波多野邦彦
総目次
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波多野邦彦 2023-05-31掲載
5月初旬は定例の離島探鳥+希少種チャバラアカゲラの出現ー最終日(5月9日)確認まであっという間に過ぎました。
中旬以降は過密スケジュールの仕事の合間に短時間の探鳥。期せずして地元の水鳥中心の報告になりました。
遠賀川・中島では当面の目標だった渡り途中のコヨシキリの囀りを5月27日確認できました。
(2023-05-31掲載 第150回)
波多野邦彦 2023-04
3月は冬鳥に目立った動きが無かったが、4月に入るとすぐにサシバ、アマツバメ、コマドリ、ノビタキ等が順調に渡って来始めた。その後はヤブサメ、オオジシギ、チュウジシギ、センダイムシクイ、クロツグミ、マミジロ等、いつもの夏鳥が揃ってきた。後半も同様にツバメチドリ、エゾムシクイ、アムールムシクイ、キマユムシクイ、コルリ等、春の渡りは心配ないなと自信を持つことができた。
今シーズンの特徴は4月現在でオオルリ、キビタキ等のヒタキ類が少ないこと。一方、これとは反対にツグミ類の中でアカハラがいつになく多いと感じている。
(2023-05-08掲載 第149回)
波多野邦彦 2023-04-03掲載
ようやく暖かくなり、今週は初夏のような日もありました。
皆さんもこれから色々な場所にバードウォッチングに出かける機会も増えることと思います。
この時期多くの野鳥が繁殖の準備中または既に繁殖に入っています。野鳥の繁殖期は人が考える「夏」ではありません。
筑豊支部を代表するクマタカは1月、2月頃から繁殖行動が見られるようになり、今頃は営巣が完了する頃です。
英彦山では他の小鳥類、夏鳥で代表的なオオルリ、クロツグミなどは4月中旬頃には渡って来てすぐに繁殖を開始します。
ここで鳥見に行った際に注意して欲しいのは自分が野鳥のテリトリー内に入ってしまっていないかということです。
野鳥が自分の近くまで来ていつまでも囀っているのを「こんなに近くに、自分の足元まで来てくれた!何て素敵!」と単純に喜ぶのではなくて、営巣場所に近づき過ぎて警戒されているのではないかとぜひ気付いて欲しいと思います。
初心者の方や経験の浅い方は見方が自分本位になりがちなので特に注意が必要です。
また偶然にも営巣を確認したような場合は、同じ場所には行かない、ごく短時間の観察で切り上げる、遠くからスコープで観察するなど細心の心配りが大切だと思います。
(2023-04-03掲載 第148回)
サイト注:添付の写真1コマについては、調整中です。
波多野邦彦 2023-03-24撮影
ハイタカ属の1種。関東などでは市街地に進出しており街路樹に営巣しているケース等もある。九州では個体数が少なく主に山地の林に生息する。高空を帆翔している姿を見る機会はあまりなく、林道上低空や林の中を素早い羽ばたきで飛ぶことの方が多いように感じる。餌は主に小鳥類。3月頃から繁殖行動が見られる。杉や檜等の針葉樹に営巣し、3〜4羽の雛が巣立つことが多い。
雄は全長約27cm、雌は約30cmでキジバトよりも小さい。成鳥は上面が暗青灰色、下面は雄が橙色、雌は暗褐色の細かな横縞になる。顔は眉斑が無くすっぽりと灰色のマスクを被った印象。成鳥の虹彩は雄が赤く雌はレモン色。
秋のタカの渡り観察時に見る機会が最も多いと思われる。飛翔時、ハイタカとの識別が難しい。
ハイタカはチョウゲンボウに似たヒラヒラとした羽ばたき、一方ツミは素早くパッパッとキレのある飛び方をする。両種とも飛翔形はハイタカ属特有の「幅の広い翼と長い尾」で似ているが、スマートなハイタカと比べ、ツミの方がより胴体が太めで尾(翼後縁から後方に突き出た部分)が短めに見える。
ハイタカ属の初列風切り翼先分離は、オオタカ=6枚、ハイタカ=6枚、ツミ=5枚、アカハラダカ=4枚で通常は撮影された画像による比較が可能。実際に屋外での翼先分離の枚数確認はかなり難しい作業になる。
最後に国内では沖縄本島以南に亜種リュウキュウツミ Accipiter gularis iwasakii が生息している。
<探鳥トラバース第72回「2020年7月亜種リュウキュウツミ」参照>
(2023-03-24掲載 第147回)
波多野邦彦 2023-02-28撮影
旅鳥または冬鳥。九州では越冬個体が見られる。主に砂浜に生息し、泥質干潟などでは少ない。
少数の群れでいることが多く、波打ち際を採餌しながら走り回る。
全長20〜21cmで小型シギ類の中では大きく、ハマシギやサルハマシギと同程度。
雌雄同色。冬羽は地上にいるとき黒い嘴、脚、初列風切りを除き上面はごく薄い灰色、下面は純白で全体的に非常に白っぽく見える。幼鳥は上面が細かな黒い斑模様で翼角も黒く目立つ。
春の夏羽は頭、胸、背、翼上面がオレンジと黒の細かな斑模様になり、冬羽とは印象が大きく変わる。飛翔時は、夏羽、冬羽、成鳥、幼鳥を問わず、黒い翼角・初列次列風切りと白く太い翼帯のコントラストが目立つ。
(2023-03-16掲載 第146回)
波多野邦彦 2023-03-11撮影
亜種セグロカモメと亜種ヒューグリンカモメの交雑個体群が“タイミレンシス"タイプと呼ばれている。両亜種の中間的な特徴を持つが、個体差も大きく、一方に偏った特徴を持ったものなど様々。ロシアのタイミル半島で繁殖し東アジアで越冬、日本では西日本から九州沿岸にかけて比較的よく観察される。
以下、今回の成鳥冬羽個体の特徴。
頭部から胸にかけての暗褐色斑はセグロカモメと比較して小さく、後頸の狭い範囲に集中。背の灰色はかなり濃く、ウミネコと比べ僅かに薄い程度。
眼瞼は赤色。下嘴の赤色斑は大きく、一部上嘴まで色合いが及んでいる。
脚の黄色味は弱く橙色とピンク色を混ぜたような色彩。
翼端のパターンはP10に小さ目の白色斑(ミラー)が一つ、黒色斑はP10〜P4までの7枚。P7〜P5に細く不明瞭なムーンが入る。
参考:「日本のカモメ識別図鑑」氏原巨雄・氏原道昭著(誠文堂新光社)
(2023-03-14掲載 第145回)
波多野邦彦 2023-02
1月中・下旬の寒波襲来以降、小鳥類の動きが全体的に悪く感じる。
あまり遠出も出来ず、近場で短時間の探鳥を繰返すことが多かった。
津屋崎のコクガン2羽は昨年12月中旬から未だ長期滞在中で今冬シーズンの癒し系になってくれている。
(2023-03-03掲載 第144回)
波多野邦彦 2023-02-26
先日の支部探鳥会が悪天候のため中止となったため(いつも悪天候?)、26日一人で回ってみた。
今シーズンの特徴か、ホオジロ類、アトリ類非常に数が少なく、ハイタカやチョウゲンボウといったワシタカ類もほとんど見られなかった。
貯水池周回路9:20スタート、10:45終了。<正味1時間25分>
ゆっくり鳥を見て周ってもこれくらいなので、探鳥会ではぜひ一周しましょう!
(2023-02-28掲載 第143回)
波多野邦彦
2023-02-10
セグロカモメの亜種。東日本に比べ九州では観察機会は比較的多い。
セグロカモメに酷似するが全体的にややスマートで静止時、頸や脚が長く見え、尾端からの初列風切突出も長い。
第1回冬羽は非常に白さが際立ち、黒い嘴や初列風切り、尾先端の黒帯とコントラストをなす。
特に飛翔時は遠目からまたは多数のカモメ類の群中でも白黒の色彩パターンがよく目立つ。
背羽は白っぽい地色に細く大きなT字型の錨模様が明瞭<画像個体は摩耗が進み目立たない。
幼羽から成鳥羽までの羽衣の変化中、第1回冬羽はセグロカモメとの比較が最もわかり易い段階。
オオセグロカモメの中には脱色が進み全身が白っぽい個体がいるので注意が必要。特徴はセグロカモメに比べずんぐりとした体型、先太りの嘴、太く短めの翼、薄い褐色の初列風切り、短く赤味の強い脚等。
(2023-02-24掲載 第142回)
波多野邦彦 2023-02-03
本種は2009年12月福岡市東区三苫の防風林で標識放鳥されたのが日本初記録となりました。翌年4月には石川県舳倉島で記録、2012年には春日公園、大濠公園でそれぞれ越冬しました。その後記録が増え全国で確認されるようになりました。
大きさ(全長10cm)や行動はヒガラに似ており、胸・腹が黄色いのが特徴です。声は僅かにヤマガラに似た「ニィーニィー」という細く甘ったるい声質です。
今冬シーズンは飛来数が多いようで、観察した大濠公園(福岡市中央区)では10個体ほどが確認されています。
※キバラガラの各地越冬情報につきましては既に公表されています。
(2023-02-13掲載 第141回)
波多野邦彦
カモメの仲間は識別がたいへん難しく、見た目もかわいい感じがなく敬遠されがちな部類だと思います。子どもの時はどれも同じような地味な褐色、大人になるとどれも白と灰色の2色。色彩的にも流行りの「映え」無しです。それでもカモメ類は大好きだ、困難な識別にもチャレンジしようという方にはぜひ頑張っていただきたいものです。
まず、第一段階として便宜的に大型、中型、小型カモメ類と大きさで分けていきます。特段の基準はありません。大型はシロカモメ、ワシカモメ、セグロカモメ、オオセグロカモメ等、中型はカモメ、ウミネコ、ミツユビカモメ等、小型はユリカモメ、ズグロカモメ等。今回はこれらの中で「大型カモメ」にスポットを当ててみます。
大型カモメ類の特徴は幼鳥→成鳥になるまで通常4年以上の長い時間がかかることです。この間、幼羽、第1回冬羽、第1回夏羽、第2回、第3回・・・第4回、成鳥羽と変化が無くなるまで様々な羽衣に換羽します。この羽衣の変化の多さが識別する際に一番頭を痛めるところです。個体差も多く、千差万別と言っても過言ではありません。
大型カモメ類を識別するためには、何度も現地に通って、より多くの個体を観察し、よりたくさんの経験をすることがとても大切になります。地域的な特徴もあります。九州北部に位置する福岡県は、シロカモメやワシカモメといった北方系の大型カモメ類は少なく、
一方、ユーラシア大陸西方に分布するキアシセグロカモメ、ニシセグロカモメといった大型カモメ類が比較的よく観察されます。タイミルセグロカモメ、モンゴルセグロカモメ、ヒューグリンカモメ等がここに属します。
今後、カモメ類の識別についてできるだけ数多く掲載していきたいと考えています。
(2023-02-10掲載 第140回)
波多野邦彦 2023-01-02..
数度の強力な寒波襲来で十分な観察ができない日が多く今月の情報はやや少なめ。
他の筑豊支部メンバーの皆様の成果発表に期待したいと思います。
(2023-01-31掲載 第139回)
波多野邦彦 2023-01-11
ヒメハジロは北米に広く分布する小型の潜水採餌ガモです。
雄成鳥は額・目先・頬・襟にかけて虹色の金属光沢が美しく、大きな頭、短小の嘴、ピンク色の脚、白黒の体色など非常にユニークな色彩をしています。
今回、確認された東京都多摩川中流域では、やや流れのある浅瀬で平均20秒ほどの間隔で忙しなく潜水採餌を繰返していました。行動が素早く何を食べているか現地では確認できませんでしたが、図鑑などによると軟体動物、甲殻類、水生昆虫などを捕るようです。
国内の記録は北海道から関東北部までの地域が多く、西日本以西の地域ではかなり希少になります。
飛来当初は多いときで数百名のギャラリーが取り囲んだそうですが、現在は20〜30名程度で安定しており、じっくり観察、撮影を楽しめるようです。
(2023-01-13掲載 第138回)
波多野邦彦 2022-12
12月に入りガン・カモ類が順調に渡ってきたため、報告も水鳥中心になっています。
今月はCFB筑豊フリーバードソン、皆さまお疲れさまでした。
たくさん種類を見るコツは、自分の身近、どこにどんな野鳥がいるか知っていることです。
有名な探鳥地に行ったり、珍しい種類を探したりする必要は全くありません。
ふだんから丁寧な探鳥を心がけて、見落としを減らすことが確認種類数UPにつながります。
もっと多くの会員の皆さまが参加されることを期待しています。
サイト注:観察の詳細情報は観察サイト2022年12月 id:18〜01
(2022-12-31掲載 第137回)
波多野邦彦 2022-12-25,26
鹿児島県出水をスタートし、長崎県諫早干拓、佐賀県東与賀干潟と北上しながら冬の九州三大探鳥地を周ってきました。
出水のツルは12月現在ナベヅル含め1万羽以上(正確な数字不明)、昨シーズンに続きソデグロヅルが飛来。足環つきと無し2羽いるようです。<無しのみ確認>マナヅル、ナベヅル、カナダヅル、クロヅル、ナベクロが圧倒的な数で迫ってきます!他にもミヤマガラスの群れに混じるコクマルガラス、ホシムクドリ、オオタカ、タゲリ等。
諫早中央干拓ではハイイロチュウヒ、チュウヒ、コチョウゲンボウ、チョウゲンボウ等猛禽類の密度が高く、広大なアシ原上を飛翔する姿を堪能できます。今シーズンは特にトモエガモの飛来数が多く、数万羽とも言われています。空に墨汁を流したように形を変えながら流れていく大群を見ることができました。
最後の佐賀県東与賀干潟では、ツクシガモ、ズグロカモメ、ヘラサギ・クロツラヘラサギ、ダイシャクシギ他多数のシギ・チドリ類などが圧倒的な数で迫ってきます。しばしば、ハヤブサに追われ干潟上の鳥が一斉に群舞する様は圧巻です。
冬の九州三大探鳥地をぜひゆっくり味わって欲しいと思います。
(2022-12-28掲載 第136回)
波多野邦彦 2022-11-18撮影
全国に局地的に分布する。九州では主に冬鳥、越夏の記録もある。
アシ原のある湖沼、湿地、池、河川などに生息する。
黄褐色の地に黒褐色の斑紋があり、雌雄ほぼ同色。
大型のサギ類だがアシ原の中では保護色が非常に効いて見つけることが難しい。
参照:独断と偏見の識別講座U 第33回 Bittern, Night Heron U <サギ類U>
(2022-12-02掲載 第135回)
波多野邦彦 2022-11-02/29
秋の渡りもいよいよ終盤。11月はガン・カモ類や冬の小鳥類などが次々と飛来し冬鳥がほぼ出揃います。
12月に入るとオオハム・アビ類、カイツブリ類などの海鳥、カモメ類の飛来が本格化します。あとは寒波が押し寄せて来る度に様々な種類が飛来してきます。
今冬シーズンどんな目玉種が見られるか楽しみです!
(2022-11-30掲載 第134回)
波多野邦彦 2022-11-03撮影
冬の九州地方では様々なムクドリ類が観察されます。ムクドリ、ホシムクドリ、ギンムクドリ、カラムクドリ、時にはバライロムクドリなども。
中でも遭遇する確率が高いのがこのホシムクドリです。北部九州ではやや稀ですが、ツルの飛来地鹿児島県出水市などではこのホシムクドリだけの群れが飛び回っています。
ホシムクドリを見つける方法としてはとにかくムクドリの群れがいたら、丁寧に一羽ずつ観察していきます。
飛んでいるときが発見し易く、一目でホシムクドリが居るとわかります。ムクドリは腰の部分が大きく白いので目立ちます。ホシムクドリは体色と同じほぼ黒色です。
皆さんも今シーズン、ぜひご自分で見つけてください!
参照;独断と偏見の識別講座U 第13回 Starlings <ムクドリ類>
(2022-11-21掲載 第133回)
波多野邦彦 2022-11-07撮影
皆さんは探鳥に行く際、事前に出現種類を予想していますか?探鳥は現地に出発する前から始まっています。荷物や食料を揃えるのと同じ(一番大切かも?)で事前準備の中に「出現種類の予想」を必ず入れてください。
今回はアシ原のホオジロ科の小鳥ということで、筑豊支部管内の探鳥地でいえば先日の豊前海岸(椎田浜宮)、簑島・苅田、響灘ビオトープ、久保白ダムなどが該当します。
目標探鳥地の環境による「出現種類の予想」をするかしないかで、リストアップの種類数が格段に違ってきます。最初から目的地に生息する全ての種類を対象にするとレベルが非常に高くなりますので、今回はかなり絞り込んでいます。
今回は「アシ原のホオジロ科の小鳥」<もちろん冬季です>について予想してみましょう。以下に列記します。
ホオジロ、ホオアカ、コホオアカ、カシラダカ、アオジ、シベリアジュリン、オオジュリン以上7種類を挙げることができます。
コホオアカとシベリアジュリンは少し珍しい種類です。ミヤマホオジロやクロジなどはアシ原ではなく雑木林など樹木の多い地域になります。
つまり通常は上記の太字の5種類を念頭に置いて対応すればよいということになります。最終的には対象を拡げながらこの訓練を繰返すことによって全体でどれくらいの種類が観察できそうかということがわかってきます。
今回はホオジロ科でしたが、別の例えばツグミの仲間にはどのような種類が該当するかわかっていることが前提になります。つまり仲間ごとに名前を覚える必要があります。アイウエオ順をお勧めしないのはこういった理由もあります。
ホオジロ科とアトリ科の小鳥が頭の中でごっちゃになっていませんか?きちんと日本産鳥類目録に沿った形で常に索引を開くことが重要な作業になってきます。
(2022-11-08掲載 第132回)
Strix uralensis fuscescens
波多野邦彦 2022-10-28撮影
日本国内に生息するフクロウは4亜種に分けられています。北から、
亜種エゾフクロウ Strix uralensis japonica 北海道・南千島、
亜種フクロウ S. u. hondoensis 本州北部、
亜種モミヤマフクロウ S. u. momiyamae 本州北・中部、そして
亜種キュウシュウフクロウ S. u. fuscescens 本州中・南部以南。
但し、亜種エゾフクロウ以外は分布域が明確ではないようです。「フィールド図鑑 日本の野鳥」(文一総合出版)
あくまでも個人的な感覚ですが、これまで北部九州で見てきたもののうち、約7割近くが亜種モミヤマフクロウ的な色白の個体で、残り約3割が色の濃い亜種キュウシュウフクロウ的な色彩でした。これらとは別に全身が赤褐色をした個体も数羽確認しています。
フクロウと言うと「森の奥深くに棲む賢者」というイメージがありますが、ネズミなどの小さな哺乳類や鳥類を主食としており意外にも人々の生活の場、近くに住んでいることが多いようです。
参照;独断と偏見の識別講座U 第24回 Ural Owl <フクロウ>
(2022-11-04掲載 第131回)
波多野邦彦 2022-10-01/27
9月に引き続き今シーズンは10月も順調に渡りが進んでいるようです。MF(マイフィールド)でもほぼ予想通りの進捗具合。
秋の渡り鳥と一口に言っても全ての種類が一度に渡って来る訳ではありません。
ワシ・タカ類のアカハラダカ9月中旬、ハチクマ9月下旬、ツミ9月下旬、ハイタカ10月中下旬に旬な時期があるようにカモ類や小鳥類も順次渡ってきます。
別途、観察サイトの日付順リスト(id:07〜id:32)をご覧いただき、その辺の流れを少しでも感じていただけるといいと思います。
(2022-10-31掲載 第130回)
波多野邦彦 2022-10-21
本州中部以南、沖縄諸島や小笠原諸島までの離島に留鳥として生息する。
単独または数羽の小群で行動する。常緑広葉樹の林を好み、ガジュマルなどの木の実を主食とする。
全長40cmと大きく、飛翔中は特に長い頸と尾が目立つ。嘴先端は乳白色。脚はくすんだ赤色。全身黒灰色で緑・紫・濃ピンク色などの金属光沢がある。
「ウウールルルルルルー」と絞り出すような低い声で鳴き、存在をまず声で気づくことが多い。
福岡県内では筑前大島、筑前相島、小呂島、沖ノ島などに生息している。離島以外で観察することはまれ。
小笠原諸島・硫黄列島には頭部が濃いピンク色をした亜種アカガシラカラスバト C. j. nitens が生息している。
独断と偏見の識別講座U\第28回 Pigeons & DovesT <ハト類T>参照
(2022-10-25掲載 第129回)
波多野邦彦 2022-10-21
英名 Japanese Yellow Bunting 知られている繁殖地は日本だけで国内では本州中部以北で局地的に繁殖する。
春秋の日本海側離島などではしばしば渡りの個体が観察され、大きな群れで通過して行くこともある。但し、保護色が効いた色彩と草に潜る性格から、本土側でノジコを見つけるのはかなり難しい作業になる。
今回は飛んでいるホオジロ科の小鳥の地鳴きと体の小ささおよび色彩からノジコと同定し、何とか撮影までこぎつけた。
全長は14cmでホオジロ科の中でも小型の種類。地鳴きは細い声質でごくわずかに濁った「ジッ」。囀りは細く明るく金属的な声質で「ツツイチョイチョイツイツイチョイチョイツイーッ」。
雄は上面が黄緑色、下面は黄色が強く出る。雌はやや鈍い色彩。背や翼上面に黒と茶色の目立つ縦斑が入る。雌雄ともに前後で切れた白いアイリングが目立つ。雄は目先が黒くなる。嘴は青灰色。
(2022-10-22掲載 第128回)
波多野邦彦 2022-09-30,10-01
春秋の日本海側離島で観察されます。また九州では冬鳥としてしばしば越冬個体が確認されます。
上面は柔らかな淡栗褐色。通常カラフトムジセッカが識別対象種となりますが、眉斑の後半がやや褐色味を帯びること、細い嘴、地鳴きが違うことなどで識別可能です。
生息環境は水辺の葦原やブッシュ。地鳴きは特徴的でちょうど舌打ちの様な乾いた声質の「タンッ、タンッ」慣れるとこの声だけで識別可能です。囀りは早口で驚くほど大きな声です。ブッシュの中を素早く動きながら時々叢上に顔を出します。
参考 独断と偏見の識別講座第63回Phylloscopus Warblers T <モウコムジセッカ、ムジセッカ、カラフトムジセッカ>
(2022-10-19掲載 第127回)
波多野邦彦 2022-10-15
国内では北海道で繁殖し、その他の地域では春秋旅鳥として通過する。特に秋の渡り時には大群となり四桁の群れに出くわすこともある。
素早い羽ばたきと方向転換を交え飛翔する。灰褐色の上面に白色の下面。上胸にT字型の褐色の帯模様がある。
ちょうど今頃、刈田の上を飛んでいるツバメの群れは要注意!
(2022-10-16掲載 第126回)
波多野邦彦 2022-09-23,24
皆様ご存知のとおり秋9月、全国のハチクマが長崎県五島列島を目指して飛来します。ここに集結し集団で東シナ海を渡っていきます。
五島列島・福江島最西端に位置する大瀬崎(おおせざき メッシュコード@4828-7437)には毎日数百羽から数千羽を越えるハチクマが集結し、いたる所にタカ柱を作り渡っていく様は思わず唸りを上げるほど壮観です。是非一度ハチクマの大集団の渡りをご自分の目でお確かめください!
ハチクマ以外にもアカハラダカ、サシバ、ノスリ、チゴハヤブサ、ハヤブサ等のワシタカ類、コウライウグイス、コムクドリ、ブッポウソウ、リュウキュウサンショウクイ、ハリオアマツバメ、クロビタイハリオアマツバメ、エゾビタキ、オオムシクイなどの秋の渡りの小鳥なども見逃せません。
(2022-10-10掲載 第125回)
波多野邦彦
九州では阿蘇などの高原で繁殖する。春・秋の渡りの時期はクリーク沿い・溜池のアシ原やブッシュ、水田などで観察される。春は5月連休明け頃から、秋は9月下旬から10月中旬頃まで。
セッカとほぼ同大または僅かに大きい。明瞭な淡色の眉斑とその上部に接する暗褐色の頭側線が目だつ。
上面は明るいベージュ色で無斑。秋の幼鳥は胸や腹にかけて黄色味が強く出る。
地鳴きは一声ずつ小さく乾いた声で「タッ、タッ、タッ、タッ」。至近距離からだと「タルルッ、タルルッ、タルルッ、タルルッ」と聞こえる極短い連続音。聞き慣れればこの特徴的な地鳴きだけで識別可能。
参考 独断と偏見の識別講座第84回<オオヨシキリ、コヨシキリ>
(2022-10-09掲載 第124回)
波多野邦彦 2022-09-29
主に春秋に日本海側の離島で記録されることが多い。通常は単独の記録。農耕地、草地や荒れ地などで小さな昆虫類を捕獲する。
以下ビンズイとの識別ポイントを中心に特徴を列記。
上面は淡褐色地でビンズイのようなオリーブ色味はほとんど無い。頭頂に細い褐色斑、嘴は僅かに太めに感じる。
眉斑は不明瞭で、ビンズイと大きく違う。ポイント@
耳羽の白斑も無しまたは不明瞭。ポイントA
背に明瞭な暗褐色縦斑ポイントB、胸にも暗褐色のポタポタ斑が並ぶ。
脇腹の褐色斑は針のように細くなる。ポイントC
そしてほとんど鳴かない。ポイントD
個人的感想になるが今まで地鳴きを聞いたことが無い。ビンズイは飛び立つ時に必ずと言っていいほど「ズィーッ!」と地鳴きをする。
2022年9月29日 山口県・離島
(2022-10-05掲載 第123回)
波多野邦彦 2022-09
8月後半から11月前半頃にかけては、秋の渡りシーズンです。春の渡りのように様々な種類が集中して一気に渡って来る派手さはありません。一言でいうと地味です。
一方、探鳥技術を使って、丁寧な観察で一種一種拾い上げていく感覚はとても充実感が大きく、目標とする野鳥を見つけた時や、思いがけない珍鳥に出遭えた時などは何にも代えがたい感動があります。
必ずしも離島や遠征に行く必要はありません。先日、自宅横の小川でもコヨシキリを確認しました。
皆さんの身近なところを通過して行く渡り鳥をぜひ発見してください!!
(2022-09-28掲載 第122回)
波多野邦彦 2022-09-26
国内では夏鳥として北海道の湿地、草原などで繁殖し、北海道以南では旅鳥として春・秋に通過して行く。冬期はフィリピン等で越冬する。
九州では9月から10月にかけて水田や海岸近くのブッシュなどで観察される。
雌雄同色で上面はオリーブ色を帯びた褐色。背に不明瞭な暗色線がある。上面は光線の具合により赤味が強く感じられることもある。
細い淡色の眉斑、下面は汚白色。尾は楔型で先端に向かって暗色味を帯び先端に淡色斑が並ぶ。
秋に見られる幼鳥は眉斑、顔、胸および下面に黄色味が強く出る。渡り途中、声はあまり発しない。
シマセンニュウを見つけるためには静かに丁寧な探鳥が重要。
(2022-09-27掲載 第121回)
波多野邦彦 2022-09-04
ヒマラヤアナツバメ Aerodramus brevirostris
2022年9月4日地元福津市内でヒマラヤアナツバメを観察した。
本来はインド北部、ネパール、ブータン、ミャンマー、中国南部、インドシナ半島などに分布し、一部渡りをする。3亜種が知られている。
国内では北海道から沖縄県まで全国に記録があるが、特に琉球諸島で多い。
福岡県内では1997年5月新宮町相島で飛翔する1羽が観察・撮影されている。
アマツバメ類、ツバメ類に混じって飛翔する観察例が多く、今回も同様に群中で採餌を繰返す1羽を観察した。
全身灰褐色、目の周囲が暗色で特徴的な顔つきに見える。腰が僅かに淡い色彩。
翼は細長く、尾は浅い凹尾で広げると円尾になる。
(2022-09-19掲載 第120回)
波多野邦彦 2022-09-13
アマツバメは4月頃夏鳥として九州以北に飛来し、海岸線から高山まで崖や洞穴のある場所に生息します。
空中生活に特化した性質を持ち、エサ取り・交尾(5〜6月)・睡眠等も飛びながら行います。
ちょうど今頃から9〜10月にかけて各地で高空を渡っていく姿を見ることができます。秋これから、タカの渡りを見に行くときはアマツバメ、ハリオアマツバメ、ヒメアマツバメ等アマツバメ類にも是非注目してください。
(2022-09-14掲載 第119回)
波多野邦彦 2022-07-24
ヤンバルクイナは1981年山階鳥類研究所により新種として発表された沖縄県北部ヤンバル地域にのみ生息する世界的希少種。発見以来、個体数は減少の一途を辿っており、その原因はマングース、ノネコによる捕食、ロードキル(交通事故)、環境破壊等と言われている。
個人的には2010年4月に初めてヤンバル地域を訪問し、探鳥トラバース第28回「ヤンバルクイナ激減」に記事を掲載している。文中に「2010年当時減少の影響は出ていない、原因は野犬等」と書いているが、これは間違い。ここで改めて訂正しておきます。
2022年7月、今回はヤンバルクイナを運よく8羽以上確認することができたが、一方マングースは沖縄滞在中ヤンバル地域を問わずあちらこちらでたくさんの個体を目撃した。徹底した駆除が必要だと痛感した。
沖縄本島の野鳥を6回にわたって特集してきましたが、今回のヤンバルクイナが一応最終回です。まだ紹介しきれていない種類も数多くいますので、機会があれば順次掲載していく予定です。
(2022-09-02掲載 第118回)
波多野邦彦 2022-08-14..
秋の渡りシーズンが始まっています!
久しぶりに地元でのんびりと探鳥しています。毎日猛暑が続いていますが、野鳥の世界では既に秋の渡りが始まっています。ここ数日間で観察した野鳥の一部をご紹介します。皆様もコロナと熱中症にはくれぐれも注意の上、探鳥を楽しみましょう!!
最近、くまたかブログに特に野鳥の話題が少ないようです。日本野鳥の会筑豊支部です。野鳥に関する筑豊支部の素晴らしい活動内容についてHPを訪問された皆様に知っていただくためにも、どしどし野鳥に関する写真や記事を掲載しましょう!
(2022-08-24掲載 第117回)
波多野邦彦 2022-04,05
沖縄本島や南西諸島に棲む留鳥には、本土のものとは違った特徴を持つものが多くいます。
同じ種類が本土にいても見た目や特徴が少しずつ違い、別亜種扱いになっているものが数多くいますので今回集めてみました。
また。鳥層についても、固有種が多い、基本的にトビがいない、ハシボソガラスがいない、黒に比べ白いクロサギが多いなど様々な特徴があるので勉強してみると面白いと思います。
(2022-08-14掲載 第116回)
波多野邦彦
2022-07-24
(2022-07-24撮影)
今回は沖縄シリーズ第4弾亜種リュウキュウオオコノハズクです。当該亜種は琉球諸島に留鳥として生息しています。
赤褐色味の強い体色、赤い虹彩、複雑な模様の羽衣、毛の生えていない趾等が特徴です。
夜間、「ワッハッハッハ」「キュ〜ー」「ミィヤー」等と鳴き、声は身近な場所で結構聞くことができますが昼間はその姿を見ることはほとんどありません。
今回、幸運にも巣立ち直後と思われる幼鳥を観察することができました。この後、枝移りしながらジャングルの奥に消えていきました。
(2022-08-07掲載 第115回)
波多野邦彦
2022-07-01掲載
ミフウズラは奄美諸島や琉球諸島に留鳥。
丈の短い草地やサトウキビ畑などに生息しています。
繁殖形態は一妻多夫で雄が抱卵・育雛を行います。
メスは喉から上胸にかけて黒く、雄に比べて美しく色彩もはっきりとしています。
※ミフウズラはチドリ目ミフウズラ科、種名にウズラとついてもキジ目ウズラ科のウズラとは全く違う種類です。
(2022-07-01掲載 第114回)
波多野邦彦 2022-06-11掲載
アカヒゲは3亜種に分けられます。亜種アカヒゲ Luscinia komadori komadori は男女群島、薩南諸島に分布し冬期一部が南に移動する。亜種ホントウアカヒゲ Luscinia komadori namiyei は沖縄諸島に分布しほとんど移動をしない。亜種ウスアカヒゲ Luscinia komadori subrufus は八重山諸島で絶滅とされています。
今回ご紹介するのは沖縄本島北部に生息している亜種ホントウアカヒゲです。沢沿いの薄暗い常緑広葉樹林などに好んで生息しています。非常に美しい声で囀ります。
亜種ホントウアカヒゲの特徴(雄)は亜種アカヒゲと比べて額の黒い部分が狭い、脇腹が暗灰色で黒くないところなどがあげられます。
最後にこれは有名なお話ですが、アカヒゲ Luscinia komadori とコマドリ Luscinia akahige は学名の種小名が入れ替わっています。初めての方はご確認ください。
(2022-06-11掲載 第113回)
波多野邦彦 2022-06-04掲載
今回はノグチゲラ。世界的にも沖縄本島北部・ヤンバル地域にのみ生息する固有種です。
美しいアイボリーの嘴、深い赤褐色のからだ、初列風切りには小さな白斑が並びます。デイゴの花の蜜が大好物で満開時には頻繁に蜜を吸いにやってきます。クワやアカメガシワの実、地上に降りて甲虫類の幼虫、ムカデ、ヤモリなども好んで食べます。
鷹揚とした性格であまり人を恐れず、タイミングが合えば至近距離までやってきます。
今後数回にわたって沖縄本島の野鳥を紹介していくつもりです。お楽しみに。
(2022-06-04掲載 第112回)
波多野邦彦
2022-02
中間市・中島で2022年1月中旬、岡部海都氏により発見され、2月月初に観察・撮影されました。2月連絡を受け4日、7日、11日の3回にわたり、現地(@5030-5566)での同定を兼ねた観察・撮影を行いました。以降、寒波による悪天候などで観察不能。18日、20日現地訪問するも発見できませんでした。
<特徴>
全長12.5〜14.0cmでセッカとほぼ同程度。上面は淡灰褐色、下面はバフホワイト、脇腹は灰オリーブ色。
額から頭頂にかけてなだらかにせり上がる頭の形状、PP(Primary Projection:三列風切りからの初列風切突出)が短いことが本種の大きな特徴。
淡色の明瞭な眉斑は目の僅かに後ろまでで、目の斜め上部分眉斑上部が暗褐色。暗色の過眼線は目の後方にごく僅かに伸びる。
嘴は細く直線的で長め。上嘴は暗色、下嘴は先端まで暗色部分はほとんど見えない。脚は暗褐色。P8,7に外弁欠刻。
行動は地鳴きをしながらブッシュの中を素早く移動し昆虫を捕らえる。時々ブッシュ上に姿を現し、直ぐにまた潜るの繰り返し。ブッシュ上でしばらくの間、静かに羽繕いをしている姿も観察した。早朝薄暗いうちから活発に行動していた。
地鳴きは人の舌打ちに似た「チャッ、チャッ、チャッ・・・」で僅かにしわがれた声。
しばしば声が聞こえなくなる時間帯(30〜90分程度)があったが、そこに居て声を発していないのか、別場所に移動しているのかは不明。
数度ウグイスが接近した場面では、その都度「ジリリリリリリリッ」尻下がりの大きく鋭い警戒声を発した。
<分布、国内記録>
ヤブヨシキリの繁殖地は、バイカル湖西岸から西方スウェーデン南部まで及び、そのほとんどがロシア国内に広がっています。越冬地はネパール、ブータン、バングラデシュ、スリランカ、ミャンマー西部等の南アジアです。日本が含まれる東アジアは本来の渡りルートからは外れています。
日本国内の記録としては、1999.10北海道、2000.5沖縄県久米島、2007.10石川県舳倉島、2011.10新潟県福島潟、2015.10佐賀県巨瀬調整池等がある。
(2022-05-10掲載 第111回)
波多野邦彦 2022-05-06
ゴールデンウィークも過ぎ、多くの夏鳥が渡ってきました。
2022年5月6日地元(福岡県・玄海国定公園)で5種類のムシクイ類の声を確認しましたのでお知らせします。声に興味をお持ちの方は必聴です!
キマユムシクイ囀り(+コルリ囀り)
「チーチュイチーッ」という尻上がりで非常に高く長く伸びる。
コルリの囀りもクリアに入っていますので聞いてください。
キマユムシクイ地鳴き
「チュイッ、チュイッ」短く尻上がり。
メボソムシクイ囀りと地鳴き、センダイムシクイ囀り
「ジョリジョリジョリ」が囀りで途中三拍子から四拍子に変化。
囀りの間に「ギュギュッ、ギュギュッ」小さく地鳴き。
センダイムシクイ囀りはご存知の通り。
アムールムシクイの囀り
「シシシシシシシ」金属的な音質の囀り。
アムールムシクイの地鳴き
「ピッ、ピッ」非常に高く細い音質。
次のエゾムシクイとの比較のために掲載。
エゾムシクイの地鳴き
「ヒッ、ヒッ」高く強い音質。
前述のアムールムシクイと比較して僅かに低い。
単体で聞いた場合に識別が非常に難しい。
(2022-05-07掲載 第110回)
波多野邦彦 2022-04-20/23
20022年4月20日〜23日奄美大島で環境調査。仕事の合間に撮りためた野鳥を紹介します。奄美大島には多くの固有種、固有亜種が生息しています。
アマミヤマシギ、オオトラツグミ、アカヒゲ、ルリカケス、オーストンオオアカゲラ等。他にもリュウキュウコノハズク、アマミコゲラ、アマミヤマガラ、アマミシジュウカラ、アマミヒヨドリ等、奄美大島特有の亜種がいます。
鳥以外にもアマミノクロウサギ、ケナガネズミ、トゲネズミ等の哺乳類。
キノボリトカゲ、バーバートカゲ、ホンハブ、ヒメハブ等の爬虫類。
イボイモリ、シリケンイモリ、アマミイシカワガエル、オットンガエル、アマミハナサキガエル等の両生類。
フェリエベニボシカミキリ、アマミシカクワガタ、アマミマルバネクワガタ等の昆虫類。
さらに多くの貴重な生物が雄大な自然の中に生息しています。
機会があれば、ぜひ一度奄美諸島の大自然を経験されることをお勧めします。
(2022-04-26掲載 第109回)
波多野邦彦 2022-02-12
探鳥トラバース第82回「冬鳥の囀り」(2021年3月18日掲載)でミヤマホオジロについてご紹介しましたが、今回はクロジです。
雄の色彩は全身濃いグレー、雌も茶褐色といったどちらも地味な印象。さらに暗がりを好む傾向のため目立ちません。
それに対してこのクロジの囀りがとても美しいということをご存知の方は多くないと思います。基本的な囀りは「フィーチヨチヨ」でフィーの部分が尻上がりです。大きく声量のある声でゆったりと大らかな囀りです。他にも「チュチュチヨチヨ」などレパートリーがあります。録音データ内には非常に高く金属的な「チッ」という地鳴きも。
渡り直前の時期で本格的な声量ではないですが、クロジの美声を堪能できると思います。
(クロジ 2022-03-30 玄海国定公園)
ホオジロ科の冬鳥は意外と皆様の身近なところで囀っていると思います。
(2022-03-30掲載 第108回)
波多野邦彦 2022-03-20
春の渡りで早い時期、3月下旬から4月上旬頃が渡りのピークです(秋はかなり少ない)。特徴的な羽衣と美しい色彩が映え、カメラマン垂涎の種類です。
日本海側に面した地域や離島で観察されることが多く、グラウンドや広い公園等開けた場所を好む傾向がありますが、狭い所に入り込むこともあり神出鬼没です。
非常に警戒心の強い個体がいる一方、目前で羽繕いや伸びを繰り返すものもいて、性格にはムラがあるようです。通常は単独、たまに複数で観察されます。一ヶ所に長く留まることは少ないので情報に振り回されないよう注意。
同じ時期に観察されるコマドリ・コルリの囀りやオオルリの姿などを狙いながら、ヤツガシラにアンテナを張るといった「二匹目のドジョウ的」見方が良いでしょう。
過去には筑豊支部管内で記録があり、国内での繁殖記録もあります。
撮影:宗像市・鐘崎漁港 @5030-6452
(2022-03-25掲載 第107回)
波多野邦彦 2022-03-21掲載
この時期、様々な野鳥の羽衣の変化にお気づきだと思います。冬羽から夏羽への変化です。
今回はミヤマホオジロを取り上げます。
No.01とNo.02は昨年11月19日の画像です。♂冬羽です。換羽したてのフレッシュな羽毛で頭頂、過眼線・顔、胸のエプロン斑には褐色味が強く出ます。頭と喉は淡黄色です。嘴は上が濃灰色、下はピンク色を帯びます。
一方、No.03とNo.04は今年3月20日の画像。♂夏羽です。羽毛は先端が擦り切れて粗く見えます。頭頂、過眼線・顔、胸は黒味が増しています。頭と喉も濃い黄色。嘴は上下ともに真っ黒に変化します。
季節の変わり目は様々な変化が見られますので、注意深く観察してください。
(2022-03-21掲載 第106回)
波多野邦彦 2022-02-02,03
2月1日〜3日鹿児島県出水市をスタートし、長崎県諫早干拓、佐賀県東与賀干潟と九州を北上しながら三大越冬地を探鳥しました。
出水のツルは今シーズンも16,000羽を越えるナベヅル、マナヅル等が越冬しています。今シーズンの目玉は何といってもソデグロヅル。9年ぶりの飛来です。大柄で純白の羽衣は遠くからでも目立ち、圧倒的な存在感です。
諫早のナベコウは今シーズン確認されていません。それでもチュウヒ、ハイイロチュウヒ、コチョウゲンボウなどのワシタカ類の密度が高いのが諫早の特徴です。
最終目的地の佐賀県東与賀干潟では、ツクシガモ、ズグロカモメ、ヘラサギ&クロツラヘラサギ、ダイシャクシギ他シギ・チドリ類などによる圧倒的な多数の力が迫ってきます。この冬はソリハシセイタカシギが15羽に増えエレガントな群飛を見せてくれています。
それぞれ特徴的な九州の三大越冬地、皆さんもぜひ一度ゆっくりと探鳥されることをお勧めします。
(2022-02-07掲載 第105回)
波多野邦彦 2022-01-31掲載*
2022年1月沖縄県名護市にて亜種リュウキュウキビタキ雌成鳥を観察しましたのでご報告いたします。
亜種リュウキュウキビタキは屋久島、種子島、トカラ列島では夏鳥として、奄美以南の南西諸島では留鳥として分布しています。
「日本鳥類目録」第7版では現在、
基亜種キビタキ Ficedula narcissina narcissina
亜種リュウキュウキビタキ Ficedula narcissina owstoni、そして
亜種キムネビタキ Ficedula narcissina elisae
の3亜種を認めていますが、また一方で3亜種をそれぞれ別種とする説もあります。
今回はバンディングで詳細なデータから同定することができましたが、野外フィールドにおける正確な識別はかなり困難な場合が多いと考えられます。
参考図書:BIRDER 2017年7月号
(2022-01-31掲載 第104回)
波多野邦彦 2022-01-04掲載
いつもとは違った趣向の原稿です。恥ずかしいのでだまっていましたが、新年用に面白い題材かと思いましたのでお知らせいたします。
実は昨年秋、九州国立博物館のYouTube番組「ラジオdeきゅーはく!」でバードウォッチング初心者向けにインタビュー(野外)を受けました。
<ラジオdeきゅーはく第6回「神無月号」(2021年10月3日配信)>(無料)
※サイト注:「ラジオdeきゅーはく!」の新コーナー「きゅうはくでバードウォッチング」に出演されました。
参考:九州国立博物館
(2022-01-04掲載 第103回)
波多野邦彦 2021-12-25掲載
ツメナガホオジロは全国的に局地的に越冬する数少ない冬鳥。九州でも少数が海岸に近い、荒地、草地、刈田などで観察されます。
独断と偏見の識別講座「第48回ツメナガホオジロ」で識別方法やその見つけ方について書きましたが、今回は実際に撮影チャレンジした時の報告です。<声は2018年12月22日録音>
カメラ初心者の私にとって困難を極めましたが、ピンボケですが何とか判別できる程度には撮影することができました。識別講座の内容と対比しながら見てください。
(2021-12-25掲載 第102回)
波多野邦彦 2021-12-02
ニシオジロビタキFicedula parvaは日本産鳥類目録第6版では検討亜種、同第7版では検討種となっています。今後、オジロビタキFicedula albicillaとは別種として扱われる可能性が高い種です。
分布域はニシオジロビタキの方がより西方が中心ですが、日本国内で観察されるのはニシオジロビタキの方が圧倒的に多いと言われています。
今回観察したのはニシオジロビタキ第1回冬羽個体で大雨覆い先端に淡褐色斑があります。
オジロビタキとの違いは嘴基部が黒色ではなく基部が淡肉色、上尾筒がジェットブラック(漆黒)ではなくてマットブラック(艶消し黒)の地に灰褐色の羽毛があります。
両種の声(地鳴き)は特徴的な早口で「ヂィリリリリ、ヂィリリリリ・・・」と似ていますが、ニシオジロビタキはルリビタキのような「ヒィッ、ヒィッ」といった声も出します。
冬期は九州各地で観察されます。過去には中間市・埴生公園や春日市・春日公園などでも越冬しました。
(2021-12-22掲載 第101回)
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