クマタカ
くまたか (日本野鳥の会筑豊支部)
 ホーム資料館野鳥情報公開基準
online 
total 
modify:2024-12-02

ハヤブサ 野鳥情報公開基準

野鳥情報公開基準

真鍋直嗣・有働孝士 2019-11-24

撮影被害、周辺迷惑を減らすため、珍鳥情報の公開制御に関する指針

近年、デジタルカメラの普及によるアマチュア・カメラマンの増加、SNS、ブログでの情報発信など、希少な野鳥の撮影や公開が盛んになってきました。同時に珍鳥情報の拡散によるカメラマンの集中により、2種類の弊害が発生するようになっています。

その第一は、野鳥への撮影被害です。珍鳥の周りにズラリ大砲のように長大なレンズを構えた撮影者が集中し、当の野鳥に多大なストレスを与えています。中には、野鳥の警戒距離も考えず近くまで寄って撮影したり、さえずり音再生で誘い出す、飛ぶシーンが撮りたいと大きな音で脅すなど、野鳥のことなどこれっぱかしも考えていない、やりたい放題のカメラマンが多数発生しています。繁殖中の珍鳥となると、もはや目を覆うばかりの惨状です。撮影の邪魔になるからと付近の木々を伐採したり、はては樹洞に営巣する野鳥が巣から飛び出すシーンを撮るため、件の樹を蹴飛ばしたなどという信じられない報告さえあります。

第二は、周辺迷惑です。やはりカメラマンの集中により、付近の生活者に不安や不便で迷惑をかけています。狭い農道に長時間駐車して農作業を邪魔したり、街中の生活道路に撮影場所を占有して通行の邪魔になったり、ファインダーに入った人に邪魔だと注意するなど、一部ではトラブルを招き、問題化しています。こうした非常識で視野の狭い利己的な行為・行動が一般の野鳥観察家や野鳥の会への偏見を助長し、ひいては野鳥保護へ悪影響を与えることでしょう。
もちろん、良識あるカメラマンの方が大多数なのですが、一部の非常識な人のために色眼鏡で見られて迷惑をこうむっており、これもまた被害の一つと言えます。(参考:「撮影マナー」)

このような弊害を少しでも減らすために、本会では特に珍鳥情報の公開制御を行ってきました。本会のウェブサイト「くまたか」に投稿される珍鳥情報について、公開時期をこれまで個別に検討してきましたが、統一的に判断するため「野鳥情報公開基準」を設定し、ガイドラインとしました。

(サイト担当:有働孝士)

以下、真鍋直嗣 記

野鳥情報公開基準
情報の共有野鳥情報は提供された時点で支部との共有となり、その取扱いについては支部に委ねるものとする。
準拠文献「フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版」高野伸二著 (公財)日本野鳥の会刊(以下「高野図鑑」)
階級1級「高野図鑑」の習性の欄に、迷鳥と記載された野鳥、及び308頁〜339頁に掲載された野鳥
2級「高野図鑑」に習性の欄に、まれな、数少ない、少ない、多くないと記された野鳥
3級2級の記載はないが、地域性(福岡県域)に於いて少ないとされている野鳥
4級1〜3級以外の野鳥
  • 3級例:生息又は渡来地が限定的(ツル、ハクチョウ、ガンの仲間等)、福岡県では少ない(ヤイロチョウ、コマドリ、ブッポウソウ等)
  • 情報の提供を受けるに際し、次の4条件 @観察種名 A観察月日 B観察場所 C観察者氏名を必須とすること。但し、観察者氏名、観察場所についての公開・非公開は本人の意志を尊重する。
  • 1級、2級の記録については識別判定ができる客観的資料(写真、録音、複数確認等)を添付することが必要。(観察場所については3次メッシュコードが同定できる範囲)
公開時期・範囲
階級希少性野鳥情報の公開時期位置情報公開範囲

(メッシュコード)

位置情報公開範囲(住所)ローカル情報
1級非常に高い1か月以上経過1次メッシュ地区名(筑豊、北九州、福岡、筑後 等)
2級高い20日以上経過2次メッシュ地区名(嘉飯山・直鞍・田川・京築 等)
3級やや高い10日以上経過3次メッシュ市町村名(地先は示さず)
4級普通リアルタイム3次メッシュ市町村名(地先は示さず)
  • 公開時期とは、観察月日から積算した期間。現地の環境、状況等により公開時期、公開範囲は更に厳重に又は緩和をすることがある。
  • 猛禽類及び稀少種(1級、2級)の繁殖情報については細心の注意を払い、これらの位置情報については非公開又は2次メッシュ迄とする。
  • 本基準表は野鳥情報の公開を検討するご意見相談室の判断基準の指標となる。但し、新たな事象が生じた場合にはご意見相談室で協議し決定する。

v2/2017-11-23(真鍋直嗣作成)を元に若干修正しました。

  • メッシュコード:日本全国を矩形で分割しコードをふってJIS規格としたもの。1次から3次まで区分の大きさにより決められ、1次メッシュ区画は一辺約80km、2次メッシュ区画は約10km、3次メッシュ区画は約1km。本会では通常3次メッシュコードで観察地域を同定している。3次メッシュコードは、JIS規格では5030-35-76(1次-2次-3次)のように表記されるが、本会の独自ルールで@5030-3576のように表記する。
  • ご意見相談室:本会内部の支援グループ。支部長の諮問機関。主に本会内のメディア(月刊会報「野鳥だより・筑豊」、公式ウェブサイト「くまたか」)の諸問題を担当し、その他、随時支部の問題を検討する。

(modify 2021-02-24、[メニュー/本会/本会の動き/]より転載しました。)

Copyright (C) 日本野鳥の会筑豊支部 All Rights Reserved. (著作権者でない者による無断転載禁止)
本ウェブサイトは無断で自由にリンクまたはディープ・リンクができます(画像、動画、録音への直リンクは禁止)。
本ウェブサイトに記載の会社名、システム名、ブランド名、サービス名、製品名は各社の登録商標または商標です。
本文および図表、画像中では必ずしも®、™を表記しておりません。