日常やフィールドで出会ったいい話、困ったこと、奇妙な体験、ちょっと真面目な話など、みなさんの“野鳥風景”を掲載します。
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中山和也 2009-11-18掲載
(筑豊支部、北九州支部会員)
野鳥の会に入会した当初は、スズメやカラス、ツバメ、ハトなどしか知らなかったのですが、探鳥会に参加するうちに、だんだんといろんな鳥を知るようになっていきました。通勤で折尾駅まで歩く間でも40種以上の鳥が見られることがわかり、身近なところにも鳥ってこんなにいるのかと思うようになっていたのですが、探鳥会では最近鳥が減っていると聞いて、身近な環境を守っていかなくてはと思うようになっていました。ちょうどその時、北九州市の市政だよりにビオトープ作りのお知らせが載っていましたので、早速応募しました。その活動を主催していたのが、私が今活動しているNPO北九州ビオトープネットワーク研究会です。
この会は、北九州市立大学国際環境工学部の先生を中心に、大学、企業、行政、市民・学生等で組織された団体です。活動の内容は、大きく3つに分けられます。竹林の整備を行う「竹林のがっこう」、小学生の親子に田植えや稲刈りなどの体験を通して、田んぼの大切さについて学んでもらう「田んぼのがっこう」、江川・洞海湾の水辺を考えるをテーマに、間伐竹とムラサキイガイを用いた洞海湾の水質浄化や洞海湾干潟の清掃、絶滅危惧種シバナの保全などに取り組んでいる「水辺のがっこう」です。
ここでは、3つの活動の中でも中心となる「竹林のがっこう」の活動を紹介します。この活動は、平成竹取伝説と銘打って、毎月第2土曜日に、北九州市立大学国際環境工学部のある若松区ひびきのの周りにある里山などで、そこにはびこっている竹を伐採し、里山などの再生を図るものです。伐採した竹は、チップにし、カナダ等から輸入しているピートモスという苔の代わりに、法面の吹きつけなどに利用しています。竹を切るのは比較的楽なのですが、長い間放置され大きくなった竹はかなり重たく、運び出すのが非常に大変です。午前中3時間くらいの活動ですが、終わった後は、汗だくで翌日もしくは翌々日に、筋肉痛になりこともしばしばです。しかし、荒れ果てた里山がきれいになっていくのを見ると、すがすがしい気持ちになりますので、これが活動の原動力になっているのだと思います。
竹を切った後の里山は、竹に侵食され、ほとんど木も生えていない状態になっていますが、しばらくすると日が当たるのを待っていたかのように、土に埋もれていた種が発芽し、木も生えてきています。しかし、竹の繁殖のほうが早いので、竹林に戻らないよう、しばらくの間は、定期的に竹を伐採していかなければいけません。竹で覆われていたときは、ウグイス以外ほとんど鳥もいないような状況でしたが、メジロやヒヨドリなどが少しですが、やってきているようです。植物については、いのちの旅博物館の学芸員の先生が調査していますので、鳥についても一度確認したいと思っています。
竹の伐採をするようになって、車などで走っていて、竹で荒れ放題になったところが多いことに気がつきました。この活動で整備できているのは、このうちのほんの一部にしかなりませんが、継続は力なりという言葉通り、これからもこのような活動を続けていき、さらには広げていき、微力ながらも、鳥をはじめいろいろな種類の生物や植物が少しでも生息しやすい環境を守っていければと考えています。
その他にも、この会のつながりで、若松の有機農家で毎月第1日曜日に農業ボランティアで草抜きなどをしたり、遠賀町の有機農家にも、定期的というわけではありませんが、田植えや稲刈りなどの手伝いなどにも行っています。体力的には、きつい仕事ですが、ウグイス、ホトトギス、ヒバリ、カワラヒワなどの姿や鳴き声を見聞きながらの作業は、のどかでもあり、楽しくもあります。無農薬ですので、田んぼや畑には、虫なども多く、そのためか、鳥も他のところよりも多いのではないかと思います。
遠賀町の田んぼの水路には、絶滅危惧種のニッポンバラタナゴやメダカ、ウナギなども生息していますし、サギ類、カモ類やバンなども田んぼに現れていますが、以前はよく見られたサシバは、今は見られないようです。里山などの荒れ、田んぼや畑の減少などが原因かもしれません。田んぼや畑は人の手がはいっていますので、自然環境とはいえないかもしれませんが、今絶滅しかけている鳥などの生物や植物の多くは、田んぼを棲家にし、あるいは利用しているそうですので、この活動もそれらの生息地の保全につながっているのではないかと思っていますので、今後も続けていきたいと思っています。
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