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くまたか (日本野鳥の会筑豊支部)
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 背面飛行

日常やフィールドで出会ったいい話、困ったこと、奇妙な体験、ちょっと真面目な話など、みなさんの“野鳥風景”を掲載します。
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本会メディアの組み立て方

有働孝士
2024-03-21掲載

本会で発行するメディアとは、月刊会報「野鳥だより・筑豊」(印刷版、PDF版)および公式ホームページ(以下、ウェブサイト)「くまたか」の2種類です。ともに本会情報の出入り口です。日々発生する情報量はかなり巨大であり、もし昔ながらに会報一本で運営していたら、相当の取りこぼしが発生し、たいへんもったいない状況になっていたことでしょう。しかし、折しも現代はデジタル、インターネットの時代。さらにワンランク上のAIの時代が始まろうとしています。野鳥の会とは、後述のように情報活動の会といっても過言ではありません。現代は、野鳥の会活動がもっとも必要とする情報の時代です。

2009年「くまたか」がオープンされ、こうした情報洪水に対処した結果、動画・録音を含めほとんどすべての情報を収集、保存、共有することが可能となりました。素人が多量の情報を管理できる時代の到来です。しかし、ただITだけでなんとかなるわけではありません。多量の情報洪水に呑み込まれないよう流れを制御する確固とした思想が必要です。本稿では、運用の実態を記し、その背景になっている考えについても言及します。

野鳥の会が情報と言うと、野鳥の観察情報のみだと勘違いされそうですが、私たちの活動はもっと幅広く多彩多様です。まずは活動情報で、その代表は探鳥会や観察会。いつ、どこで、誰が何を見たか。参加者の感想。様子を写した写真や動画。本会ではお馴染みの記録です。同じ方法で野鳥展、各種調査その他の活動も記録を残せますし、ぜひ残しましょう。日陰者の扱いされがちな運営活動も本会では大切な活動です。活動の打ち合わせ会議、月ごとの運営委員会、会報の発行作業、部外との折衝や支援そして総会。これらすべての運営情報を明らかにして隠すこと無く会員に晒し、運営の透明性、公平な参加機会等を保証しています。最後に観察情報。野鳥・植物の観察結果をメディアに掲載、共有され、結果的に保存、蓄積されます。会報では「鳥信記」に掲載されますが、紙メディアの限界のため、観察情報の証拠として必須のカラー写真や動画、録音ではウェブサイトの出番です。

さて、ここで、野鳥の会の活動について考察してみます。内部の事情をご存知の方は、野鳥の会の活動というと、会員を増やすことや自然保護・野鳥保護についての啓蒙、観察機会(探鳥会・観察会)の提供などといったことが頭にうかぶかもしれません。でも、実は一段上の隠れた要素が野鳥の会をささえているのです。それは情報と活動。情報に基づいて活動し、あとに情報を残します。結局、残されるのは情報です。野鳥の会の活動とはこの繰り返しのことです。このように私たちは観察や活動から情報を生成しています。他の趣味分野のようにモノに依存したりモノを収集することが目的ではありません。探鳥会では、何をどこで見たかが主要な関心事です。結果は、観察リストとして情報が残されます。

以上のことから会報の主要なテーマが浮上します。すなわち、第一に活動の予定と結果の報告。次に重要なことは、観察情報の掲載です。会報に収集された情報は公表により、共有され、誌面に保存されます。また会報の定期刊行が必要な理由は、活動予定の周知が必要なためです。なお発行後の会報既刊号は大切に保存しましょう。いつの間にか発行そのものが目的化し、発行後はとかく古新聞のように使い捨て感覚で軽く扱われますが、これはとんでもないことです。会報は情報の保存場所であり、何より過去から連綿と続く野鳥の会の連続性を確かに保証する大切な証なのです。

ところがインターネットの時代が到来し、実は会報の存在が脅かされようとしています。ウェブサイトでも前記の役割が十分以上に、またほぼ実時間で果たされるためです。さらに最も負担となる作成経費が格安となります。ただし、これは制作を外注せず、内製可能な場合です。とはいえ、凝った仕掛けやデザインを考えなければ、誰にでもウェブサイトの運営は可能です。それほど難しいものではありません。

今やスマホが人々に行き渡り、実は誰でもウェブサイトにアクセスできる環境は整っているのですが、皆がアクセスする/できるわけではありません。やはり、情報は紙面で読むのが一番という人も少なくありません。ここは紙版会報の出番です。しかしながら、歴史ある会報も若干ニッチの領域に追い込まれつつあるようです。もちろん大方の需要がある間は、会報発行も持続されなければなりません。

会報のもう一つの顔は、ウェブサイトの要約版としての側面です。ウェブサイトには、大量の情報が積み重なっており、自分の必要に合った情報がなかなか見つけづらいという問題があります。会報の編集では、情報の取捨選択を行っており、その時々で必要な記事を掲載していますので、実は会報さえ読んでいれば、支部内における野鳥の事情を十分に追いかけることが可能です。将来、もし現行の会報が無くなるとしても、ウェブサイト上に、情報・ニュースの要約版として生き残ることでしょう。

野鳥の会にとってウェブサイトとは何でしょうか?すでに述べたように、会員を別格として、野鳥の会の核心は情報です。本会ではこの観点から、ウェブサイトを情報の拠点メディアにしています。会報の役割で述べた情報の収集、公表、共有、保存は、大きく強力になって機能します。特に最後の保存はウェブサイトには最適です。まるで場所を取らず、カラー写真、動画、録音とテキストのすべてがほぼそのままで収録可能ですから、まさに野鳥の会には格好のメディアと言えるでしょう。

余談です。ウェブサイトとは記録の保存場所です。その本質を見抜き、見誤らないようにすべきです。率直に申し上げて、残念ながらよそ様のサイトのうちの多くはただの電子看板に成り下がっており、とりあえず世間の流行に乗ってみましたという適当感がいっぱいで、非常にもったいなく感じます

(「野鳥だより・筑豊」2024年3月号より転載 2024-03-21掲載)

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