一筆啓上 2有働孝士
野鳥と自然と私たちに関するあれこれを、とりとめもなくさえずり仕り候。中には一筆では済まず、多筆啓上となりましたが、たとえホオジロでも長広舌になったり、チチッの2音で済ませたり。気分任せは野鳥の自然。どうかご容赦。
目次
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有働孝士
2021-11-06
(公財)日本野鳥の会(以下、財団本部)からメール「ニコンモナーク探鳥会 オンライン(YouTubeライブ配信)」が届きました。オンラインで探鳥の様子を放送するという企画への招待です。好奇心に駆られ、アクセスしてみることにしました。よその支部の探鳥会に参加した経験は少ないので、財団本部の催す探鳥会の有り様にも興味がありました。
2021年11月6日(土)11:00(1時間程度)開始でしたので、当日少し早めにYouTube(ユーチューブ)にアクセスしてみたら、スタジオ風の画面で司会の女性と講師として理事の安西英明氏が事前にスタンバイしておられ、11時開始を待っていました。このお二人がコメントするスタジオと現地フィールドの2台(2名)の手持ちカメラによる2元中継になっていて、さらに視聴者(探鳥会参加者)からのメッセージを表示するチャット・ウィンドウ(後述)などをまとめるためにZOOM(ズーム)というウェブ会議サービスが使用されていました。
有働孝士 2021-10-31
連れ合いに誘われて、少し長めの散歩という希望で久保白ダム湖の周回道路を歩きました。
ダム湖にカモ類を期待しましたが、まだ早いのかそれほどの種数はいませんでした。森側の野鳥は、ブッシュが多いので声の識別となります。繁殖期と異なり地鳴が頼りで、不明種ばかりとなりました。
さすがにまだ紅葉は早いと思いましたが、それでもハゼノキやウルシ類は真っ赤になっています。
以前、H氏によりシャシャンボの木が道路脇にあるのを教えていただきました。後に知りましたが、識別のポイントは、葉裏中央の葉脈に数ヶ所小さな棘状の突起があり、なぜると分かるそうで確かめたくて探しました。結局、見つからず。
午後遅くに出発したので、帰りが遅くなりました。夕焼け後、周囲が暗く沈むころ、西空にかかる明るい階調に秋の訪れを感じます。過酷で長かった夏がようやく去りました。これからの美しい季節を存分に楽しむことにしましょう。
(2021-11-01掲載)
有働孝士 2021-09-20掲載
今年からちょうど100年前、わが国初の鳥の会が、地元福岡県に誕生していたことをご存知でしょうか。本年2021年は特別な年です。先月号「本会の幼年期」で、本会の今年50周年についてご紹介しました(本当なら、ぜひお祝いをしたいところですが、コロナ禍となっては残念ながら見送らざるを得ません)。実はもうひとつ節目となる出来事が100年まえの1921年「福岡鳥の会」の発足です。福岡支部の前支部長・土谷光憲氏*によると、1934年発足の日本野鳥の会より13年も早く、しかも地元の福岡県で誕生していたというのです。驚きべきことですが、まさに「福岡鳥の会」はわが国初の鳥の会(野鳥の会)です。
※参考:「ふくおか鳥界のあゆみ」(土谷光憲、2015年)
有働孝士 2021-08-23掲載
本会は今年の2月でめでたく50才になりました。節目を記念して昔話など。本誌(「野鳥だより・筑豊」)創刊は1975年ですから本会発足4年後の開始です。それまでの4年間、残念ながらまともな記録がありません。ただ探鳥会の記録は「筑豊博物」16号(1971年12月、筑豊博物研究会)以降のバックナンバーに収載されていますので、いずれ本会のメディアに転載させていただきたいと思っています。 発会後しばらくは、年3、4回程度探鳥会が開かれ、それほどの事務量もなく、探鳥会の予定連絡はハガキで行われていました。探鳥の方法や識別の技法、探鳥会の運営についてなど、今では当たり前の知識でさえ乏しく、この頃は言わば会運営の助走時代だったのです。すでに先発の福岡野鳥の会(現・福岡支部)、北九州野鳥の会(現・北九州支部)の方法に習い、教えを請いながら手探りの会運営でした。
有働孝士 2021-07-19掲載
この5月、コロナ禍によりほとんどの行事中止が決まりましたが、広塚忠夫事務局長肝いりによる第3回CFB:1000回記念筑豊フリーバードソン(以下CFB3)は、華々しく開催されました。私は、CFB3結果報告のまとめ担当を命じられ、ご参加のみなさんからいただいたご報告によりいくつかの指標をもとに、まとめを作成しました。この指標のひとつが「普通種ランキング」(「野鳥だより・筑豊」2021年7月号28ページ)です。
有働孝士 2021-06-21掲載
本会は今年の2月で創立後50年。発足以来たいへんな年月がたちました。600ヶ月間、毎月何かしら活動を行い、探鳥会(計画含む)は1000回を越え、会報は500号を越えました。
調べ物で古い会報をひっくり返していると、懐かしいお名前やまだお会いしたことのない方々のことが記されており複雑で不思議な気持ちになります。振り返ってみれば、本会発足時から一体何人の方々が本会に所属され会員として活躍されたのでしょうか。ある方が入会し、ある方が退会され、ただお一人、生え抜きの松尾節朗名誉支部長を別格とすれば、今や発会当時からの会員は一人もおられません。それでも本会は、ほとんどそのまま今に続いています。
ギリシャの伝説で語られる英雄テセウスは、クレタ島の怪物ミノタウロスを討ち果たし帰還しましたが、そのときの船(櫂とも)は記念として大切に保存されました。この船の老朽化した部分は交換され続けましたが、ある時、すべて新しくなり、元の部分はなくなっていました。後に「英雄伝」でテセウスを紹介したプルタルコス(プルターク)は、すべてが入れ替わった船は、元の船と同じだろうかと、テセウスの船のパラドックス(逆説)を提示しました。
有働孝士
2021-05-24掲載
入念に策定した1000回記念探鳥会計画がコロナ禍のせいで無残にズタズタとなった。この事態をどう拾い上げたものか。運営委員会では頭をひねり、流れた1000回目に当たる英彦山定例探鳥会から祝事部分を取り分け、いくつかの祝賀行事のみを実行することになった。その内の一つが、事務局長・広塚忠夫氏提唱の「第3回CFB:1000回記念筑豊フリーバードソン」(以下CFB3)である。財団本部による本家バードソンは、1種ごとの金額を決めておき、スポンサーから寄付をいただく仕組みを背景に、チームで1日探鳥がんばろうというゲームである。
本会の筑豊フリーバードソン(CFB)は、寄付なしの単純に種数を競うゲームとして広塚氏が発案した。チームでも個人でも、また期間内であれば全国どこでもできるかなりフリーな探鳥ゲームで、やってみると案外楽しめたのが実はちょっと意外だった。本会では、財団本部主催の本格バードソンに参加し何度か優勝を飾っている。その時の思いがいまだ冷めず、関係者にとり、まだ若かった昔“熱き青春”のひとコマと重なっているに違いない。
さて、マクラが長いが、表題は、2012年公開のハリウッド映画のタイトルである。テーマはバーディング、ズバリ探鳥の映画である(バーディング、バーダーは米語、バードウォッチング、バードウォッチャーは英語)。今回のCFB3に触発され、以前DVDでこの映画を観たことが思い出された。探鳥なんてそんなニッチなテーマで観客が呼べるものかと心配したが、米国だけで約8億円を稼ぎ出している。映画はコメディとして制作された。我々のやっていることがコメディとはどういうことだと、ひとり息巻いてはみるものの、妙に腑に落ちるのがくやしい。
有働孝士 2021-04-19掲載
スズメやキジバトなど、オスとメスの見かけが同じで区別がつかない雌雄同色の種がいます。ご当人の野鳥同士では、異性をどうやって見分けているのかといつも不思議に思っていました。仕草や行動、声、フェロモンなどいくつか考えましたが、雌雄が同色というなら、まさか見かけでは区別できないだろうと、この可能性は早々に捨てていました。
しかし、後に野鳥の視覚は人よりスペクトル(虹色)の幅が広く紫外線領域まで見えているとの事実を知りました。人は色を3つの要素、赤・緑・青で認識している3色型色覚です。ところが、野鳥はこれに加え紫外線光も見える4色型色覚という実にうらやま仕様。そこで考えられることは、オスやメスが紫外線の色や模様を反射して性の違いを示しているのでは?人の目には雌雄同色でも、野鳥には違って見えているかもしれない。とは思ったものの実証の手立てなどあるはずもなく、ただの憶測にとどまっていました。
有働孝士 2021-02-22掲載
野鳥とは何か?と考えさせられることがありました。ここ10数年で、身近に新顔の外来種が跋扈するようになっています。ガビチョウとソウシチョウです。冬の2月、わが家の庭にもすっかりソウシチョウの小群が居着いています。また、どこにでもいるカワラバトや昔から馴染みのコジュケイは気分的にすっかり野鳥の仲間入りの感じがあります。でも新顔ソウシチョウ、ガビチョウには、当初から奇妙な違和感を覚えており、未だにその感覚は抜けきれていません。
外来種は、観察記録でも無視されることが多いのか、鳥信記など個人の記録にはあまりリストアップされません。探鳥会の鳥合わせリストでも、外来種はよそ者扱いで、配列順の中には入れてもらえず、末尾の方についでのように記録されています。しばしば「外来種」の札付き扱いで、ちょっとかわいそうな気もします。
ところで、外来種とはなんでしょうか?日本鳥学会の「日本鳥類目録」という鳥類リストには同定された日本産鳥類全種633種(改訂第7版)が記録されています。よって、極めて大ざっぱに言えば、外来種とは、日本で観察された種の内、このリストに無い種のことです。そのため、私たちが言う「野鳥」とは、この633種にさらに外来種(と未同定)を加えたものとなります。
有働孝士 2020-12-29
2021年1月元日「第991回例会:久保白ダム元日探鳥会」のために、私と連れ合い(会員・有働佳世子)で下見しました。下見は、現状把握と危険防止のためですが、いずれも問題はありませんでした。遅い出発だったため帰り道は暗くなってしまいました。
一番の印象は、久保白ダム湖にカモ類が少ないこと。大部分の群れは本堤南側の湖上におり、第4号副堤前に少数見ました。南側(桂川町)にはほとんどみられませんでした。それでも湖面に5羽、南奥の湖上(@5030-3511 飯塚市)に2羽の計7羽のカンムリカイツブリが観察でき、今回のリストに華を添えました。
午後遅くから雨が降り始め、周回道路の暗い林では、鳥たちとの出会いも数少なく、ちょっと寂しい探鳥となりました。
明日30日には降雪の予報が出されており、元日の積雪が心配ですが、もし路上に問題がなければ、ご参加をお待ちしています。
みなさん、どうか良いお年をお迎えください。
観察リスト(18種) @5030-3511:マガモ(@5030-3522)、キンクロハジロ、カイツブリ、カンムリカイツブリ5(@5030-3522)、カワウ、アオサギ、ダイサギ、コサギ、カワセミ、アオゲラ、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイス、エナガ、メジロ、シロハラ、ツグミ
(2020-12-29掲載)
有働孝士 2020-12-20掲載
ずっと以前のこと、「私たちの自然」(公財・日本鳥類保護連盟機関誌)の記事で読んだことば「緑島」(りょくとう)は今でも記憶に残っています。現代では、(インターネットで)ググってみても台湾の島の名前しかヒットしません。しかし、すたれてしまうには惜しい考え方です。
大都会に林立する、ビルやひしめき合う人家は、渡り鳥にとって、到底、休息場所にはなりえず、苛酷な海上を渡るときと同じ見え方に違いありません。そんなとき、前方に“緑の島”が見えてきました。渡り鳥は、引き寄せられるようにしばしの休息を求めてその島を目指します。ビルや人家の只中にあるその“島”は、実は人が作った公園緑地や神社の森だったのです。野鳥も人も同じ目的、すなわち休息と癒やしを求めて引き寄せられる聖域“緑島”。渡りのシーズンともなると、あたかも朝露が光を集めるように、渡り鳥を引き寄せる場所です。
有働孝士 2020-11-19掲載
丁合い(ちょうあい)とは、印刷された会報の紙をページ順に1冊にまとめること。コロナ以前、会報作成ではこの作業がいちばん手間で、運営委員会参加の会員の手作業で乗り切っていました。大きなテーブルに積まれたいくつもの会報ページの山(台)のまわりを運営委員会参加者でグルグル回りながら1枚ずつページ(丁)を手に取り順にまとめていく単純作業です。ページ数が多く参加人数が少ないと時間がかかります。コロナ禍以降、行事が減ったため会報のページ数も半減したものの集合での作業がタブーとなったせいで、参加者もまた激減。この作業自体が三密違反となり、代替手段を探していて新聞販売店の広告折込み作業のための丁合機(コレーター)という専用機械に目をつけました。この丁合機は冒頭の作業を人よりも数十倍の速さで美しくこなします。しかし印刷などの関係会社に打診しても自社では丁合機を持たないらしく、仲介のみで法外な料金となり、まったく折り合いません。
そんな時、たまたま相談したA新聞販売店の店長さんが格安で引き受けて下さり、お陰でこれまでの会報最大ページ数72ページの「2020年5月号-8月号集約版(通巻511号)」は、機械丁合いにより非常に楽な作業となりました。
有働孝士 2020-11-10掲載
今年(2020年)7月「フィールド図鑑 日本の野鳥」第2版(文一総合出版)が発売になりました。「フィールドガイド 日本の野鳥」増補改訂新版(公財・日本野鳥の会)と合わせ2種類の野鳥フィールドガイド図鑑の最新版が出揃いました。これらの図鑑は従来のそれとは一線を画す新しい流れの上に生まれた図鑑、特別で別格です。筆者の考えるフィールドガイド図鑑とは、分布図と野外識別のための解説文およびカラーイラストにより、国など特定地域の全種を網羅した図鑑。すなわち、本の造りは野外携行に向いたハンディサイズで、左ページに分布図と野外識別の解説、右ページにイラストという構成が機能的で望ましいスタイルです。冒頭の2冊は、国レベルの全種網羅でこの条件を完備しています。
フィールドガイド図鑑がどのように新しく別格なのでしょうか?拙論の立場を明確にするため旧来の伝統的な図鑑とフィールドガイド図鑑の違いを比べてみましょう。旧来の図鑑は、端的に言えば“同定”のための図鑑です。野外で捕獲や採集した標本を研究室や書斎に持ち込み、羽の数や模様ほかを詳細に調べ、疑問の余地なく種を確定するための参照資料が旧来の図鑑。よって同定には必ず確かな証拠標本(再現資料)が必要です。一方、フィールドガイド図鑑は、“識別”のための図鑑です。野外現場で目前の対象の特徴を確認し、種を特定するためのガイドであり参考資料となる図鑑です。識別で求められる条件は観察を元に種を確定した“証言”です。必ずしも証拠が必要ではありませんが、種によっては識別根拠が必須となる場合があります。
有働孝士 2020-06-24掲載
表題を見て、何を今さらと思う方もおられるでしょう。案外見過ごされがちなことだと思うのですが、実は双眼鏡ビギナーにとって最初のハードルが、目前の野鳥を双眼鏡に捉えるときの困難。ほとんどはここぞと思う場所を見ることさえできません。しまいにはどこを見ているのかも分からなくなり、人によっては“双眼鏡酔い”になる人も。結局、探鳥会では、スコープに入れてもらった野鳥を覗くだけで、ただ首の重りと化した双眼鏡を実地に役立てることもできません。
見られればそれでもいいじゃないかというのは早計。自分の双眼鏡で視野に入れ、野鳥と対峙して初めて観察の実感と喜びが手に入ります。実にこうした感動の大部分は自らの手で見たことへの達成感が占めています。というわけで、拙論は、双眼鏡ビギナーへの提案案件です。
ここでもうひとつの課題は、指導者がこの困った状況の解決法を伝授できないこともあるかと思います。慣れれば使えるようになるよ、といったその場しのぎでなく、分かりやすいテクニックとして伝授できなければ、指導者としての立場が危うくなるというものです。
そこで、その方法です。水辺でも山中でもよいのですが、ここでは山中の一本の木を想定します。木のてっぺん付近に目的の野鳥が止まっています。この野鳥を双眼鏡の視野に捉える手順です。
有働孝士 2020-05-25掲載
スワロフスキー社と言えば、女性ならアクセサリーを連想されるだろうか。もちろん私は、双眼鏡、スコープを思い起こす。オーストリアに本社を置き、クリスタルガラスの高級品を販売する会社として有名だそうである。ガラスつながりでレンズ製品の双眼鏡やスコープまで製作していることは、それほど知られていないかもしれない。とはいえ、もし仲間内でスワロフスキー・ブランドの双眼鏡をさり気なく(ここ重要)ぶら下げていたりすると、ちょっとしたステイタスになるようである。
さて、そのスワロスキー・オプティックが、野鳥観察用の単眼鏡dG8×25を発売したと、ウェブに紹介記事
が掲載された。倍率8倍で口径は25mm、550g。価格は強気の27万円。双眼鏡ではなく単眼鏡というのも興味深い。双眼鏡の利点のひとつはやはり立体視だろうか。主流のダハ型の場合、単眼鏡に比べ視野角が広い利点はあるが、眼幅が同じなので遠方を見てもあまり立体感は感じられない(むしろ旧型のポロタイプの方が立体感は強い)。それゆえ、軽量化のため単眼に割り切ったとすれば良判断と思う。
有働孝士 2020-04-20掲載
かつて鳥のさえずりを採譜したウェブサイト(ホームペ−ジ)はないかと折にふれ探し回っていたが、なかなか見つからなかった。採譜とは、演奏や歌を聴いて楽譜に写し取ることだそうである。通常なら採譜のソースは音楽なのだが、鳥の声だって音楽みたいなものだと思って、鳥の声を忠実に採譜しているサイトを探していたのである(当方、楽譜が読めないので本テーマを記す資格に欠けるが、そこはご容赦)。
ある時、インターネットの検索でたまたま「鳥のなき声ずかん」がヒットした。ウェブサイトではなく案に相違の「本」である。さっそくリンク先のアマゾン(何でもありの大規模インターネットモール)に行ったら、新本はなく古書が売られていた。60種の鳥の声を絵と文字にして紹介し、なんと楽譜まで付いているというのだ。あつらえ向きではないか。即買いである。本書の発行もと福音館書店といえば絵本の出版社として名高い。本が届いたので、子供向けの初歩的な内容でも仕方ないなと半分諦めの気持ちで本を開いたら、鳴き声の採譜リストがあった。その意外な内容を見て驚き、思わず笑ってしまう。ちなみに原書と同じ50音順リストである。
有働孝士 2020-03-23掲載
北海道の某所*では雪解け後の4月下旬、日当たりのよい自然林の林床に“春の妖精”が舞い降りるといいます。早春の一時期に現れる生物の総称スプリング・エフェメラル(ギフチョウなど昆虫も含む)。そう教えてくれるのは中村聡氏。日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリのチーフレンジャーを務め、古くからの本会会員でもあります。
ピンクのカタクリ、空色のエゾエンゴサク、白いキクザキイチゲ、黄色のフクジュソウなど色とりどりの花々が林床一面に短い命を咲かせ、春になるころには儚く終わってしまうとか。夢のような花園をぜひ一度見てみたいと切望するものの、残念ながらおいそれと北海道に行ける身分ではありません。(写真は文末参考文献より掲載許可。きれいです。)
ところが、九州・福岡県は足元の筑豊でも、花のスプリング・エフェメラルが見られることが分かり、驚きました。もちろん、公園や植物園ではなく人の手が触れていない無垢の自然植生です。最初に見つけたのは、わが筑豊支部が誇るウェブサイト「くまたか\HList」。ここには、これまで本会植物部が識別した福岡県の自生植物リスト約1600種類が記録されています。さて、その中に記録されたスプリング・エフェメラルたちとは ―
の10種。(トウゴクサバノオは糸島市・井原山)いずれも本会の会員がきちんと識別し、すべて撮影までされています。残念ながら林床一面に同時開花といった贅沢は無理でも、出会うたび、ひとつひとつ子細に観察しては、せめてわが脳内の自然林に全部を咲かせてみたいと思っています。
※参考文献「くまたか\北*風のたより\28:若葉の萌える林」中村聡
※北海道の某所:旭川市・男山自然公園
(2020-03-23掲載)
有働孝士 2020-03-02
3月2日朝、庭に出ていた家人が、巣が落ちていると言ってきた。庭に出てみると、アラカシの木の下に写真のような巣が落ちていた。主な材料はぐ近くに生えているシュロの幹にある繊維質のシュロ皮から引き抜いてきたらしいのと、緑色は庭の地面に生えているコケである。それに少し合成樹脂の白いひものようなものも見える。重要な点は、付近にヒナの姿がなく、タマゴのカケラもなかったことだった。もしかしたら無事に巣立ったあとの巣かもしれなかった。
ここ2ヵ月ばかり、2羽のメジロがなにやら忙しく庭の樹間を行き来していたので、ほぼ間違いなくメジロの巣だと思う。繁殖しているようで、近くによると、遠くには逃げずに近くの小枝に止まって警戒音を発し、こちらの様子を窺っている。どうも結界を犯しているらしいので、もちろん遠慮してその場を離れることにする。実は、1ヵ月くらい前にも同じように、これとほぼ同サイズの小さな巣が5mくらい離れたアラカシの木の下に落ちていた。もしかしたら、メジロの巣だったのだろうか。だとすると、続けて同じような巣の落下を見ていることになる。使用済みの巣を落とす習性でもあるのか、あるいは他の天敵にでも襲われたか。
些事でつまらないことで、お目汚しとは思うが、後のために記録として残したいと思う。なお、繁殖がらみの写真は、本サイトでは掲載禁止だが、写真は古巣と同じく繁殖後の結果なので、この制限にはかからないと思い掲載させていただいた。
(2020-03-02掲載)
有働孝士 2020-02-12掲載
2020年2月8日、本会(日本野鳥の会筑豊支部)会報の取材のため「第23回鷹研プラス:冬鳥」後開催された鷹委員会にオブザーバーで同席させていただきました。その際、委員の佐藤久恵氏が、公園ネコの問題を提起されました。ここで、公園ネコというのは、一般市民により公園で餌を提供されているネコのことです。エサ場には、段ボール製のネコ小屋やテントなどが設置され、エサや飲み水用の皿なども置いてあります。エサにはキャットフードなどが与えられているようですが、場所によってはおかずの余りものなどもあるようです。
さて、問題はネコの習性に起因する野鳥の被害です。通常はエサの確保のために小動物を狩っているようですが、空腹でもないのに捕らえていたぶる様子は、ごく普通に見られることで、やはりネコの抜きがたい習性の一つと言えます。問題なのは、この空腹でもないのに狩りをする習性です。仮に公園でもらうエサで満腹になっていても、小鳥など小動物を狩る本能はそのままです。
公園で十分にエサを与えられると、次はどうなるかと言えば繁殖です。初めは少なかったネコも次々に増え、至るところでネコを見ることになります。糞害やネコ捨て場になっているのも問題ですが、公園の繁みや広場を拠り所にするツバメ、スズメ、キジバト、ムクドリ、ウグイス、ルリビタキ、ジョウビタキ、アオジ、クロジ、シロハラ、ツグミメなどの小鳥たちは、格好の狩りの標的となり、命を落とし数を減らしていくことでしょう。
有働孝士 2020-02-08
「鷹研プラス」の帰り、数人の同行者とアカツクシガモを見に行った。実を言うと、身近でない希少種には、あまり関心が湧かない、というか、わざわざ時間をかけて見に行く気持ちにならない。もし身近に希少種が現れたら慌てふためくのに、我ながら変な心理だと思う。しかし、この日は鳥見がしたい気分だったので、同行させていただいた。
アカツクシガモは、本会ご意見相談室で珍鳥に類別され、部外秘とするよう協力要請が出されていた。集中するカメラマンによる撮影圧やその近隣迷惑を避けるためである。本種の発見者・落合束太氏観測による渡去判断を受け、3月26日本会運営委員会は部外秘解除としたため、ここに公開させていただく。
(2020-03-28掲載)
有働孝士 2019-12-28
12月28日、来年1月の元日探鳥会に備え、久保白(くぼしろ)ダム湖周回道路の下見をしました。
道路の状況は、全道路舗装されており通常人や車も通るので特に問題はありません。ダム湖の周回道路のため曲がりくねって見通しも悪いうえ、道幅も広くはありませんから、当日、交通事故にはじゅうぶん用心してください。
久保白ダムのトイレ事情は、かなり貧弱です。ダム本堤脇に公衆トイレはあるものの汚されたままで最近掃除など保守された様子がなく、使用はかなりためらわれる状態です。ダム本堤下のゲートボール場付属トイレはいくらかマシかもしれません。ともあれ、なるべくトイレの世話にならないよう体調を整えてご参加ください。
(2019-12-29掲載)
有働孝士 2019-01-08
ハシボソガラスには独特の仕草がある。「とまって鳴く時には腹をふくらませ、尾を下げて広げ、頭を下げておじぎをするような姿勢をとる」と教えてくれたのは、「フィールドガイド 日本の野鳥」(引用は同書増補改訂新版、初版からこの記述がある)。302ページにイラスト入りでその独特の姿が紹介されている。本稿では、以下この仕草を説明にならい便宜的に「おじぎ鳴き」としよう。
ハシブトガラスとハシボソガラスはどこでも見かけるので識別トレーニングとして以前からよく注意していた。そのため件のおじぎ鳴きには比較的早くから気づいていたが、これがハシボソガラス独自の特徴とまで知らなかったのは不明の至り。「フィールドガイド 日本の野鳥」は初版からお世話になっているというのに、これを読み落としていたとは、とうかつさに驚いた記憶がある。
有働孝士 2018-12-27掲載
(公財)日本野鳥の会(以下、財団本部)では、毎月「探鳥会スタッフ通信
」を発行しています。趣旨は「探鳥会の考え方や様々な運営手法について、全国の連携団体の探鳥会リーダーの皆様と情報交換を行うために発行するメール通信です。」とのことで、全国各地の探鳥会に取材し、特に探鳥会現場におけるノウハウなど貴重な情報が公開され、優れて啓発的な内容です。
しかしながら、「探鳥会スタッフ通信」2018年11月号の「初心者向け探鳥会 in 市民の森(根室支部)
」には大きく衝撃を受けました。同記事で筆者は、上記探鳥会で参加者の男性が持参した「先端に小さな鍬のようなものがついた金属製の棒」に興味を持たれ、尋ねたところ「これでアザミをとります。」とのことで、実際に探鳥会の最中、アメリカオニアザミ駆除のため抜根しながら歩き、他の参加者もつられて同アザミの駆除をはじめたといいます。
アメリカオニアザミは外来種で、「(前略)特にシカが増えている地域では、同時にアメリカオニアザミも増えていて問題になっている(後略)」とされ、この男性は、支部の探鳥会においてはアメリカオニアザミを抜根しつつ歩いているということでした。
この探鳥会は、タイトルのように「初心者向け」をうたっています。子供を含むはじめての参加者の面前で行われたことから、こうした駆除も探鳥会の一部と認識され、今後実行されていくかもしれません。“所変われば”といいますが、本会とのあまりの違い様にたいへん驚きました。
有働孝士 2018-12-22
「第907回例会:遠賀川中島探鳥会」は恒例の元日探鳥会、つまり2019年1月1日に開催される探鳥会です。元日から鳥見を始めれば、きっと一年間鳥運に恵まれるに違いありません。そう願い、気合を込める探鳥会でもあります。みなさん、ぜひご参加ください。元日ともなればご予定も多いことでしょうから、途中の離脱・参加歓迎です。探鳥会は午前中で終了します。
事前調査のため、探鳥会予定地・中間市下大隈の遠賀川中島を訪れました。しかし、あいにくなことに現地は工事中で、工事は別の会社により二つ進められていました。一つは自転車道の改良工事、もう一つは、奥の方で行われていたビオトープ用の道路整備工事ではないかと思いますが、詳細は不明です。工事中危険なため中への地立ち入りは遠慮してほしいとのことで、調査はできませんでした。
工事内容は不明ですが、今や貴重になったヨシ原が心配です。一旦は更地にされても、根が残っていればまた来年は緑深いヨシが立ち上がるでしょうが、上に何か載せられるともう絶えるしかありません。元日探鳥会では現地の様子も観察できるかもしれませんが、残っていて欲しいものです。冬鳥のお客様たちは無事にしているでしょうか。
もしヨシ原が無事であれば、きっと興味深い小鳥やタカ類がいることでしょう。個人的には、せめてオオジュリンとツリスガラには会いたいものです。あけましておめでとうのご挨拶とともに、現地でお会いしたいと思います。多くのご参加をお待ちしています。
中間市下大隈・遠賀川中島:
・観察リスト 中間市下大隈:ハクセキレイ、カイツブリ、マガモ、カルガモ、ウグイス、キジバト、ヒヨドリ、オオバン、トビ、ハシブトガラス(ただし河川敷で観察し中島には入っていない)
(2018-12-23掲載)
有働孝士 2018-08-25
早朝に目覚めてしまったので、涼しいうちに「くまたか」のメンテナンスでもしておこうとPCで作業していたら、5時20分過ぎ、突如、奇妙な音が聞こえてきた。それがアカショウビンの声とわかるまで、貴重な時間を無駄にしてしまった。耳を疑ったせいである。
アカショウビンの声(声の間隔が空いたので途中を削除)
声は裏山から聞こえ、約5分間くらい続いた。はじめの内は連続的に鳴いていたが、別室のスマホで録音アプリを起動し、窓の外に向けたときには間遠になり、やっと最後の2声のみ録音に成功した。英彦山で聞くような艷やかな響きはなく、よほど鳴き続けたのであろうか、少々やつれ、かすれ声になっているのが哀れである。繁殖競争の激しさが窺われるようだ。
裏山は、約1km東の低山からの支脈がちょうど自宅の側まで延びており、植物相は放置された竹林である。秋にはヒヨドリの渡りで賑やかになるような低い丘の突端である。奥にクスノキの大木があり、夜になると時々フクロウが鳴いている。「ミゾゴイの声を聴く」の記事で観察した場所でもある。
自宅付近での初記録というのもさることながら、8月下旬にはアカショウビンの渡りが始まっている証拠かもしれないと思うと、驚きは倍化する。
どこから来たのであろうか。もし渡りなら、今出発したばかりである。これから己が翼に頼み、ひとり荒海を渡る。この先の道程は長く、安息の目的地は気が遠くなるほど先にある。その間の危険と疲労はいかばかりか。小さな身体に秘められた決意と勇気に感じ、たった5分間の出会いであったが、道中の無事を思った。
それにしても、と思う。自然はなぜ、か弱い動物たちに、地獄のような苛烈極まりない仕組みを課すのであろうか。私たちが称揚してやまない偉大なる自然、その裏面には、容赦なく命を削る冷徹な暗黒面があることを知らされた。
(2018-08-25掲載)
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