真鍋直嗣・有働孝士 2019-11-24
撮影被害、周辺迷惑を減らすため、珍鳥情報の公開制御に関する指針
近年、デジタルカメラの普及によるアマチュア・カメラマンの増加、SNS、ブログでの情報発信など、希少な野鳥の撮影や公開が盛んになってきました。同時に珍鳥情報の拡散によるカメラマンの集中により、2種類の弊害が発生するようになっています。
その第一は、野鳥への撮影被害です。珍鳥の周りにズラリ大砲のように長大なレンズを構えた撮影者が集中し、当の野鳥に多大なストレスを与えています。中には、野鳥の警戒距離も考えず近くまで寄って撮影したり、さえずり音再生で誘い出す、飛ぶシーンが撮りたいと大きな音で脅すなど、野鳥のことなどこれっぱかしも考えていない、やりたい放題のカメラマンが多数発生しています。繁殖中の珍鳥となると、もはや目を覆うばかりの惨状です。撮影の邪魔になるからと付近の木々を伐採したり、はては樹洞に営巣する野鳥が巣から飛び出すシーンを撮るため、件の樹を蹴飛ばしたなどという信じられない報告さえあります。
第二は、周辺迷惑です。やはりカメラマンの集中により、付近の生活者に不安や不便で迷惑をかけています。狭い農道に長時間駐車して農作業を邪魔したり、街中の生活道路に撮影場所を占有して通行の邪魔になったり、ファインダーに入った人に邪魔だと注意するなど、一部ではトラブルを招き、問題化しています。こうした非常識で視野の狭い利己的な行為・行動が一般の野鳥観察家や野鳥の会への偏見を助長し、ひいては野鳥保護へ悪影響を与えることでしょう。
もちろん、良識あるカメラマンの方が大多数なのですが、一部の非常識な人のために色眼鏡で見られて迷惑をこうむっており、これもまた被害の一つと言えます。(参考:「撮影マナー」)
このような弊害を少しでも減らすために、本会では特に珍鳥情報の公開制御を行ってきました。本会のウェブサイト「くまたか」に投稿される珍鳥情報について、公開時期をこれまで個別に検討してきましたが、統一的に判断するため「野鳥情報公開基準」を設定し、ガイドラインとしました。
(サイト担当:有働孝士)
以下、真鍋直嗣 記
野鳥情報公開基準 | ||
情報の共有 | 野鳥情報は提供された時点で支部との共有となり、その取扱いについては支部に委ねるものとする。 | |
準拠文献 | 「フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版」高野伸二著 (公財)日本野鳥の会刊(以下「高野図鑑」) | |
階級 | 1級 | 「高野図鑑」の習性の欄に、迷鳥と記載された野鳥、及び308頁〜339頁に掲載された野鳥 |
2級 | 「高野図鑑」に習性の欄に、まれな、数少ない、少ない、多くないと記された野鳥 | |
3級 | 2級の記載はないが、地域性(福岡県域)に於いて少ないとされている野鳥 | |
4級 | 1〜3級以外の野鳥 |
公開時期・範囲 | ||||
階級 | 希少性 | 野鳥情報の公開時期 | 位置情報公開範囲 (メッシュコード) | 位置情報公開範囲(住所)ローカル情報 |
1級 | 非常に高い | 1か月以上経過 | 1次メッシュ | 地区名(筑豊、北九州、福岡、筑後 等) |
2級 | 高い | 20日以上経過 | 2次メッシュ | 地区名(嘉飯山・直鞍・田川・京築 等) |
3級 | やや高い | 10日以上経過 | 3次メッシュ | 市町村名(地先は示さず) |
4級 | 普通 | リアルタイム | 3次メッシュ | 市町村名(地先は示さず) |
v2/2017-11-23(真鍋直嗣作成)を元に若干修正しました。
(modify 2021-02-24、[メニュー/本会/本会の動き/]より転載しました。)
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