クマタカ
くまたか (日本野鳥の会筑豊支部)
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 背面飛行

日常やフィールドで出会ったいい話、困ったこと、奇妙な体験、ちょっと真面目な話など、みなさんの“野鳥風景”を掲載します。
話題や原稿をお寄せください。絶対実名主義の「くまたか」ながら、このページだけペンネームOK。鳥に関する由無し事をちょっと記してみましょう。話題は締め切りなし、常時募集中

鳥情報の公開について一考したこと

やじろべえ 2010-06-29掲載
(日本野鳥の会筑豊支部会員)

最近ある人から「筑豊支部の発行したガイドブックに掲載された探鳥地ガイドのお陰でカメラを持った人が大勢おしかけてきて処構わず入り込んできてとても迷惑している。野鳥の会は環境破壊をしているに等しい」と云うようなことを地元の人が言っていると聞いた。

最近の野鳥撮影はいわば隠れたブームというのか、野鳥カメラマンがやたらと増大している。団塊の世代の人達がなだれ込んできている感じを受けます。発達したネット情報で全国にあっという間に広がる。昨年のことだった。下関にカワビタキの撮影に行った時のこと。町のど真ん中の小さな川の橋の周辺に30人近くのカメラマンがずらりと並んでいた。交通量も生半可ではない場所で通りすがりの車も「何事ですか?」と何人もの人に尋ねられた。聞くところによると、この状態は10日近くも続いたという。同じ趣味を持つ者同志の連帯感とでもいうのか日頃知らない人と言葉を交わすことのない私だが、その中の一人は「いま東京から新幹線で駆けつけた。」と言っていました。

今回この原稿を書く気になったのは、この6月初めに某所にレンカクがやってきた。この連絡を会員外の古いベテランのカメラマンから受けた。私がいつも見回っている場所だ。当然のことながら報道管制を敷いて他に漏らさないよう打ち合わせた。この場所に何十人もの人が集まると(情報がレンカクであるから何百人かもしれない)大変なことになる。農繁期のお百姓さんの作業を妨げることは必定。しかし、考えてみれば私も野鳥の会の一員、であれば、野鳥の会の人にこの情報を知らせるのは当然のことに思える。他の会員を信用しない訳ではないが知らせる訳にはいかぬ。そんな思いを抱いてレンカクがこの場所から飛び立っていく日を待ちました。鳥の好きな人たちにとって珍しい鳥は誰でも見たいと思う。でも何だかおかしいと思いませんか?見付けた人だけが独占的にその権利を主張できる。確かにそうだとも思えます。鳥を撮影したり、観察することになんだか不必要な制約がくっついているようで喉の奥に刺さった棘が取れないで苛立っているような気持ちです。

初めに書いたようにマナーの悪いカメラマンやバーダーはいます。そんな人のために真面目な観察者や地元のお百姓さんや関係者の方々が迷惑していることも事実です。そのためかどうか詳しい事情を私は考えたこともありませんが、やたらとカメラマンのマナーの悪さについて言われ、繁殖中の写真はいけない、近付き過ぎてもいけない、脅してはいけない、等々、写真を撮る人にとっては窮屈この上ないことが繰り返し言われています。でもこれらのことは間違っている訳ではありません。人間が共同の社会生活を営んでいくために様々な制約を加えられた中で生きてゆかなければいけない。だからこのこともその制約の中の一つ。だが、今の論調は私にはカメラをやるから鳥の生活が脅かされ、種の保存を妨げる原因の一つだと言わんばかりの(誰もこんな言い方はしていないが)論調に思える。

今、マナーの悪いカメラマンの多くは野鳥の会には入っていない新進の素人カメラマンが多いのではないかと私は思っています。デジカメの進歩による超望遠レンズの使用が容易になったこと。デジスコによる安価な撮影設備と相まって急速に普及している。

つい先日のこと。平尾台で車の中からカッコウを狙って待ち受けている時、私の車の後ろに乗り付けて来た知らないカメラマン二人が車から出て、私たちがレンズを向けている方向にずかずかと歩いていく。これには驚いた。先に来ている人に気を使うなど考えもしない無神経な人達だ。しかも500ミリか600ミリの大きなレンズを三脚も持たずにどうして鳥の写真が撮れるというのだろう?かなりの年配の人達だった。四駆に乗って迷彩服を着て高価な望遠レンズを持って、いっぱしのカメラマン気取りで我が物顔で歩き回る。まさに現在の世相そのまま!

長々と前置きを書きましたが私がここで言いたいのはこんなカメラマンのマナーや鳥の情報を会員同志がどのように考えたらよいのか、またカメラをやらない会員の方々がどのように野鳥の撮影について考えているのか知りたくなったという単純な思いではありますが、鳥情報の公開と野鳥の撮影についていろいろな意見があると思いますので、この誌上で色々な誌上討論をしてみたらどうだろうと思います。どうかご意見をお聞かせください。

(日本野鳥の会筑豊・会報「野鳥だより・筑豊」2010年7月号・通巻第389号より転載)

※著者のご希望により原稿内容の一部を変更しています。

会報「野鳥だより・筑豊」誌上に呼びかけられた討論ですが、本サイトも加わりたいと考えます。本サイトへの掲載を前提にして、ご意見をお寄せください。ご希望により匿名(ペンネーム等)可能ですが、その際は必ず本名とメールアドレスを添えてください。ご都合により[そんぐぽすと]もご利用できます(こちらは、本名・メールアドレスは非公開をおすすめします)。(サイト管理人)

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