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探鳥トラバース2

波多野邦彦

波多野講師による識別講座「独断と偏見の識別講座Ⅱ」別ページにて開講中。類書にない視点から識別の要諦を解説し、特徴をよく捉えた美しい野鳥イラストがフィールドに誘います。

総目次

  1. ヘラシギ成鳥夏羽!
  2. 号外/野生種と家禽
  3. 渡りを肌で実感する探鳥!Ⅱ
  4. 号外/コチドリの繁殖
  5. 英彦山三昧<ヒコザンマイ>Ⅳ 夜間探聴(鳥)ヤタンを楽しむ!
  6. 希少種ウチヤマセンニュウ Styan's Grasshopper Warbler
  7. 英彦山三昧<ヒコザンマイ>Ⅴ 夜間探聴(鳥)ヤタンを楽しむ!
  8. 号外/秋のシギ・チドリがピークです!
  9. 号外/秋のシギ・チドリがピークです!Ⅱ
  10. 秋のシギ・チドリがピークです!Ⅲ
  11. 自然の中の変化を見逃さない!!
  12. 長崎県諫早探鳥リスト
  13. 識別クイズNO.3 カモ類
  14. シギ・チドリ類の識別
  15. 識別クイズNo.4
  16. 号外/ヨーロッパムナグロの識別
  17. 号外/ヨーロッパムナグロの識別 第2回
  18. 号外/ムシクイ各種囀り
  19. 英彦山探鳥リスト
  20. 希少種ウチヤマセンニュウ
  21. カラフトアオアシシギ夏羽
  22. 2020年7月亜種リュウキュウツミ
  23. 亜種リュウキュウアカショウビン
  24. ヒメハマシギ
  25. 佐賀県東与賀ソリハシセイタカシギ
  26. コサメビタキとサメビタキ
  27. カラフトムジセッカ
  28. ナベコウ
  29. メジロガモ ─ カモ類の観察
  30. ナンヨウショウビン
  31. 昨冬シーズンの野鳥
  32. 冬鳥の囀り
  33. 八丈島航路
  34. 地元五目探鳥
  35. 佐賀東与賀干潟
  36. チュウジシギ
  37. センダイムシクイの識別
  38. オオジシギ
  39. コムシクイの識別
  40. アマツバメ類3種
  41. コムシクイの識別2
  42. ハシブトアジサシ成鳥冬羽
  43. ハジロクロハラアジサシ
  44. クロハラアジサシ
  45. アカモズ類の識別
  46. アカモズ類の識別No.2
  47. シギチ・テスト
  48. 秋のカモ類
  49. CFB筑豊フリーバードソン②報告
  50. シベリアジュリン

ヒガラ

【画像の見方】小画像をクリックで拡大・縮小、拡大画像は複数同時重ね表示・ドラッグで移動可能、スペースまたは矢印キーで連続閲覧

シベリアジュリン

波多野邦彦 2021-12-10,11

シベリアジュリンは国内では通常少数が越冬し、また春秋の渡りの時期に離島などで観察されることのあるホオジロ科の小鳥です。
オオジュリンが主にアシ原に生息するのに対し、シベリアジュリンはセイタカアワダチソウやその他雑草等の枯草が茂る草地などを好みます。
この冬シーズン筑豊支部管内では複数羽のシベリアジュリンが越冬、観察されています。
なかなか出遭えない種類です、絶好の観察機会を見逃さないように!!

参考:第70回 Emberiza W<オオジュリン、シベリアジュリン、コジュリン>(独断と偏見の識別講座U)

(2021-12-15掲載 第100回)

CFB筑豊フリーバードソン②報告

波多野邦彦 2021-11-13

今回はマイフィールドとして活動している津屋崎(福津市)地域、久末ダム、多礼ダムなど地元を中心にバードソンを実施した。津屋崎地域は一人バードソンで1日100種超え実績のある探鳥地。
11月に入って暖かく冬鳥の出足も鈍いことから厳しい結果が予想できたが、一応手元リストには100種をリストアップしチャレンジした。
結果は88種だったが、取りこぼしも僅か、また一方カイツブリ類、アビ類、ウミスズメ類、などが未だほとんど確認できていない中でまずまずの結果ではないかと考える。
カツオドリ、チュウサギ、ベニマシコ、クロジなどを今シーズン新たに確認できたが、久しぶりにニシセグロカモメ<亜種ヒューグリンカモメ>幼鳥を確認できたことは嬉しかった。
他に観察地域として志賀島、海ノ中道海浜公園や和白干潟も予定していたが、前述の理由からも中止した。

(2021-11-17掲載 第99回)

秋のカモ類

波多野邦彦 2021-09-17

10月下旬頃からカモ類が次々と飛来しています。
美しい雄の生殖羽の個体はまだ少なく、幼羽⇒第1回生殖羽、エクリプス⇒生殖羽など換羽途中の個体が数多く見られます。
カモ類は静かに水面に浮いていることが多いのでスコープでじっくり観察できます。また飛翔時の翼鏡のパターンなども確認する絶好の機会です。
この時期の個体を詳細に観察することで、特に美しい雄がいなくてもカモ類の識別ができるようになりますので、皆さんぜひチャレンジしてください。

(参照:「第15回 Teals & Speculums <小型カモ類と翼鏡>」独断と偏見の識別講座U)

(2021-11-01掲載 第98回)

シギチ・テスト

波多野邦彦 2021-10-22

シギチ・テスト:写真の中に何種類のシギ・チドリがいるでしょうか?

手前のピンボケはまとめてハマシギ(まず1種)と考えてください。

※写真にマウスカーソルを当てると、その部分の画像が右に拡大表示され、マウスホイールで拡大・縮小します(枠外にまたがって表示されるので、ウィンドウ右横を少し広くとってください)。

2021年10月22日佐賀県・東与賀干潟

に行ってきました。
渡りのピークは過ぎたとはいえ、まだたくさんのシギチドリが羽根を休めたいへん賑やかです。

在宅ワークの骨休めにクイズをどうぞ?

(2021-10-23掲載 第97回)

アカモズの識別No.2

波多野邦彦 2021-09-22

  • ヒガラ

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前回本講座で亜種アカモズについてご報告しました。
それとは前後しますが21年9月22日長崎県五島市福江島で亜種シマアカモズ Lanius cristatus lucionensis 第1回冬羽と考えられる個体を観察しましたのでご報告します。
亜種アカモズと比較していただくと面白いと思います。

本件個体の特徴(2021年9月22日 長崎県五島市)

  1. 背・腰・上尾筒は柔らかい褐色。尾上面は暗褐色。

    頭頂は灰色味強い。

  2. 黒褐色の過眼線。目先は淡色。幅広の淡色眉斑。
  3. 嘴は大部分が淡灰色で太い。長さはふつう。
  4. 頭頂に細く明瞭な横縞模様、背・腰・雨覆い、上尾筒に濃褐色のうろこ模様。

    腹の画像は無いが、薄いクリーム色の地で側頸・下脇腹に暗褐色の細いうろこ模様。

  5. 最長三列風切りから突出した初列風切りの枚数(EPT=exposed primary-tips)は、4枚。

(2021-10-20掲載 第96回)

アカモズ類の識別

波多野邦彦 2021-10-07

  • ヒガラ

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国内で繁殖するモズの仲間のうち、亜種アカモズ Lanius cristatus superciliosus は近年非常に数が減っており、観察の機会も少なくなっています。 アカモズの仲間は亜種シマアカモズ L. c. lucionensis や亜種カラアカモズ L. c. cristatus 等、亜種が多く、また交雑個体も出現するため、識別には注意が必要です。
今回、沖縄で亜種アカモズ第1回冬羽と考えられる個体を観察しましたのでご報告します。

本件個体の特徴(2021年10月7日 沖縄市)

  1. 頭・頸・背にかけて赤味の強い褐色 <実物は画像より赤い>
    尾上面はやや鈍い褐色。
  2. 黒く太い過眼線。細い淡色の眉斑。
  3. 嘴は淡灰肉色部分があり、太く、特に長い印象。
  4. 頭頂には細い横縞が僅かにある。側頸、脇腹に細いウロコ模様。
    上尾筒に目立つウロコ模様。
    (こちらを向かないまま飛去したため、腹側の画像無し)
  5. 最長三列風切りから突出した初列風切りの枚数(EPT=exposed primary-tips)は5枚

※ただし、亜種カラアカモズ L. c. cristatus にも上面の赤味の強い個体がいるため、こちらの可能性もある。
亜種カラアカモズは近年離島などで渡りの時期に観察される機会が増えている。

(2021-10-17掲載 第95回)

クロハラアジサシ

波多野邦彦 2021-09-19

2021年9月19日、地元福津市津屋崎でクロハラアジサシを観察しましたのでご報告します。
この秋シーズンは九州各地でクロハラアジサシの群れが観察されています。数年に一度はこういった傾向があるようです。
九州ではクロハラアジサシがほとんどでその中に僅かですがハジロクロハラアジサシが混じります。もう1種のハシグロクロハラアジサシは滅多に記録がありませんのでここでは除外します。
成鳥夏羽はそれぞれ特徴があります。幼羽、第1回冬羽、成鳥冬羽やその中間羽の特徴につきましては、独断と偏見の識別講座U第29回 Marsh Terns <ヌマアジサシ類>を参照ください。

(2021-10-03掲載 第94回)

ハジロクロハラアジサシ

波多野邦彦 2021-09-21

  • ヒガラ

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2021年9月21日長崎県五島市・福江島

にてクロハラアジサシ群中にハジロクロハラアジサシを観察しましたのでご報告します。
両種は成鳥夏羽では明確な違いがありますが、秋の渡り時期に観察される夏羽⇒冬羽、幼羽⇒第1回冬羽への移行羽は識別が難しく、しばしば混同されることがあります。
今回確認した個体は、幼羽⇒第1回冬羽への移行個体。以下、クロハラアジサシとの比較でポイントを説明します。
便宜的に「クロハラ」と「ハジクロ」で表記します。

  • @ハジクロはクロハラよりも体長で僅かに小さく、嘴が細く短い。脚は僅かに長い。
  • Aハジクロは顔・額が純白で色白のかわいい印象、黒い耳羽が際立って見える。
  • Bクロハラの背には幼羽の黄褐色斑が残ることが多いが、ハジクロは暗灰色。
  • Cハジクロは飛翔時、翼上前縁部分が暗色になった個体が多い。(クロハラにも同部分が暗色の個体が居るので注意。)

他詳細な識別につきましては「独断と偏見の識別講座U\第29回Marsh Ternsヌマアジサシ類」をご参照ください。
今回のトピックスとしてクロハラアジサシとハジロクロハラアジサシ約80羽程の群れが耕地の低空を飛び回り採餌する行動を確認しました。しばしば地上に降りてはケラ、バッタ、甲虫類などを捕らえ空中で飲み込む姿などを観察することができました。
このことは、長距離の渡り途中で川や湖沼など水の無い環境でも適応できることを示しています。

(2021-10-01掲載 第93回)

ハシブトアジサシ成鳥冬羽

波多野邦彦 2021-09-26

ヒガラ

【画像の見方】小画像をクリックで拡大・縮小、拡大画像は複数同時重ね表示・ドラッグで移動可能、スペースまたは矢印キーで連続閲覧

佐賀東与賀干潟、春秋はシギ・チドリ類の渡りの時期です。
東与賀の秋シーズンは8月後半から10月までの中潮・大潮の潮位が高く満潮時530p以上が一応の目安です。満潮の3〜4時間前から観察を開始します。
9月26日は満潮時の潮高がピークを過ぎ、低くなり始める時期にあたりました。<リスト>参照。
春と秋の渡りの時期はシギ・チドリ類以外にも珍しい水鳥が観察されます。
今回はハシブトアジサシ。ユリカモメとほぼ同大の中型アジサシ類です。成鳥冬羽。黒色で太く長い嘴と目の周囲の黒色斑、切れ込みの浅い尾羽などが特徴。飛びながら干潟の表面を掠め取るような採餌方法でカニなどを捕らえます。通常、滞在期間の短いことが多いようです。

コムシクイの識別2

波多野邦彦 2021-09-23

第89回よりも鮮明な画像を撮影する機会に恵まれましたのでご紹介します。ムシクイ類がお好きな方はどうぞ。
勿論、決定打は「地鳴き」です。

(2021-09-24掲載 第91回)

アマツバメ類3種

波多野邦彦 2021-08-31,09-15,18

九州北部では、アマツバメは夏鳥で4月頃渡って来て繁殖し10月頃まで観察可能です。ハリオアマツバメは春秋に通過する旅鳥です。一方ヒメアマツバメは個体数は少ないながらも、局所的な留鳥として1年中観察することができます。
春秋の渡りシーズンはアマツバメ類3種を同時に見るチャンスです。アマツバメの群れが飛んでいるときには、ぜひヒメアマツバメやハリオアマツバメを探してください。
アマツバメとヒメアマツバメは黒褐色の体で腰の部分が白く色彩パターンは似ていますが、飛翔中アマツバメは細長く鎌型の翼と広げると深い切れ込みのある尾が特徴。
ヒメアマツバメはアマツバメと比べて、やや小さく、翼も短く、尾を広げると円尾になります。
ハリオアマツバメは、大きく太い防水型の体型、翼は中央部がやや膨れた特徴的な形をしています。色彩も他2種とは異なり、背が広範囲に銀白色、額・腮・喉と下尾筒が白色です。

(2021-09-19掲載 第90回)

コムシクイの識別

波多野邦彦 2021-09-11

九州北部MFでの秋の渡りにおけるコムシクイは8月下旬から9月末頃まで、オオムシクイは9月中旬から10月末頃まで、メボソムシクイは非常に個体数が少なくワンシーズンに1、2個体を観察できるかどうかといった程度です。

これら3種類は見た目だけでの野外識別は非常に困難で、声(地鳴き)が識別のとても重要な要素になります。
コムシクイの地鳴きは「ジッ、ジッ」、メボソムシクイは「ビッ、ビッ」と通常1音なのに対し、オオムシクイでは通常「ジリッ、ジリッ」または「ジジッ、ジジッ」と2音です(1音に聞こえる場合もあり)。
上記3種の正確な識別には「画像」プラス「声(地鳴き)の録音と分析」が必須です。
画像キャプションでは、一応比較的観察機会の多いセンダイムシクイとの差異を記述しています。

(2021-09-13掲載 第89回)

オオジシギ

波多野邦彦 2021-09-07

地元MFでオオジシギを間近で撮影できましたのでご紹介したいと思います。
渡りの時期、第86回で紹介したチュウジシギとほぼ同じような環境に生息しています。
水浸しの場所よりもやや乾いた畔や耕作地などを好みます。オオジシギ、チュウジシギ、ハリオシギの「ジシギ3種」は外見が非常に似ており、識別がたいへん難しい仲間です。最終的には尾の枚数と形状で識別可能ですが、尾羽根を広げた羽繕いの瞬間をきれいに撮影するのはかなり困難です。
通常は、大きさ、嘴の長さ・太さ、目の位置、眉斑や過眼線の太さ、頭の形、頭側線の色彩、肩羽根や雨覆いの色彩、見えている下尾筒や尾の状態、脚の長さ、声、飛び方、翼下面の色彩など、総合的な判断をします。
各部位に注意しながら前々回のチュウジシギと比較してみて下さい。

(2021-09-08掲載 第88回)

センダイムシクイの識別

波多野邦彦 2021-08-31

ムシクイ類というと開口一番「ウグイスにそっくりでよくわからない」と仰る方がいますが、まずはその先入観を払拭してください。全くの別物です。体型も色彩もウグイスとは全く似ていません。
ウグイスは長い柄(尾)の先に丸味のある褐色のからだが付いている柄杓(ひしゃく)のようなイメージ。これに対し、ムシクイ類は基本的に緑色味があり、短い尾でより滑らかな流線形に近い体型です。中でも今回のセンダイムシクイは全体的に明るい緑色、大柄13cmでスマートな体型です。
ムシクイ類は通常高い木の上でチョロチョロしていて、からだの下側、お腹側が見えることが多いです。
センダイムシクイはお腹側から二つのポイントを同時に押さえるだけで同定可能です。ひとつ目は下嘴の色、二つ目は下尾筒の色です。下嘴が先端まで濁りが無く、きれいな濃黄色をしていること。もう一つは下尾筒がレモン色をしていることです。この二点を確認できれば、センダイムシクイということができます。
もちろん声も聴くことができれば補強材料になります。地鳴きは優しい尻上がりの「フィ」です。
ムシクイ類の識別については今後もお話ししていく予定です。
お楽しみに!!

(2021-09-04掲載 第87回)

チュウジシギ

波多野邦彦 2021-09-02

先日、探鳥トラバース第84回「地元五目探鳥」でオオジシギを紹介しました。これに引き続き渡って来るのがチュウジシギやハリオシギです。
今回、チュウジシギを運よく観察できましたのでご紹介しておきます。
発見のヒントは

  • @水浸しでない場所、
  • A声は「ゲッ」「ガッ」と一声で、鳴かないことも多い。タシギは因みに「ジェーッ」と伸ばす。
  • B飛翔中、翼の下面がびっしりと暗色斑で覆われていること。
  • C翼後縁の白色線はタシギのように目立たないこと。
など。
ジシギのお好きな方?は是非チャレンジしてみてください!!
皆様の地元でも水田の畔を注意深く探していくと見つけることができると思います。
今シーズンはタシギも既に渡って来ているようです。

(2021-09-02掲載 第86回)

佐賀東与賀干潟

波多野邦彦 2021-08-27

佐賀東与賀干潟(佐賀県)に行ってきました。8月下旬。既にシギ・チドリ類の秋の渡りが始まっています。
長雨が終わり、ギラギラとした日差しと蒸し暑さの中で汗だくの探鳥でした。
満潮時刻が昼近く逆光気味でピンボケ画像ですが、実際の見た目に近いフィーリングですのであえてご報告いたします。
渡りが本格化するのは9月に入ってから。また、潮の状態が観察に適しているのは第2、第4週です。緊急事態宣言解除後に見に行かれてはいかがでしょうか?

(2021-08-28掲載 第85回)

地元五目探鳥

波多野邦彦 2021-08-09,10,11,14

野鳥の繁殖期がほぼ終わり、一方秋の渡りピーク前のこの時期はどこか手持ち無沙汰になります。ただ、MF(マイフィールド)を丁寧に見て周ると結構面白い探鳥ができることに気付きます。ササゴイ、サシバ、ホトトギス、キビタキ、オオルリ、センダイムシクイetc
今回唯一の意識した目標は秋の渡りシーズン、まだ残暑厳しいこの時期(7月末〜8月頃)に通過していくオオジシギです。田圃の畔で採餌している個体を運よく見つけることができました。
8月も終盤になるとシギチドリ類、9月に入ると小鳥類の渡りが本格化します。なんとも待ち遠しい今日この頃です!

(2021-08-14掲載 第84回)

八丈島航路

波多野邦彦 2021-06-21/22

  • 2021年6月21日(月)〜22日(火)
  • 21日 22:30 東京竹芝桟橋出港
  • 22日 05:00 三宅島、06:00 御蔵島経由、08:55 八丈島底土(そこど)港到着
  • 約40分上陸・休憩した後、09:40 再度乗船し、各島に寄港後、19:40 東京竹芝桟橋到着
  • 今回の目標はクロウミツバメ。最終的には1羽のみ確認(画像無)。
    南硫黄島の雲霧林内で繁殖することが知られている。
    大型のウミツバメ類で初列風切り基部の羽軸が白く大きな白斑となり目立つ。
  • 多かったのはアナドリで10羽以上観察。(画像参照)
    色彩はウミツバメに似るが、ミズナギドリ科の種類で羽ばたきと滑翔を交えて飛ぶ。
    時々、頸を持ち上げる動作が特徴。
  • 他にクロアシアホウドリ1、カツオドリ7+を観察した。

日本海側に面した福岡県では通常オオミズナギドリていどしか見られず馴染みの薄い海鳥類だが、今回の伊豆諸島、八丈島や小笠原航路はアホウドリ類、ミズナギドリ類、ウミツバメ類、アジサシ類などたくさんの海鳥類が観察される。
海鳥観察は季節、気象、海域などで見られる種類が大きく左右されるが、何が出現するかわからないといった面白さがある。
八丈島航路は小笠原航路に比べ、日数・費用的にも気軽に利用することができるので、一度経験してみるのもお勧め。

(2021-06-25掲載 第83回)

冬鳥の囀り

波多野邦彦 2021-03-18掲載

冬鳥が繁殖のため北方へ移動し始めるこの時期、貴重な「冬鳥の囀り」を体験する事が出来ます。
今回はミヤマホオジロですが、これ以外にもジョウビタキ、シロハラ、ツグミ、カシラダカ、アオジ、クロジなど。
わざわざ探鳥地まで出かけなくても気をつけていれば、ご自宅の近くで聞くことができます。少し早起きして近所を散歩してみてはいかがでしょう?!

(2021-03-18掲載 第82回)

2020年年末のご挨拶

波多野邦彦 2020-12-29掲載

本年も「探鳥トラバース」「独断と偏見の識別講座」をご愛読いただきありがとうございました。
個人的な事情から毎月の連載スピードが落ちてしまいご迷惑をおかけしております。当面は不定期掲載となりますことをご容赦ください。昨冬シーズンは様々な野鳥が観察されましたが、この冬はどうでしょう?!
コロナに負けず、来年も皆様の益々の御健康と御活躍をお祈り申し上げます。

昨冬シーズンの野鳥

カツオドリ、ヨーロッパムナグロ、オオタカ、コミミズク、ヘラサギ&クロツラヘラサギ、アネハヅル、タカサゴモズ、ソリハシセイタカシギ

(2020-12-29掲載 第81回)

ナンヨウショウビン

波多野邦彦 2017-11

ナンヨウショウビン 2017-11 沖縄県那覇市

(クリックで拡大・縮小)

ちょうど3年前、2017年11月沖縄県那覇市の記録です。
日本国内のカワセミの仲間はこれまでに7種類が確認されています。ナンヨウショウビンはインド、東南アジア各地、ミクロネシア、ニューギニア、オーストラリア北西部などの沿岸地域に広く分布しています。
大きさは約27cmでアカショウビンとほぼ同大。基本的にエメラルドグリーンと白の鮮やかな色彩ですが、数十種類の亜種があり亜種毎に羽衣が変化します。嘴と脚は灰黒色で下嘴基部は薄いピンク色。日本国内では南西諸島を中心に記録があり、マングローブ林などで観察されます。
通常はごく短期間で飛去する場合が多いのですが、この時は那覇市漫湖のマングローブ林に長期間滞在しました。餌取りは豪快で、干潟上スレスレをブーメランのように大きく弧を描いて飛び、大型のカニを掠め取っていきます。
画像は採餌で飛び回った後、休んでいるところ。

(2020-11-25掲載 第80回)

メジロガモ ─ カモ類の観察

波多野邦彦 2020-11-06

ヒガラ

【画像の見方】小画像をクリックで拡大・縮小、拡大画像は複数同時重ね表示・ドラッグで移動可能、スペースまたは矢印キーで連続閲覧

11月6日地元(@5030-5389)でメジロガモ♂エクリプスを観察しましたのでご報告します。
(※ 現地には1日のみの滞在で既に飛去しています。
エクリプスとはカモ類などの雄が換羽して一時期雌のような地味な羽衣に変わります。この羽衣のことをエクリプスと呼び、秋日本に飛来したばかりの頃によく見られます。
メジロガモはユーラシア大陸からアフリカ大陸の温帯や亜熱帯にかけて、淡水域に生息する種類です。国内ではホシハジロなどの潜水採餌ガモと一緒にいることが多く、今回観察した個体もホシハジロの群れと行動を共にしていました。
メジロガモ、ホシハジロやアカハジロなどは相互間でハイブリッド(交雑)がしばしば見られます。近年は特に交雑個体が多いため、識別には注意が必要です。頭の形・色彩、虹彩の色、嘴の形状・色彩と嘴爪及びその周辺の色彩、翼の白帯の出方などについて細かに観察します。

今回の個体の特徴

  1. おむすび型の頭で赤味が強い
  2. 嘴は長く全体が青灰色で嘴爪(先端中央の膨れた部分)のみ黒く、それに接する部分がが淡色
  3. 虹彩は至近距離ではごく僅かに灰色味のある白色(雄)
  4. 背は暗褐色、胸・脇腹は褐色、腹中央のみが白色
  5. 下尾筒は白色
  6. 翼の白帯は初列部分を除き純白(羽ばたき時確認)

(2020-11-13掲載 第79回)

ナベコウ

波多野邦彦 2020-10-31

ナベコウ 2020-10-31(クリックで拡大・縮小)

長崎県諫早市中央干拓に今年もナベコウが飛来しました。


日中は狭い水路で餌を取っていますので、発見するのがたいへんです。朝と夕方、電柱にとまり羽繕いをするので、その時が観察のチャンスです。警戒心も弱いため、静かにしていればかなり近い距離で観察可能です。
ナベコウ以外にもヒシクイ、マガン、サンカノゴイ、ナベヅル、ヤマシギ、チュウヒ、ハイイロチュウヒ、コチョウゲンボウ、コクマルガラス、ツリスガラ、ホシムクドリ、マミジロタヒバリなど観察しました。
普賢岳をバックに広大なアシ原を飛ぶチュウヒやハイイロチュウヒなど雄大な自然に感動すること間違いなしです!

(2020-11-08掲載 第78回)

カラフトムジセッカ

波多野邦彦 2020-10-19

地元津屋崎(福津市 2020-10-19 @5030-5356)でカラフトムジセッカを観察および声を録音しましたのでご報告いたします。同種は春秋に日本海側離島を中心に観察される数少ないムシクイ類です。
(MP3)

ムジセッカと比較すると、ややガッシリとした体格、大きく丸味のある頭、太く先端に丸味がある嘴、太く長い脚、最も違うのは眉斑で淡色かつ幅広く前半部分がバフ色を帯びていることです。
ムジセッカは華奢な体格、なだらかな形の頭、細く尖った嘴、細い脚、そして眉斑は淡色で後半部分が褐色味を帯びています。
両種ともに声に特徴があり、特に地鳴きはかなり違います。

参考:第63回 Phylloscopus Warblers T<モウコムジセッカ、ムジセッカ、カラフトムジセッカ>/独断と偏見の識別講座U

(2020-11-02掲載 第77回)

コサメビタキとサメビタキ

波多野邦彦 2020-10-09

(クリックで拡大・縮小)

秋の渡りも終盤のこの時期、サメビタキの個体数が増えてきます。
コサメビタキは早くから渡りはじめ、長い間観察できることから両種の識別ポイントを比較できるチャンスです。
余程とまりやすいのでしょう、全く同じ枝に入れ代わり立ち代わり2種がとまってくれました。
詳細につきましては、第55回 Flycatchers V <エゾビタキ、サメビタキ、コサメビタキ>(独断と偏見の識別講座U)を参照ください。

(2020-10-17掲載 第76回)

佐賀県東与賀ソリハシセイタカシギ

波多野邦彦 2020-03-12

(上の写真はクリックで拡大・縮小)

3. ソリハシセイタカシギ採餌 2020年3月12日 佐賀県佐賀市東与賀

昨冬シーズン佐賀県東与賀干潟に2羽のソリハシセイタカシギが越冬しました。同時に既報告済みのヨーロッパムナグロも滞在中でしたので、見に行かれた方も多いと思います。
ソリハシセイタカシギは英名PIED AVOCETといい、和名が長く言い辛いためこの英名の一部「アボセット」が愛称のように使われています。
スマートで優雅、モノクロの色彩がたいへん美しいセイタカシギの仲間です。私の鳥歴最初の探鳥で見た40数年前頃は「二十年に一度の大珍鳥」とたいへん騒がれたものでしたが、近年は九州などでは観察される機会も増えてきたようです。
最大の特徴は名前の通り、黒く細い嘴が途中から上方に反り返っています。雌の方がこの反り具合が急角度と言われていますが、皆さんご自身で確かめてみてください。また、通常は干潟上の小さな甲殻類などを餌にしていますが、脚が届かないような水深の場所でもよく泳ぎ採餌します。
あの極端に曲がった嘴で小さな生き物をどのように採餌するか右の動画でご覧ください。

(2020-10-07掲載 第75回)

ヒメハマシギ

波多野邦彦 2020-09-20

佐賀市・東与賀干潟には現在9月初旬からヒメハマシギ Calidris maura が観察されています。
極東ロシアやアラスカなどで繁殖し、アメリカ南部、中米、南米などで越冬する種類です。
台風9号通過後の状況が心配されましたが、再発見され21日現在継続滞在中です。
発見当初は幼羽で橙褐色の美しい肩羽が目立っていましたが、現在は灰色基調の第1回冬羽に換羽中。大きさはトウネンより僅かに大きい程度。やや長く僅かに下方へ曲がった嘴、長めの脚、純白の胸・腹等が特徴です。
※大きさ・色彩共にトウネンに近く、ハマシギとは似ていませんのでご注意ください。
東与賀干潟では10月にかけて、シギ・チドリ類の渡りピークが続きます。

(2020-09-22掲載 第74回)

亜種リュウキュウアカショウビン

波多野邦彦 2020-08-03

亜種リュウキュウアカショウビン Halcyon coromanda bongsi は、トカラ列島から南西諸島にかけて夏鳥として飛来します。
個体数も多く、一か所で数個体を同時に観察することもあります。
亜種アカショウビン H. c. major との外見上の違いは、体上面には紫色の光沢があり、また腰の水色部分も大きく鮮やかです。
画像は雄個体、オレンジの体色が特に濃い個体です。

(2020-09-11掲載 第73回)

2020年7月亜種リュウキュウツミ

波多野邦彦 2020-07-04

今年7月沖縄本島で亜種リュウキュウツミ♂成鳥を観察する機会を得ましたのでご報告いたします。
日本国内では、亜種ツミ Accipiter gularis gularis と亜種リュウキュウツミ A. g. iwasakii の2亜種が知られています。
分布域については前者が沖縄諸島以北、後者が南西諸島と一般的には言われていますが、未だ詳細な研究が進んでおらず正確な地域的線引きはできていないようです。
沖縄本島ではDNA鑑定による最近の研究によって亜種リュウキュウツミが生息していることがわかってきました。

(2020-08-07掲載 第72回)

カラフトアオアシシギ夏羽

波多野邦彦 2020-06-07

緊急事態宣言解除後、久しぶりに佐賀東与賀干潟(佐賀県佐賀市東与賀町)を訪れた。大潮満潮時刻09:50頃、潮高519cm。09:20頃には柵まで潮が上がり、群れが飛去した。
本日の目標は夏羽のカラフトアオアシシギ。黒味が強かったが、換羽状況からもやや若い個体だと考えられた。アオアシシギと異なる特徴のひとつである翼下面と腋羽が純白であるところは確認できた。
ミヤコドリ1羽、ダイシャクシギ25羽以上、美しい夏羽のサルハマシギ2羽なども観察。シギ・チドリ類以外にもクロツラヘラサギ35羽、ズグロカモメ25羽、クロハラアジサシ夏羽4羽などを観察した。
新型コロナウィルスの影響でこの春シーズンは残念ながら東与賀に来ることができなかった。
地元バーダーからの情報によるとヘラシギは5月上旬3,4日の短期間ながら夏羽1羽が観察されたとのこと。

(2020-06-11掲載 第71回)

希少種ウチヤマセンニュウ

波多野邦彦 2020-06-06掲載

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昨年もこの種類についての記事を掲載しました。【掲載日2019.8.19】(「希少種ウチヤマセンニュウ Styan's Grasshopper Warbler」)
どちらかと言うと地味な色彩でそれほど人気のある種類ではありません。ただ、生息地域は世界的に見ると極東のごく一部、日本・中国・韓国などの離島に限られています。国内でも伊豆諸島の一部、本州、四国、九州の離島だけに夏鳥として飛来し繁殖しています。
こんな野鳥が私たちのすぐ身近にいるなんて、皆さん感動しませんか?

(2020-06-06掲載 第70回)

英彦山探鳥リスト

波多野邦彦 2020-05-27/28

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オオルリ

5月27日、28日英彦山に行ってきました。
ヨタカ、コノハズク、アカショウビン、ヤイロチョウなどほぼ夏鳥が出揃ったようです。
個人的には特にセグロカッコウの声を数年ぶりに聞けたことが嬉しかった。
今夏は様々な夏鳥を楽しめそうです。
皆様頑張ってください!

英彦山で録音(mp3) 2020年5月

ヤイロチョウ(28日)
アカショウビン(28日)
セグロカッコウ(27日)
ツツドリ(28日)
ジュウイチ(2日)

(2020-05-31掲載 第69回)

号外

ムシクイ各種囀り

波多野邦彦 2020-05-22掲載

外見が似かよっていて識別が難しいために敬遠されがちな仲間ですが、声はどれも非常に特徴的です。この春地元で録音したムシクイ5種類の囀りをご紹介します。聴き比べてみてください!

  1. アムールムシクイ 十数年前初めて聴いた時には目前で鳴いているにもかかわらず、全く種類が判りませんでした。

  2. エゾムシクイ 「ヒーツーチー」と高音で囀ります。外見はアムールムシクイとよく似ていて識別が難しいです。

  3. メボソムシクイ 今回ご紹介した中で最も注意を要する種類です。3,4,5拍子等囀りにバリエーションがあります。遠距離からの録音です。よくお聴きください。

  4. キマユムシクイ 非常に高音で細い声質です。地鳴きの「チュィッ」、囀りの「チーチュィチー」どちらも特徴的です!

  5. センダイムシクイ 最も親しみのある囀り。今回ご紹介した中で唯一九州で繁殖するムシクイ類です。

参考:第4回 Leaf Warblers <ムシクイ類>/独断と偏見の識別講座U(波多野邦彦)

(2020-05-22掲載 第68回)

号外

ヨーロッパムナグロの識別 第2回

波多野邦彦 2020-03-30掲載

(写真クリックで拡大・縮小)

  1. 前回お知らせしたヨーロッパムナグロの識別ポイントおさらいです。
    • @ダイゼンに比べて体格が少し小さい。わずかにスマート。
    • A脚が短い分、背丈がやや低く見える。
    • B嘴が細く小さい。
    • C頭頂の色彩・模様が、今は黒と黄色のはっきりとしたギザギザ模様であること。
      ダイゼンは黒っぽく見えてもぼんやりとしています。
    • Dヨーロッパムナグロを識別する際の最大の特徴は純白の腋羽と下雨覆いです(写真02)。ダイゼンは腋羽は黒色、ムナグロは同部分が暗灰褐色をしています。
      年末時点では寒いからでしょうか縮こまってじっとしていることが多く見るのに苦労しましたが、最近はよく羽ばたくのでこの部分を確認し易くなりました。
  2. 3月25日東与賀(佐賀県)を訪問し、動画により上記Dの最重要識別ポイントを確認できましたので、追加のご報告です。33秒間の動画中、2回確認することができます。どうぞご覧になってください。(右下[開|閉]ボタン)

(2020-03-30掲載 第67回)

号外

ヨーロッパムナグロの識別

波多野邦彦 2019-12-29

ヒガラ

【画像の見方】小画像をクリックで拡大・縮小、拡大画像は複数同時重ね表示・ドラッグで移動可能、スペースまたは矢印キーで連続閲覧

  • 識別ポイント
    全てダイゼンと比較したものです。
    @ダイゼンに比べて体格が少し小さい。わずかにスマート。
    A脚が短い分、背丈がやや低く見える。
    B嘴が細く小さい。
    C頭頂の色彩・模様が、今は黒と黄色のはっきりとしたギザギザ模様であること。
     ダイゼンは黒っぽく見えてもぼんやりとしています。
    D最も大切な識別ポイントは、脇羽が純白であることです。
     ダイゼンはご存知のように黒色、ムナグロは灰褐色をしています。
     この部分は是非確認するように心がけてください。
  • 昨年2019年12月に佐賀東与賀干潟で国内4例目となるヨーロッパムナグロが発見されました。
    地元で永年シギ・チドリのカウントを続けているM氏が確認したものです。彼は国内1例しかない、アメリカオグロシギの発見者でもあります。日頃の地道な調査継続が、貴重な種類の発見に繋がっているのは言うまでもありません。
  • 2020年3月12日(木)大潮満潮11:14、潮高555cm。まだ130m程の距離がありましたが朝8時過ぎには見つけることができました。昨年暮れから数回現地を訪問しています。当初の状態と比べるとかなり換羽も進み、色彩の変化が認められます。
    昨年12月29日時点ではダイゼンに色彩が非常によく似ていて最初に自分の目で確認するまでは何をポイントにしていいかわからず、識別が非常に難しかったです。勿論事前に特徴や識別ポイントは頭に入れていましたが、実物は違います。有効な識別ポイントはどの部分か皆さんおわかりになりますか?現在のものと比較できるように年末の画像も添付していますので考えてみて下さい。かなり難しいですが、寝ていても識別可能です。
  • 良い機会ですのでヨーロッパムナグロの特徴、通常の生息地域、渡りのコースなどをご自分で調べてみて下さい。今回ばかりでなく、通常の探鳥会などでも特徴的な種類を確認できた時は、「見た!見た!」で終わらせてしまわずに、帰ってからでもいいですからご自分で調べてその種類について知識を深めていく努力が大切だと思います。
  • 筑豊支部内でも最近「シギ・チドリ探鳥機運」が高まっています。これまで支部メンバーがシギ・チドリ類の探鳥や識別、さらに探鳥会運営に関してとても消極的だったことは、私自身たいへん不思議に感じていました。食わず嫌いがあったのかもしれませんネ。一方、他人任せにしていたことで、支部運営に於いて悪影響が出始めていました。現在の東与賀シギ・チドリ探鳥機運の盛り上がりは支部内でのシギ・チドリ探鳥会の運営や識別について皆さんがあらためて疑問を感じ始めたことを象徴するできごとだと思います。一人一人が知識を深め、どんどんフィールドに出て経験を積み、より良い探鳥環境を作っていきましょう!!

(2020-03-13掲載 第66回)

識別クイズNo.4

波多野邦彦 2020-02-25掲載

最近、筑豊支部内で佐賀東与賀干潟訪問を契機にシギ・チドリ観察機運が盛り上がってきているようです。とても良い傾向だと思います。筑豊支部だからといって、山の中に籠る必要は全くありません。春の暖かい日差しが降り注ぐ、海辺に繰り出しましょう!
と言う訳で干潟デビューする前に肩慣らし、気楽にクイズにチャレンジしてください!
まだ、少し難しいかもしれませんのでキャプションごとにヒントを付けています。
ご自分で考えてみてください。他の方々と相談しても面白いかもしれませんネ。最後のB集合写真は難問カモ??
全種類識別をお願いします。全問正解者には・・・?
解答は、3月3日、当コラムにて

ヒガラ

【画像の見方】小画像をクリックで拡大・縮小、拡大画像は複数同時重ね表示・ドラッグで移動可能、スペースまたは矢印キーで連続閲覧

クイズ@:種を識別してください。

Highslide JS

ヒント:尾上面の細い横縞模様が特徴。英名で考えると解り易い?

2020-02-10 佐賀県・東与賀1

クイズA:種(写真中央)を識別してください。

Highslide JS

ヒント:やや不明瞭な画像ですみません。@の種類とほぼ同じ大きさですが、少し足が長い。夏羽がかなり残っている個体。お腹のやや太目な暗色横斑が特徴です。飛んだほうが解り易い!?ちなみに向こうでこちらにお尻を向けているのはオナガガモ雌。

2020-02-10 佐賀県・東与賀2

クイズB:何種類写っているでしょうか?

Highslide JS

ヒント:シギ・チドリの集合写真。よーく観察してください。

2019-09-29 佐賀県・東与賀

(2020-02-25掲載 第65回)

解答を見る前に、もうしばらく検討してみましょう。

シギ・チドリ類の識別

波多野邦彦 2020-01-30掲載

今回は少しだけシビアな内容です。
2019年秋シーズン、筑豊支部ウェブサイト「くまたか」に複数の会員の方々からサルハマシギおよびヨーロッパトウネンについての投稿がありましたが、それらの同定は残念ながらどれも正しくありませんでした。
両種ともに個体数が少なく、観察できる機会も少ないために観察者の経験不足・知識不足や思い込みが原因となっていたようです。
サルハマシギについては独断と偏見の識別講座 第3回 Plovers and Sandpipers<小型シギ・チドリ類> 及び探鳥トラバース第45回 シギ・チドリ秋の渡りがピークです! で、ヨーロッパトウネンについては同識別講座 第60回 Waders V でトウネンとの識別について述べていますので参考になさってください。
今回の探鳥トラバースでは、シギ・チドリ類識別の正確なアプローチ方法や考え方を少しでも深めていただければ幸いです。

ヒガラ

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  1. 二つの「くまたか」掲載例についてキャプションごとに具体的に説明していきます。
    1. (1)曽根定例探鳥会 2019-11-04掲載 <一部キャプション修正済>

      キャプション(27)〜(37)サルハマシギ ⇒ 全てハマシギ

      • (28)「現場ではサルハマシギ、ハマシギで議論になりました。
        ここで質問です。サルハマシギとハマシギ、両種が決定的に違うところはどこでしょうか?
        幼鳥・成鳥、夏羽・冬羽を問わず、ずっと変わらない部分があります。
        答え上尾筒から腰にかけてサルハマシギは無斑で白く空いていることです。一方、ハマシギは同箇所が背と同じ灰褐色で中央尾羽が黒色です。(今回のケースでは未確認)
        どうしても両種の識別が不明で迷うような場合はこの部分を確認すればスッキリとします。
      • (29)「サルハマシギは単独か数羽で見られることが多い。ハマシギは群れる。
        誤解されやすい書き方です。実際こういったケースは多いのですが、逆に単独だからサルハマシギ、群れているからハマシギとは決して言えません。サルハマシギはもともと数が少ない種類ですし、ハマシギも単独で居ることは当然あります。
      • Highslide JS

        (写真をクリックで拡大・縮小)

        (30)雨覆や風切の模様にサブターミナルが見える
        (曽根定例探鳥会より引用)

        (30)「雨覆いや風切の模様にサブターミナルが見える
        意味不明なキャプションです。鳥名やからだの各部の名称はふだんからきちんと略さずに使うことをお勧めします。雨覆いは小・中・大、風切は初列・次列・三列の種類がありますので、これを省略するとどこを指しているのかわからなくなります。また、この画像からは「サブターミナルバンド(・・・)」は確認できません。
    2. (2)秋の生き物たち'19 2019-11-06掲載

      <キャプション未修正>

      • (09)〜(16)ヨーロッパトウネン、トウネン ⇒ 全てトウネン
        掲題解説@からDまでについて、同じ種類の識別でもケースバイケースでアプローチ方法は変わります。知っている識別ポイントを羅列するのではなくて、掲載された画像を基に個別・具体的に解説する方が解り易いと思います。そうしないと「どうして泥の中にいるのに足の長さが比較できるの?」「採餌時にはどの種類も前傾姿勢ですよね?」「第一風切羽根とは何のこと?」「胸の箇所の模様とは具体的にはどの画像のどの部分のどんな模様?」など、こういった疑問が湧いてきます。
      • Highslide JS

        (写真をクリックで拡大・縮小)

        サルハマシギ 東与賀干拓
        (2018-08-27 筆者撮影)

        (32)〜(36)サルハマシギ冬羽 ⇒ ハマシギ第1回冬羽
        不鮮明な画像ですが、嘴が僅かに長く見える程度で、嘴の形状、顔つき(目の位置)、頭の形、頸の長さ、体上面の模様・色彩、体型などは全てハマシギの特徴を示しています。

        <添付画像参照:周囲のハマシギと比較 筆者撮影>

        ※追加修正(17)(18)アマサギ ⇒ チュウサギ
  2. 野外識別(Field Identification)

    以前、他支部会員の方から、シギ・チドリについて図鑑で猛勉強し準備万端整えた上で干潟デビューしたにもかかわらず、実際にスコープを通して観察してみると目の前にいる種類でさえ、全く理解できず、冷や汗をかいたという経験談をお聞きしたことがあります。たいへん正直な方だと思いますが、皆さんはいかがでしょうか?
    実際にフィールドで見るシギ・チドリは図鑑のイメージとはかなり違います。観察対象が干潟の遠い所をチョコマカと歩き回っています。小型の種類が多いので嘴などのごく小さな特徴までは見えません。晴れの日、曇りの日で見え方や色合いが違います。嘴を背中に突っ込んで寝ているものや脚が水に浸かって見えないものも普通です。観察条件が違えば、当然印象も変わります。
    このような様々な条件の下で正確な識別をするためには、遠距離から種類毎にどのように見えるのか?天候による色彩の変化、周囲にいる多種との比較、飛び方や飛翔中の色彩パターン、そして声など実体験からしか得られない部分も含めて、シギ・チドリ観察の総合的な識別力が必要です。
    このような「野外識別力」を身につけるためには専門の知識に加え、数多くの実体験を積むことが大切です。
  3. 個体差

    同じ種類の中でも雌雄、年齢の違い、換羽状況等によって様々な色彩の個体がいます。からだの大きさや嘴の長さなども様々です。重要なのはどこまでが同一種類の個体差の範囲内でどこからが別の種類になるのかを見極めることです。
    トウネン幼鳥の中にはヨーロッパトウネン幼鳥と同程度の鮮やかな色彩と強いコントラストの羽衣を持った個体がいます。また、ハマシギは大きさや嘴の長さについて個体差がかなりはっきりと表れます。ハマシギの群れがいたら丁寧に観察してみてください。しばしば嘴の大変長い個体や特別にからだが小さな個体などがいます。
    まずは、トウネンやハマシギといった数多くいる普通種をじっくりと観察し、基礎的な観察力を身につけることが大切です。
  4. シギ・チドリ探鳥会

    探鳥会開催日をいつにすればいいか?探鳥会リーダーの方にとって頭の痛い問題でしょう?ただ、シギ・チドリ類観察に限って言えば、現在全国各地の干潟の干満時刻や潮高を数か月〜数年先までネット上にある潮見表で正確に調べることが可能です。
    たくさんのシギ・チドリ類を最適な条件で観察できるよう、開催者側の都合ではなく、参加者ファーストの開催日選定と時間の設定をお願いします。このシリーズでも以前申し上げましたが、潮が引くときではなく、潮が満ちてくるときが最も観察に適しています。
  5. Highslide JS

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    No.3117

    Highslide JS

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    No.3116

    識別にチャレンジ

    添付した画像(No.3116、No.3117)は2019年10月27日、佐賀県東与賀干潟で撮影したものです。どちらも特徴のある嘴は見えませんが十分識別可能です。ぜひチャレンジしてみてください!!
    解答は後日掲載予定。
  6. 最後に

    今回、敢えて支部ウェブサイト「くまたか」に掲載された画像についてキャプション毎に解説しました。どれもシギ・チドリ類の識別において正確なアプローチを行うことが目的です。
    但し、決して個人攻撃、非難を意図したものではありませんのでくれぐれも誤解のないようにお願いします。

(2020-01-30掲載 第64回)

識別クイズNO.3 カモ類

波多野邦彦 2020-01-22掲載

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問題:(クリックで拡大・縮小)

今シーズンは本格的な寒波がまだ来ておらず、暖かい冬になっています。それでもカモ類は順調に増え続け、年が明けかなり安定してきました。ガンカモ調査も始まっているので、目を慣れさせるための軽い準備運動です。ぜひチャレンジしてください!では...

  • 画像の中に何種類のカモがいるでしょうか?
  • しっかりと雌個体も識別お願いします。
  • 制限時間はオマケの30秒。
残り

※サイト注:事情により掲載が遅れまして、著者・波多野邦彦様にお詫びいたします。

こども工作教室よりキッチンタイマーを使用しました。(感謝)

(2020-01-22掲載 第63回)

長崎県諫早探鳥リスト

波多野邦彦 2019-12-15

小学校低学年の頃に知り合ったS木君とA村君、二人とも立派な青年バーダーに成長しました!彼らとの前々からの約束で今日は長崎県諫早干拓を探鳥。
筑豊支部の皆様お気づきでしょうか?右側の彼は過去2回お父さんと一緒に筑豊支部英彦山探鳥会に参加し、クマタカを見つけたあの少年です!左の彼はA村君とは同級生。同様に福岡支部に在籍し、現在大学・生研で1年生ながらもリーダー格で活躍中!!二人とも将来を嘱望される素晴らしいバーダーです!!よろしくお願いします。
天候晴れ、気温5℃。北東の暴風がほぼ一日吹き荒れました。晴れてはいるものの冷たい強風が吹きつけます。海上は波高く、潜水ガモやカモメ類はほとんど見られませんでした。また、葦原内の小鳥類観察も同様にかなり厳しい状況でした。
ナベコウはタイミング合わないのか確認できず。
とは言うもののいつもそれなりに楽しめるのが、諫早の魅力です!!

(2019-12-23掲載 第62回)

自然の中の変化を見逃さない!!

波多野邦彦 2019-11-30掲載

  1. 写真は2018年3月地元の田園地帯に聳える鉄塔。塔の頂上付近から断続的にパッ、パッと白い花吹雪のように何か舞っているのに気付きました。風に飛ばされたゴミのようにも見えます。鉄骨に隠れて発生源はよく見えません。
  2. 実はこれハヤブサが獲物のドバトの羽根を一心不乱にむしっているところでした。スコープで観察すると鉄骨の上にリズミカルに動くハヤブサの頭が見えました。
  3. タカやハヤブサなどの猛禽類は捕らえた獲物を決まった場所でさばく習性があることが知られています。ハヤブサはこのように鉄塔やビル、崖の上など高所で、一方オオタカやツミなどは林の中の一定の場所です。
  4. いつもと違う変化に気付くことができれば、新しい発見につながるかもしれません。

(2019-11-30掲載 第61回)

秋のシギ・チドリがピークです!Ⅲ

波多野邦彦 2019-09-26

今シーズン第3弾!最終回は「シギ・チドリ類の観察のポイントについて
シギ・チドリ類観察で最も重要なポイントは、「大潮・中潮の潮高の高い日で、潮が満ち始めてから満潮までの時間帯に観察すること」です。
以下に説明します。

  1. 大潮・中潮で潮高が十分に高い日!
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    1. 東与賀干潟 右奥にも人だかり (2019-06-16 筆者撮影)

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    「潮(の具合)がよい日」というのは、シギ・チドリを観察するのに適した日ということです。シギ・チドリの渡り春秋のシーズン中においてご自分が観察する地点で大潮や中潮でかつ潮高が高く、午前中または正午までに満潮になるような状態の日のことを言います。干潟の遠く汀線上に集まっている時から様々な種類を探すことができ、潮が満ちるに従って十分に時間をかけて観察することができます。満潮時の潮高が高いので鳥を手前まで引きつけて観察が可能。至近距離から見るシギ・チドリの美しさを堪能でき、目標達成感や大きな満足感を得ることができます。
  2. 観察する時間帯は「潮が満ち始めてから満潮時まで」が基本!
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    2. 満潮時、柵の手前で休むシギ・チドリの群れ (2019-09-16)

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    ここで重要なのは、「潮が満ちて来る時」と「潮が引いて行く時」は干潟に居るシギ・チドリの状況が全く違うということです。どちらも満潮前後で同じだからOK!と安易に考えている人がいらっしゃいますが、これは明らかに間違いです。潮が引いて行く時は満潮時、他の場所に避難していたシギ・チドリが再度干潟に集まって来るよりも速いスピードで潮が引いて行きますので、気が付いた時には鳥が集まる汀線は遥か彼方といったことが起きます。せっかくシギ・チドリを見に行ったのに見たのは数種類だけ、ほとんど見られずに帰ってきたなんてことになったら悲劇です。各地の正確な干満時刻や潮高は潮時表で数年先まで簡単に調べることができます。事前にきちんと確認してベストな状態で楽しくシギ・チドリ類を観察しましよう!
  3. 最後に「今回が秋シーズン最後のチャンス!」
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    3. メダイチドリ(筆者撮影 2018-09-12、参考画像)

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    秋のシギ・チドリ類観察については9月27日(日)から10月4日(金)までの大潮・中潮の期間、まだまだイケそうです。一番のお勧めは、やはり佐賀県・東与賀干潟です。シギ・チドリ類30種を目標に。くれぐれも観察する時間帯(満潮前の3時間程度前から・もっと早くても良い)をお間違えの無いように!また、シギ・チドリの観察にはスコープは必需品です。注意事項としては、通常海岸沿いが多いため日影がありません。帽子、長袖シャツ、長靴、日焼け止め、スポーツドリンク等、熱中症対策だけは厳重にお願いいたします。

(参考)潮汐・潮見表カレンダー(参考:佐賀・住之江

(2019-09-26掲載 第60回)

号外

秋のシギ・チドリがピークです!U

波多野邦彦 2019-09-18

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1.カラフトアオアシシギとダイゼン (2019-09-16撮影)

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2.ヨーロッパトウネン、トウネン、メダイチドリ (2019-09-14撮影)

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前回の探鳥トラバース号外でシギ・チドリ類の観察方法を詳細にお知らせした、<8月中旬から9月いっぱいまでの今の時期は「秋のシギ・チドリの渡りシーズン真っ只中」であることをお忘れなく!!次に潮が良いのは9月13日(金)から19日(木)頃まで、この辺りが今シーズン最大の見どころではないかと思います。>

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3.シギ・チドリの群れ(2019-09-16撮影)

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この週末三連休の間、全国から数多くのバードウォッチャーが佐賀県・東与賀干潟に集まってきました。ここは日本一の干潟です。まだあと3日間は潮の具合が良いのでイケそうですが、筑豊支部の皆さまは現地を訪問されたでしょうか? シギ・チドリ類の経験が浅い方でも現地に居る詳しいウォッチャーに礼儀正しく丁寧に質問しながら一生懸命観察されています。

今週木曜日辺りまでがこの秋最後のチャンスです。くれぐれも観察時間(満潮前の2〜3時間から・もっと早くても良い)をお間違えの無いようにお願いいたします。また、シギ・チドリの観察にはスコープは必需品です。注意事項としては、通常海岸沿いが多いため日影がありません。帽子、長袖シャツ、長靴、日焼け止め、スポーツドリンク等、熱中症対策だけは厳重にお願いいたします。

(2019-09-18掲載 第59回)

号外

秋のシギ・チドリがピークです!

波多野邦彦 2019-09-08

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キリアイ幼鳥 (2019-08-25筆者撮影) (クリックで拡大・縮小)

猛烈に暑かった夏も終わり、9月中旬から始まるアカハラダカやハチクマの渡りを楽しみにお待ちになっている皆さまも多いことと思います。支部のウェブサイトも最近は野鳥の話題が静かです。
ただ、8月中旬から9月いっぱいまでの今の時期は「秋のシギ・チドリの渡りシーズン真っ只中」であることをお忘れなく!!次に潮が良いのは9月13日(金)から19日(木)頃まで、この辺りが今シーズン最大の見どころではないかと思います。
シギ・チドリの観察方法は、各地の大潮・満潮時刻の2〜3時間くらい前から開始します。そして、狙い目のシギ・チドリに的を絞り、潮が満ちて来るに従って近づいて来るところを集中的に観察する。こういった方法を採ります。
この探鳥で最も大切なのが、満潮時刻と潮高です。勘違いをして干潮時刻に行くと遠浅の干潟のはるか彼方、芥子粒のような鳥影を眺めるだけになってしまいます。また、小潮や長潮の時は潮高が足らず、鳥が近くまで寄って来ない場合があります。潮が満ちて来る時と引いて行く時では干潟に居る鳥の状態が違いますので、満潮時前、満ちてくる時に観察する方がベターです。
この秋はぜひ、お仲間を誘ってシギ・チドリの観察にお出かけください。シギ・チドリの観察にはスコープは必需品です。注意事項としては、通常海岸沿いが多いため日影がありません。帽子、長袖シャツ、長靴、日焼け止め、スポーツドリンク等、熱中症対策だけは厳重にお願いいたします。

(2019-09-08掲載 第58回)

英彦山三昧<ヒコザンマイ>Ⅴ

夜間探聴(鳥)ヤタンを楽しむ!

波多野邦彦 2019-07-06/07

19:51ポイントでオオコノハズクが頭上5mの枝に突然飛来し約1分間とまる。餌を食べた直後か、口をモゴモゴさせていた。その後、背後の林に飛去し、「ワッハッハ」鳴きを一回。英彦山で夏期繁殖個体の姿を確認できたのはこれが初めて。感動だった!
翌早朝、別の場所で03:59オオコノハズクの「キューリー」鳴きを4回確認した。同所では6月9日に「木魚鳴き」も確認している。この夏、英彦山のオオコノハズクにかなり肉迫することができた。残る目標は、営巣木、育雛、ヒナの確認等。

参考資料: 2018-05-26 オオコノハズク「ワッハッハ」@英彦山 (渋田朗氏録音編集)

アオバズクは複数箇所でよく鳴いていた。
以前から観察中のクマタカは昨年ヒナが巣立って以来、この春ごろから出現時間や出現場所が以前と変わってきている。今日はサシバがしつこくモビングを仕掛けてくれたおかげで、しばらくの間クマタカの飛翔を観察することができた。サシバと大きさを比較してください。雄成鳥なのでクマタカとしては小さい方ですがその大きさがおわかりになると思います。(動画を[開|閉]内部に収録)
夜間探鳥は非常に面白く、意外な成果を期待できるが、安全面でリスクを伴うので、十分な準備と装備が必要。

(2019-08-30掲載 第57回)

希少種ウチヤマセンニュウ
Styan's Grasshopper Warbler

波多野邦彦 2019-07-14

福岡市志賀島先端にある沖津島はウチヤマセンニュウ繁殖地として知られている。中潮干潮13:59、潮高29cm。条件は良くない。短時間観察を覚悟の上、5名で渡島。
ウチヤマセンニュウは日本、朝鮮半島、中国の一部の離島にだけ生息する世界的希少種。国内では三宅島など伊豆諸島の一部、本州、四国、九州の小島に夏鳥として飛来し局地的に生息する。福岡県では他に宗像市沖ノ島が知られており、島の周囲で多くの個体が繁殖している。
「チュリリrrrrrr、ジュウィ、ジュウィ、ジュウィ」という大きな音量の独特な囀り。

外見はシマセンニュウに似るがやや大きく嘴や脚が太く長くガッシリとした印象。目つきがよりきつく感じる。囀りはシマセンニュウに比べるとやや太い声質でのんびりしたリズム。
過去にはシマセンニュウの亜種ウチヤマシマセンニュウと呼ばれていた。現在は独立種。ここで見るウチヤマは三宅島のものに比べて大きく感じるが、単に至近距離のせいだろうか?
それにしても鳥の居場所の説明がこれほど下手だったとは!当日は反省しきりでした!
※干潮時刻、潮高、潮流、天候、風向・風速、装備、観察時間等全て考慮の上、対応が必要です。

(2019-08-19掲載 第56回)

英彦山三昧<ヒコザンマイ>Ⅳ

夜間探聴(鳥)ヤタンを楽しむ!

波多野邦彦
2019-06-08/09

Highslide JS

豊前坊駐車場で夜を待つ
2019-06-08
(クリックで拡大・縮小)

当日雨降りからの回復が遅れ、天候の状態を見極めながらぎりぎりまで実施・中止を検討しながらの対応だった。結果的に2日間ともに探鳥実施中はくもり・無風(微風)で声を聴く夜間探鳥には絶好のコンディションだった。ヤマガラの会3名の皆さんとチーム編成。各人の探鳥に対する集中力・取組姿勢がとても素晴らしかった。
今回の目標は、コノハズクとオオコノハズクの生声を聴くこと。これまで、個人的にも一晩で両種の声を聴いたことが無かった。別々の場所でそれぞれかなり近距離、クリアな生声を聴くことができた。
コノハズクは英彦山経験上最も近かった。こちらの気配が伝わったのか、5フレーズ繰り返し鳴いただけでその後鳴き止む。オオコノハズクは「ウォッ、ウォッ、ウォッ、・・・」と続けて鳴くいわゆる「木魚鳴き」。約5分間、断続的に4回程度繰り返した。
夜間探鳥は非常に面白く、意外な成果を期待できるが、安全面でリスクを伴うので、十分な準備と装備が必要。
参考資料は2017-06、今回と同じ場所で録音したコノハズク声。

参考資料:コノハズク 2017-06-03 19:54(筆者録音 mp3)

(2019-07-30掲載 第55回)

号外

コチドリの繁殖

波多野邦彦 2019-07-08,09

私が住んでいる地域は住宅地ですが、周辺に広大な里山環境が残っており、多くの野鳥が観察されます。今シーズン、幸運にもコチドリの繁殖を観察したのでご報告です。(写真はいずれもクリックで拡大・縮小)

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    1.JR駅前旧国道沿い銀行跡地
    (2019-07-09)

  • 2019年6月上旬のある朝、通勤途上。JR駅近くの交差点、自転車で信号待ちをしている時にコチドリの声に気が付きました。旧国道沿いで人・自転車・車の通行量も非常に多い場所です。何でこんな所でチドリの声が・・・?と疑問に感じていると、頭上を飛び回っています。石ころがごろごろした銀行跡地を見て、もしかしたらここで繁殖?と思いました。その日から毎朝の観察が始まりました。観察といっても自転車で横を通りがかった時に数秒間声を聴くだけです。地上にいる姿を確認するまで数日かかりました。
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    2.どこに居るかわっかるかな?
    (2019-07-08)

  • 6月中旬、初めて小さなヒナを確認しました。親鳥の後を必死について走っています。人目も多く、周囲はマンションや戸建て住宅に囲まれています。双眼鏡やスコープは使えません。スマホで写真を撮るだけでも一度警官から職質を受けました!周囲に張り巡らされたロープの効果で人間や犬の散歩は入れませんが、街中なので、ネコ、カラス、カササギ、イソヒヨドリ等の天敵が数多く居ます。観察される方も観察する方もたいへんです。本当に大丈夫だろうか?
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    3.赤丸中心のサングラスのような
    のがこちらを向いた胸のバンド

  • 6月下旬、けたたましい警戒の声とともに親鳥の偽傷行為を観察しました。野良猫が入ったようです。きっと近くにヒナがうずくまっているんだろうなと想像できました。
  • 7月12日朝、大きく育った1羽のヒナを確認しました。翼も伸びて空地の地上すれすれを元気に飛び回っています。巣立ちが近いと感じました。
  • 休み明けの16日朝には声が聞こえず、姿も見えなくなり、ふつうの荒地に戻りました。無事に街中の営巣地を旅立ったようです。

街中の荒地で野鳥が繁殖し、ヒナを育て、無事に巣立って行った。この一連の生命のドラマに気づくことができたのは多分自分一人だけです。他の誰かが立ち止まって観ている場面には一度も遭遇しませんでした。野鳥を趣味にしたおかげで、変化の少ない日常の中で小さな感動を味わうことができました。

(2019-07-25掲載 第54回)

渡りを肌で実感する探鳥!Ⅱ

波多野邦彦 2019-05-11/12

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定期船 ニューおろしま

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シロハラホオジロ♀第1回夏羽

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クロバナイヨカズラ

(2019-05-25撮影)

※画像はいずれも、クリックで拡大・縮小。筆者撮影。

渡り鳥を追って離島に通い続けていると、たまに野鳥が渡っていることを実感できる現象に遭遇することがある。

今回は小呂島(おろのしま、福岡市西区)第2弾。

(参照:渡りを肌で実感する探鳥!福岡市西区・小呂島

5月中旬は春の渡り後半。個体数や種類数は望めないものの、珍鳥出現の可能性が高まる。但し、珍鳥が出なければ他種類は非常に少ないギャンブル的な要素が強いシーズンなので要注意。

小呂島に渡りの小鳥を狙って渡島した。海上凪。日差しは強いが空気がひんやりとしている。

キバラムシクイはこの時期の目標種のひとつとしてリストアップしていた。「チュン、チュン」とかなり大きな声。頭の形も僅かに丸味があり、同種の特徴を示していた。顔横1m弱、極至近距離、ブッシュの中にチラリと見えた瞬間、前方の繁みに飛び込まれた。以降、出て来ず、声もしなくなった。最終的な同定にあと僅か一歩届かず!

ムシクイ類はセンダイムシクイ最多、次にエゾムシクイ、最後にメボソムシクイ。キマユムシクイ1、昨春のヒメイソヒヨ?、今回のキバラムシクイ?未だ完全な同定に至っていないが、夢を抱かせてくれる!

ヨタカ個体数多く、5個体を観察、声を録音した(下記再生コントロール)。鳴き交わし、2羽で追いかける、ヒラヒラと舞うような採餌飛翔など様々な行動を確認した。

ヨタカ (2019-05-12 小呂島 MP3)

5月25日渡島時に咲いていたクロバナイヨカズラ(キョウチクトウ科)。福岡県内ではここだけの希少種(品種)らしい。5月下旬から6月上旬が開花時期。野鳥の春の渡り時期終了以降なので注意。

小呂島に観光客が宿泊できる宿は無い。定期船(写真)は曜日で時間が変わるので注意。あくまでも島民の生活のための定期船です。多人数での利用はご遠慮ください。また欠航も多いので海上気象にも注意が必要。

(2019-06-30掲載 第53回)

号外

野生種と家禽

波多野邦彦 2019-06-17

5月(2019年)の観察サイトにマガモの記載が複数ありますが、画像を見る限りマガモとアヒルを混同されているようです。5/17、/22、/23、/27、/28、6/6掲載のマガモは全てアヒルです。

※画像は観察サイト中のものをトリミングしています。(引用元:マガモアヒル

  1. 野生種としてのカモ類は北部九州では、秋10月に入ると飛来し、翌年春4月頃まで越冬します。5月以降夏期にかけて観察されるのは傷病鳥や他の理由で居残ったものなどです。野鳥観察では季節感が大切です。春夏秋冬、身の周りにどの季節にどのような種類がいるか、調べておきましょう。探鳥した日毎にリストをつけることをお勧めします。
  2. マガモとアヒルの外見上の違い(マガモに似た色彩のもの)
    マガモを飼育し家禽化したものがアヒルです。通常、アヒルはでっぷりと太っていて、特に腹・下腹から下尾筒にかけて肥大化が顕著で、陸上に上がっている時は特によく目立ちます。
    1. ①水面に浮いている場合

      マガモは通常首に近い背の部分(黄色矢印)が高い位置にあり尾(後方)に向かってなだらかに下がっていきます。尾の下側下尾筒の部分は小さく水面上に僅かに見える程度です。これに対しアヒルは体前部が水中に沈みこみ首に近い背の部分は下がり、マガモの場合とは逆に尾が高く上がってお尻の部分が大きく水面上に突き出て見えます。(赤色矢印)

    2. ②色彩

      雄の白い首輪はくっきりとしたリング状(画像ではやや判りづらい)なのに対しアヒルでは不明瞭なものが多く、無いものも多数います。雌の場合、マガモは明るい黄褐色の地に褐色の明瞭なうろこ模様がありますが、アヒルではぼんやりとした不明瞭な色彩のものが多いようです。(ピンク色矢印)また、全般的に頭、嘴やからだの色彩もアヒルはマガモに比べて変異が多く鈍い色をしています(紫色矢印)。

  3. アイガモ

    稲作の方法でアイガモ農法というのがありますね。アイガモを水田に放し飼いにして雑草などを駆除する方法です。このアイガモは野生種のマガモと家禽のアヒルを掛け合わせたもので、飛べませんが、一見してマガモとの区別が難しいケースもあるようです。

(2019-06-17掲載 第52回)

ヘラシギ成鳥夏羽!

波多野邦彦 2019-05-19

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ヘラシギ成鳥夏羽(2019-05-19筆者撮影)

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ヘラシギ成鳥夏羽、手前2羽トウネン(2019-05-19筆者撮影)

(クリックで拡大・縮小)

本日の目標は夏羽のヘラシギ1種だけなので、いつものシギ・チドリ単独自主目標設定は無し。探鳥時間を全てヘラシギ探索と観察に費やした。5月6日は2羽観察したが今日は換羽が進んだ1羽のみ。
ヘラシギは2000年代に入って減少が急加速し、2010年代には推定繁殖つがい数は、35〜140つがいほどに激減したと言われています。近年、東与賀干拓(佐賀県)の記録も断続的で、昨年秋は2年ぶり、この春は3年ぶりの出現だった模様です。
秋の幼鳥は頭頂と背が黒っぽく、パンダ顔も見えるので見つけやすいが、春の夏羽は周囲にいるトウネン夏羽との差異が僅かなため探し出すのに苦労しました。今日観察に来ているバーダー全員で探します。
頭、顔、頸にかけてすっぽりと頭巾を被ったように赤黒く、暗色小斑が下胸、左右の脇腹まで広がっている。嘴基部に僅かに淡色部分がある。背のV字線は黄色で明瞭。大きさはトウネンよりもやや大きく感じる。嘴を干潟の表面から離さずに常時素早く小刻みに頭を前後させる採餌特徴はトウネンとの差別化に有効。ほとんど休まずにせわしなく動き回る。
探鳥トラバース前号・号外でもお知らせしたとおり、シギ・チドリ探鳥は観察に行くタイミングが重要。5月23日現在、主力の群れはほぼ渡去してしまった。ヘラシギも既にいなくなったと思われる。

今回は「ヘラシギ成鳥夏羽!」です。前回・号外に続き、シギ・チドリ類についての話題。
佐賀・東与賀干潟は現在日本一のシギ・チドリ類観察場所として全国からバーダーが集まって来ています。
地元九州にこんな素晴らしい干潟があるのに筑豊支部の皆さんがほとんど見に行かないのは本当にもったいないと思います。
シギ・チドリ類の識別に自信が無くても、現場には若くて優秀なバーダーが大勢います。事前の勉強は勿論必要ですが、初めての方や経験の浅い方にも親切に説明してくれます。
たまには仲間内だけの集まりから少し離れて、ご自分の見識を広めるのも良い経験になると思います。
春の渡りシーズンは既に終わりました。次は秋のシギ・チドリシーズンです。秋と言っても8月中旬過ぎ頃から始まりますのでご注意!

(2019-05-30掲載 第51回)

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