が王道です。ただ、日数・費用はバカになりません。そこで、安近短で最大限の成果があげられないかと考え、八丈島にチャレンジしてみました。たった1回で都合良くよい結果がでるはずもなく、海鳥探鳥の難しさを痛感しました。在京なら条件のよい時を選んで、何度でも乗れるのに、悔しい!チャンスがあればまた乗ってみたいと思います。
海のない筑豊支部、皆様には縁が薄いカテゴリーです。こんな探鳥は誰もやらないと思います!が、もしも物好きな海鳥好きな方がいらっしゃったら、参考になるかもしれませんので一応、ご紹介しておきたいと思います。
(2015-06-13掲載 第5回)
波多野邦彦 2015-03-07
この冬シーズンは福津市津屋崎において1月25日と3月7日の2回実施いたしましたのでご報告いたします。
今回は96種+3亜種、95種+2亜種でした。
何とか100種達成したいのですが、津屋崎の一日のポテンシャルは今のところ95種前後のあたりのようです。
3回目になると冬シーズンの鳥層も何となくわかってきた感じがします。福岡の今津と同じくらい、シギチが越冬していてくれるとイケそうですが無い物ねだりをしてもしょうがない かな?
観察メモ(3月):
(2015-03-27掲載 第4回)
波多野邦彦 2015-01-25
この冬シーズンは福津市津屋崎において1月25日と3月7日の2回実施いたしましたのでご報告いたします。
今回は96種+3亜種、95種+2亜種でした。
何とか100種達成したいのですが、津屋崎の一日のポテンシャルは今のところ95種前後のあたりのようです。
3回目になると冬シーズンの鳥層も何となくわかってきた感じがします。福岡の今津と同じくらい、シギチが越冬していてくれるとイケそうですが無い物ねだりをしてもしょうがない かな?
観察メモ(1月):
(2015-03-27掲載 第3回)
波多野邦彦 2013-01-05
今年1月5日、福岡県福津市津屋崎で「一人バードソン」を実施しましたので、ご報告いたします。
所要時間が9時間におよびますが、途中1時間半はガンカモ一斉調査、1時間は昼食に使っていますので、正味6時間30分です。
※波多野邦彦氏は、日本野鳥の会ふくおかの会員の方です。「一人バードソン」という興味深い試みの結果、極めて貴重な観察リスト「津屋崎鳥類リスト」を作成されました。「くまたか」では特にお願いしてご提供いただきました。ご協力に感謝いたします。(紹介者:有働孝士)
(2013-01-20掲載 第2回)
波多野邦彦 2013-01-03
「くまたか」サイト管理者・有働孝士(紹介者)
波多野邦彦氏は、日本野鳥の会ふくおかの会員の方です。昨年(2012年)12月9日、福岡県川崎町安眞木・大ヶ原(だいがはら)で開催された本会の例会に参加され、大ヶ原にフィールドとして非常に大きな可能性と魅力を感じたといいます。
その直感を検証すべく、今度は単独で再訪し、注意深く探鳥されました。その環境に予想される種をなるべく見落としなく確実に確認するというバードソン的手法を採られたようです。同時に、彦山川流域でも同様の探鳥を行い、両方合わせて観察種数62種という別表の驚くべきリストが得られました。
私は、この観察リストを拝見したとき、豊富な経験と現場感覚、確かな識別力を駆使して観察を極限まで突き詰めると、これほどの種数を稼ぎ、また思いがけない鳥相も見えてくるというひとつの例証ではないかと思いました。「くまたか」のサイト管理者として、ぜひにとお願いし、ここに掲載させていただきました。貴重な資料を快くご提供いただいた波多野邦彦氏に感謝致します。
この驚くべきリストをじっくりとお楽しみいただき、次回大ヶ原を訪れたときは、さらに注意深く観察されるようおすすめします。
(2013-01-16掲載 第1回)
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